真・恋姫無双×仮面ライダー 一刀蒼き仮面の遣い 第8話
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南蛮平定から数ヶ月が経つ。北方の斥候が戻ってきて、曹操が孫策の呉を攻めるという情報が入った。

かと言って油断はできない。曹操なら呉を攻めている間に蜀も攻めるという可能性もあるのだ。何かあるといけないので、蜀も軍備強化などをして準備した。

それから幾ばくかして、魏軍は呉の国境線を突破。そのことは当然一刀達の耳に入った。

 

「曹魏と孫呉が、全面戦争に入ったみたいだね」

「いよいよ戦いの火蓋が切って落とされたんだね」

「ああ。攻め入った曹魏の兵力は百万を越してるって聞いた」

「ひゃ、百万!? なにそのデタラメな多さ……」

「華琳はそれほど本気ってわけやな」

 

蒲公英は驚くが霞は自分で納得する。

 

「対する孫呉の兵力は?」

「約四十万だという噂です」

「総動員でそれとは圧倒的だな」

「はい。両勢力はあくまで噂の段階でしかないとはいえ、その差はまさに圧倒的です」

「ふむ…それならば今は曹魏の動きより、孫呉の動きが気になるな」

「徹底抗戦って言ってるけど……どこまで持つのか分からないのだ」

「鈴々の言うとおりだな。いくら孫呉の王が英雄と呼ばれている人物だったとしても。兵数の差って言うのは絶対的なものだ」

「敵よりも多くの兵を集める。兵法の基本だな。そういう意味でも曹魏は兵法に沿い、孫呉は兵法に沿えていない……」

「その差を覆すには、何かしらの奇策を用いるか」

「または兵を増やすか、ですね」

 

紫苑と朱里が呉が魏に勝てそうな条件を述べる。

 

「兵を増やすって…そんなこと出来ないでしょ? 今の段階で総動員を掛けてるんだし」

「自国の兵だけが兵というわけではありません。…それに孫呉には美周朗さんがいらっしゃいますから」

「他国を巻き込むと?」

「考えてみてください。今の兵力で北方の竜、曹操さんを止めることは不可能です。

そして孫呉が破れたあと、曹操さんの矛先が向かう先は……」

「俺たち蜀か…。そして周瑜はそれをネタに俺たちを使おうというわけか……。そして呉と蜀の同盟を求めると…」

「恐らくは……」

 

一刀は朱里の言いたいことを見抜いていた。というより分かっていたというのが正しいかもしれない。

 

「今、ここで決断しなければ、私達は座して死を待つしかなくなるでしょう」

「それほどまでに大陸の状況は急を要しているという事か…」

「さもありなん。反董卓連合より続いていた諸侯の割拠も、曹操、孫策、そして我らの三陣営に収束した。

あとは誰が最後まで立っているかを決定するだけだからな」

(最後の勝利者を決めようとするか……)

「三人一緒に立つ事って…出来ないものなのかなぁ……」

 

桃香の言葉に一刀はあることを思い出し、それをひらめきの考えと一緒にした。

 

「またその話ですか…」

 

愛紗が呆れるように桃香に言う。

 

「私…諦めきれないんだ。皆、やり方は違えど目指すところは一緒なんだから。だったら協力し合えば、きっとこの国の未来はずっと明るくなると思うの」

「お姉ちゃんの言う事は分かるけど、人はそう簡単に自分のやり方を曲げられないのだ」

「桃香の言う事、結構良いな」

『え?』

 

一刀の発言で皆一刀に視線をやる。

 

「かと言って、鈴々の言い分ももっともだ。だったら曲げなきゃいいんだ」

「それはどういうことですか?」

「自分のやり方を曲げないまま、三人一緒に立とうということさ」

「ご主人様……」

「けどよ、ご主人様。皆、この戦乱の終息を願いながら生きてきた中で……死んでいった奴らの想いを、その背中に背負ってるんだぜ……」

「翠の言うとおり。誰しもがその心の中に、誰かの思いを託されているのですからな」

「っても、皆には悪いが俺から考えたらただの重荷だ……」

「重荷…」

「ああ、俺もその想いを背負ってる人間の一人だが、そんなの戦いが終わった後だと生きてても重荷にしかならないと思う」

「どうするつもりなのですか?」

「それは……」

 

一刀が朱里の方に視線をやる。

 

「朱里、俺の言ったこととは違うだろけど、桃香の意見には賛成のように見えるが?」

「はい。私は反対じゃないです」

 

そして朱里は自分の考えを述べた。あくまで領土拡大の野心は曹操だけが持っており、

孫策は経済などの事を考えると南にしか領土を広げれず、それは必然であり野心と言う訳ではないと言う。

 

「しかし孫策は江東の小覇王と呼ばれる英雄だろう? 天下統一の志が無いとは思えんが」

「反董卓連合の頃は天下統一の志を持っていたと思います。でも競争相手の曹操さんの膨張が急激過ぎて、すでに太刀打ちできないのを悟っていると思うんです」

「となると孫策は一体…」

「王という立場にあれば、天下の次に考えるのは自国の保全。他者に負けない国づくりを考えるならば、南方に進出し、人材、兵力、兵糧と軍資金を確保する…筋の通る話ですね」

「事実、南方を手に入れた後の孫策さんは、北方の曹操さんにつっかかるわけでもなく、私達に戦を仕掛けるでもなく、ただ時を過ごしていただけでしたから…」

「でもどうしてそれが桃香様の理想と繋がるの?」

 

蒲公英が朱里に尋ねる。

 

「天下統一の野心が無い人だからこそ、天下の平穏を願う桃香様の言葉に同調してくれるはずです。

ただし……それぞれが持つ天下、という事ですけど…」

「それぞれが持つ天下……? どういうことだ?」

「私達には蜀という天下がある。孫策さんには呉という天下がある。そして曹操さんには魏という天下で満足してもらう。

互いが互いを見張りながら、不干渉を貫けば、三つの天下の平穏を保つ事が出来るでしょうこれが……私の考えた」

「「天下三分の計(です)」」

 

朱里は驚いた。もう一つ自分と同じことを言った声があったのだ。同じことを言ったのは一刀である。

 

「やっぱり俺が思ったとおりだよ、朱里」

「ご主人様!?」

 

一刀が朱里の頭をなでる。

 

「ま、それをするにしても曹操を一度負かす必要があるけどな……」

「はい。曹操さんの勢力を削いで、三国の均一をしないと…」

「そのための蜀呉同盟、か」

「じゃあ、同盟するという事で……俺が朱里と一緒に行くぜ」

「ご、ご主人様が!? ダメだよそんなの!」

 

桃香が早速行こうとする一刀を止める。

 

「そうです! 危険すぎます!」

「つっても孫策の性格だ。大将自ら行かないと話しを聞きそうにないし、天下三分の計の話もしないといけない」

「なら私が行く!」

「ダメだ。桃香はこの国の代表。呉との同盟のあと、誰が軍を率いる? それに生存確率は俺が一番高いと思うが……」

「ならあたしが行こうか?」

「それもダメ。翠は桃香の補佐だ」

「じゃあ鈴々が行くのだ!」

「鈴々じゃ孫策との弁舌じゃ勝てないだろうな。交渉ってのは駆け引きが必要になるときが多いからな」

「私は絶対ついていきますから。却下されてもついていきますよ」

「いや、愛紗も桃香の補佐を…」

「星に任せておけば大丈夫でしょう」

(なんだこのプレッシャーは!?)

 

一刀は愛紗の放つ嫉妬プレッシャーに圧されぎみだった。

 

「ふっ。まぁやってやろう」

 

星も星で愛紗の言葉で乗り気になった。

 

「………」

「ついていきます。あなたに……」

「……仕方ない。愛紗に護衛頼むか。あと…恋」

「……恋もついてく」

「いや、連れて行くと言おうとしたんだけど……」

「ではすぐ出立の準備をしますね」

「馬じゃ時間かかるからバイクで行くぞ。ただし本当はバイクは多くても二人乗りだ。

四人乗るとなるとかなり詰めるぞ。朱里は一番後ろで自分の体と恋の体に縄をくくりつけるように。じゃないと落ちるからな。

恋も愛紗につかまってろよ。恋も落ちちまう可能性がある」

「……(コク)」

「朱里よ、出立は六名分用意しろ」

「へ?」

「お館様の心意気、しかと受け止めた。我が命に変えてもお守りいたす」

「ってもバイクは限界だ」

「何、我々は少し遅くなりますが馬でいきまするぞ、お館様よ」

「そうか…」

「焔耶、お前もついてこい!」

「そんな〜」

 

こうして一刀は愛紗、恋、朱里と共に先に孫策のところに行く事にした。

 

「絶対に…無事に帰ってきてね、ご主人様」

「約束だ!」

 

一刀はガタックエクステンダーを飛ばす。

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それから二日後、一刀達は柴桑で戦っていた呉の陣営に到着し、孫策のところにお目どおりが適った。

 

「貴様は……」

 

周瑜が一刀の顔を見て、少々面を食らった顔をする。

 

「劉備の使者の北郷一刀。反董卓連合の時以来になるな」

「ああ」

「北郷一刀って…あの?」

「あのと言われても困るが、天の御遣いと言われてる男だ」

「ふーん……」

「で、孫策って人は? あなたで?」

「そうよ。こっちが周瑜で、こっちは妹の孫権よ」

「どうもよろしく」

 

一刀が頭を下げると孫権は何か不機嫌そうな顔をした。

 

(警戒するのは無理ないか…)

「ふむ…で? 我らの陣にやってきた理由は?」

「分かってて聞いてるだろ?」

「何がかな?」

「俺の口から言わせるつもりか? なら帰るぜ」

「我らの腹を探るつもりか」

「冗談だよ。俺は腹の探りあいは苦手でね。直接言ったり聞く性格なんでね…」

「察するところ、同盟の申し込みに来たというところか」

「そちらは腹を割る気はないのか?」

「……」

「食えない男だな、本当に」

「俺達も必死だからな」

 

そうは言っても何故かは自分でも分からないが、一刀の心は余裕であった。

しかし他の皆は一刀の言葉通り必死である。

 

「ならば言い直そう。同盟の提案をするために、我らのところに来たというのだな?」

「そうです。曹魏に対抗するための唯一の手段…蜀呉同盟を組むために来ました」

 

ここに来て、ようやく朱里が話し出した。

 

「ん? お前は…」

「諸葛孔明。劉備様の軍師です」

「あなたがあの諸葛孔明? 稀代の軍師とかはわわ軍師とか言われてる?」

「その通り」

「はわわ……。はわわじゃないですもん……」

 

一刀の言葉に朱里はツッコムがはわわと言ってるので説得力が無い。

 

「驚いたな。……あの諸葛孔明がこのような少女だったとは…」

 

朱里を見て、驚く周瑜。

 

「嘘じゃないぜ。こんなに可愛い女の子が諸葛孔明だ」

(ご主人様……)

「そうなんだ。…こんな小さい子が、あの名軍師諸葛孔明とはねぇ〜」

「あぅ〜……」

 

朱里が恥ずかしがって一刀の背中に隠れてしまった。

 

「朱里、お前が隠れてどうする? 話が出来ないでしょ」

「は、はい……」

 

一刀は背中に隠れた朱里を引っ張り出した。

それから朱里から同盟の話をし、その話は一刀達が裏切らなければよいとのことで何とかなり、天下三分の計も理解してくれた。

朱里はとりあえず曹操軍がどこまで来てるのか聞き、周瑜は江陵まで来ていると聞く。

 

「じゃあ、同盟の記念に早速江陵に行って助けに行くとするか!」

 

一刀は後で合流した桔梗たちと共に、江陵へと向かう。

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一刀達は先ほどいたところから北へ五里(日本での距離単位として約20q)のところにいる曹操軍と接触した。

その部隊はそこまで多いわけではないが、一刀達が来るのに気付いていたかのように戦闘態勢の状態だった。

 

「俺達の事に気付いてたかの準備だな」

 

一刀は既にガタックライダーフォームに変身していた。

 

「それでもやるしかないか……。行くぞ!」

『応っ!』

 

一刀の号令により、一刀達の軍は突撃して行った。

相手は輜重隊のため、そんなに兵の数はいないが、将である楽進、李典、于禁が奮戦。

とは言ってもやはり数においては一刀達の方に分があるので、輜重隊の大半がやられていき、魏軍の戦線は崩れる。

 

「ここまでだな。…沙和、真桜。残存部隊を引き連れて華琳様に合流してくれ」

「え? でも凪ちゃんはどうするの?」

「楽進隊と共に殿を務める」

「凪、死ぬ気でおるとかアホな事いうたらアカンで?」

「大丈夫。死ぬ気はない。ただ奴らに一矢報いたいだけだ」

「凪ちゃん……」

「二人とも早く行け。蜀と呉の同盟の事実を伝えなければ、華琳様が道を誤る」

「分かったの。だけど絶対に凪ちゃんも戻ってこなきゃやだよ?」

「ああ。…また三人でお茶を飲みに行きたいな」

「……」

「絶対行くで。約束や」

「約束する。……行け!」

 

李典と于禁が退却し、楽進は自分の部隊をまとめ、陣形を整えた。

陣形を整え終えたところで、一刀が一人で突撃して行くのを楽進隊の耳に届き、一刀の迎撃に楽進が向かった。

そして一刀と楽進は対峙した。

その時一刀は楽進の目を見る。

 

(こいつの目……)

 

一刀が幾度も見たことがあり、自分もしている目。仲間を守るために戦う目である。

 

「俺は北郷一刀。お前の名は?」

「我が名は楽進。蜀の大将の一人がどうしてこんなところに居る?」

「俺は俺の信じている道を進んでるだけだ。しかし……」

「?」

「お前の目、良い目をしてるな。俺と同じ目だ」

「同じ目だと?」

「ああ、仲間を守ろうとする目。殺したくないが……、仲間を守るためなら俺は……お前を倒す!」

「我が命の全てを賭けて、お前達の進撃、ここで食い止める!」

「行くぞ!」

 

一刀はクロックアップを使わずに走り出し、ガタックダブルカリバーを楽進に当てるが、楽進は両腕の手甲で受け止めた。

 

「両手で受け止めた!?」

「我が武器は拳。我が鎧はこの肉体。…岩砕き、鋼も通さぬ硬気功、舐めてもらっては困るな」

「そうか……」

 

一刀はガタックダブルカリバーを肩につけなおす。

 

「だったら俺も拳で答えてやる!」

「応っ!」

 

一刀と楽進の素手同士の戦いが始まる。

一刀の蹴りを楽進が腕で受け止め、楽進の迫りくる拳をもう片方の足を利用してサマーソルトキックのようにして避けると同時に楽進に当てる。

一刀の着地と同時に楽進は足払いで一刀を転ばせ、楽進はそのまま地面に倒れている一刀に拳を振るうが、一刀はその拳を受け止めると同時に楽進を自分の横にひっくり返して倒す。

一刀は倒れる楽進に飛びかかるが、楽進は先ほどのお返しのように一刀をひっくり返した。

そんな攻防が長く続く。

 

「こいつで決める!」

「1,2,3」

 

ガタックゼクターに付いているボタンを三回押し、ゼクターホーンを一時元の状態に戻す。

 

「ライダーキック!」

 

その言葉と共にゼクターを再びライダーフォームの状態にした。

 

「Rider Kick」

 

一刀の右足にタキオン粒子が溜まっていく。

楽進はその様子を見て。自身の右足に氣を溜める。

そして二人は駆けだし、同時にジャンプする。

 

「猛虎蹴撃!」

「ライダーキック!」

 

二人の跳び回し蹴りは互いの右足にぶつかり、その場で大爆発を起こし、二人は後方に吹き飛ばされる。

 

「ぐわっ!」

「くっ!」

 

二人は転がる。そして楽進を受け止めたのは意外にも撤退したはずの李典と于禁であった。

 

「真桜、沙和。どうして?」

「伝令なら他の奴にもできる」

「やっぱり凪ちゃんの事が心配だったし……」

「そうか……」

「これ以上はもういいな」

 

一刀は楽進よりも先に起き上がる。

 

「お前の思い。なかなかのものだ。本当にまた戦うのが嫌になるくらいにな……。じゃあな」

「Clock up」

 

一刀はクロックアップを使い、急いでその場から去っていった。

その後一刀は愛紗達と合流し、次に桃香達のいる国境に向かった。

それを遠くから見ている存在が居たことに気付かずに……。

説明
この物語のメインは真・恋姫†無双の話ですが、主人公の一刀の性格が原作と全然違う部分が存在します。それが嫌な方はご閲覧をご遠慮願います。
なおこの物語の原作者は書いた著者ではありません。
原案者の許可をいただき、原案者の名前を書かせてもらいます。
原案者 ビスマス  作成者 BLACK
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コメント
いよいよクライマックスに近づいてきた。(pandora)
見ていた・・・・あいつかな?(スターダスト)
誤字 1pガタックセクステンダー→ガタックエクステンダー では?(ユウ)
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