北斗の恋姫の拳 第11話 |
第11話 華琳よ! 因縁の決着をつけよう!
袁紹の聖帝軍が崩壊してから数週間が経つ。
袁紹は詫びのために白蓮と共に人々に尽力を尽くすことになった。
そして桃香は自分がかつていた奇跡の村で病人や怪我人の看護をしていた。
最初は桃香の偽物騒動のために人があまり寄らなかったが、今はかつてのように人が多く集まっており、病人や怪我人も明るく暮らしていた。
一刀もまた桃香の手伝いをしていた。
桃香「本当はこうやって子供や病や怪我に苦しむ人達と一緒に一生を過ごしたかったな〜」
一刀「だったらそうすればいい。なのに何故華琳との決着をつけようとする?」
それは数日前のこと。
桃香は突然華琳との決着をつけると言いだしたのだ。
一刀は理由を聞きたいと言ったが、桃香は「まだ言う時じゃない」として理由を教えてくれなかったのだ。
そして今も……。
桃香「一度拳法を目指した人間の本能!」
一刀「それだけではないはずだ」
桃香「うん。私と華琳さんには逃れられない宿命があるの」
一刀「一体何が?」
桃香「それこそ、まだ言う時じゃないよ。それよりも少し……手合わせしてくれない」
一刀「……いいだろう」
桃香と一刀は外に出る。
そこに桃香の手伝いに来た白蓮や麗羽に猪々子(文醜)に斗詩(顔良)もそこにやって来る。
もっとも白蓮は足の筋を切られたが破壊者の力によりなんとか再生しているが、それでもと言うことで桃香の元でリハビリをしている。後はうっすらと見えてくる目の治療も…。
白蓮「なにしてるんだあの二人?」
斗詩「何か真剣な顔をしていますね」
猪々子「まさか危ないことじゃないよな〜」
麗羽「見物ですわね」
桃香「やろうか」
一刀「ああ」
二人は特殊な構えを取る。
一刀、桃香「北斗天帰掌!!」
麗羽「なんですの? あの構えは……」
北斗天帰掌!
もしあやまって相手の拳に倒れようとも、相手を怨まず、悔いを残さず、天に帰るという誓いの儀礼である!
一刀、桃香「「はあああ!」」
二人の勝負は一瞬で終わった。
結果は相討ちであった。
地和「相討ち!」
天和「よかった〜」
桃香「すごいね一刀さん」
一刀「桃香、病に冒されていなかったらな……」
桃香「いいの。互角に戦えたのは宿命なんだから♪」
一刀「……」
桃香「明後日、悪いけど付き合ってくれない?」
一刀「ああ」
天和「ねえねえ、私達も一緒に行っていい?」
桃香「……いいよ」
それから二日後、一刀、天和、地和、人和、は桃香に連れられてある場所に来た。
そこには4つの墓があった。
人和「それって桃香さんのご両親の墓?」
桃香「うん。ここは私の故郷。私はここで生まれ育ったの。
それでこれが私のお墓」
桃香がその両親の隣にある墓の一つを撫でる。
地和「でもその間の墓って誰の?」
桃香「その墓は私のお姉さんが入る墓なの」
人和「お姉さん……」
そんな時馬の蹄の音が聞こえてくる。しかも大きい馬の蹄の音を……。
一刀「でかいな……。華琳か……」
四人が辺りを探してみるとそこには華琳がいた。
華琳「やはりここに足を置いたようね。桃香」
桃香「お父さんとお母さんが私達を引き合わせてくれたかもね」
一刀「何!?」
地和「あの二人って…」
天和「私達と同じ姉妹?」
人和「でも性が違うんじゃ……」
華琳「ええ違うわよ。義姉妹なだけよ。ただ北斗神拳とは無関係にね」
桃香「でも華琳さんが突然いなくなって、正直少しさみしかったけどね……」
華琳「でも驚いたわよ。あなたが北斗神拳を学びに来るなんてね」
桃香「それこそお父さんとお母さんの導きだね」
華琳「ええ……それじゃあ、始めようかしら」
華琳が着ていたマントを脱いで、赤兎馬に持たせる。
桃香「華琳さん。あなたは盧植先生の想像を超えて強くなりすぎた。そしてその野望も……」
華琳と桃香が構える。
華琳「後悔はしない?」
桃香「自分から望んで選んだ道、ためらいは……ないよ!」
地和「一刀、止めることはできないの?」
一刀「できぬ! 二人の間に誰も入ることは出来ぬ!」
桃香「華琳さん! 今こそ誓いを果たします!」
その誓いとは華琳が北斗神拳を学んで間もないころ、桃香が北斗神拳の門をくぐってきたのだ。
その時華琳は桃香にあることを誓わせた。それはもし華琳が道を誤ったら桃香が華琳の拳を封じるというものであった。
桃香「はああああああ!!」
桃香が華琳の体を突く。しかし秘孔は突けていなかった。
華琳「相変わらず優しい拳ね! でも必殺の間合いに入ってこなければこの私は倒せないわ!」
華琳が拳を振るう。
桃香はその拳を受け流し、華琳の拳が壁にはまる。
桃香が華琳の背後を突くものの、後ろを向いていた華琳の足が桃香の体をかすめる。
桃香「きゃあ!」
桃香がなんとか着地する。
一刀「今のは…無想陰殺!」
無想陰殺!!
気配を読み、殺気との間合いを見切り、無意識、無想に繰り出される必殺の拳!!
華琳「死を思う故に敵との間合いを恐れる。されど私の拳は無意識無想ゆえ間合いも隙もない」
一刀「隙を誘う桃香の柔の拳。華琳の剛の拳では勝負はつかない。ましてや桃香は病に……」
華琳「桃香。あなたはこの曹操を目指していたのなら、何で非情の剛の拳を学ばなかったのかしら?
剛は殺! 柔は情! 剛の道に踏み込めなかったあなたの優しさが命取りよ!
もはやこの勝負見えたわーーーー!」
華琳が壁に埋まった拳を抜き、拳を桃香に向けて振り下ろす!
地和「ああ、桃香!」
すると桃香はその拳を両手で受け止めたのだ!
華琳「この拳を受け止めた!?」
一刀(桃香が剛の拳を!?)
桃香「忘れたのですか? 華琳さん! 私があなたの全てを目指していたことを! 北斗砕覇拳!!」
桃香が拳を突き上げる! その拳は華琳をかすめた!
桃香「華琳さん天を見てください! 見えるはずです! あの死兆星が!!」
華琳が空を見上げる。すると暗く夜になっていた空には北斗七星、そして華琳の目には死兆星が見えていた!
華琳「私の頭上に死兆星が!!」
一刀「もはや神にさえ、この二人の宿命の戦いの勝敗は見えぬ!」
桃香「華琳さん。宿命の幕を閉じましょう」
華琳「いいでしょう。見事この私を越えて、覇王の野望を砕いてみるといいわ!」
桃香「せめて奥義で葬りましょう!」
桃香は触れずに華琳に攻撃を与えた!
一刀「今のは北斗神拳奥義、闘頸呼法!」
闘頸呼法!
呼気と共に体内に全闘力を蓄え吐気と共に一気に拳に集約する剛拳の呼法!!
桃香は一気に間合いを近づけ、華琳を蹴りあげる!
そして桃香は宙に舞った華琳を追う!
桃香「天翔百裂拳!!」
天翔百裂拳は華琳に命中。華琳は地面に両手を付ける。
桃香「さようなら、華琳さん!」
桃香が華琳を突く!
地和「勝った!」
一刀「いや……」
一刀の言う通りであった。桃香は華琳を突いた。しかし華琳は倒れなかった。
華琳「桃香……効かぬ……効かないのよ……」
華琳の目から涙が流れていた。
華琳「まだ気付かないと思ってるの? あなたの剛拳の秘密に!
病んでさえいなければ……病んでさえいなければ……!」
華琳は桃香の刺さった手を放す。
桃香は再度華琳を突こうとするが、華琳は桃香を掴む。
華琳「あなたの剛拳の秘密はこれよ!」
華琳は桃香のふくらはぎ部分をちぎる。
一刀「やはり刹活孔を!」
人和「それって…」
刹活孔!
その秘孔を突けば一瞬のみの剛力を得ることが可能!
だがそれと同時に己の命さえ奪う、非情の秘孔である!!
華琳「有り余る才能持っていながら、北斗の人間が病如きに……!」
桃香は締めあげられ、力尽きるように倒れる。
桃香「もう悔いはないよ。宿命の幕を閉じよう」
華琳「さようなら、我が生涯の、最大の宿敵!」
華琳が拳を大きく振るう!
しかしその拳は桃香ではなく桃香の頭上の岩を砕いた!
桃香「何で?」
華琳「この地は涙、この一撃は、お前の悲しき宿命への、義姉の恨みの一撃だと思いなさい!
今、覇王を目指した人間、劉備は死んだ!
ここにいるのはただ病と戦う女劉備。
残る余生…安らかに暮らすといい」
桃香は涙を流す。
華琳はマントを着直して、赤兎馬に乗る。
華琳「一刀! 覇王恐怖の伝説は今より始まる!
この命奪いたくばいつでも来るがいい!」
そして華琳は去った。
ここに一人の女の宿命の戦いの幕が閉じた!
だがしかしまだ宿命の戦いは残されている!
一刀はその宿命の戦いの果てに何を見るのか!?
ついに動き出した南斗最後の将!
それと同時に動きだす覇王曹操!
一刀の元には一人の女がやってきた!
次回 北斗の恋姫の拳
南斗最後の将よ! お前は俺の何なんだ!?
一刀「北斗の掟は俺が守る!」
おまけ
作者「ヒャッハー! 第11話だ!」
一刀「今回は普通にトキ対ラオウの再現だったな」
作者「まあ最初の段階だと桃香と華琳は実の姉妹設定だったんだよな」
一刀「何で変えたんだ?」
作者「桃香が華琳をさんづけにしているから、実の姉妹ならそうはしないだろうと思ってやめた」
一刀「なるほど」
作者「そして俺の作業はようやく最終話の冒頭に入った。しかし時間はかかりそうなんだな」
一刀「ゆっくりやれよ」
作者「そうしたくても俺が出来ん。そして次回は南斗最後の将が出てくると同時にあの破壊者の正体も分かるぞ!」
一刀「何だって!?」
作者「既に一人の読者がその破壊者の正体を看破しているが、次回を待て!
とは言ってもまた投稿が今日の夜になるか明日の朝になるかだ!
それでは!」
説明 | ||
この作品では特に人が喋っていない部分には「北斗の拳」でおなじみのナレーションの声が出ているものと思ってください。 なお、可能な限り控えめにしておりますが流血表現があることをご了承ください。 |
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