桂花と一刀 その3
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その後、俺達は重たい足を動かして、城へと歩き始めた。

相変わらず先方は桂花で、かなりのスペースが空いている。

人九人分くらいだろうか…。

 

「…………」

 

「…………」

 

沈黙。

ただひたすらに沈黙。

 

――あの時桂花、泣いてたよな?

 

!?…ば、馬鹿じゃないの?

誰があんたなんかのために泣くのよ。くだらないから話しかけないで…!――

 

という桂花の最後の言葉以来、会話を交わしていない。

一刀から話しかけてはいるが一向に無視され、現在に至る。

 

仲良くなった…と一瞬でも思った一刀はとても複雑な心境だ。

中途半端な関係がより綿密になった感じであった。

 

「…………ぁ………ぅ…。」

 

「…ん?どーした桂花?また蛙か…。」

 

突然止まった桂花に疑問を投げかける。

 

「…なんでもないわよ。」

 

少し驚いたように、いつも通りの強い口調で否定した。

それきりまた会話は繋がらなかった…。

 

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――魏。

二人は城へたどり着き、重たい足にさらに重りを足した足で、王のもとに報告にいった。

その王はこう言っていた。

 

「先に城へ帰っていなさい。」

 

「先に」どころか翌日の朝に帰ってきているので相当なご立腹であろう。

二人は思う。

怒っていれば、地獄。笑っていれば、地獄の地獄だと。

どちらにしろ厳しい罰は待っているだろうが、前者のほうがまだ希望がある…が。

なんとなくだが、華琳は笑っているように思えた。

 

 

「…お疲れ様。随分と長旅だったのね。どう?楽しかった…?」

 

案の定、華琳はとてつもないとびきりの笑顔であった…。

汗が止まらないほどの恐怖。

身も凍る戦慄が二人を駆けた。

先に口を開いたのは桂花で、当然彼女は一刀を売った。

華琳はただ頷いているだけで、話なんて聞いちゃいない。

 

「ですから、悪いのは全てこの…」

 

「ふーん。そう。朝帰りするほど仲が良いのね。

それじゃあ今日は、二人はずっと抱き合っていること。それが罰でいいわ。

どう春蘭。こんな易しい罰はないと思うのだけれど…。」

 

「さすがです華琳様っ。なんと慈悲深い!」

 

近くにいた春蘭は前々から用意していたセリフのように棒読んだ。

一刀は瞬時に同じく近くにいた秋蘭に助けを求めたが、首を横に振られた。

 

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隣にいる桂花は心底震えていた。

口をかたかたしているだけで、怯えている。

 

「か、華琳様。そ、それだけは…。他の罰ならいくらでもお受けしますから。」

 

精一杯振り絞った桂花の力無い反論。

華琳はそれでも笑顔を絶やさなかった。

 

「そう…。仕方ないわね…。」

 

「華琳様…!」

 

「それじゃあ、今ここで、接吻しなさい。それで妥協するわ。」

 

一瞬なんと言ったか分からなかった。

だが、少しして華琳の言葉が頭の中で復唱された。

接吻…。ようは口づけだ。

そんなことできるわけがない。

ましてや、桂花が男である一刀に、それに皆が見ている前で。

言葉を失くした桂花を横眼で確認し、一刀は静かに怒りを感じた。

 

「どう?どっちにするの?」

 

うつむいたまま顔を上げず、唇を噛みしめている彼女を再確認し、一刀が口を開く。

 

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「どっちもなにも…、どっちも受けられない。」

 

それまでずっと桂花を見ていた華琳が彼を向く。

 

「…それはつまり、私に逆らうってこと…?」

 

「……。知ってるだろ。桂花は男が苦手なんだ。

華琳が言う罰ってのは、言うなれば桂花に対する一方的な罰だ。公平じゃない。」

 

負けじと一刀は華琳に強い口調で対局する。

 

「それに、桂花には仕事が溜まってるんだ。だから、罰は俺が肩代わりする。

それで今回は見逃してくれないか…。」

 

うつむいていた桂花は顔を上げ、華琳は笑顔を緩めた。

さらに華琳が反発しようとした際に、一刀は頭を下げそれを遮った。

 

桂花は一刀の名を弱弱しく呼び、手を握り締めた。

 

「…っはぁ〜。まったく。それだと公平じゃないでしょ?

………まぁ今回は、それぞれ事情があったみたいだし。少しだけ罰を軽くするわ。

でも一刀。罰は公平に受けるものよ。だから、二人には同じ罰を与える。それでいいわね?」

 

ようやく華琳の顔が普段の顔つきに戻った。

当然この条件を二人は受ける。

春蘭も秋蘭も心なしか、安堵の表情を見せていた。

 

「ふぅ。何とか回避したぞ。よかったな、桂…って。あれ?」

 

一刀が隣を見たとき、もうすでに彼女の姿は見れなかった。

 

「ふふ。面白かった。」

 

小言でそう言った華琳の一言に殺意が湧いた一刀であった…。

 

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どーもk,nです。

もう少し続けて書こうかなと思ったのですが、

句切れのいいところで3話を終わらせました。

 

たぶんもう1話くらい続くのでまたのご視聴よろしくお願いします。

 

 

 

説明
主に桂花メインの話です。3話目です。
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コメント
華琳さんに鬼魔の牙が見えました。(劉趙)
ヒトヤさんコメントありがとうございます。そんなことしたら骨まで砕かれますよww(k.n)
うん、殺したら?(ヒトヤ)
タグ
一刀 桂花 真恋姫無双 恋姫無双  

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