恋姫異聞録33 武王編−想− |
「道をあけてくださいっ!」
風は精一杯馬を走らせた、雲を運ぶために、今にも消えそうな青空に浮かぶ白き雲を
消えないように、消さないように
「風さんっ!私が操りますっ!」
「一馬くんっ!」
いつの間にか並走していた一馬が馬を寄せてくると自分の口に手綱を咥え、片手で風の馬の手綱を引き
二頭の馬を同時に走らせる。そのような荒業をやっているのに馬は減速するどころか加速し、城へと
疾走し始めた、次第に一馬の口からは血が流れ始める。だがそんなものは意にも介さずただ、ただ前へと
一馬は己の全ての技で馬を前へと引っ張っていく
「一馬君っ!風が馬から下ります!無茶をしては駄目です!」
一馬は首を振り必死の形相で馬を走らせる、風の後ろに乗る男を少しでも動かさないように、振動を
与えないように、己が乗り移り事さえ拒否し、ただ男の命のために己の全てを賭ける
「道を空けなさいっ!昭を迎え入れるっ!」
華琳は城門の前で兵達に道を空けるように指揮をする。男を迎え入れるため、命を救うため
「秋蘭っ!昭が帰ってくるぞ!」
男が城へと戻ってくるのを春蘭が気付き視線を向けると、呂布はその隙に見逃さないとばかりに
一馬の率いる馬上の男に向かって飛び掛り戟を振り下ろす
「貴様アアアアアアッ!!!」
呂布が男に飛び掛る様を見ると秋蘭は押し止めていた感情の堰が切れ、激昂とともに三本の弓を指の股に挟み
力の限りの速射を始める、二連、四連、六連、手は裂け血が噴出しそれでも射るのを止めない
空中で呂布は器用に戟を振り回し、襲い掛かる矢を次々と落としていくが次第に一つ二つと被弾していく
「許さんっ!我が義弟を貴様などにやらせはせんっ!」
空中で動きの止まった呂布に春蘭は下から掬い上げるように必殺の一撃を放つ
ガギンッ!!!
とっさに下からの攻撃に戟を合わせるがその隙を閃光のような速射が襲い掛かり呂布は三本の
矢を肩、脚、腕へ被弾し地面に落ちる
「恋っ!もういいっ退却だっ!」
関羽は地面に転がった呂布に駆け寄り抱え上げると、その横を男を乗せた馬が城へと走り去った
退却をしようとする関羽の前に華琳が歩み寄ってくる
「戻って劉備に伝えなさい、貴方と次に対峙するときは容赦はしない、私の持てる全てを賭けてでも貴方を討つとね」
「・・・我等とてこのまま終わる気は無い、必ずや桃香様は曹操殿を超えてくださる、いや共に超えてみせる」
「面白い、ならば私は決して超えられない境地へと達して見せよう」
凄まじい覇気を纏わせ、これ以上ここから立ち去らぬなら八つ裂きにしてやると言わんばかりの眼光を向けると
関羽は背を向け呂布を抱えて歩き出す
「まちいや関羽、忘れもんやで!今度はうちと戦ってもらおうか、そん時は一切手加減はせん」
華琳の後ろから霞が関羽に向かって青龍偃月刀を投げて返す、それを受け取るとまた悲しそうに武器を見ると
頷き自陣に向かって歩き出した
「兵を全て回収、撤退する敵は追うな。それよりも負傷兵の手当てを最優先に、衛生兵を集めなさい!」
華琳は指示を出すと霞と共に城へと走り出す
「秋蘭、手は大丈夫か?」
「ああ、それよりも昭の下へ」
「解っている、昭のことだ死にはしない」
春蘭は今にも泣き出しそうな妹を安心させるように笑顔を向けると、秋蘭の手に自分の袖を千切ると
包帯代わりにして巻き、城へと共に走り出した
「華佗さんっ!お兄さんがっ!お兄さんがっ!」
城に着くと風は華佗を見つけ出し必死に服を引っ張る、華佗も事態を予測していたのか城門近くに
待機していたらしく、男の元へと駆け寄ると血相を変えて叫びだす
「詠っ!何か暖める物をっ!布でも服でもなんでもいいっ!血が足りなくなって体温が下がっているっ!」
「解ったわっ!一馬、手伝ってっ!」
詠と一馬は走り出し、華佗は男の胸に耳を当てると目を見開き、何度も胸を叩き始める
「くそっ!死なせるものかっ!帰って来いっ!帰ってくるんだっ!」
止まってしまった心臓を動かすために手に気を込め何度も何度も心臓を叩く
「昭っ!華佗、昭は無事なのっ!」
華琳と霞は男と華佗を見つけると駆け寄り問いただすが、華佗の耳には届かず
何度も心臓を叩き、必死に心臓を動かそうとする
「くそっ!駄目だ、直接心の臓を動かす、誰か手を貸せっ!」
「華佗、僕が手伝うっ!皆部屋に運んでっ!」
詠と一馬は手当たり次第に集めた布を持ち、回りの兵達は男を仮設した診療所へと運び寝台へと寝かせると
部屋から華佗と詠以外の人間は部屋の外へと出されてしまった
「左胸部を切り開き、心の臓を直接手で刺激するっ!心の臓の動きを確認したら体力を鍼によって無理やりに上げるっ!」
そういうと華佗は男の胸を躊躇う事無く小刀で切り開き、心臓を直接その手で握ると手に気を込め優しく送り込むように
揉み始めた
「帰って来い昭っ!皆お前が死ぬことなど望んでいないぞっ!皆を悲しませるつもりかっ!」
必死に気を送り続け、詠は脈を調べ男のわずかな変化も見逃さないように腕を握りつづける
「頼むっ!動いてくれっ!」
声にこたえる事無く心臓は動きを見せようとしない、だが華佗は諦めず何度も何度も心臓に気を送り続けた
だがそれに答える事無く男の心臓は止まったまま
「一か八かだ、経刺を施して無理やり気脈を動かすっ!詠っ鍼をっ!」
鍼を受けとった華佗は気を送り続けた己の体力の限界を超え、更に気を鍼に送り出す
そして男の気脈を探し当て鍼を刺すと同時に気を流し込む
「帰って来い昭っ!涼風がっ!秋蘭が待っているっ!」
刺した鍼から無理やり止まった男の気脈を動かそうと大量の気が流れ出す
「・・・・・・ガハッ」
「動いたっ!昭っ!」
妻と子の名前に反応するように微弱ではあるが心臓は動き出し、口元からはヒューヒューとか細い息をする音が
聞こえ始める
「気を抜くな詠!良く戻ってきた昭っ!そのまま耐えてくれっ!」
華佗は素早く閉胸すると閉じた胸の上から気を送り心臓を動かし続ける、動きが安定するよう微妙な調整をかけ
「華佗、アンタそれで持つの!?昭を助けて自分は死にました、なんて昭が許さないわよっ!」
「無論だっ!約束をしたんだ友と、帰ってきたらまた話しをしようと、約束を破るわけにはいかない!」
言葉とは裏腹に華佗は脂汗を流し、手はカタカタと震えだす。今にも事切れてしまいそうなくらいに
なりながら気を送り続けた
「くっ、そうだアンタ他人から気をもらって送るなんて事は出来るの?」
「ぐぅぅぅぅぅっ!で、出来ない事はないが、気の使い手などそう簡単にいるものではっ」
その言葉で詠は部屋の外に飛び出し人を探し始める。我が軍で最高の気の使い手その人を
詠はその人物を見つけると声をあげ部屋へと呼び込む
「凪ーっ!アンタの出番よっ!」
「解りましたっ!!!」
凪は部屋に入るなり華佗の説明を受け、華佗の背中に手を置き静かに深く息を吸い込むと大量の
気を送り込み始める
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「むぅぅっ!よしっ!いいぞ、その調子だ!この感じならいけるっ!」
大量の気を背中で受け、華佗は自分の体で細く細く、針のように気を纏め上げ男の体に流していく
凪は華佗の体が受けきれるように調節しながら受けられるギリギリの量を流していく
「昭の顔色が血色を帯びてきた、脈も安定してきたわ」
「よしっ!もういいぞ、後は俺一人で何とかなるっ!」
「はい、御役に立てて良かった」
凪は男の顔を見て満面の笑顔になると、詠を見て微笑む
「ありがとう、さすがね!凪のお陰で昭は何とかなりそうよ」
凪は詠の言葉に頷き、そのまま部屋から出て行く、少しでも華佗の邪魔をしないようにと
「ここから一気に大量の経刺を刺して気を全身に巡らせる、秋蘭を呼んで来てくれ」
「何をするの?」
「血が足りなくなって身体の温度が下がりきっている、秋蘭に暖めてもらう」
「体温は上がるけど血は?」
「俺の経刺で無理やり血を身体に作らせる、身体に負担は掛かるが大量の気を送り込んだから安定するまでは持つはずだ」
詠はすぐに外で待つ秋蘭に声をかけ中に入らせると簡単に説明をする
説明に秋蘭はすぐに首を縦に振り、男の横に横たわり優しく抱きしめた
「はぁっ、はぁっ、お・・・俺に出来る事は全てやった。少し休む、異変があったら・・・起こして・・・くれ」
そういうと華佗はその場にドサリと倒れ込む、詠は華佗を引きずり部屋の外へと連れ出す
部屋は男と秋蘭二人きり、秋蘭は優しい眼をして頭を撫でて髪に顔を埋める
「おかえり、昭・・・・・・」
「そうか、昭を斬ったのは関羽か・・・」
春蘭は真桜の報告を受けると秋蘭とは正反対の燃えるような怒気を孕んだ殺気を垂れ流す
周りにいる者たちは殺気に当てられ口をつぐんでしまう
「落ち着きなさい春蘭、その怒りは次の時に取っておきなさい」
そういって壁に寄りかかり腕を組む華琳の身体からも覇気が揺らぐ、おそらくこの中で一番に
兵を引き連れ劉備を追撃、いや討ち取りたいという気持ちを抑えているのが痛いほど皆に伝わってくる
彼女もまた劉備の頸を取らず、見逃した男の心を守ろうとただ静かに心を押さえ込んでいた
「二人ともやで、ちびっ子たちが怯えとる」
霞の指差す方向には怒気と覇気に当てられ身体を震えさせる季衣と流流が
それを見た春蘭は息を大きく吸い込み、眼を伏せゆっくりと息を吐き心を無理やり落ち着かせた
「すまんな二人とも、華琳様の仰るとおり次に見えたときの為この怒りは取っておこう」
春蘭が笑顔を二人に向けると安心したのか季衣と流流も顔を見合わせて笑顔になる
「よいしょっと、あんたらずっと待ってたのね?まだ面会できないわよ」
春蘭が落ち着いたのを見計らったように診療室から華佗を引きずり出てくると
扉の横に華佗を無造作に寄りかからせる、華佗はよほど体力を使い果たしたのか静かな寝息を立てて
眠ってしまっていた
「で、どうなの?」
「まだ油断は出来ない、でも任せて必ず助ける」
華琳はその言葉に息をゆっくりと吐き、春蘭と同じように自分の気持ちを落ち着かせると眼には強い光を称える
「兵達を纏める、事後処理を行うからついて来なさい桂花」
「はっ」
身を翻しその場を去ろうとすると霞がおずおずと声をかけてきた
「ちょっと聞きたいんやけど、昭のあの武は一体なんなんや?途中からやったけどあれは普通やない」
「霞っ!」
「ゴメン惇ちゃん、こんな時にちゅうのは十分わかっとる。せやけどウチは武に生きる武人や」
霞は申し訳なさそうに下を向く、華琳は振り向くこともせずにその場に止まり上を見上げ春蘭に話しかけた
「春蘭、説明してあげて。皆ももう知ってしまったことだし黙っていても仕方ないわ」
「華琳様・・・解りました」
華琳はそれだけ言うと歩を進め、その場から立ち去ってしまう
残された主な将達は春蘭のほうに視線を集め、春蘭はゆっくりと語り始めた
「・・・あれは涼風が生まれる少し前」
私は小さい頃から昭の部屋に良く通っていた、華琳様と同じ屋敷に住んでいて
昭はいつも部屋で一人、毎晩見る天の夢を木管にひたすら書き込んでいた
「昭、また今日も木管に天の夢を書いているのか?」
「ん?ああ、春蘭」
自分を馬鹿にしない、そして華琳さまと同じく深い優しさを持つ昭の側にいるのがうれしくて
何か用事を見つけては昭の部屋へと遊びに行っていた、今思うと子供のようだった
「そんなところに立っていないで、中に入ってお茶でもどうだ?お菓子もあるぞ」
「ああ、菓子とは昭は小遣いがよく持つな!私などすぐに使ってしまうのに」
「あまり使わないからね、それに給金はあまり無駄に使わないようにしてるんだ、曹騰さまが居なければ俺は・・・」
「昭・・・」
昭は曹騰さまから頂いている小遣いを何時も木管と舞を見せて得られる給金といっていた。自分は曹騰さまに拾われた身
名も曹昭と付けてはもらったが自分の身分と言うやつを何時も気にしていた、この世界では己は誰とも繋がりは無く
道具として何時も狙われている、そう自覚していた
「曹騰さまはそんなこと気にするなと何時も仰られているではないかっ!私も、そのっ、昭とは小さいときからの
付き合いだっ!姉弟のように思っているのだからっ」
「ありがとう春蘭、嬉しいよ」
「あ・・・う・・・わ、解れば良いのだっ!」
あの時の昭は何時も寂しそうに微笑んでいた、小さいときに良く見た屈託の無い笑顔とは違って
寂しそうに微笑む、私は何時もその笑顔を見るたび放っては置けないような不思議な気持ちにさせられていた
「姉者、またここか」
「秋蘭っ!あ、あのだな私は昭に聞きたいことがあって」
「ふぅ、菓子を手に持っていては説得力がまったく無いぞ」
「あ・・・ぅ・・・」
「すまない、俺が無理に来てもらったんだ。一人で作業をするのもつまらなくてな」
「・・・まあ良い、それよりもあまり姉者に近づかないでもらおうか、今は大事な時だ何かあっては華琳さまの
理想の妨げになる。小さい時と今は違う」
「秋蘭っ!そんな言い方はっ」
「いやその通りだ、私の考えが至りませんでした。申し訳ない[秋蘭様]以後気をつけます」
「すまんな旗揚げまでの間、余計な心配事はなるべく無くしておきたい、行くぞ姉者」
「うぅ・・・昭、気にするな。旗揚げさえ済めばまた昔のように・・・」
「お気になさらないでください、私は気にはしておりません」
そういってまた寂しそうに笑う、私がそんな顔にさせてしまったのかと思うと胸がずきりと痛んだ
昭は次第に華琳さまと私達に気を使い、普段から言葉遣いを徹底し始めた、何故かその言葉を聞くたびに
昭が遠くに行ってしまうような気がしていた
「昭、今日は華琳さまと兵達を募ってくる。沢山兵を連れて帰ってくるから期待していてくれ!」
「はい、お気をつけて春蘭様、秋蘭様」
「ああ、留守を頼む」
言葉遣いを徹底して変えるようになってから、何故か少しずつ華琳様の機嫌が悪くなる日が多くなった
イライラするときが多くなり、たまに些細な失敗でもひどく罰し、時にソワソワと何かをあせっているかのように私には見えた。
そんなある日、秋蘭と昭が二人で糧食と料金の引渡しを行いに商人の元へと赴いたときに
当初の予定より高く料金を渡すよう商人がせまり、その交渉を昭がうまく取り成したのだが
料金はほんの僅かだけ高くついてしまった
「どういうことかしら、私が最初に提示した値よりも高くついてしまっている」
「申し訳ありません、私に全て責があります」
「華琳さま、申し訳ありません。商人が引き渡し直前に値を上げたのです」
「・・・昭は頭を下げて謝っているのに秋蘭、貴方は言い訳をするの?」
「いいえっ!そんな事はっ!」
「待ってください、私が全て悪いのです。秋蘭様に交渉をさせず私一人で交渉を行い、結果このようなことに」
「昭っ!」
「・・・・・・ならば一人で交渉をさせた秋蘭にも罪はあるし、単独で交渉を行い値を上げてしまった貴方にも罪は
あるわね」
その時私はただ、ただ聞いているだけしか出来なかった。二人を助けたい、今回のこと昭は良くやった
商人が上げた値を直前で更に引き下げ、損失を僅かに抑えたのだ。誰が見てもお褒めの言葉を頂く
ようなことなのだが、この時の華琳さまは何かが違っていた。目に見える焦りのようなものが感じられたのだ
そして誰も口を挟めぬ空気、この時にはもう華琳様は覇気を纏っておられた
「フフフフフッ、罪には罰を与えねばならないわ。そうね秋蘭、今夜は昭と閨を共になさい」
「なっ!華琳さまお許しをっ!」
「お待ちください、私一人の独断での行動。罰するなら私一人を罰してください」
昭はそういうと上半身の服を脱ぎ、腰に携えた護身用の剣を頸に当てそのまま真直ぐと華琳さまに眼を向け
「私の死で、元の貴方様に戻られますよう切に願います」
剣を引こうとした瞬間、私がとめるよりも早く秋蘭が手を掴み間一髪で昭の自決を止めていた
「秋蘭様」
「・・・華琳さま、その罰お受けいたします」
秋蘭は意を決したように罪を受け入れることを口にすると、昭の剣を取り上げ深々と頭を下げた
私はその言葉に昭が助かったという気持ちよりも、心がかき乱され、何も考えることが出来なくなっていた
「・・・・・・」
「申し訳ございません、秋蘭様。私を救っていただいたばかりに、しかし今からでも遅くはありません
私の命と引き換えに」
「いいんだ、私が昭に辛く当たっていた罰が当たったのだろう・・・それに今から閨を共にするのだ、昔と
同じように話してくれ、すまなかった」
「・・・秋蘭」
私は二人のやり取りを聞いていることが出来なくなりその場から気がついたら走り出していた
この場所から消えてなくなりたい、なぜあの時私は秋蘭よりも早く昭の自決を止めていなかったのか
なぜ私は二人を身を挺してして救おうとしなかったのか、なぜ・・・・・私の眼から涙が流れているのか
その日から私は無意識に秋蘭と昭を避けるようになってしまった、本当は昭のことを聞きたい
話したい、だが私は気持ちの整理がつかなかった、いつまでも頭の中でこの間のことが回り続ける
しばらくして着々と旗揚げの準備が整う中、秋蘭の様子がおかしいと周りの兵士から聞くようになった
後から聞いたのだがこの時に秋蘭は子を宿していることがわかったらしい、私の所へ何度か秋蘭は足を
運んだのだが運悪く不在だったらしい、本当は私が避けていただけなのだがな
私にも相談が出来ない、しかし子は日に日に大きくなってしまう、ついに秋蘭は昭の下へ相談をしに行ったらしい
子堕ろすにしても自分一人の子ではないから昭にも話を聞いてもらおうと
「・・・・・・」
「どうしましたか?秋蘭様」
「あ、ああ・・・その、この間のことでな」
「はい、申し訳ありませんでした」
「そう言った事ではないのだ、怒っているのでもない、その・・・だな」
「ええ」
「・・・子が出来た」
「え?」
「お前と私の子が出来た。それでどうしたものかと相談に・・・・・・昭」
昭は泣いていたらしい、秋蘭の話を聞いて、涙を流し震える手で秋蘭の手を掴み、祈るように
「ありがとう」
そう一言、秋蘭はその言葉を聞いて自分も素直に嬉しいと思ったようだ。自分で望んだわけではないが
子が出来て、そのときからすでに心は母親へと変化してきていたのだろうと私に話してくれた
「いいのか?産んでも」
「ああ、お願いだ。ようやく、ようやく俺にも繋がりが、家族が出来た、これほど嬉しい事はない」
「昭・・・」
「あ、すまない俺のことばかりで、秋蘭が子を作るのがいやなら俺が一人で育てるから」
「馬鹿をいうな、それにいずれ私も子を作らなければならない身。どこぞの見知らぬ男と子を作るくらいなら
お前であってよかったよ」
「ありがとう、そうだ春蘭に話してこなければ」
「ああ、私も行こう」
「いや、俺一人で行ってくるよ。秋蘭は大事な身体なんだからここで待っていてくれ、ああ身体を冷やしてはいけないから
このひざ掛けを使ってくれ、それからお茶もある、御湯を沸かして・・・」
「フフフッ、大丈夫だよ。大人しくしているから、姉者のほうを頼む」
「ああ、すぐに行って来る!」
昭はたいそう喜んで私の所へと部屋を飛び出し走って向かったらしい
私に早く知らせたい、一番に私に教えたかったのだろう、昭はそういう奴だ
私もきっと喜ぶだろうと思っていたに違いない
説明 | ||
武王編−想− 過去の語り入ります あまりに長いので次に続きます もっと時間が欲しいよぅ |
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コメント | ||
鐵 恭哉 様御指摘有り難うございます^^修正しました(絶影) toki 様コメント有り難うございます^^外科手術がカダの史実での評価なのでそのまま使わせてもらいました^^鍼だけですとどうもインパクトが弱いと(絶影) 誤字、p3、「言葉使い」→「言葉遣い」です。(鐵 恭哉) 更新お疲れ様です。華佗の外科手術を描いた作品は初めて見た気がします。鍼の印象が強すぎるからでしょうか。凪から気を補給するという発想も面白かったです。過去話も楽しみにさせて頂きます。(tokitoki) aoirann様メッセージありがとうございます^^妹が弱くなった分、強くしっかりしようとしている春蘭を感じていただいてとても嬉しいです^^(絶影) 睦月 ひとし様メッセージありがとうございます^^性格変化の起点となる部分なので濃くさせていただきました^^次回も楽しんでいただけるよう頑張ります(絶影) 一刀 様メッセージありがとうございます^^次回に果たしてどういった展開になるのか!次の過去話しもお楽しみください><(絶影) リョウ 様メッセージありがとうございます^^初期は三人とも性格に変化はありません^^デフォルトのままです華琳はちょっと違うかな?そこからの変化をお楽しみください^^(絶影) tomasu 様メッセージありがとうございます^^語り手を春蘭にすることでより四人の変化を出していこうかと思ったので引き込まれるように感じていただけて良かった><(絶影) alice.q 様メッセージありがとうございます^^四人に微妙な関係があった時期の話ですw次回もどうぞお楽しみください^^(絶影) BookWarm 様メッセージありがとうございます^^最後がまた意味ありげに終わってしまってますw次回も過去の話を楽しんでいってください^^(絶影) 鳥肌 様いつもありがとうございます^^これからも楽しんでいただけるよう頑張ります^^(絶影) GLIDE 様メッセージありがとうございます^^私の作品で性格の変わった二人を気に入っていただけてとても嬉しいです><(絶影) 絶影さんの書く春蘭は、真面目キャラですな(aoirann) 今回はかなり内容が濃いですねぇ。次回が楽しみです。(睦月 ひとし) いや待てよ。と言うことは次の過去話は決闘ですね(空良) 春蘭がどんな反応をするのかが気になります><(空良) 更新お疲れ様です。心停止からギリギリの蘇生が出来て良かったです。後遺症が残らなければいいのですが…そして過去編の秋蘭のツンっぷりが非常にらしいと思えつつ今のデレが合わさって非常に良い感じです。華琳も春蘭もその頃から昭に何かを感じていたのでしょうね…その感情の動きをどう表現してくれるのか楽しみです。(リョウ) 昭、愛されてるねぇ。 過去編は華琳の葛藤(?)みたいな感情の動きが楽しみです。(鐵 恭哉) 過去編すごくいいですね。秋蘭・春蘭・華琳の三人ともすごく良い感じです。特に語り手が春蘭なので彼女の気持ちにすごく引き込まれました。(tomasu) 更新お疲れ様です。とうとう過去話が明かされるわけですね、微妙にギクシャクした関係がどうなるか気になります。次回も楽しみにしてます。(alice.q) 更新お疲れ様です。今回も楽しく見させてもらいました。(鳥肌) この作品は秋蘭もだが春蘭も可愛いなぁ^^(GLIDE) |
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