恋姫無双 〜天帝の花〜 3話
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 公孫讃の将となって数週間が過ぎた頃

 

 

「それにしても、やることが兵の調練だけでは暇すぎます」

 栄花は、退屈だった。

 

 栄花達は、無事に公孫讃の将になることができた。栄花や超雲は無事にと、いっては彼らに失礼になる

かもしれないが堂々と公孫讃の課題を突破することができた。

ただ、栄花に負けるとは思いもしなかった公孫讃は、愕然としていたが栄花の配慮のおかげか、すぐに立ち

直ることができた。もし、あの場所に観客達がいたら公孫讃は部屋に引き篭ってしまったかもしれない。

 まさに、栄花様様である。

 

 風達に合流したときは、風はいつものように眠そうな顔をしていたが珍しく凛も同じような感じだった。

 風は公孫讃さんは内面に力を入れすぎですね、と興味なさそうに凛は、わたしが仕えるべき方ではない

と早くも主ではないと落胆していた。

 栄花や超雲もそのことについては、特に何も言うことはなかった。

 とりあえず最近起き始めている、賊の暴挙を静めるまでの間は客将として取り扱ってもらうことになり、

公孫讃の所は良い人材がいなかったのか、これで一週間完全徹夜状態から抜け出せる、と泣いて喜ばれた。

 そして、超雲や栄花は兵達の調練を命じられ、風や凛は文官としての仕事をやることとなった。

 

「陽蓮さんや碧さんのところでは、暇なんてことは考えたこともなかったのですが」

 懐かしそうに眼を細め故郷に想いを焦がれていたつもりだったのだが、時間が経つにつれてなんだか冷

や汗が流れ、呼吸もすごし乱れていた。覗いてみれば、顔も少し青ざめていた。

「もしかしたら、これが幸せっていうものかもしれませんね」

 呼吸を整え、にぎり飯の中に煮干が入っているってどうよ、といいながら城壁の上から視線が送られて

いる場所へと移動していった。

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 目的の場所へと到着すれば、庭先よりもいくらか肌寒く風があり、雲の流れが早く感じた。

 ここから眺める風景は、爽快で酔い覚まし場所の一つだった。

 そして、視線を動かせば中央にやはり先客が一人いた。

「おや、お兄さんこんなところで出合うとは偶然ですね」

「これはこれは、風さんが話し事でもあると思いこうやって、来たのですが」

「おうおう兄ちゃん、ここは人の話しに会わせるのが人情っていうものだぜ」

 と、頭の上から説教する白き物体。

「おや、それは申し訳ありません」

「世知辛い世の中になったもんだ、突込みがないなんて存在する意味がねえよ」

 そういい残し、それから話すことがないのかそのまま動く気配がなくなった。

「お兄さん急な質問で申し訳ありませんが、お兄さんのことについて教えて欲しいのですよ」

「素直に聞かれるとはおもっていませんでしたよ」

 本当なら色々と話しをしながら質問するつもりの風だったが、無駄とおもいこうして真っ直ぐに聞いた

ほうが良いと想っての判断だった。

「答えることに関しては、かまいませんが理由を話してくれたらいいですよ」

 本当に気にした感じもなく話す栄花の言葉に対して風は、少しでも緊張していたことに恥ずかしがった。

 

「ではでは、前にもお話ししましたが単純に風が興味を持ったからですよ」

「風さんが、私にですか?」

 はい、と答え。その言葉が出てくるとは思っていなかったのか栄花は笑った。

「くっはははは。まさか、そんな言葉が風さんから聞けるなんて光栄ですよ」

 ツボに入ってしまったのか、腹を抱えながら横たわっていた。

「むぅ、風はご機嫌ななめになってしまいますよ。それで、教えてくれるのですか?」

 頬を膨らませ機嫌が悪いことを知らせ栄花は涙を拭き取り隣に座るように、ぽんぽんと叩くが風は、胡坐

をするように指示しその上に座ることにより周りからみれば仲の良い兄妹に見えることに違いない。

 

「経緯はどうにしても、孫一族と馬一族の元でお世話になっていましたよ」

 その答えに風は驚きを隠すことができなかった。

 孫一族は、孫堅を筆頭にして江東一帯を支配していた宗教勢力を根絶やしにし司馬となり、それぞれの県

に次官をしどこの役人も民は孫堅の事を歓迎していた。

 そして、民達は孫堅の事を"江東の虎"と称し最近は、自群の強化をし内政に力を入れているということを

風は、情報を掴んでいた。

 やっかいなのが、頭角を現し始めている孫堅よりも馬一族だ。西涼太守にして"漢の忠臣"と自負する人物

が馬騰であり、彼女達の生活の要でもある馬を用いる事による機動力の高さは国一だ。

 風は口に出してはいないが、朝廷の力は沈み民達に暴政を働き好き放題にやり民はそんな朝廷を許せるも

のかと少しずつではあるが賊となり他の村を襲っているという現状を知っていた。

 このままでは、大きな乱が起きることは、ほぼ必然的でありそれを沈めることができるのは、才気に溢れ

財の両方を適え備えている、曹操。関係性は分からないが孫堅と馬騰だと考えていた。

 

「お兄さん、良いのですか? そんなことを言ってしまうと素性が分かってしまいますよ」

「平気ですよ、分かるのと明らかになるのは別ですからね」

 栄花の腕の中から、顔を出し見つめる風に対して笑顔で答える栄花。

「お兄さんは、その人たちの下で仕えようとは思わなかったのですか?」

「うーん、王様が二人いると国は崩れてしまいますからね」

「お兄さん、それはどういう――」

「今日はこの辺にしておきましょう、午後はお休みですので一緒にお昼寝でもしましょうか」

 いつの間にか、風は止み心地よい日差しが降り注ぐ。

「そのような、魅力的な提案を風は断ることができないのですよ。お兄さんは寒くないのですか?」

「風さんが暖かいから私のことは心配しなくていいですよ。それよりも、風さんは平気ですか?」

「お兄さんは、ぽかぽかして太陽みたいですから………くはぁ〜」

 ふと出たあくびが合図になり、すぅすぅ、と規則正しい寝息を聞きながら徐々に視界がぼやけていき、

一日が過ぎた。

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 のんびりと街を眺めながら栄花は表通りを歩いていた。表通りは商人の店が多く並んでおり、たくさんの

人々が溢れかえっていた。

 商人通りといわれていることもあり、色々なものが売られていた。女性にあげたら喜ぶであろう簪や日常

生活必需品や自分を守るための護身用の短剣がある一方、怪しげな仮面や土器が並べていたり衣

服などといったものがたくさんあった。

「栄花殿もなにか本でも探しているのですか?」

 ぶらりと本でも立ち読みでしようかなと、考えていたところ声を掛けられた。

 

 一軒の古びた本屋から会計を済ませたのだろう、数冊の本を手に持ち店から出るところだった。

「稟さん、こんにちわ。よい作品でも見つかりましたか?」

「その通りです。水鏡先生の新刊が出ていたものですから」

「なるほど。でも、水鏡先生の本でしたらこういうところで、なくても手に入ったのでは?」

 表通りから外れ、路地裏にあるこの本屋は唯一の店である。商品の品揃えも悪くなく年代のも

のから新作のものまで一通り揃っている。

 問題点は、あまりにも珍しい本のせいか一冊しかないので、常連のお客さんたちは日々戦争のようだ。

 もう少し増やしたらどうか、と店の主人に提案をしたのだが。

 ご主人は人も本もそのときに出会えるかどうかだ、と顔を赤くしながら詩人のように話していたが

 こいつは頭がおかしいのか、と栄花は思わずにはいられなかった。

「ですが、ここなら珍しい本もありますので」

「ここは、人も本も変わっていますからね。おや、これはなんという本ですか?」

 水鏡先生の新刊の下で隠すように、一冊の本が隠れていた。

「い、いや栄花殿が読むような物じゃありませんよ」

「大丈夫ですよ、結構私はなんでも読むほうなので」

 それから話し合いの結果、初めて買った本は誰にも読まれたくないと理由で諦めた。

 しかし、本についていた帯を栄花は見逃してはいなかった。

 

 あの水鏡塾の門下生と噂の、はわわ文官、がついに作者デビュー!!

 〜ドキッ☆雑兵だらけの三国志演義〜

 ※この作品は架空の出来事です。作品の軍義中のようになってしまっても当方は一切の責任は負いません。

  とても中毒性が高い作品ですので、一度読んだら二日以上の期間をあけお読みください。

  なお期間内に話しをすると相手に自分の性癖を暴露する可能性がありますのでお気をつけ下さい

 

 書いている意味の半分以上を理解できなかった栄花だったが、踏み込んだら二度と戻れない気がした。

 立ち話もなんですからお茶でも飲みながら、と栄花は目配りをし小さな茶屋に向かった。

 店の入り口の左側にある一組の机のところに座る、栄花と稟。

「栄花殿は、いつまで旅を続けるのですか?」

 片手で眼鏡を上げ質問を投げる凛に対して

「本当ならもう少し、ぶらりと旅を続けていたかったのですがそうはいってられませんからね」

 手元に置かれた、紅茶を啜りながら答える栄花。

「それは、各地に増えつつある賊が出没することにより、大きく揺れ動くからですか」

「その通りです。ですから、そろそろ旅は終わりになります」

「白蓮殿の下で名を上げようとは思わないのですか?」

「以前に稟さんと、同じようなことを話したつもりですが」

「はい、ですが栄花殿からきちんと意見を聞いていなかったので」

 いただきます、と紅茶を飲む稟。

「っちゃ……」

 猫舌なのだろうか、舌を出しながら、失敗したという感じで目配せをし栄花は気づき店員に水を頼み、

渡す。

「あ、ありがとうございます」

 両手で包み舌をつけ、まるで猫のようにピチャピチャと舌を冷やしていた。

 栄花は、失態した稟に気を使っているためか眼を瞑っていた。、周りの人からは面倒見が良い人だとうつ

るかもしれないが、なんだこれは! 人が猫になるとこのようになるのか!!と、心の中で叫び耳としっぽ

をつければ一体どうなるのだという感じで妄想をしていた。

「それで、栄花殿のお考えはどのようで」

 先程の失敗を取り戻すような形で毅然とした態度だが、舌を冷やしながらだったので丸潰れだった。

 

「公孫讃さんは、悪い人ではないと思いますが少し物足りないという感じですね。それに、自ら討ちに行く

よりもどちらかといえば守りに入っていますからね」

「攻めよりも受けがいいと?」

「ん? いえ、自ら行動しなくては意味がないと私は思っていますので」

「よくわかりませんが、栄花殿は攻めというわけでよろしいですか」

「とりあえずお互いに話しが、合っていないように思うのは私だけですか?」

「いえ、私は総受けですので間違っておりません」

「なるほど、稟さんの策は鉄壁というわけですが一度拝見していものです」

「そう簡単に堕ちるとは考えないほうがよろしいかと」

「では、数は適当で構いませんが三倍以上の兵に襲われたらどうしますか?」

「さすがに、いくら私でも三人以上に襲われたら堕ちてしまうかもしれません」

「なにをいっているのですか? 最低でも何千・何万の単位でしょう?」

「あなたは、私を殺すもつりですか!」

「いえ、だから稟さんの考えを聞きたいのですか」

「そ、そうでしたね。栄花殿がそこまで激しい方とは思ってもいなかったので。取り乱して申し訳ありませ

ん」

「叫んだ理由は分かりませんが、それよりもその方法をご教授ください」

「仕方ありませんね、まずは兵の足腰を―――」

 気がつけば一刻に渡り、稟先生の講座が終了した。 

 

 そして、話しは戻り。

「稟さんは、やはり曹操殿ですか?」

「初めて会ったときにも話しましたが、その通りです。あれほど、才気に満ち溢れ私の策をお預けることが

出来る人はいないと思っております」

 若干顔を赤くしながら、まだ見ぬ恋人のように思いを馳せるような感じがした。

「私も稟さんの考えについて賛同します。直接会ったことはありませんが、人々から聞く話しだけでも尊敬

する人物だと思っています」

「そうでしょう! では、風と一緒に曹操殿の下に仕えませんか?」

 ガダっと椅子を倒し栄花の手を握る凛の行動に、周りの人々は驚きヒソヒソとそれぞれに話し、歩く人々

からは好奇の目で見られ、恥ずかしくなり元の位置に戻る凛。

 栄花は、若干勢いに飲まれていた。

「り、稟さんの言いたいことは分かりますが、私のような者は無理でしょう。噂に聞けば、大の男嫌いとい

う噂を聞いていますし、それに有能な人材を好むと聞いています。私のような中途半端者にはついていけま

せんよ」

「そのような弱音を吐いてどうするのです。星殿の話しではかなりの腕だと絶賛されていましたよ」

「そんなことは、ありませんよ。星さんから聞いたでしょ、あの後星さんに完膚なきまでにやられたんです

よ」

 それは数週間前の公孫讃の試合が終わり、元の場所に戻ろうとしたときに背後から問答無用の一撃。

 栄花は、それを予測していたのか難なく避けたのだが次の攻撃には反応する事ができずに蹴りが腹部に

入りその場に倒れ意識を失った。

 

「しかし、あれは星自身が奇襲をしかけたからではないのですか? それに星殿はあの時のことを悔やんで

いましたよ。一人の人間として愚かなことをしたと」

「いえ、私は星さんには万の一つにも勝てることなんてありませんよ。私の実力は良くて公孫讃よりも少し

上くらいなのようなものですから、それに星さんがあの時の事を後悔するというのは間違っていますよ」

 頬を掻き苦笑いしながら説明する栄花は嘘を吐いてはいなさそうだと判断する凛。しかし、一つ気になる

ことがあった。星が後悔する事はない、これは一体どういうことだろうか。栄花には、話していなかったが

あの時栄花を殺すもつもりでやってしまった、と星は話していた。

 自分を殺そうとした人を簡単に許す以前に、気にもしないということはどういうことだろうか?

 次に不明なのが星の攻撃を避けたことだ。

 幾度も星の戦いを見てきた稟は、公孫讃よりも少し上だと分析する栄花と公孫讃の二人が星に挑んだとし

ても星が勝つだろう。それほどまでも、星は強いのである。

 しかし、背後からの攻撃に反応し避け、まして試合が終わり少しでも緊張が和らいだ状態での事となると

星と同等もしくは、実力が上だという事が考えられる。しかし、事実を見ればあっけなく気絶させられることはそれほ

どまでに実力差があるように倒された。

 

 目の前の椅子に座り空を仰いでいる栄花。彼には不明な点が多すぎる、名前を明かさないということもそ

うだが実力が全く測りしれない。星と同等の武があると思えばそうでもない、智のほうはわからないが、私

や風との会話がある程度できるということは、それなりにできるのであろう。

 そして、稟は思う。なるほど確かに中途半端者だ、しかし栄花は雲のように掴みようがない者だと凛は思

い、まるで風のようだと感じざる得なかった。そういえば、栄花と旅を共にするといったのも彼女でしたね。

 今回の私達と一緒に曹操殿に仕える案にあれだけ取り乱してしまったのも、風のような彼を野放しにする

のは危険と思ったからでしょうか。

 すっかり冷えきてしまった紅茶を飲み、まだそれを判断するのは早いのかもしれない、と絵画のように眠

る彼を見つめ稟は新しくて手に入れた本から栞を抜き、読書に没頭するのであった。

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 あとがき

 大変遅くなって申し訳ありません。なんだか、自分で期限をつけながらここまでできないとは何もいうこ

とはできません。ですが、これだけはお願いします。夜勤ってかなりきついですね、初めての経験だったの

で生活バランスがおかしくなってどうしようもありません。

 ですが、結構慣れてきたので今度こそ三日更新を狙って……行きたいと思いますので楽しみにして下さる

読者様がいてくれたら幸いです。

 はい、それでは今回の外史の自由な物語はどうだったでしょうか?

 とりあえず、拠点ということで自由に書いたのですが凛さんが壊れてしまいました。むぅ、少しでも鼻血

噴射病を抑えたのはまずかったですかね。凛さんのファンの方には申し訳ありません、作者も好きなのです

がなんでこうなったのか不思議でなりません。。

 そして、色々な作者様の作品を改めて読むことによって、自分の作品は描写が全然なく突拍子すぎるとい

うことを思い知らされ自分なりに試行錯誤した、新しい?自分なりの書き方なのですが読みづらくなかった

でしょうか?

 もしよろしければ、今までの物よりも良いと思ったなら―――

 よかったよ! 等とコメントしてもらえたらならその言葉が作者の励みになります。もちろん、感想のほう

もよろしかったら、コメント下さると嬉しい限りです。もちろん、支援してくださる方も大歓迎です。誹謗中傷は、心が弱いのでお願いします。

 作品を投稿して何もないというは、かなり寂しくて……色々と作者様の作品を読勉強しますのでよろしくお願いします。

 さて、全く話しが進まず見えない"外史の自由な物語"頭の中では完結できるようにしていますが、それを

文字に起こし皆様のちょっとした時間のお供にしてもらえるように頑張りたいと思います。

 次回の更新日は……三日後だと土曜日かな?を目指して行きたいと思います。

 それでは、またの機会にお会いいたしましょう。

説明
今回の話は、拠点の話しとなっております。
遅れた詳細については、あとがきのほうで説明します。

駄文でもよろしいという方は、どうぞ。
4/15 15時8分 修正
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コメント
覇炎様:ご指摘ありがとうございます、修正いたしましたので今度こそ大丈夫かと思います。(夜星)
3Pのほとんど、稟が“凛”になってますよ?(覇炎)
truth様:コメント&ご指摘ありがとうございます。作者は頭が上がりません。本当に稟さんの暴走をなんとかしなくてはいけませんね、でも拠点ですからこういうのもいいですよねw(夜星)
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