真・恋姫?無双 〜想定外の外史〜 5
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『太平要術の書』を手に入れてから三日が過ぎた。

 

アニキ達の警邏が功を奏したのか、はたまた元々賊など村人の恐怖が導き出した妄想だったのか賊が現れたという情報は入らなかった。一刀達はその間興行にのみ力を入れる事ができた。

 

無事に興行を終える事ができ安心した一刀だったがまだ悩みの種が残っていた。太平要術の書である。

 

元々天和がファンからプレゼントしてもらい、持ち帰ってきた本なのだが、天和が、自分で読む事ができないと知るや興味が失せたらしく、こんなのいらな〜いと一刀に押しつけていたのだ。

 

受け取った一刀は本能的に嫌な雰囲気を感じ、処分しようとしたのだがその度になぜか邪魔が入り処分する事は出来なかった。

 

偶然なのか、この本の持つ嫌な雰囲気がそれをしているのか分からなかったが、結局一刀は本を捨てる事を諦め持ち歩くことにしたのだった。

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「最近ファンの人達の様子がおかしいと思わない?」

 

人和の言葉に一刀もうなずいた。今二人は簡易な朝飯を食べている。売れっ子とは言え無駄にお金を使う事は倹約家の人和が許さなかった。

 

「確かにファン同士の喧嘩が最近多くなってる。アニキ達も色々頑張ってくれてるみたいだけど数が多くて対処しきれないみたいだ」

 

以前より一刀やアニキ達が増え続けるファンの対策を練ってはいたが対処できるのはアニキ達の目に見える所にいる人や指示に従ってくれる人達だけで遠い地にいる人達に指示が届く事はなかった。

 

さらに情報も正しく伝わってない事が多く既に手に負える状況ではなかった。

 

遠くの地にすぐ情報が手に入るものがあればと一刀は思ったがないものをねだってもしょうがない。

 

「でも想像以上に酷いわ」

 

「最近では格好を模しただけの賊も出没してるって話だ。これは酷いなんてもんじゃないな」

 

「どうしてこうなったか一刀は分かってるの?」

 

「う〜ん、普通に考えたらファンの数が多いのを賊が利用したと思うんだけど……」

 

「けど?」

 

珍しく語尾を濁しながら言う一刀を不思議に思いながら人和は聞き返した。

 

「今さら言うのもアレなんだけど賊が現れる事は想定内だったし人が増えればファン同士のイザコザは起こる事は分かってた。問題はそのスピードが速い事なんだ。俺も神様じゃないから人の行動を理解できるわけじゃないけど、ちょっと予想を遥かに超えてる」

 

一刀はそういうと腰にぶら下がってる太平要術の書を見た。

 

これを手に入れてから本当に碌な事がないな。

 

 一刀が下を向いて黙っているので人和も一刀が腰につけている本に気づく。

 

「あれ? 一刀まだそれ持ってたの?」

 

「あ、うん。何度か捨てたんだけどいつの間にか戻ってきてるんだよなぁ」

 

「それって呪われてるんじゃ……」

「……やっぱり?」

 

「やっぱりって……体調悪くなったりしないの?」

 

「特には」

 

「そういえば何て書いてあるのそれ。姉さんは読めないとか言ってたけど」

 

「ああ、見てみる?」

 

そう言って一刀は本と一刀を繋いでいた紐をほどき本を机上に載せ中を開いた。人和がそれを見ようと顔を近づけるが、読めないわと言って解読を諦めた。なので代わりに一刀が中身を説明する。

 

「はっきり言って普通の内容なんだけどな。でも後半部分が読めない」

 

一刀がページをめくろうとするが確かに一定のページからは石のごとく堅く閉じられ動かなかった。

 

「本当に変な本ね。呪われないように気をつけてね。助けないから」

 

「そこは助けてよ!?」

 

「そっちは専門外。読めない本にどうやって対処するのよ」

 

「それもそうか」

 

「そっちの本は自分で何とかして」

 

「分かった。こっちは賊の対処と暴走に注意しとくよ」

 

「何も起きない事を祈ってるわ……結構時間が過ぎたみたい。姉さんたちと稽古しないと、それじゃあ」

 

そういうと人和は天和達の所へと向かっていった。

 

人和が視界から消えるのを見届けると一刀はふぅと息を吐き、太平要術の書を手に取ると一言呟いた。

 

「天和達がこれを持ってなくて良かった。こんなのを天和達に持たせるわけにはいかない」

 

人和は気付かなかったが一刀には本から禍々しい光が放っているのがはっきりと見えていた。

 

もちろんさっき人和に言った普通ってのは丸っきり出鱈目、人和に心配されないために気遣った嘘である。

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太平要術の書は人の負の感情を吸収し放出する。

 

対象は指定しない限り自動で周りに放出され、対象を指定せず人が多い場所に行くと物凄い勢いで

負の感情をまき散らすことになり、それだけ効果も増幅する事になるわけだ。

 

唯一の救いはこの本が天和達のライブに来なかった事だ。

 

仮に一刀以外の人がこの本について知らず持ったままで数万人の人がいる天和達のライブに訪れたりすると桁違いの量の負の感情を受け放出することになる。

 

もし莫大な負の感情を受けたとしたらファン数万の暴徒となったかもしれない。

 

幸い一刀が本を読めたことで本は一刀を持ち主と認識したらしく余計な暴走はしなくなり、恐ろし

 

い事態は避けられたが、危険なものを手に入れてしまった事に変わりはなかった。

 

そんな危険なものを手に入れてしまい一刀がどう思ったかというと。

 

「どうすれば捨てれるんだろうか。水につけたら読めなくならないかな……」

 

意外と気にしてなかった。

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一刀が太平要術の書の不本意ながら持ち主になってから一カ月程度が経過した。

 

やはり暴走の一端は太平要術の書にあったようでその影響を受けていた人々が落ち着きを取り戻すにつれ事件は起こらなくなっていった。

 

だが一つの事件をきっかけに一刀達の生活は一変する事になった。

 

賊の一部が宦官の娘を人質にとり誘拐事件を起こしたのである。

 

賊は堂々と黄巾党を名乗ったうえで事件を起こした。結果として賊は官軍によって滅ぼされたのだがその時逃げ述べた賊が、官軍が黄巾党を滅ぼしに来たと噂を広めたのだ。

 

最初は半信半疑だった本当の黄巾党の人もその男を追ってきた官軍を自分たちを滅ぼしに来たと勘違いして応戦してしまった。

 

そして噂はネズミ算式に増殖していき各地の黄巾党は滅ぼされないために蜂起し戦いをはじめてしまった。

 

これが少ない数であればすぐに鎮圧されたのだろうが数だけは多かった黄巾党を王朝はすぐに鎮圧することができなかった。

 

これにより王朝に失望した人や元々王朝に不満を持っていた人達も加わり各地で反乱を起こし規模が数十万の最悪な反乱が起きてしまった。

 

そしてその首謀者は黄巾党を結成した原因である張角、張宝、張梁とされ、漢王朝から討伐令が出てしまったのである。

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一刀の足元には一人の男が気を失い倒れていた。男は官軍を率いていた指揮官。

 

戦況が劣勢になってきたのを感じた男は自軍に士気を戻そうと大将なのに先発隊で奮闘していた一刀に一騎打ちを申し込んだのだ。

 

だが見た事もない剣術に翻弄された挙句一刀にあっけなく倒されてしまった。

 

「敵将!! 北郷一刀が打ち取ったぁっ!!」

 

味方の将が名も知れぬ男に倒され動揺する官軍。

 

大将が敵将をあっさり倒し士気が一気に最高潮に登る黄巾党軍。

 

結果はこの瞬間大勢が決した。ボロボロに逃走をはじめる官軍、追撃をかけようとする黄巾党。

 

「全軍止まれ! 勝負は決まった! 追撃をかけるな!」

 

一刀の言葉に一斉に停止する黄巾党軍。

 

その言葉の意味通り勝利を自らの手で引き寄せた一刀に逆らおうとする者は誰もいない。

 

皆疲れ果て、それでもってギラギラと輝かせた瞳をした兵は一刀の言葉を聞き洩らさないよう真剣になっている。

 

一刀は周りを見渡し皆が自分を見ている事を確認するとニヤリと笑い持っていた剣を天に高く突き出し言った。

 

「俺たちの勝利だ!!」

 

その瞬間割れんばかりの歓声が戦場を支配した。

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「ただ」

 

「おかえり〜!」

 

「いヴぁ!?」

 

なぜか懐かしく感じた初めての戦に天幕に戻った一刀を迎えてくれたのは黄巾の乱の首謀者とされている張角、天和のリボン以外の大きなアドバンテージとなっている溢れんばかりに張っているマシュマロの感触がしたメロンだった。

 

「んぐっ〜ぐぐ、ぷはーっ。なななにするんだよ天和!?」

 

たわわなそれから何とか脱出した一刀は動揺しながらも抗議する。

 

「だって〜外にも出れないからつまんないだもーん」

 

「前にも説明したよね!? 危ないんだってば」

 

「え〜、でも〜乱の犯人は男の人ってことになってるんでしょ? 大丈夫だよ」

 

楽観的な意見を述べる天和。気持ちは分からなくもない。

 

「俺は万が一でも天和が怪我をするような事はあってほしくないんだ」

 

「でも〜」

 

「でもじゃない。天和は大切な女の子なんだからさ、心配なんだよ」

 

「一刀……」

 

見つめ合う一刀と天和。

 

二人の間を甘酸っぱい空気が漂う。

 

二人はまるで恋人同士のように見えた。

 

「ん」

 

「!!」

 

天和が目をつぶる。

 

一刀も天和に合わせ目をつぶる。一刀は天和に唇を近づけていき……

 

「「ごほん!」」

 

「うわっ!!」

 

わざとらしい咳が二つ聞こえ一瞬で甘酸っぱい空気が霧散した。

 

一刀は慌てて天和から離れ、天和は目を開いていて少し恨めしそうに一刀を見ていた。

 

何が聞こえたのかと天和の肩越しに向こう側を覗きこむとそこには眉間に皺を寄せ怒りの表情を見せる地和と人和がいて一刀は状況を把握し顔色が真っ青になった。

 

「もー! 二人ともジャマしないでよ」

 

「一刀に何しようとしてるのよ!」

 

「なにって……キス?」

 

「そんな事分かってるわよ!!」

 

「ぅぅ、聞かれたから言ったのに……」

 

そんな三人のおかげで戦場の疲れが癒される一刀であった。その一刀の腰では太平要術の書が怪しい光を強めていた。

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えーっと皆さんお久しぶりです。久しぶりすぎてなんて書けばいいのか分からないですね。

 

元々そんな書いてないだろ?

 

スミマセン。その通りですorz

 

これだけ投稿が遅れたのは、まぁ就職活動ですよね。

 

え、内定とれたかって? あれって都市伝説じゃなかったんですか?

 

前も書きましたが作品自体は完成させようと思っていますので期待している方は安心してください。五月を過ぎれば就職活動の結果にかかわらず書くスピードは向上すると思いますので。

 

そして、やっと起こりましたね黄巾の乱、最初書いたように強引過ぎて変な気がしましたが今の僕ではこれが精一杯でして……

 

今後一刀君や天和たちはどうなるのか。アニキ達は活躍するのか、明命や出てない恋姫たちはどうなっているのか。それは僕にもわかりません!!

 

なぜかというと今回の作品は実は結構前に大部分ができていました。でも詰めの部分が甘く(結局甘くなってしまいましたが)保留にしていたのです。

 

つまり黄巾の乱にどう結びつけたものか私の頭では考えつかなかったからです。友人に相談しても『無印は分かるけど真は分かんない』とか『就活しろ』と言われるだけでした(泣

相談できる友人がほしい……

 

そんな感じで日を空けたわりに量が少ないですが一人でも楽しんでいただける人が幸いです。

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コメントを返してなかったのでこの場で返します。

 

truthさん。

 

黄巾の乱を起こさない展開も面白いと思ったのですが、起きないと三国時代幕開けしなくね?と思い無理矢理起こさせました。

 

自由人さん。

 

まったくもってその通りです。書いてて黄巾の乱どうやって起こすんだよ……と頭を抱えました。今後の乱の結果は太平要術の書にすべてかかってくるのではないかと思います。

 

ワカンタンカさん

 

僕にも分かりませんwww

 

ゲストさん。

 

まったくです。そんなアニキにしびれるあこがれるぅう

 

戦国さん

 

デクは確かに思いました。でも名前をつけるとオリキャラっぽくてう〜んと思いまして。オリキャラは嫌いじゃないのですが、自分がやると世界観ぶち壊しにしそうで……

 

ブックマンさん

 

これさえなければ大陸は平和に……なったら作品が書けないよぅorz

 

宗茂さん

 

明命は僕も大好きなんでオリジナルで良ければ要望があれば短いの書きますよ。

 

スターダストさん

 

まだ未熟の身ですが頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
久しぶりの投稿です。

詳しい現状は最後にでも。

無理矢理な展開になってしまった事は残念。
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コメント
まさか一刀君が大将を討ち取ろうとは…魏√エンド後の再臨で記憶を失っているだけだと思っていましたがそれ程に弱かったのか、計らずも持ち主を護ろうとした太平要術の加護(呪い?)に依るものか?そして否応無しに巻き込まれる形で起こった黄巾の乱、一刀君たちの運命や如何に? P.S.就活御疲れ様です。気長に待ってますのでお気に為さらずに。(自由人)
2ヶ月ぶりの更新(長かったとか思ってないよw)と就職活動お疲れ様です。黄布√自体がむりくりなんだからいまさら展開が変になろうといいんでね?あと天和のセリフ「キス」ってここ中国・・・まぁ、一刀が偶然覚えてて姉妹に教えたなら話は別だが(ゲストさん。。)
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