真・恋姫無双紅竜王伝煉獄編G〜私はあなたを待っている〜
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許昌城の王宮、その最奥―――皇帝・劉協の私室で、瞳は空に浮かぶ月に祈りをささげていた。幽州方面や合肥方面で軍事行動を展開する彼女の友にして臣下たちの無事、そして―――

「舞人さん・・・」

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幽州方面で兵を挙げた仲軍を討つべく華琳や舞人たちが準備に奔走している頃、瞳は同じ夢を毎日見ていた。そして、その夢を見ては毎朝『もしそれが正夢だったら・・・』と恐怖に身を震わせた。

彼女が見る夢。それは―――自分のもとに、『首だけの』舞人が現れるという悪夢だった。

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「陛下、いかがなされたのですか?」

幽州出陣が決まってから、瞳の溜息の数が多くなっている事を女官長は知っていた。

「よろしければ・・・私にお話ししてくださいませんか?お悩み事なら、少しは相談に乗れるかもしれません」

出陣を明後日に控えたこの日、とうとう彼女は瞳に話しかけたのだった。

「・・・最近、気になる夢を見るんです。同じ、夢を」

少しの沈黙を挟んで、瞳は語りだした。すべてを聞いた女官長は、フム、と思考に入る。

(確かに不吉な夢・・・そしてこの夢は陛下の不安も表しているのかもしれないわ)

即ち、瞳自身が『舞人が討ち死にしたら・・・』という不安を抱えているのだろうと、彼女は推察した。

あの大将軍がそうそう簡単に死ぬとは思えないが、『万が一』という言葉がある。いくら強くとも、流れ矢が致命的な箇所を貫いて命を落とす事もありうる。

「・・・陛下、私に提案があるのですが―――」

女官長が提示した『解決策』。それは―――

「えぇぇぇぇぇっ!?」

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出陣を明日に控え、勝利の前祝いの宴を終わらせて自室に引っ込んだ舞人の部屋の戸がコンコンとノックされた。部屋の戸を開けると、そこには女官長が立っていた。

「閣下、まず夜分に訪れた事をお詫びいたします」

「いや・・・別に構わんけどよ」

深々と精練された動きで謝する彼女に、いつも彼女に怒られている舞人はなんとなく居心地の悪さを感じてしまう。

「それで?なにかあるのか?」

「ええ。実は陛下が・・・」

かくかくしかじかで、と彼女が見る夢について説明し、「そこでお願いがあるのですが」と自分が考えた『解決策』を提示する。

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その夜。

「ふ・・・不束者ですが、末永くお願いしますっ!」

「夫婦か、俺らは・・・」

寝台には新妻よろしく三つ指をついて深々とお辞儀する瞳と、同じ寝台に腰掛ける舞人。

2人とも湯浴みを終えた寝間着姿で、瞳の頬はそこはかとなく赤い。

「じゃあ、もう寝るぞ」

「は、はい」

女官長の『解決策』。それは、『2人が陛下の閨で同衾する事によって、陛下の不安を解消する』というものだった。さらに、彼女は2人に本気とも冗談ともつかない事を口にしている。

「私個人の意見としては―――そろそろ陛下の赤ちゃんを抱いてみたいです」

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「瞳」

「な、なんですか?舞人さ―――ひゃあっ!?」

舞人は瞳を抱きしめ、抱き寄せた。彼女は背に舞人のたくましい胸板を感じて自然と鼓動が速くなる。

「心配すんな」

「えっ―――」

瞳の耳元で彼は囁く。不安におびえる彼女を安心させるように。

「俺は死なない。そう簡単に敵に首を渡してやるかよ。俺は必ずお前のもとに無事に帰ってくるから―――」

「約束、してくれますか?」

「ああ。織田舞人の名に賭けてお前に誓うよ」

向き合った2人は、しばらく見つめ合い―――誓いを刻むかのように口づけを交わす。

そして―――

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舞人と華琳が出陣して以降、瞳は就寝前に毎日祈る。危地に踏み込んだ舞人たちが無事に帰ってくるように、と。

「舞人さん・・・」

彼女は自分のお腹にそっと手を当てて呟いた。

「私、信じてますから」

貴方が私の―――私達のもとに無事に帰ってくる事を。

説明
口の中にできものが絶えない作者がお送りする煉獄編8話です。
今回はちょっと番外編風味。当作品のメインヒロインたるあの娘が登場です。
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コメント
死亡フラグ・・・(ヒトヤ)
いや〜、いーですね。さすが紅竜王!(アンプレゼント)
あ〜ま〜い〜ぜ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪(峠崎丈二)
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