真・恋姫無双麗=`仲間捜し編・第一話〜
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むかつくことだが……俺は世界ってやつに拒絶されてるらしい……

 

どうも俺が何かしらやろうとするとたいがい失敗する。

やることって言ってもデカイことばかりやろうとしているわけじゃない。

最近じゃあもうただ平穏に暮らしたいってだけの願いも叶えられない。

自分でも努力して普通に振舞ったりもしたが……うまくいかない。

他の人ならたいしたことじゃなくても俺がやると面倒ごとに発展する……街で人とぶつかればガラの悪い連中にからまれるし、迷子の子供と遊んでやれば親はうちの子供に何をするって感じで……そうなるとキレちまってまあ大概ロクなことにならない。

まあそんなことばかりで普通の平穏な生活なんて望めるわけもなく……今は似たような境遇の連中と盗賊一歩手前の生活。

 

俺も最初からこんな感じだったわけじゃない。

今となってはどうでもいいことだが俺は結構いい家に生まれたらしい。

らしいってのはどうでもいいことだからあんまり記憶に残ってないって話。

記憶にうっすらと残る母親の姿はかなり美人の部類に入るだろうし、着ている服もかなりいいものに見える。

俺自身も護身用に凄そうな剣を持たされたり、行くとこ行くとこ護衛が付いたりと結構名家の出身だったんだと思う。

 

さて……そんないい家に生まれた俺がなぜに盗賊一歩手前みたいな生活をしているのか…それは簡単、母親に連れられて行った村で盗賊に襲われたってだけ。

まあ……本当にただの賊だったかって話は置いておくとしても俺の境遇は他に類を見ないというほど珍しいってわけじゃない。

世界に拒絶されている≠サう思うのは何をやっても上手くいかない自分の状況から目を背けているだけだと思うか?

まあそのとおりだ。否定すると思ったか?残念!しかし目を背けている だけ ってのは間違いだ。

 

もう一つの理由は明確な敵、目標を作る為だ。

ぶっちゃけやることが上手くいかないなんてどうしようもない。上手くいかないのに頑張るとかバカらしいし……かと言ってこのまま何も出来ず泣き寝入りってのも御免だ。

だからとりあえず目標……敵に回す存在を決めることにした。八つ当たりの対象、それが世界だ。

 

差し当たっての敵はこの大陸……俺に普通で平凡な暮らしさえさせてくれないこの大陸をぶっ壊して……俺にとって都合のいい世界に変える。

世界が俺を拒絶するのは俺が異端だからだ。

 

白・九十九に対して黒・一

 

兎と虎は一緒のおりでは暮らせない。

 

兎・九十九に対して虎・一

 

普通に暮らすってのは虎が兎と共存するってことだ。

でも兎からしたらいつ食われるかわかったもんじゃないから虎なんかと一緒に居たくない。

当然、迫害。いくら数が多くても所詮兎だ。虎がその気になれば全員黙らせることが出来る。

でもそれってどう考えても共存じゃないよな?独裁とか……支配とか……そんな感じ?普通の暮らしとはかけ離れてる。

 

なら………………どうする?

 

簡単だ。

 

兎・一に対して虎・九十九

 

この構図なら異端の俺でも普通の暮らしを望める。むしろ普通の奴が異端で俺が普通だ。

実際は此処まで極端でなくてもいい。

 

白・三十に対して黒・七十

 

力とは……数だ!

どういう形であれ人は数に屈する。

実際、ちょっと微妙……というような案にも周りの人間が好感触なら自分も賛成派に回るだろう。

無茶な案でも賛成派が多ければそれが正義だ。正論をどれほど正論を述べても反対派・一 賛成派九十九の構図なら正しいことを言っていたとしても否定派が異端だ。

どっかで『それでも地球は回ってる』とかほざいた奴がいるらしいが……あれがいい例だな。

 

だから俺も数に頼る。

差し当たっては俺と同じような奴等を味方につけよう。

そして俺の望み、理想、願いに共感する仲間を集めよう。

きっと大勢が俺の願いに共感するだろう………だってこんな時代だ。俺の願いは誰もが望むもの。

 

 

多くは望まない。ただせめて――――――理不尽に脅かされない平穏な生活を。

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「船長、陸が見えてきました!」

 

波の音が聞こえる。どうも寝ていたらしい。

 

「船長!」

 

「解ってるよ。そう怒鳴るなって」

 

そう言って体を起こす、すると確かに水平線の向こうに陸が見える。

何年か前……正確な時間を言うと矛盾とかがでてくる可能性があるから言えないが……結構長い時間が経ったと思う。

 

「おお…………あれは確かに我が第二の故郷青洲!懐かしいなぁ!楽しみだなぁ!俺の為、俺のわがままで国を潰すのは実に実に楽しみだな!」

 

船首で両手を広げ訳のわからないことを叫ぶ義足の男。

しかし周りの船員は誰もその奇行を気にしない、正確には長い船旅の間似たようなことは何度もあったので慣れているだけだが。

 

「船長うるさいですよ。それで、陸についたら解ってますよね?」

 

「ああ解ってるって。代金はこの船……だろ?」

 

「解ってればいいんですよ。それじゃもうすぐ着くんで適当に待っててくださいよ」

 

「ああ、荷物の積み下ろしも頼んだ」

 

義足の男はこの船の持ち主だ。国籍は漢だが見聞を広める為に何年も国を離れていたこの男。

初めは旅行費用を稼ぐ為に昔仲間が作った罠やカラクリを行き先の国や豪族、ときには賊なんかに売った。

それらは彼から見たら何世代も前の使い古した玩具だが買った当人からみれば最新鋭の兵器だった。

そんなことを続けてたら異国とのコネもでき結構な財も成すことができた。

今乗ってる船はそこらの富豪レベルが持てるような大きさの船ではなく、そうとう金が掛かってることが解る。

しかし彼から見ればその船も飽きた玩具の一つで今では送迎代ぐらいにしか思っていない。

実際仲間と合流できればすぐにでもこの船よりはるかに性能のいい船を設計してくれるだろうが……

などと言っているうちにもう青洲の港についてしまった。

 

「まいどあり〜」

 

そんな気の抜けた声とともについさっきまで乗っていた船が遠ざかっていくのが解る。

そして義足の男は伸びをした後にどこえとなく歩き出す。

何年も離れていた割にはしっかりとした足取りで目的地に向かって歩いていく。

 

港から少し離れたところにいまいち風景にそぐわない店が立っている。

あえていうならRPGとかに出てくる酒場のような店。中からは荒くれの騒がしい声が響いてくる。そしてここが彼の最初の目的地。

 

カランカラン♪

扉を開けるとこ気味いい鈴の音が店内に響く。その音を聞いて卓を囲んで酒を飲んでいた男達の視線が一斉に義足の男に向く。

それらの視線を一切気にせずにゆっくりとした足取りで店内に入りカウンターに足を運び椅子をベッドにして寝ている店員に話しかける。

 

「おい、起きろよ……すず…めえ!?」

 

唐突に違和感を感じその場で横回転する義足の男。同時に男の背を銀閃が掠める。

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寝ている店員に声を掛けると同時に天井から男の心臓目掛けて正確な突きが繰り出された。

かろうじて男はそれをかわしたが、かわせたのは一瞬早く寝ている店員が人形だと気付いたおかげだ。

男も剣をかわす際の回転を利用して天井に向けて義足による回転蹴りを放つ。

天井に穴が開くと同時に黒いコートを着た女が降ってくる。

 

「…………ちぇ……また仕留め損ねましたか?」

 

そう言いながら女はこの時代、大陸にあるはずの無いレイピアを撫でながら心底残念そうな顔をする。

 

「いやいやさすがわれ等が麗七首領の一角にして暗殺者である雀(すずめ)くん。俺に攻撃の瞬間まで存在を気付かせないとは……腕は鈍ってないようでなによりだ」

 

義足の男は両腕を広げてオペラを歌うように無駄に尊大な特徴的な語り口で落ちてきた女に語りかける。

 

「それは皮肉ですか?これでも私は大陸一…いや世界一の暗殺者と自負しております?事実今のところ暗殺の依頼成功率は99.6%です?今のところの依頼失敗は帝とあなただけです?」

 

落ちてきた女……雀もまた特徴的な語りで返答する。表情は一切変えず、また声量も一定。そして何故か言葉を切る際疑問形だ。

 

「その帝の暗殺失敗も俺の存在がなければ成功していたはずなんだがな……まあその話はまた今度にしよう。それで、俺の依頼の方はどうなっている?」

 

「依頼……というと?」

 

「とぼけるなよ。行動を起こす差し当たりの兵力として300人ばかり用意しておけと……」

 

雀の疑問形で一定の声量だがどこかとぼけたような言葉に若干の不快感を覚え自分の部下への依頼内容の確認を行う。

男が言葉を言い終える前に酒を飲んでいた荒くれの何人かが剣を手に男に切りかかる。

それを義足の男はばくちゅうでかわし荒くれの後ろに回り込もうとするが他の荒くれも滞空中を狙ってどこに隠し持っていたのか槍を突き出す。

突き出される槍の側面を義足で滑って槍を持つ男の一人を蹴り倒し着地する。

しかし着地すると同時に周りは剣を持った荒くれに囲まれ、首筋にも剣を突きつけられている。

 

「どうですか王様?攻撃されるまでただの荒くれだと思ったでしょう?私の鍛えた戦闘員ですから暗殺のためただの荒くれに化けていたのです?体験したので解っていると思いますがそこらの一般兵程度なら五人や十人余裕で相手取れると自負しております?」

 

やはり疑問形で無表情だがどことなく自慢げに聞こえる声で義足の男に問いかける。

 

「ああ……見事な兵だ……確かにこれなら一般兵程度なら余裕で潰せるだろう……一般兵程度ならな?」

 

と、同時に男の首筋に突きつけられていた剣が砕ける。

 

「さすがに一般兵のみでは無理でしたか?さすがはわれ等が大首領?子どもだったとはいえ他の首領六人を半殺しにして大首領の座に収まっただけのことはあります?」

 

「言葉の端にトゲを感じるよ?あれは正当防衛だ。大首領決定戦で全員一斉に俺に襲い掛かってくるから加減が効かなかったんだ」

 

「加減ですか……?降参する相手に馬乗りになって笑いながら殴る作業のどこに加減が効かない要素があるのか……この愚鈍で愚劣で無知で無能な暗殺者にも解るように説明していただきたいですね?」

 

「…………まあいいさ、とにかく依頼の達成を確認した。兵力の確保には成功した。次は拠点だな」

 

雀の責める様な言動は軽く無視して雑談は終わりとばかりに話を切り替える。

雀も最初こそ責める様な眼差しでしばらく義足の男を見続けていたが諦めたように話の切り替えに乗る。

 

「……さらりと無視しましたね?……まあいいでしょう?しかし拠点ですか?いったいどこに?」

 

「決まっている。われ等が『麗』、未来の警備隊長殿のところだ」

 

「未来の警備隊長……というと白蘭(ぱいらん)ですか?そういえば風の噂で青州の刺史になったとか?」

 

「俺はしばらく表舞台に立つ気はないからな。当面は孔子の子孫である奴を表向き麗の大首領に仕立て上げる」

 

「私は別に構いませんが他の五人が納得するかどうか解りませんよ?」

 

雀の言葉に昔の仲間達のことを思い出したのか義足の男は目を閉じて回想する。

そして少ししてからいかにも嬉しそうに楽しそうに口の端を釣り上げ笑っているように見えない笑顔で返答した。

 

「………………そのときは力でねじ伏せて納得させる」

 

「まあそれもいいでしょう?では行き先は白蘭のいる砦ということでいいですね?」

 

「ああ、それでは……出陣!」

 

『応!!』

 

「了解?」

 

義足の男の号令とともに荒くれ改め『麗』暗殺部隊が酒場の外に出ていく。

どこに隠れていたのか……天井から地下から壁から回転扉から……ぞろぞろと酒場から外に出て出発の準備を始める。

 

そんな中、雀と義足の男は兵の練度に満足するように店先で空を見上げる。

そんなことをしていると唐突に雀が何かに気付いたように義足の男に視線を向ける。

 

「ああ……そういえば重要なことをまだ言っていませんでしたね?」

 

「? なにか言い忘れたことでも?」

 

不思議そうに首をかしげながら義足の男が尋ねる。

 

「ええ……お帰りなさい、鉄(くろがね)さん?」

 

その言葉に一瞬きょとんとしたような顔を見せ、少しして鉄は見惚れる様な笑顔で返答する。

 

「ただいま、雀。俺も言い忘れていたことがあるんだが……聞いてくれるか?」

 

今度は雀が首をかしげる番だ。雀の返答も待たずに鉄は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真・恋姫無双麗=`仲間捜し編・第一話〜 はじまります」

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―――――某所・砦―――――

 

古びた砦の中……沈痛な表情の100人弱の兵を前に白く透き通るような髪と肌の長髪の女性が髪と同じ色のゆったりとした服を着てのほほんとした様子で座っている。

 

「――――様、矢がもう底を尽きます!」

 

兵士の一人の搾り出すような声。その返答にも白い髪の女性は日向ぼっこの最中のようなのほほんとした声で返す。

 

「ああ、それは困りましたね。敵の数は?」

 

「正確な数は解りませんが……約300!」

 

「まったく……こちらの兵力は100だというのに……大人気ない方達ですねぇ」

 

困った、不愉快……そういった内容の言動のはずなのにやはり彼女の言葉に緊張は感じられずのほほんとしている。

 

「しかも負傷者がそのうち40で実質60。兵糧ももう底を尽きます」

 

「やれやれ……大体なぜ昼間に仕掛けてくるのか……理解に苦しみます」

 

ここで初めて彼女の声と表情に不快感が表される。

 

「ああ……まあ兵法の観点から言っても夜討ち朝駆けは基本ですからね」

 

「いえ、ただ私は夜のほうが活動し易いというだけなのですが」

 

「あっ、そうですか……じゃなくてっ、このままでは全滅してしまいますよ!」

 

「夜で私の本隊がいればこの状況も簡単に覆せるのですがまあないものねだりをしてもしかたありません。きっとなんとかなるでしょう」

 

「――――様は何故そう楽観的なのですか!?」

 

「いえいえ、大した理由は無いのですが……なんとなく万事上手くいく気がするのですよ」

 

「なんとなくって…………」

 

「私には解るのですよ……王様が戻ってきたことが……ね?」

 

その表情は先程までの緊張感の感じられないものではなく、さりとて絶望に彩られたものでもない。

本心からこの絶望的状況が覆されることを信じておりそして自分の考えに絶対の自信を持つ強固な意志を感じさせるものだった。

 

「王様!?そ……それではあの方が……!」

 

「ええ……われ等『麗』の大首領…あっ、もうこんな時間ですか…それでは今日はこのへんで、To Be Continued」

 

途中までは他者に希望を与え、鼓舞するような一流の武人の表情をしていたが突如としてまた緊張感のない声と表情に戻って訳のわからないことを言いながら虚空へと手を振る。

彼女の言った言葉と行動の意味はその場にいた誰にも解らなかったがその行動の意味することは即ち―――――――

 

―――――――真・恋姫無双麗=`仲間捜し編・第一話〜 了――――――――

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オリキャラ設定資料 bP

 

名前:鉄(くろがね)本名不明

 

髪型:一刀くんとほとんど変わらない。

 

髪色・目色:黒

 

身長:186cm

 

体重:68kg

 

容姿:中の上から上の下 わりとかっこいい方。

 

服装:応援団みたいな長ランを着て額に赤い鉢巻をつけている。

 

武器:左足の義足(以降鉄脚と表記)、機械鎧(オートメイル)風。

   左足の鉄脚になぜか小太刀が収納されている。

 

技:斬波(ざんぱ)

  足の中に収納された小太刀から飛ぶ斬撃を放つ。

  某金の獅子な人が使っていた技ですね。

 

好きなもの:麺類(特にラーメン)

      子ども(女子限定)

 

 

 

説明
自分がおもしろいと思って書いてる作品なのでつまらないと感じる人も多いと思います。

基本オリキャラメインなのでオリキャラはうけつけないと言う方は見ない方がいいと思います。

それでも見るという奇特な方はいつ終わるとも知れない作品の運命の第二話をどうぞ。
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