真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます 第10.2話 |
真・恋姫無双アナザーストーリー
雪蓮√ 今傍に行きます 第10.2話
【一刀とひと夏のバカンス・二日目】
「「……」」
一刀と雪蓮は床に正座をさせられていた
「「……」」
それを見下ろすように二人の鬼、改め愛紗と琳が仁王立ちをし
「一刀君……」
「一刀さん……」
それを見守る優未と桃香がいた
「一刀」
「……はい」
「どういうことか、説明してくれるわよね?」
「それがその……俺も状況が良くわからなく、なぜこのようになったか皆目検討が……」
(ピクッ)
「状況がわからないですって?」
琳のおでこの血管が浮かび上がり
「朝食が出来て起こしに来て見れば、一刀と雪蓮がそ、添い寝をしていて状況がわからないですって!」
「そ、そんなこと言われても俺だって起きたら雪蓮が横に居てビックリしたんだぞ」
「もう、一刀ったら、酷いわね、夜はあんなに……」
「嘘言わないで?!」
「一刀!」
「一刀さま!」
「お、俺は無実だ〜〜〜!」
雪蓮の一言でさらに、場の温度が下がった
「ホントに俺は何もしてないんだって、信じてくれよ!」
「それをどう証明してくれるのかしら?」
「雪蓮もちゃんと事情を説明してくれよ!」
「もう、仕方ないわね〜」
雪蓮はめんどくさそうに話し始めた
「うぅ〜……お手洗い……」
雪蓮はベットから起き出しお手洗いへと向かった
「床がヒンヤリ気持ちいい〜」
雪蓮は廊下をフラフラと歩きながら部屋と向かっていたのだが
「……あれ〜?部屋どこだったかしら〜……」
雪蓮は目の前にある扉を見回して首をかしげた
「……ここの様な気がする〜、流石よね〜私の勘は〜」
雪蓮は重たい目蓋をなんとか開けながら近くの部屋に入っていった
「ダ〜イブ……ん〜いい匂い……お休みなさ〜い…………」
雪蓮はベットに倒れこむみモゾモゾ布団の中に入っていった
(ん〜……なんだろ〜すごく安心する〜ここら辺かな)
雪蓮はいい匂いがある方へとモゾモゾと布団の中を這って行き
(これだわ〜すごく安心するわ……)
「ん……」
雪蓮は自然とその気持ちがいいものに抱きついた
「すー……すー……ん……っ」
すると雪蓮が抱き付いていたものが雪蓮に抱き返してきた
「にゅふふ……」
雪蓮は嬉しくなったのか抱き返してきたものに顔を埋めて深い眠りに就いた
翌朝……
「ん……もう、朝なのね……ん?」
雪蓮は目を覚ますとある違和感に気づいた
(誰かに抱きつかれてるような……私もそれに抱きついてる感覚があるわね……)
「……っ?!かっ!」
「んっ……すー……すー」
雪蓮は眠たい目を開けると目の前に一刀の顔があり叫びそうなるところを何とか抑えた
(な、なんで一刀が私に抱きついてるのかしら?って私も抱きついてるけどね……)
そういいながらも雪蓮は一刀から離れようとせず
(もう少しこのままで寝ちゃおうかしら♪)
雪蓮はそのまま二度寝に入ろうとした………………が
(コンコン)
その瞬間、部屋のドアをノックする音が聞こえた
『一刀入るわよ?』
「……ん……り、ん?…………え?」
一刀は琳の声で目を覚まし、目の前の光景に固まった
「はあい♪」
「な、なんで雪蓮が俺の部屋に?」
「ん〜……なんでかしらね?」
確かに、雪蓮の勘は外れたことがない
寝ぼけた雪蓮の勘はどうやら雪蓮の部屋ではなく一刀の部屋を選んだようだった
『……?入るわよ。一刀』
「ちょ!ま、待ってくれ、琳!」
(がちゃっ)
「……」
部屋に入ってきた琳は目の前の光景に固まり
「り、琳!これは違うんだ!」
「え〜、私を抱きしめて放してくれないのに?」
(ピクッ)
「そ、それは……って、雪蓮も抱きついてるじゃないか!」
(ピクピクッ)
「私が一刀を放す訳無いじゃない」
「こ、これじゃ誤解されても!」
「私はされてもいいわよ♪」
雪蓮と一刀が言い合いしている中、琳の目が段々と引きつっていく
「琳殿、一刀さま起きましたか?」
そこへ、中々戻ってこない琳の様子を見に来た愛紗
「あ、愛紗?!だ、大丈夫だから!」
「あ、起きていらしたのですね。一刀さ、ま…………」
笑顔で入ってきた愛紗だったが、一刀と雪蓮を見て表情を変える
「な、何をしているのですか!」
「お、俺は何もしてない!」
一刀のこの一言で琳の堪忍袋の緒が切れた
「一刀に雪蓮も今すぐ廊下に座りなさーーーーいっ!」
そして、今に至る
「ってことなんだけど〜、一刀が抱きついてきたのは事実だし〜♪」
「そ、それは、無意識のことで……」
「無意識で抱きつくほど私が好きって事ね」
「な、なんでそうなるの?!」
「なら、無意識で誰にでも抱きつく無節操なのかしら?」
琳は腕を組んで一刀を見下ろしながら言った
「俺は無節操なんかじゃないぞ」
「一刀さんって無自覚なんですね……」
「こうして一刀君の毒牙にみんな掛かっていくんだね……」
琳と愛紗の後ろで桃香と優未が納得したように頷いていた
「あれ?でも、それって私達もってことですよね?」
「「「あ……」」」
琳、優未、愛紗の三人は何かに思い当たることがあるのか声をそろえた
「私は一目ぼれよ♪琳たちとは違うんだから♪」
「ちょ!雪蓮、抱きつかないで!」
「あら、いやなの?」
「いやってわけじゃないけど……」
「ならいいじゃない♪」
「「「……」」」
「一刀と雪蓮は朝ごはん抜きね」
「そんな!」
「自業自得です、一刀さま」
「こればっかりは庇えないよ一刀君」
「そ、そんな〜……と、桃香〜」
「えっと……あはははは……」
桃香は一刀を見てただ笑うことしか出来なかった
「うぅ〜……ひもじいい……」
「お腹減った〜」
一刀と雪蓮は椅子に座らせられ目の前で琳たちは朝食を取っていた
「愛紗、醤油を取ってくれるかしら?」
「どうぞ」
「ありがとう」
気にせず食事をする琳に愛紗
「えっと……ごめんね、一刀君」
「ちょっと、なんで一刀だけに謝るのよ」
「だって、雪蓮が悪い気がするし〜」
一刀に悪いと思いつつ食事をする優未
「あ、あの一刀さん、少し食べますか?」
「と、桃香〜」
「ダメよ桃香。これは罰なのだから、それでは罰にならないわ」
「ちょっと、酷いんじゃないの?朝ごはんは一日の要なのよ?食べないと力が出ないじゃない」
琳に抗議をする雪蓮
「なら、昼まで動かなければいいじゃない」
「ひっど〜い!一刀も何か言いなさいよ!」
「え?……せ、せめて雪蓮だけでもダメかな?」
「一刀〜〜」
一刀のやさしさに雪蓮は一刀に抱きつく
「はぁ〜……こうして一刀の魔の手に掛かっていくのね……」
琳は溜息をつきながら机に肘を置き、頬に手を当て溜息をつきながら一刀を見る
「とにかくダメよ」
琳は話はそれで終わりと食事を食べ始めた
「はぁ〜お腹減ったな」
一刀は着替えたもののお腹が空き砂浜に大の字で寝転がっていた
「もう、折角海に着たんだから泳ぐわよ一刀」
「なんで、雪蓮は元気なんだ?お腹空いてないのか?」
「え?そ、それは〜……とにかくほら行くわよ!」
「うお!、雪蓮そんなに引っ張らないでくれよ!」
「聞こえな〜い。ほらほら♪」
一刀の腕を取り強引に引っ張っていこうとする雪蓮
「わ、わかった!行くから!」
「ふふふ♪そうこなくっちゃ」
しかし、その時、雪蓮の目が鋭く光っていたことに一刀は気づいていなかった
「ん〜!海の上は気持ちがいいわね」
「本当だな〜。こう揺れてると眠たくなってくるよな〜」
一刀と雪蓮はゴムボートに乗って海の上を漂っていた
「それにしても、このゴムボート何処から持ってきたんだ?」
「琳の別荘にあったから勝手に持ってきちゃったわ♪」
「おいおい……」
「いいじゃない。別に後で返せばいいんだから」
「ん〜……それもそうだな」
「でしょ?ん〜!こんなに天気がいいと、おさっ」
「おさ?」
「お、お茶が飲みたくなるわね!」
「そうだな。ゆっくりとお茶を飲むのも悪くないよな」
「でしょでしょ〜」
(ふぅ、危うくお酒っていいそうになっちゃったわ。確か、この国は二十歳過ぎないとダメなのよね?まったく誰が決めたのかしらそんな事」
「ふぁ〜、本当に……ねむ、く…………」
「一刀?」
雪蓮は一刀からの反応がなくなったので一刀を見ると気持ち良さそうに寝ていた
「気持ち良さそうに寝ちゃって、一刀ったらかわいい♪……ちゅ」
「ん……」
雪蓮は一刀の頬にキスをすると軽く反応を示したが起きることは無かった
「食べちゃいたいくらい可愛い寝顔ね〜……もっと早く知ってれば……ふふふ♪」
「おっと、危ない危ない。目的を見失うところだったわ……一刀がいけないのよ。こんな寝顔見せられたら」
雪蓮はそういいながらゴムボートを操作して移動を始めた
(ふふふ……どんな反応を示してくれるか楽しみだわ)
雪蓮は嬉しそうに一刀を見ながらある計画を実行に移すのだった
「一刀起きて……」
「ん……」
(全然起きないわね……)
「一刀、起きてってば」
「んん……もう食べられないよ〜」
(どんな夢見てるのよ)
「ほら起きなさい。一刀」
「ん〜、しぇれん、そんなに食べたらふと、る……ぐぅー……」
(ちょっと!勝手に太らせないでくれる?)
「もう、起きなさいよ、一刀!ドーンッ!」
(ゴンッ!)
「いって!な、なんだ?」
「何度も呼んでるのに起きない一刀がいけないのよ?」
「ごめん……って、ここどこ?」
「それが私にもわからないのよ」
「はぁ?!え……ってことは、俺ら潮に流されたのか?」
「そうみたいね……」
(ふふふ、戸惑ってる戸惑ってる♪)
雪蓮は一刀の反応を見て楽しんでいた
「と、とにかく。助けを呼ばないと!」
「助けってどうやって?」
「う……それは……」
一刀は黙り込んでしまい。どうしようかと考えていた
「取り合えず何か食べるものを探さないと……このままじゃ、飢えちゃわよ?」
「それもそうだな……でも探すにもこの広い森の何処をどう探せば……」
一刀は海から目線を外し後ろの森に目をやる
「はい、一刀」
「?釣竿?」
「そ、釣竿」
「なんでここに釣竿が?」
「ゴムボートに入れて置いたのよ」
「え?そんなのあっ「さ!釣りに行きましょー!」ちょ!待ってくれよ雪蓮!」
雪蓮は一刀が言い終わる前に割り込み、釣竿を持って歩いていった
「さあ、ここらへんでいいかしらね〜……あれ?……こうして……あれれ?」
雪蓮は座り込み、何処からか取り出した餌を釣竿に付けようとしていたがうまく付けられないでいた
「あ〜ん!一刀付けて〜」
「はいはい」
一刀は苦笑いをしながら針に餌をつけてあげた
「これでいいよ」
「ありがと、一刀♪」
「どういたしまして」
「ほら、一刀も早くやりなさいよ」
「ああ……」
一刀も雪蓮の横に座り竿を海へと投げた
「……なあ、雪蓮」
「ん〜?」
「なんでそんなに落ち着いてるんだ?」
「だって慌てたって仕方が無いじゃない」
「そりゃそうだけどさ……」
その間、他愛もない会話をしていた雪蓮と一刀だったが
「もう!いつになったら釣れるのかしら」
雪蓮は浮きを睨みながら一刀に話しかけてきた
「入れたばかりだろ?そんなに早くは釣れないさ」
「そんなものかしら」
「そんなもんだよ。気長に待とうよ。本来、釣りって待つのも醍醐味なんだから、ボケーっと海でも見てようよ」
「……そうね」
雪蓮は同意していたが、明らかに不服そうだった
「……」
「……ん〜〜〜っ!」
伸びをする一刀の横で段々と表情が変わる雪蓮、そして
「あ〜、もう!つまんない!」
雪蓮は立ち上がり釣竿を投げ捨てた
「あいてっ!」
見事に雪蓮の投げた釣竿が一刀の頭に直撃した
「ちょっと!何でつれないの!」
「そんなこと俺に言われても」
「もう釣りは止め!」
「ええ?!始まってまだ30分も経ってないのに?!」
「一刀〜、お腹減った〜」
「お腹減ったって……その為に釣りを始めたんじゃなかったっけ?」
「そうよ、だから一刀はそのまま釣りをしててね♪沢山お魚を釣っておいて頂戴♪」
「雪蓮はどうするんだ?」
「座りっぱなしで腰が痛くなっちゃったから森の中を散歩してくるわ」
「……そうっすか」
「だめ?」
「う……雪蓮、わざとだろ?」
「なにが?」
「俺がいやだって言わないこと知っててそう言うこと言ってるだろ」
「あら、そんなことないわよ?一刀が嫌って言うならずっと一緒に居てあげるわよ♪」
「はぁ〜……そういいながら行く気満々じゃないか……いいよ行って来て、その間に何匹か釣れてるといいけど……」
「えへへ♪流石一刀!それじゃ、また後でね」
雪蓮は気分よ良くしたのかスキップして森の中へと散歩に向かった
「はぁ〜、あんな上目遣いで見られたら断れないじゃないか……かわいいけど……おっ?」
雪蓮が森の中に入って直ぐに竿に魚が食らいついてきた
「よし、慎重に……」
一刀は魚が針に掛かるのを息を潜めて待った
「よし、これだけ釣れればいいだろ」
一刀は釣った魚を近くに落ちていたヤシの葉の上に置いた
「にしても、雪蓮が居なくなってから魚が食いつくようになったな」
雪蓮が居なくなった後直ぐに掛かった魚のあと、これまでかすりもしなかった餌に何度も啄ばむ様な感覚があった
「不思議なこともあるもんだ……さてっと、食べる準備しないとな」
一刀が準備をはじめようとした丁度その時
「あー!魚が釣れてる〜!流石ね一刀♪」
「あ、雪蓮おか、うぉ!」
一刀が振り返ろうとした瞬間、背中になにか重たいものがのしかかって来た
「すごいねー、こんなに沢山釣れるてるじゃない!すっご〜い!」
「そ、それより雪蓮、ちょっと重……なんだあれ、果物?」
一刀は背中に抱きついてきた雪蓮を降ろし、後ろを確認すると果物が積まれていた
「これだけ有れば十分でしょ?それより一刀、今私の事、重いって言おうとしなかった?」
「え?そ、そんなことあるわけないだろ?気のせいだよ気のせい」
「ふーん……ま、そう言うことにしといてあげるわ」
(……私って太ってるのかしら?そんなこと無いわよね……)
雪蓮は自分のお腹を摘まんで見る
「う〜ん……」
「どうしたんだ、雪蓮?」
「え?!なんでもないわよ!それより早くお魚食べましょ」
「そうしたいんだけど火を起こす物が無いんだよ
「ライターなら有るわよ?」
「……なんであるの?」
「一刀は一々気にしすぎよ。ほら、早く準備するわよ」
「あ、ああ……」
雪蓮にうやむやにされながらも、今朝から何も食べていないので取り合えず従うことにした一刀
「おおっ!随分と手際がいいね」
雪蓮は釣れた魚を手に取り、枝で魚の内臓を取り出し、海水で洗い別の枝に魚を刺していった
「まあね、子供の頃はよくめい……母さんや父さんと川に遊びに行ってたからね」
「へ〜でもすごいな、俺はそんなに料理が得意じゃないから感心するよ!」
「そう?ありがと♪」
枝に刺した魚を火の近くに突き刺し焼けるのを待つ
「わ〜……うまそうだな〜」
「ふふ……あ、そうだ……」
「ん?それは?」
「これは琳に内緒で作ってきたおにぎりよ。アルミホイルに包んであるからこうやって火の近くにおいてっと」
そういうと雪蓮はおにぎりが入ったアルミホイルを火の近くに並べていく
「さ。魚もまだ時間かかるし、果物でも食べてましょ。はい、あーん」
「い、いいよ!自分で食べられるから!」
「えー。いいじゃない。誰も居ないんだから」
「で、でも……」
「それとも、食べてくれないの?」
「う……」
雪蓮は上目遣いで少し残念そうに見上げてきた
「ダメ?」
「はぁ……あーん」
一刀は観念したのか口を開けた
「ふふふ♪はい、あーん」
そんな一刀を見て、雪蓮も嬉しそうに一刀の口に果物を運んだ
「ぱく、もぐもぐ……うん、美味しいよ」
「そう、良かった。それじゃ、あーん」
「え……俺もするの?」
雪蓮は今度は私と言わんばかりに口を開けた
一刀は恥ずかしそうに雪蓮の口に果物を持っていった
「ぱく、もぐもぐ……ふふふ、おいし♪」
雪蓮は満足そうに食べた
「あっ!そろそろ魚大丈夫そうじゃない?はい」
「あ、ありがとう」
「おにぎりはっと……あちち!」
「雪蓮!」
「大丈夫よ。少し熱かっただけだから」
「本当に大丈夫か?ちょっと見せて」
「もう、大袈裟なんだから一刀は」
「大袈裟でも!痕が残ったら大変じゃないか」
「一刀……」
一刀は雪蓮の手を取り火傷をしていないか確認した
「……大丈夫そうだね。取り合えず少しは冷やしといた方がいいのかな」
「これくらい平気よ。アルミの熱さにちょっとビックリしただけなんだから」
「そう?ならいいけど……」
一刀は安心して息を吐いた
(もう、これくらいなんとも無いのに……こんなに心配してくれたら嬉しくなっちゃうじゃない)
雪蓮は一刀を見て嬉しそうに微笑んだ
「ん?どうかしたか」
「なんでもないわよ。さ、食べましょ」
「ああ、いただきます!」
「いただきます」
焼きあがった魚を食す二人
「ん〜っまい!海の魚だけあって塩がいい感じに効いてるな!」
「本当ね」
青空の下、釣った魚を食べる雪蓮と一刀
しかし、そんな二人をある事件が襲う
「ねえ、一刀」
「ん?どうした?」
「今更なんだけど、一刀って私の事好き?」
「っ!げほげほ!なんだよ、藪から棒に」
「別に、前々から気になってたことを聞いてるだけよ。で、どうなの?」
「ああ、好きだよ」
「ホント?!」
「ああ、雪蓮も優未も琳に愛紗に桃香もみんな好きだよ」
「……」
「雪蓮?うわ!」
「……一刀の、バカ」
一刀に覆いかぶさる雪蓮は顔を近づけ
「え?んっ?!」
「んっ……ちゅ……んんっ……ぷはっ……ふふふ」
「し、雪蓮、なにを……」
「何って接吻よ」
「せ、接吻ってなんでそんな言い方」
「そっちの方がいやらしく聞こえるから、かな……んっ」
「ちょ!ま、んん?!」
再び一刀にキスをする雪蓮
「……私はね……ん、かず、との事が……んちゅっ……好きなのよ?……ちゅ、んっ愛してるのよ」
「しぇ、ん!……雪蓮、ちょ!ちゅっ、お、落ち着いて!」
「ぷは……大丈夫よ、私は落ち着いてるわよ」
「じゃ、何でこんなこと……」
「一刀を独り占めしたいから、私だけを見て欲しいから」
「雪蓮……」
「私って我侭かしら?」
「そんなことは……」
「ねえ、一刀。もし、このまま誰も助けに来なかったら……どうする?」
「どうするって……」
「一刀は私とじゃいや?」
「いやじゃないよ。そんなことあるわけ無いじゃないか」
「うれしい……それじゃ、私だけを見てくれる?」
雪蓮は一刀に再び顔を近づけた
「そこで、何をしているのかしら?」
「え?」
「ちっ……」
聞こえるはずのない声が聞こえ驚く一刀と舌打ちをする雪蓮
「り、ん?それに愛紗に優未に桃香も、どうしてここに……」
「どうして、ですって?ここは私の別荘の裏手にある海岸よ」
「ええ?!ど、どういうこと!」
「お昼になっても帰って来ないから探しに来てみれば……随分とお楽しみだったようね、一刀」
琳はもう爆発寸前の状態で腕を組み目を閉じて震えていた
「あわわ……し、雪蓮さん、そんな大胆な……」
桃香は両手で口を覆い顔を赤らめ
「む〜……私も一刀君とあんな濃厚なキスを……」
優未は羨ましそうに雪蓮と一刀の行為を見て
「か、かか、一刀さま!な、ななな何をなさっているのですか!」
愛紗は目を回しながら混乱していた
「……食事も済んでるようね、冷蔵庫から果物だけが無くなってるからおかしいとは思っていたのだけれど……犯人はあなた達だったのね」
「ええ?!雪蓮、その果物、琳の別荘の冷蔵庫から持ってきたのか?!」
「そうよ、一刀が釣りをしている間にね」
しれっと気にした素振りもなく白状する雪蓮
「それにしても、来るの早すぎじゃない?いいところだったのに」
逆にいい雰囲気を壊され少し不機嫌の雪蓮
「……今朝の事はまだ懲りていないようね……雪蓮」
「あら、焼いてるの?でもダメよ。一刀は私のものなんだから、誰にもあげないわよ……んっ」
「んっ?!」
琳たちの前でキスを見せ付ける雪蓮
「「「あーーーっ!」」」
「ふふふ♪」
「…………(プツン)」
黙っている琳から何かが切れる音がした
「ふ、ふふふふふふふふ……そう……そういうことね……ふふふ、いいわ……」
「り、琳殿?」
琳の異変を感じ愛紗が琳に話しかけたのだが
「……」
「り、琳さん?」
「ちょっと琳、どこいくのよ〜!」
琳は踵を返して別荘に戻っていった
「ちょっとやりすぎたかしら?」
「まさか、雪蓮今の冗談だったんじゃ?」
「あら、一刀を独り占めにしたいのは本当の事よ?」
「だからって……」
一刀は琳が戻っていった方を見た
「……ん?」
その時、琳が戻っていた森から一瞬光るものが見えた
(ずり……ずり……ずり……)
「な、なんの音ですかこれ?」
「私にもわからないよー。愛紗わかる?」
「いいえ、ただ、何かを引きずるような音に聞こえますが」
(ずり……ずり……ずり……)
次第にその音は大きくなり
「ふふふ……雪蓮……今日と言う今日は我慢の限界よ……覚悟なさい!」
「なっ?!琳殿!」
「ちょっ!流石にそれは!」
「り、琳さん落ち着いて!」
琳は引きずっていたものを構え、雪蓮に飛び掛っていった
「ちょっと!流石にそれはないわよ琳!」
雪蓮は距離をとるために押し倒していた一刀から離れる
「うるさい!今日という今日はあなたの根性を叩きなおしてあげるわ雪蓮!」
「り、琳!落ち着け!」
一刀は琳と雪蓮の間に立ち両手を広げた
「どきなさい一刀」
「どかないよ」
「邪魔よ一刀!邪魔するならあなたも……」
琳は腕を上げ一刀の目の前に先ほど引きずっていたものを持ち上げた。それは死神が持っているような大鎌だった
「どかないよ、どいたら君は雪蓮を傷つけるから」
「……」
「琳さん落ち着いてください!」
「そうだよ!それになんでそんなの持ってるのよ。銃刀法違反でしょ!」
「許可書はちゃんとあるから安心しなさい」
「安心できるか〜〜!」
優未の突っ込みにも動じない琳
「とにかく、一度落ち着きましょう。琳殿も雪蓮、殿も……」
雪蓮を見て言いよどむ愛紗
「琳がそれを下ろすまでは嫌よ。もし、一刀を傷つけるなら、私はあなたを許さない……」
「……ふん、わかったわよ」
琳は持っていた鎌を下ろし別荘とは違う道を歩いていった
「た、助かった〜〜〜」
一刀は腰から砂浜に座りこんだ
「ちょっと一刀大丈夫?」
「一刀さま、無茶が過ぎます!」
「一刀さんもうあんな無茶はしないでくださいね?」
「ホント、ドキドキだったよ。でも、一刀君かっこよかった」
「あはは、ありがとう。でも流石にあれはビックリしたな」
「それはこっちのセリフよ。あんな無茶して、本当に琳が振り下ろしてきたらどうしてたのよ?」
「琳はそんな事しないよ」
「随分と自信を持っていえるのね」
「ああ、琳だから……いや、みんなだから信じられるのかな」
一刀は笑いながら皆を見回した
「俺は皆を信じてる。それに琳だって本意じゃないよ。きっとね……よっと」
一刀は何とか立ち上がると
「とりあえず、琳の所に行って来るよ」
「わかりました。一刀さまにお任せします」
「うん、ありがとう愛紗……それと、雪蓮」
「なによ……」
「後でちゃんと琳に謝るんだよ?」
「嫌よ、私は悪くないもの……」
雪蓮は不貞腐れた様にそっぽを向いた
一刀は苦笑いを浮かべつつも
「それじゃ言って来るね……あ、愛紗や桃香たちはお昼まだでしょ?先に食べてていいよ。俺と雪蓮は食べちゃったからさ」
「は〜い、それじゃ。この果物を持って帰らないとね。このままじゃ美味しくなくなっちゃうし」
「そうですね。早く持って行きましょう」
愛紗、優未、桃香の三人は手分けして果物を持ち別荘へと向かった
「……それじゃ雪蓮行って来るね」
「一刀」
「ん?」
「私は一刀の事が好き。それだけは嘘偽りのない本当の気持ちよ」
「うん……」
「一刀を傷つけるやつは、優未や琳たちであろうと私は許さない。それだけは忘れないでね」
「ああ、でも、そんなことはさせないよ。そんなことをさせたら、きっと雪蓮も後悔すると思うから」
「……一刀」
一刀は雪蓮を抱きしめ頭を撫でた
「それじゃ、後でね」
「一刀は雪蓮から離れ、琳が歩いていった道を走って追いかけていった
(なんなのよ……)
琳は大鎌を引きずりながら歩く
(なんだっていうのよ……)
さっきの光景に苛立ちを見せる琳
(なんであんなことでイライラなんてしてるのよ……)
(それに今朝だって、ただ雪蓮が一刀の部屋に居ただけじゃない……)
その時、昨日雪蓮が行った言葉を思い出した
『折角一刀の為に買った水着なんでしょ?』
(そんなことあるわけ無いじゃない。私は毎年新しい水着を買ってるだけよ……)
しかし、そういいながらも琳は今までに買ったことのない水着を買った自覚はあった
(何でこんな水着買ったのよ……)
『うん、みんなすっごく似合ってるよ』
琳はその時不覚にも胸がときめいていた
(そ、そうよ、あれは急に言われたからビックリして……)
自分で催促したことを忘れて一刀のせいにする
(そうよ、私が好きなのは可愛い女の子よ。男の一刀なんか……一刀なんか……)
「そうよ、一刀なんて!」
「は、はい?!」
「えっ?!一刀!なんでここに!」
「や、やあ」
後ろから声が聞こえ驚き振り向くと一刀が変なポーズで立っていた
「……なにしにきたのよ」
「え……琳が心配になって」
「雪蓮の事でも心配していれば?」
「雪蓮も心配だけど今は、琳の事が一番心配だよ」
「……勝ってになさい」
「うん、それじゃそうする」
「……」
「……」
一刀は一言も喋らず琳の横をただあるくだけだった
(なにか喋りなさいよ……)
「ちょっと……」
「え、なに?」
沈黙に耐えかねたのか琳の方から話し掛けた
「一刀は今……」
『好きな人は居るの?』
琳はその一言が言えなかった
「今?」
「な、なんでもないわよ」
「えー気になるじゃないか」
「うるさい!なんでもないったら、なんでもないのよ!」
「いて!足踏まなくてもいいだろ」
「ふん!」
(そんなこと言えるわけ無いじゃない……)
琳の中では女子から告白することはとてもバカらしいと考えていた
その為、そういったことを聞くことも躊躇わせていた
(そうよ、私から告白するなんてありえないわ……べ、別に一刀に告白しようなんて考えてなんかいないわよ?本当よ!)
「なあ、琳」
「……なによ」
「そろそろ、別荘に戻ろうぜ?俺も場に流されたのが悪いのかもしれないけどさ雪蓮も悪気があってやってたわけじゃないと思うんだ」
(そんなの知ってるわよ。でも、一刀に鎌を向けた時の雪蓮は本気の目だったわ。あの時、一刀を少しでも傷つけていたら……考えたくも無いわね)
琳はその時の雪蓮の目を見て『私はしてはいけない事をしたのではないか』と後悔をした
(確かに、あの場で一刀を傷つけたら愛紗や優未、桃香ですら私を許さなかったでしょうね……それだけ一刀の事が好き、か……)
琳はそんな愛紗たちの事を羨ましくも思っていた
(私もあれだけ素直なら……ふっ、ありえないわね)
(素直に、か……ふふふ、いつの間にか私も一刀の魔の手に掛かっていたようね)
琳は素直な自分を想像し鼻で笑った
「ん?どうかしたか琳」
「なんでもないわよ。それより一刀、これ重いのだけれど」
「え……それを持てと?」
「当たり前でしょ?私に重たいものを持たせる気?」
「はぁ……わかりました。お嬢様では、お持ちさせていただきます」
「ふふ、なによそれ。似合わないわよ」
「あ、ひでーな、その言い方」
「ふふふ、さっさと行くわよ……」
(ありがとう、一刀)
琳は一刀に聞こえないように感謝の言葉を言った
「え?何か言ったか?」
「何も言ってないわよ。ほら、置いていくわよ」
「ちょ!待ってくれよ。これ結構重いんだけど」
「男なら泣き言言わずに持ってみなさい」
琳は晴れやかな顔で一刀の前を歩く
(私も負けられないって事かしらね……)
「やっと帰ってきたわね。一刀おそ〜い!」
雪蓮はソファーに寝転びごろごろ転がっていた
「そんなに転がってると「きゃんっ!」……落ちるぞって言おうとしたんだけどな」
雪蓮は受身も取れず後ろ向きに倒れた
「いった〜い!」
「もう、なにやってるのよ雪蓮〜。一刀君お帰り!」
「うん、ただいま」
「う〜一刀、い〜た〜い〜〜!」
「子供ですか雪蓮殿。おかえりなさいませ一刀さま。琳殿を無事お連れ頂いたようですね」
愛紗は呆れながら一刀を出迎えた
「ああ、心配かけてごめんね」
「別に心配はしていませんでしたよ」
愛紗は笑顔で答える
「所で琳さん」
桃香は琳に近づき小声で話し掛けた
「なによ」
「ちゅーとかしたんですか?」
「なっ!するわけないでしょ!」
琳は全力で否定した
「どうかしたか琳」
「な、なんでもないわよ!あっちいってなさい!」
琳はしっしっと手を振り一刀を遠ざけた。
「あは、あはははは……琳さんは相変わらずだな〜」
桃香はそれを見て苦笑いをした
「ぶーぶー!一刀起こして〜〜〜!」
「はいはい」
一刀は苦笑いを浮かべながら雪蓮に手を差し伸べる
「ふふふ、つっかまえた♪」
「え?……うわ!」
雪蓮は一刀の手を取るとニヤリと笑い一刀を思いっきり引っ張った
「あー!なにしてるんだよ雪蓮!一刀君から離れろ〜〜!」
「いやよ♪離したいなら力ずくで離してみなさい。さ、一刀さっきの続きをしましょ♪」
「さっきって……ちょ!雪蓮!それはまずいって!」
「このー!一刀君から手を離せー!」
「わわわ!そ、そうですよ。雪蓮さん!一刀さんから離れてください!」
「もう、いい所なのに……一刀の事が好きなら力ずくで奪い返しなさい、桃香」
「えー!私力ないのに〜」
「一刀、自力で雪蓮から抜け出しなさい!」
「そ、そんなこと言われても。がっちり固められて動けないんだよ!」
モゾモゾと動く一刀に
「やん、一刀ったら大胆♪」
「一刀さまの」
「一刀の」
「一刀君の」
「一刀さんの」
「「「「バカーーーーーッ!!!」」」」
「え?……ぶはっ!」
「おぉ〜一刀が飛んだわ」
雪蓮は持ち前の勘で危険を察し、一刀を離して逃げ出していた
「酷いよ……雪蓮…………ガクッ」
一刀は自ら擬音を言って力尽きた
「まったく……一刀は夕飯も抜きよ。愛紗、悪いのだけれど一刀を布団で丸めて縛り上げといて頂戴」
「気が合いますね琳。その役、承りましょう」
愛紗は琳から縄を受け取り一刀を抱えて一刀の部屋へと向かっていった
「まったく……見境がないのだから」
「……今夜こそ……」
小声で喋っていた優未に桃香が気づき
「ん?何か言いましたか優未さん?」
「へ?!な、何も言ってないよ?あは、あははははは!」
「……ふふふ」
雪蓮も不適に笑うのだった
「所で桃香、私のお昼は用意出来ているのかしら?」
「あ、はい!出来てるんですけど、温め直さないと」
「それくらいなら、私がするわ。桃香と優未は食休みでもしていて頂戴」
「私の分は〜?」
「あなたは、焼き魚とおにぎりを食べたのではなくて、雪蓮」
「私もお腹がすいたから食べたいわ」
「はぁ……わかったわ、ちょっと待ってなさい」
琳は溜息を吐きながらキッチンへと向かった
「ん〜!美味しかったわ」
雪蓮は満足そうにグラスに入ったお茶を飲んだ
「さてと……」
「あれ?何処に行くの雪蓮?」
「一刀のところよ♪」
「ダメよ」
「「えー!なんでよ琳!」」
雪蓮と優未が声をそろえて琳に抗議をした
「今日は誰も一刀の部屋には入れさせないわ、これ以上騒動が起こるのはごめんだから」
「ぶーぶー!そういいながら琳が一刀を独り占めするつもりなのね」
「なっ!そんなわけ……ないでしょ!」
「なんで一瞬、間が空いたのよ琳」
「気のせいよ……とにかく今日はダメよ」
「あ、あの……一刀さんを部屋に一人だと可哀想ですよ」
「一刀にはいい薬よ。……さ、わかったら各自自由にしてなさい」
「私のせいで遊ぶ時間が短くなってしまったけれど、17時には夕飯の支度を始めるからそのつもりでいなさい」
そういうと琳は自室に戻っていった
「ねえ、愛紗ちゃん」
「何でしょうか。桃香さま」
「琳さんて、本当に一刀の事が好きなのかな?」
「ふふふ、素直じゃないだけよ」
「雪蓮さん」
桃香と愛紗の会話に雪蓮が口を挟んできた
「きっと、自分から好きだって言うのが苦手なのよ。まったく、あれだけ態度に出てるのに判らない一刀も一刀よね」
雪蓮は呆れながらソファーに寝転ぶ
「でもさ、あの時の琳ちょっと怖かったよね〜。あれなんて言うんだっけ?……やんでれ?ヤンデレだっけ?」
「ああー!聞いたことありますよ!確か、私一人を愛してくれないといやーな人の事を言うんですよね?」
「でも、デレてないじゃない」
「あ、あの……ヤンデレとは何なのでしょうか?」
愛紗がすまなそうに聞いてきた
「ヤンデレって言うのはね…………」
優未は愛紗にヤンデレの定義を熱心に教えていた
「なるほど……勉強になります」
「別に覚えなくてもいいことよ…………ふむ、愛紗も予備軍かしらね」
「あー……そんな感じがするよね。桃香どう思う?」
「ええ?!あ……そ、そんなことないんじゃないかな?」
桃香は戸惑いながら答えた
「なっ!私はそのヤンデレというやつではありません!訂正してください雪蓮殿!」
「それじゃ一つ聞くけど、一刀の事好きよね」
「え、ええ。それがなにか?」
「それじゃその一刀に好きな人が出来て……ああ、ここに居る私達以外のことよ?愛紗に目もくれなくなったらどうする?」
「う……」
愛紗は思い当たる節があるのか小さくうめき声を上げた
「愛紗って私を愛してくれなきゃ一緒に死んでーー!って感じが私にはあると思うのよね〜」
「あるね〜あるある」
雪蓮に同意するように頷く優未
「で、ですがそれは雪蓮殿にも言えることでは!」
「私?私は一刀を傷つけたりはしないわよ〜。私の場合は一刀に取り付く邪魔な虫を……ふふふ」
「雪蓮、そこで笑うのは不気味だよ」
優未は苦笑いを浮かべて雪蓮に言う
「私もどちらかと言うと、雪蓮と一緒かな」
「ねえねえ!私はどうかな?」
「桃香はそうね……私が一番好きならそれでもかまわない!って感じがある気がするわね」
「なるほど、流石は桃香さま」
「えへへ〜♪」
「それって、流石なのかな?それに照れることじゃないよね」
愛紗と桃香にすかさずツッコミを入れる優未
「ふぁ〜……ご飯食べたら眠くなっちゃったわ。私は少し部屋で横になってくるわ」
「は〜い、お休み雪蓮〜」
「お休みなさいませ雪蓮殿」
「お休みなさい雪蓮さん」
雪蓮は優未、愛紗、桃香に見送られて自分の部屋に戻っていった
「それじゃ、なにしよっか!」
「そうだねー何しようかな〜」
こうして、午後は各自自由に過ごした
「う……なんで俺布団に縛られてるんだ?」
「しかも、もう夜じゃないか」
(ぐぅ〜〜〜〜〜)
「う……腹が減った。今何時だ?」
一刀はモゾモゾと芋虫の様に動き置き時計が置いてある机を見た
「21時……俺どんだけ寝てたんだ?」
(ぐぅ〜〜〜〜〜)
「はぁ、それにしても腹減ったな……」
一刀は簀巻きにされたままうな垂れていると
(コンコンッ)
『一刀さま、起きていますか?』
扉越しから愛紗の声が聞こえてきた
「愛紗か?」
『はい、ご気分は如何でしょうか』
「ああ、さっきからお腹が鳴って仕方がないくらいだよ」
『そうですか……申し訳ありません。実は琳殿に今日一日、一刀さまの部屋には入るなとお達しが出ておりまして』
「そ、それじゃあ……」
『はい、きっと一刀さまも部屋から出てはいけないということではないかと、食事も抜きと言っておりましたから』
「そんな……朝からまともな食事とって無いのに」
(ぐぅ〜〜〜〜〜)
「うぅ〜ひもじい……」
『一刀さま少々お待ちください』
パタパタと遠ざかっていく足音が聞こえた
「愛紗?何処に行ったんだ?」
しばらくするとまた足音が聞こえてきた
『今開けますからお待ちください』
愛紗が扉を開けて部屋の入り口に立った
「愛紗、部屋に入ったらいけないんじゃ……」
「ええ、ですからここまでです。一刀さまここまで這って来れますか?」
「なんとか……」
一刀はベットから入り口まで転がっていく
「少々お待ちくださいね。今……解きますから」
愛紗は自ら結んだ紐を解いていく
「解けました」
「ありがとう愛紗」
「いいえ。結んだのは私ですから……」
愛紗はすまなそうにしていた
「まあ、あれは俺のせいでもあるからね。愛紗は悪くないよ」
一刀は愛紗の頭を撫でながら笑った
「ご主人様……」
「え?」
「い、いえ!何でもありません!……そうでした一刀さま、これをどうぞ!」
愛紗は横に避けておいた皿を一刀に渡した
「炒飯?これを愛紗が?」
「はい、不出来かもしれませんが……」
「ううん、そんな事ないよ。こんなに美味しそうな匂いさせてるんだから。それじゃ、頂きます!ハグッ!」
「……ど、どうでしょうか?」
「モグモグ……ハグッ、モグモグ……ゴックン、うん、すっごく美味しいよ!」
一刀は勢い良く炒飯を口の中にかき込んで行った
「……」
愛紗はそれを嬉しそうに微笑みながら見つめていた
「ふぅ……ご馳走様。とても美味しかったよ」
「お粗末さまです。綺麗に食べていただきましたね」
「ああ、こんなに美味しい炒飯を食べたのは初めてだったからね」
「そ、それはなによりです」
愛紗は頬を染めて綺麗に無くなった皿を見て微笑んだ
「あ〜、これならまた食べたいな、愛紗の炒飯」
「い、今なんと仰いましたか。一刀さま?」
「え?また食べたいなって」
「い、言って頂ければいつでもお作りします!」
愛紗は皿を抱え顔を一刀に近づけた
「そ、それじゃ、その時はお願いしようかな」
「はい!それでは失礼します。一刀さま!♪〜」
愛紗は立ち上がり鼻歌を歌いながら階段を下りていった
「ははは、うれしそうだったな愛紗。そんなに炒飯が美味しく出来たのが嬉しかったのかな」
相変わらず何処は鈍い一刀であった
「……」
それを物陰から見ている影があった
「愛紗ったら考えたわね……っ!閃いた!ふふふ、待ってなさい」
影はその場からすっと不敵な笑みを見せ消えた
「……」
また反対側の角でも影が消えるのが見えた
葉月「別荘編二日目が終わりました。こんにちは葉月です」
雪蓮「また、随分更新が遅れたわね」
葉月「本当に申し訳ないです。段々とアップ日が延びて」
雪蓮「まあ、これ以上は何も言わないけど。しっかりしなさいよ葉月」
葉月「はい。……さて、今回のお話は如何だったでしょうか」
雪蓮「今回の話は琳がすごかったわね」
葉月「雪蓮も何気に大胆なことしてたじゃないですか」
雪蓮「そうだったかしら?ただ、釣りをして食べただけじゃない」
葉月「そういいながら、押し倒してキスしてたじゃないですか」
雪蓮「あんなの挨拶みたいなものじゃない」
葉月「挨拶、ね〜」
華琳「あれの何処が挨拶なのか詳しく聞きたいわね」
雪蓮「あら、誰かと思えば華琳じゃない。何か用?」
華琳「何か用?ではないわよ。あなたの行為を問いただしにきたのよ」
雪蓮「めんどくさいからパスよ」
華琳「なっ!あなたって人は!」
葉月「まあまあ、落ち着きましょうよ華琳」
華琳「ふん!……そうだったわ、あなにたも聞きたいことがあったわね」
葉月「な、なんですか?」
華琳「あの海辺での一件はなんだったのかしら?あんなの私じゃないわ!」
葉月「あーやっぱりそのことですか……あれは、病んだ華琳を書いて見たい!っと思って書いた、言わば行き当たりばったりのお話です!」
華琳「あなたって人は……」
葉月「ちょ!絶を何処からともなく出さないでくださいよ!」
華琳「うるさい!今すぐ書き直しなさい!」
葉月「拒否します!」
華琳「なら、あなたの命はここまでよ!」
葉月「ぎゃーーーーーっ!た、助けて雪蓮!」
雪蓮「めんどくさ〜い。葉月頑張ってね〜」
葉月「えええ?!」
華琳「さあ、覚悟なさい葉月!」
葉月「で、でもそのあといい雰囲気になったじゃないですか!」
華琳「っ!そ、それは……そうだけど……だからって、そんな……」
葉月「今だ!さて!次回のお話ですがいよいよ最終日、一体どんな騒動が待ち構えているのか!そして、一刀と愛紗を見ていた人物とは!乞うご期待です!」
華琳「はっ!しまった。私としたことが……さあ、葉月覚悟は……って、何処に行った葉月!」
雪蓮「葉月ならあっちで予告してたわよ」
華琳「くっ!待ちなさい、葉月〜〜〜!」
葉月「ひえ〜〜〜来た〜〜〜!」
雪蓮「まったく、飽きないわね……それじゃ、みんな、次回も見てくれるときっと葉月は喜ぶと思うわ」
雪蓮「それじゃまた会いましょ♪」
華琳「ふふふ……あなたを殺して、私も!」
葉月「それが病んでる考えだ〜〜〜〜!?」
説明 | ||
遅れましたが旅行二日目です 海で遊ぶ一刀と雪蓮が色々と騒動を起こしてくれます 楽しんで読んで頂ければ幸いです 2010/04/14:誤字修正 |
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コメント | ||
今度は何かと思えば、こんな所で勘を外さなくても良いのにまたこれは…原作の雪蓮さんイベントかなと思えばお約束なオチが待っているし、琳さんも原作そのままの大鎌はマズイでしょうが!?(レイン) 御疲れ様です。なんだか琳は病んでも仕方ないかなと思えてしまいますね。何せドッキリ無人島気分とかその他大胆な行動とかで雪蓮の良い雰囲気を見せ付けられてますしね(汗 記憶の混同があるのか発言やら行動が過激で…雪蓮らしいといえばらしい、この√の本懐という感じがしますね。最終日にはどんな事が起こるのか楽しみです!(自由人) タイトルの面目躍如といったところですか、雪蓮大活躍の巻ですね。誤字報告:ヤンレデとかかれたところが一箇所ありましたよ?(まーくん) P11の「邪魔な無視を〜〜〜〜」の無視は虫なのでは?(asubel) P11の「邪魔な無視を〜〜〜」の無視は虫なのでは?(asubel) なんというヤンデレ祭・・・まつりw みんな将だからなぁ、納得です そして炒飯、さすが無印愛紗、やってくれるぜ(よーぜふ) ヤンデレ・・・・ああ、納得ですね。有り得なくもないな、この二人なら。やはり愛紗は炒飯でしたか、無印あとならば他の料理の腕前も相当なものなんでしょうか・・・・?(峠崎丈二) |
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