真・恋姫†無双 江東戦記 第6記・独立戦開始-2 |
下?城前
「誰も手ぇ出すなや!! 行くで孫策!!」
「神速の名がどの程度かこの孫呉の王が見極めてあげるわ」
直刀と偃月刀を振るい衝突の際に文字通り火花を散らす雪蓮と霞。
「うにゃ〜、強いのだこのおばちゃん」
「ワシがおばちゃんだと!! この幼児体型が!!」
「にゃんだと〜!!」
祭さんの2本の矢を避けながら攻める鈴々、しかし祭さんも紙一重でかわす。
そして合間合間に舌戦……にもならない口喧嘩をしている。
他に知ってる人の顔を見てみればというと……。
お腹に手を当てて顔が引きつってる冥琳。(分かる人にしか分からないが…)
苦笑いしている桃香。
何故か大泣きしている雛里ちゃんを必死で慰めてる朱里ちゃん。
どう見ても不貞腐れてる星。
そして………、
「参りますよ一刀様」
思いっきり真面目な顔に臨戦体勢を取って俺の前に立っている愛紗がいた。
………なんでこうなった?
話は下?城に孫呉の軍が到着した時間に戻る。
「孫策さん……」
「出てきたわね劉備…、悪いけどこの城は落とさせてもらうわよ」
「残念ですが私達もこの城の人達を守るために負けるわけにはいかないんです!」
この時は桃香も作戦通りに雪蓮の舌戦を受けて反抗の意志ありの演技をしてくれている。
本来ならもう少し舌戦をし、軍を一当てしてお互いの被害が少ない内に劉備軍が城に戻って篭城の構えを見せる。
そして袁術の動きを待つ手筈………だった。
「ふふ、侵略者風情が数を頼りに偉そうな口を出す…か」
「星ちゃん!?」
いきなり舌戦の最中に口を出した星に最初に驚いたのは桃香だった。
「何ですって?」
「いやなに、孫呉の王と言うのは数を頼りにしてしか城を攻められないほどの人間でもできるのか…。
と思っただけの事」
その言葉に益々不機嫌な顔になる雪蓮。
ここで雪蓮をよく見なかったのが俺と冥琳の失敗だった。
「言ってくれるわね……。
私達孫呉の王や将が貴方達に劣っている。
と言いたいのかしら?」
「ほう…、ならばこの戦い将同士で決める事に異論はないと?」
「勿論よ!!」
「ちょっと雪れ「よう言うた策殿!! さっさと大海の広さをこの者共の身体に教えてやろうぞ!!」」
冥琳の声を覆いかぶさる様に声を挟む祭さん。
ここでようやく俺や冥琳は気付いた。
雪蓮や祭さんの顔は怒ってる様に見えるが目が物凄く笑っている事に………。
そして劉備軍を見ると星や霞、鈴々も同じ目をしていた。
それから孫呉の軍から雪蓮・祭さん、そして何故か俺。
劉備軍から星・霞・鈴々、そして頭を抑えている愛紗を代表としたメンバーが出る事になり、くじ引きで一騎討ちの相手を決めることとなり。
(マッチ棒位の木の枝の先に三色の色が塗ってあり同じ色同士で勝負)
結果、雪蓮vs霞 祭さんvs鈴々 俺vs愛紗 となってしまった。
なお言いだしっぺの星は見事に外れを引いたのだった。
「……申し訳ありません一刀様」
俺が過去を振り返っていると愛紗が声を掛けてきた。
「いいよ、作戦と違う形になったのはこっちのせいでもあるんだし」
おそらく明命からの作戦書の通りに動けない事を気にしての謝罪だろうと思い。
こちらの非でもある事を伝えようと言葉を出そうとするが返ってきたのは予想とは違うものだった。
「いいえ、実はこの組み合わせになった時私は喜んでしまいました……」
「え!?」
「本来なら大事な作戦中に自分の私事を持ち込んではいけないと分かってはいたのですが……。
………私は、……自分で思っているよりずっと我侭みたいです」
「………いいんじゃないか」
「え?」
「武人として強者と戦いたいって思うのは普通だし。
皆心の中では『俺が一番だ!』『俺が最強だ!』て我侭に勝利を求めるのが普通だろ。
それに正直な所、俺も愛紗とは戦ってみたかったし」
最後は少し照れて笑っているのが自分でも分かっていた。
何しろ相手は性別こそ変わっているが三国志において5本の指に入る武人・関雲長なのだ。
過去の強者と戦いたいと思っていた俺も結局は我侭なんだろう。
「だから…<ダッ!!>」
「はっ!!<ガキィン!!>
「楽しめよ!!」
俺が言い切る前にお互い重さ82斤(約20Kg)の得物が高い金属音を立てて激突した。
愛紗と戦闘を開始して約1時間。
正しく武神、そう思わさせる相手だった。
「やりますね一刀様。
ならばこれはどうです!!」
先程よりさらに手数を増やした攻撃を続ける愛紗。
始めの方は縮地を使ってリードしてたものの距離を詰められての重い一撃と相するのが嫌だったのだろう。
20分を過ぎてからは接近に持ち込んでの連続攻撃をしてくる愛紗。
近すぎる事で宿地は意味をなさない物にされ正直防御に徹されている。
しかしこちらが強引に攻撃するとすぐさま完璧な防御を取り反撃される。
そしてさらに30分後、両軍から大きな声が上がるのだった。
「なんだと!!」 「はわわ!!」「あわわ!!」
「何事でしょう?」
「分からない…、けど俺はいったん引くよ」
「そうですね私も桃香様の元へ戻ります。
決着はまたいずれ」
そう言って俺は愛紗と別れ冥琳の元へと戻りどうしたのか聞きに戻った。
「どうしたの冥琳?」 「何事!?」 「一体なんじゃ?」
俺が到着すると遅れて一騎討ちを止めた雪蓮達が戻ってきた。
「先程明命の部隊がやって来たのだがとんでもない事になった!
まず袁術達は我々の遅さに自分達が進軍を始めたそうなのだが……」
「それがどうしたの?」
「作戦通りじゃな」
そう、確かに作戦通りだ。
しかし冥琳があれほど声を上げるとなると………。
「一体どんな非常事態があったの?]
「……袁術軍の先鋒の旗が深紅の呂旗だったと連絡が入った」
「「「!!!」」」
劉備軍
「一体どうしたのだ!?」
一刀との戦いを止めて本陣に戻った愛紗は軍師2人に先程の大声の説明を求めた。
すでに主だった武将は集まっていた。
「は、はい実は先程州境沿いの関所から早馬が来ました」
「つまりどっかが攻めて来た、ちゅう事か?」
「あわわ、それはそうなんですけど…」
「どうしたのだ?」
「攻めて来たのは袁紹さんと曹操さんなの…」
桃香の言葉に驚きを隠せない皆。
その場に緊張が走った。
「曹操と袁紹が手を組んだのか?」
「それは分かりませんけど曹操さんの軍は15万、袁紹さんの軍は28万だそうです」
「そして明命ちゃんの話では袁術軍はおそらく7万だそうです」
朱里と雛里の言葉でさらに空気が重くなる。
3方向から狙われているこの状況をどうしたらいいのか考える。
そして君主である桃香が道を決めた。
「だったら逃げちゃおっか、皆で?」
「「「「「「ええっ!!」」」」」」
「だって今の私達じゃ勝てないならそんな戦いに皆を巻き込めないもん」
「で、ですが一体何処に?」
愛紗の問いに答えたのは朱里であった。
「…もし逃げるとするなら一番いいのは蜀かと」
「蜀?」
「はい、此処より遥か南西の地、益州の太守である劉璋さんは内部争いのために民に重税を課していると聞いてます。
ですからその地を落として民を救い、力を蓄えるのがいいかと」
「なるほどなぁ」
「ですがこの徐州の民はどうします?」
「……説明は私がしてくる」
その言葉を言うと桃香は城に戻り街の村長と話し合いをし。
結果徐州の民の大部分は袁紹や曹操より桃香を慕い彼女と運命を共にするのだった。
「桃香はいるか?」
呂布参戦という余りにも大きなイレギュラーに作戦の変更も考える事にした俺と冥琳は劉備陣営を尋ねに雪蓮と共にやって来た。
ちなみに祭さんは軍を纏める為に動いている。
「「「一刀様(さん)!!」」」
迎えてくれるのは愛紗に二大軍師。
しかしそこに桃香の姿は見えなかった。
「桃香はどうした?」
「はい、実は………―――――」
徐州に攻めてきているのが袁術だけだなく袁紹と曹操も軍を向かわしてきている事。
そして桃香の決断を聞いた俺達は正直驚いた。
「なるほど……、確かに考えられる中ではいい手かもしれん」
冥琳の言葉に俺も心の中で同意する。
逃げる以外の選択肢は戦うか降伏する事だ。
しかしどう転んでも数が違い過ぎる、劉備軍3万5千とじゃ曹魏15万にも袁紹の28万にも相手にならんだろう。
だからと言って降伏したところであの馬鹿、もしくは百合趣味に降った所で碌な目に遭わないのは目に見えている。
「ただいま〜…、って一刀さん!?」
などと考えていると桃香が戻って来た。
「お帰り、話はどうだった?」
「はい、皆さん私達と一緒に行く事になりました。」
「「「「「はい〜!?」」」」」
一斉に驚く一同、まあ当たり前なんだが俺はそうでもなかった。
場所こそ荊州と徐州の違いはあっても劉備が数万の住民を連れて行軍してのは知ってたからな。
「それで向かうのは益州かな?」
「はわ!?」「あわ!?」
図星か……。
「だがどうやって益州に向かう?
3方向から狙われてる事を忘れるな」
「そ、それは………」
冥琳の言葉に詰まる桃香、そして俺は雪蓮と冥琳に話しかけた。
「ねえ、2人共………―――――<ボソボソ>」
内容は突如現れた呂布との戦いのため、劉備軍の将を借りる代わりに建業で徐州の住民を一時的に保護できないかというものだ。
「本気か北郷?」
「ああ、雪蓮はどう思う?」
「う〜〜ん……。
ちょっといいかしら劉備?」
少し考えた雪蓮は滅多に見ない真面目顔で桃香に話しかけた。
桃香もそれに答え、なんでしょうかと聞いてきた。
「なんでその人達を連れていくの?
出会ってほどないんでしょう?」
「それは………。
大事を成すには人を持って大本としなくちゃいけないからです。
だから私は私に付いて来てくれる人を見捨てたくはないです!!」
はっきりと雪蓮の目を見て言い切った桃香。
すると雪蓮は真面目な顔から一転大笑いしだした。
そして皆がキョトンとしているとようやく笑いを納めた。
「い、いいわね劉備。 うん、気に入ったわ。
今後私の事は雪蓮でいいわ。
それと徐州の人達は建業に暫く居てもらっていいわ」
「ほ、本当ですか?」
「ええ。 ただし条件としてまず建業までの護衛兵は5千で後の3万と将数人と軍師1人を袁家や曹操との戦いに貸して頂戴」
「わ、分かりました!
それと私の事は桃香って呼んで下さい♪」
「そ、分かったわ桃香」
堅く握手する雪蓮と桃香こうして同盟はより堅固な物となった。
「それじゃ早速行動に移るわよ。
まずは寿春の蓮華に早馬を!
寿春制圧後の事後処理は穏と思春に任せて蓮華は明命・亞莎と共に建業に戻って守りを固めるよう伝えなさい!
劉備軍と共に行くのは祭でいいわ!」
「それじゃあ星ちゃんと鈴々ちゃん、朱里ちゃんは皆が建業に付くまで一緒に行ってあげて。
愛紗ちゃんと霞ちゃん、雛里ちゃんは私と一緒に袁術さんと戦って!」
雪蓮と桃香が指示を出していく。
しかし……。
「はわ! だ、ダメです!!
桃香様は皆さんと一緒に建業に向かってください!!」
当然の反対意見が上がり、結局桃香が折れて建業に向かう事になった。
そしてまずは目の前にいる敵、飛将軍・呂奉先≠ニの戦いへと動き出す事になった。
こうして孫呉にとっての独立戦は河北一帯を治める袁紹。
首都洛陽に長安を抑えている曹操。
そして河南一帯を占めている袁術。
最後に孫呉と劉備軍の連合軍。
この4つ巴による戦いが繰り広げられようとしていた。
もしこの戦いの勝者が1人ならその者が大陸東部という大陸の半分を得る結果にも繋がる。
すなわちこの戦い、誰が勝ち、誰が負けても時代が変わる!!!!
どうでもいい後書き
次回からこの話の続きではありますがタイトルは変わります。
何を気をつけるのかは分かりませんが気をつけてください。
それともう一つ、公孫賛は劉備陣営に前回から落ち延びておりましたが作者が忘れてました。
だから桃香も指示の中で名前も出してません。
次回も出るか分かりません。
ごめ〜んね♪
「ふざけるな〜〜〜〜〜〜〜!!!」
……………。
………。
…。
説明 | ||
帰って来た江東戦記。 お待ちの方も居ていただき感無量です。 ではさっそく。 |
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コメント | ||
まさか曹操までも攻めてくるとは・・・・愛紗と一刀が狙いだと思うけど(VVV計画の被験者) しかし、袁紹と曹操が手を組んだ…のか?例え手を組んだとしてもいいように操られるのが関の山ですかね。そして、白蓮頑張れ!応援してる!!(kyowa) 御疲れ様です。計らずも武将勢は一騎討ちを楽しみ、頭が痛い両陣営の軍師勢wそんな中、まさかの曹・袁・呂の進軍で早くも蜀呉同盟が結ばれました様で期待が高まる展開に次回が待ち遠しいです。(自由人) 今頃劉備の後ろで、ステルス機能が発動しながら泣いているのでしょうかな?「私の出番ーーー!!!」と、叫びながらwww(ほわちゃーなマリア) さすが白蓮影の薄さわぴか一www(brid) 固有スキルの発動率高いな〜残念賛はww(ルーデル) どこに行ってもハムさんの扱いが・・・合唱www(村主7) 流石。流石としか言いようが無いですよ、ハムさん・・・。wwwwwww(gmail) 最後の最後で笑わせていただきました(tomato) |
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