天の御使い「宝ャ」Y
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「よーし、じゃあ確認するぞ」

 

「はいっ」

 

「だんご粉!」

 

「ばっちりです」

 

「あんこ!」

 

「たっぷりと」

 

「ごまとごま油!」

 

「揃っています」

 

「おっし、これで全部かな」

 

「なんだかドキドキしてきました。こういうお買い物も楽しいんですね」

 

「……ところで、亞莎」

 

「はい?」

 

「その袖は―――」

 

 

町を散歩していると、聞き覚えのある声が聞こえますねー

 

ちゃんと仲良くしてるようで何よりですねー

 

…と思ってたのですが、呂蒙さんを置いてどこかに行っちゃいましたね

 

いつの間にか、呂蒙さんもいってしまいましたし風も帰りますかー

 

 

 

中庭を歩いていると、孫策さまの…笑い声が聞こえました

 

そんな大きな声で笑っていると、周瑜さんに見つかると思うのですが…

 

「怖い顔?私は別に普通だぞ」

 

……見つかって怒っているというわけでもなさそうですねー

 

何かのお祝いでしょうか?

 

「新しい孫呉の門出なんだから、お祝いしたっていいじゃない?」

 

「門出、か……私と雪蓮が出会って、もう何年になる?」

 

思い出話をしてるようですね…

 

「あ…」

 

……目が合ってしまいました、さてどうしましょうか

 

「風一緒に飲まない?」

 

「いいのですかー?」

 

孫策さまと周瑜さんは、うなずいて

 

「うん、さ、こっち来て」

 

「お邪魔しますねー」

 

お酒を飲みながら、孫策さまのお母さんのお話を聞きました

 

孫堅さま…いろいろと噂では聞きましたが、家族から聞けるというのはいい機会ですねー

 

鬼だとか言ってましたが……楽しそうに語ってますねー

 

そして違う生き方だったらと、孫策さまはどんな人になったのでしょうか

 

「いきなり覇業なんてやめたー!……なんて事を言ったりしないから♪」

 

「私はそれでも構わんぞ」

 

いろいろと想像していたら、話はどんどんと進んでいきますねー

 

「……え?」

 

「お前が本当にやめたいと思うなら――」

 

…………風はまだ、寝たふりしてませんよね?

 

今までつっこまれなかったのは、もしかして風の存在感はそこまで薄いのでしょうかー

 

おや?何か今、黄蓋さん達の叫びが聞こえたような?

 

弓は駄目ですとか聞こえましたが何かあったのでしょうかね?

 

「雪蓮が望む事をかなえるのが、私の役目なんだからな」

 

「…………うん」

 

意識を二人に戻すと、……孫策さま達は、見つめあいながら――

 

一つだけ言っておきますねー

 

風は、やきもちなんて焼いてないですよー

 

音を立てない様に席を立って…ある程度離れてから

 

「風はお邪魔そうなので失礼しますねー」

 

……ええ、もうお腹いっぱいですからねー

 

 

移動した先には……宝ャさんと、服を贈ったのですかー

 

宝ャさんも、なかなかやりますねー

 

呂蒙さんと、仲良くおやつを食べてますよ。

 

……

 

宝ャ二号は、周泰さんと…孫権さんは、甘寧さんと…

 

 

 

どうやら今日の風は、どこに行ってもお邪魔なようですねー

 

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「華琳様、出陣準備が整いました」

 

「ご苦労様。では一刻後に出陣しましょう」

 

「御意。……」

 

「……まだ不満があるようね、稟」

 

「は……今、この時期に孫策に戦を仕掛ける意味が私には、分からないのです」

 

袁紹の勢力がある以上軍備の増強を進言したが…

 

今の孫策の勢いを指摘され、納得したが…

 

しかし、兵の質が悪くなっている事を伝えると

 

実践で……英雄孫策で鍛えると…どれだけの兵が残るのだろう…

 

華琳様の覚悟を聞いて編成と配置を頭の中で組み立て、準備に……

 

 

「人はただの駒。生き残った駒こそ、覇業を為す力となる、か……ふふっ、欺瞞ね、――」

 

 

 

―――

 

――

 

 

 

 

風は、夢を見ましたー

 

前回は、太陽を支えようとしましたが、風の手が届かず支える事もできなかった夢、

 

今回も太陽が出てきました、その太陽は、光ではなくまるで火の様に熱くて

 

支えようと手を伸ばし支えようとしましたが火傷しそうになり、また支える事ができませんでした

 

その太陽は…風の周りを焼き尽くして……そこで目が覚めました。

 

 

「ちょっと付き合ってくれる?」

 

そう孫策さまに言われて、森まで来たわけですが……

 

夢のせいでしょうか、何か落ち着きませんねー

 

川のせせらぎ……結構歩きましたね、どこまで行くのでしょうかー

 

そして小川で止まり……

 

「ここにね……母様が眠っているの」

 

お墓参りでしたか、確かに時間がある今のうちに……

 

駄目ですね…さっきから夢の事が気になって

 

孫策さまと一緒にお墓と周辺をきれいにしながら

 

「ねぇ、風…いつになったら私の真名を呼んでくれるの?」

 

「ぐぅ」

 

やはり…つっこんでもらえませんね、…?、顔の横に気配が…

 

髪を…!?

 

「ふぅ〜」

 

「ひぅ!?何で、耳に息をかけるんですかー」

 

「寝顔が可愛かったから♪」

 

……恥ずかしくて眠ってしまいましたーと言いたかったのですが余計に恥ずかしくなってしまいますね。

 

「いつかはここを離れるかもしれませんからねー、主としてで無く友としてなら呼ばせてもらいたいですねー」

 

「いいわよ、あの子、劉備の所に仕えた趙雲って子みたいな関係で」

 

……即答ですかー

 

一国の王なんですからもう少し悩んでほしいですねー

 

 

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「――は騎兵を率い、各所から放たれる伝令の全てを捕殺しなさい」

 

「…わかった何とかやってみるわ」

 

その時城の中から、大量の鳥が飛び立った……

 

 

「申し上げます!我が国に曹操軍が、大挙侵攻してきました!現在敵先鋒の部隊がこの城に向かって来ております!」

 

「どういうことだそれは!国境線の守備隊は何をしていた!」

 

「それが!守備隊より放たれた伝令が全員殺されようやくたどり着いた一人もつい先ほど…」

 

「…その者の親族には十分に報いてくれ」

 

「御意」

 

「それで――」

 

 

 

「一刀さんの言ってた伝書鳩うまくいきませんでしたね」

 

「ああ…案は良くても、途中で喰われるおそれもあるからな…」

 

「とにかく今はこの状況に対応しないと。……私は軍部にいって祭さまたちと軍議に入ります」

 

「分かった、私は、雪蓮を連れて――」

 

「まって、私が連れてくるわ」

 

「蓮華様…お願いします」

 

「一刀も一緒に来て」

 

「わかった」

 

 

 

掃除が終わって、雪蓮さまは、そっと墓石の前に跪き

 

孫堅さんに語りかけてます、それを見守りながら…

 

 

にゃー……

 

 

…この鳴き声は、宝ャ二号ですねー

 

でも何故こんな所に…鳴き声がしたほうに視線を移し茂みが不自然に…

 

ゆっくりとその茂みと孫策さまの間に移動して

 

「ちっ」

 

ダンっと大きな音とともに茂みが大きく揺れ

 

「雪蓮さま…っ!」

 

何か割れる音と……雪蓮様の呻き声が…

 

後ろを向くと腕から矢を引き抜いている雪蓮様…

 

茂みから数人の鎧をまとった男達が出てきて剣を抜きこちらに向かって

 

「雪蓮さま……動けますか?」

 

あの雪蓮様が矢一本で立てなくなるとは思えません、この矢には……

 

両手を広げて男達の前に――

 

「姉様っ!城で緊急事態が…!」

 

こちらに向かって複数の足音が聞こえるとその男達は慌てて茂みに向かって逃げて

 

「姉様っ!?……貴様ら!」

 

雪蓮さまは、男達を追おうとする孫権さまと宝ャさんを止める

 

「落ち着きなさい、蓮華、それにあなたも」

 

「しかしっ!」

 

「孫呉の王が取り乱してはダメ。……それより緊急事態って」

 

「曹操が国境を越えて我が国に侵入。本城の近くまで迫っているようです」

 

「……私もすぐ戻る。蓮華は先に戻って出陣準備をしておきなさい」

 

「で、でも!お姉様はすぐ治療を!」

 

「こんな傷くらい、大したことは無いわ…行きなさい」

 

「しかし…」

 

「あらゆる事象、その全てに天意あり。……そう考えれば、こちらに合わせて曹操さん達が手加減をする必要はまったくありませんね〜」

 

「なっ!…姉様を暗殺しておいて何が天意だ!」

 

「……風は、軍を出した曹操さんが、暗殺を命じるとは思えません。それにこちらの出陣が遅れるのはよろしくないかと思いますねー」

 

「なら何故!」

 

「二人ともいい加減にしなさい!」

 

あぁ…いけませんね、風は、信じたくないのかもしれません

 

仕えたいと思った人物が、このような事をしたかもしれない事を……

 

雪蓮さまは、孫権さんに王として、そして孫家の家訓を伝え

 

それでも迷いがある孫権さんに力強く指示を

 

「すぐに陣ぶれを出せ!」

 

「はっ!」

 

 

孫権さまと一緒に走り出そうとした宝ャさんを呼び止めて

 

「宝ャさん雪蓮さまを支えていってくれますか」

 

二人が去った後…

 

散らばった――の破片を一箇所に集めて

 

男達が潜んでいた茂みに……やっぱりあなただったんですね

 

――をやさしく抱き上げて…

 

墓石から少し離れた木の傍に手で穴を掘り二人をその中に……

 

「王様の迷惑になっちゃだめですよー」

 

「……孫文台様、口が悪いのと可愛い友がそちらでお世話になるのでよろしくお願いしますねー」

 

落ちたままの矢を拾って……風も急がないといけませんねー

 

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俺は雪蓮を支えながら、歩いていく。

 

出陣の準備は済んだらしい……

 

「一刀…ごめんね、初陣がこんな戦いで…」

 

「…気にするなよ、それよりも早くこの戦いを終わらせて治療を受けてもらわないと」

 

「…うん、そうだね、でも蓮華に私の背中を…見ていてもらわないと」

 

「王として。そして孫家の人間としての誇りと生き様を……」

 

雪蓮の身体からぬくもりが失われていく…

 

体中に汗を浮かべながら……自分で歩き出す。

 

「さぁ……孫伯符…一世一代の大芝居よ……」

 

 

 

 

 

「敵軍より単騎で出てくる影あり。……あれはだれでしょう?」

 

「あれは、孫策、侵略してきたわれらの非を鳴らし、兵を鼓舞するために舌戦を仕掛けるか…」

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……はぁ……」

 

「大丈夫か?」

 

「……ふふっ…あまり時間は、なさそうよ」

 

そういいながら…雪蓮は……俺の傍から離れ

 

「見ていてね、皆。…私の生き様。……そして私の…死に様を…」

 

 

雪蓮は、剣を抜き……

 

その身に毒を受けた事、その身はもうもたない事…

 

そして皆の勇姿を胸に抱いて、母の元へと…

 

「――孫伯符…ここに最後の大号令を発す!」

 

そして全軍が動き出す…

 

怒りと悲しみに死兵となり、魏軍をこの地より追い出し……勝利する…

 

 

その日、俺たちはかけがえの無いものを失った

 

 

説明
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コメント
truth様 誤字は、余裕が出来たときに直しておきます(akieco)
ヒトヤ様 今まで寝てただけですから…これからですよ…たぶん。(akieco)
Night様 笑ってごまかしても大丈夫でしょうか…(akieco)
一刀役立たずW(ヒトヤ)
なんともいえない読後感を味わっております(Night)
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