真・恋姫無双紅竜王伝煉獄編B〜詠の誤算〜
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「うそよ・・・こんな、ことがありえるの・・・!?」

詠は自他共に認める明晰な頭脳の範囲外に事態が進んでいる事を認めざるを得なかった。誰が予想しただろうか。

幽州・并州・青州に領地を置く諸侯の大多数が悉く魏・漢の連合軍を裏切り、敵軍の先鋒となって連合軍を攻撃することなど。

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時間を少しさかのぼる。粘る鮑信軍を撃破した仲軍だが、春蘭率いる討伐軍先発10万を前に総勢18万のうち8万が引き返し、鮑信の居城に立て籠もった。

「なぜ、連中は城に籠ったのだ?」

攻城軍の本陣で春蘭はしきりに首をひねって不思議がっている。破竹の勢いで南皮城を攻め落とし、鮑信軍を破って勢いのある敵軍はなぜわざわざ撤退して城に籠るような真似を・・・?

「なにかある、と考えていいでしょうね」

春蘭がいる天幕に入ってきたのは眼鏡をかけた知的な少女。先発隊付き参謀・詠だ。

「なにかってなんだ?詠」

「それがわかったら苦労しないわよ・・・」

当然といえば当然の質問をする春蘭に、溜息をついて額に手をやる詠。実はすでに彼女のもとには一つの気になる情報が入ってきていた。

(并州と青州にも怪しい連中が地下で活動しているという事だけど・・・これと関係あるのかしら・・・)

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「先陣を?」

「はっ。我らにお任せするよう、夏候将軍にお取次ぎ願いたい」

詠の天幕を訪れ、先陣を志願したのは公孫淵をはじめとする外様の諸侯たちだ。

「我ら、前の袁譚との戦で陛下のお役に立つ事が出来ず口惜しい想いをしておりました。今回の戦で敵軍を討ち破る尖兵となって陛下のお役に立ちたいのです!軍師殿、どうか・・・!」

振り絞るような声で懇願し、一斉に頭を下げる諸侯たち。

「・・・分かったわ。とりあえず夏候将軍には進言しておいてあげる」

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彼らが帰った後、一人になった詠は胸騒ぎを覚えてポツリとつぶやいた。

「なんなの・・・?」

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甲高い銅鑼の音とともに、外様の諸侯を先鋒にした攻撃部隊は進軍を開始した。本陣から督戦している春蘭は激しく籠城軍と干戈を交えている自軍に満足そうな笑みを浮かべる。

「うむ。中々やるではないか」

「そうね・・・」

しかし詠は対照的に険しい顔のままだ。結局胸騒ぎの正体は解らないまま開戦を迎えてしまった。

「申し上げます!我が軍先鋒、城門を破りました!」

「よし!では―――」

「待って、春蘭!」

総攻撃を命じようとした春蘭を詠が遮り、厳しい顔で彼女に向きあう。

「春蘭、少しおかしくない?」

「なにがだ?」

「いくらなんでも城門を破るのが早すぎる・・・」

「っ!そういえば、そうだな・・・」

詠の指摘に春蘭も何かに気がついたようだ。

攻城部隊は城壁を登ろうとする部隊と、丸太を抱えて門を破る部隊に分かれている。攻撃が開始されてからまだ二刻半(一刻がだいたい今の30分)ほど。敵軍の錬度による差はあるが門が破られるにはあまりにも早い。

そして―――門が開くと同時に、攻撃軍が攻撃をやめたのは明らかにおかしいだろう。

「春蘭!やられたわ!」

詠は顔を青ざめさせて叫ぶ。

「連中、裏切ったわよ!」

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・・・華琳・舞人率いる本隊に先発隊壊滅と春蘭・詠が行方知れずになったという報告が飛び込んできたのはその日の夜の事だった。

 

説明
煉獄編第三話です。
今、気がついた事・・・天和たちだしてねぇぇぇぇぇっ!
近いうちに短編でも書いて出したいと思います。
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コメント
わざわざ眠っていた龍と覇王の逆鱗に触れるとは・・・死亡確認。(ブックマン)
執筆お疲れ様です。二人は無事なのでしょうか・・・。そして、舞人無双ですね。今回はどのようにして敵を破るのか楽しみです 次作期待(クォーツ)
攻めて来た方々達、終了のお知らせです。(トーヤ)
やばいよ・・・舞人がキレるよ・・・奴らの陣営が焼け野原だな(狩人)
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