真・恋姫無双二次創作 〜盲目の御遣い〜 第玖話『一歩』後篇
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あの後気を失った白夜は別の天幕へと運ばれ、

 

穏と藍里が側について様子を見る事になった。

 

そして、場所はとある天幕の中。

 

重い沈黙が辺りに飽和していた。

 

天幕の中にいるのは五人。

 

雪蓮がほぼ中心に、その傍らに冥琳。そして入口側に蓮華、思春、明命の三人が並んでいる。

 

皆が天幕に入っても暫くは雑音一つせず、長く続いた沈黙を破ったのは雪蓮だった。

 

「・・・・蓮華、貴女は自分が何をしたのか解ってるかしら?」

 

その表情にはいつもの陽気な笑顔など欠片も無く、空色の瞳は鋭利な刃物のように鋭く細められていた。

 

「わ、私は、ただ――――」

 

「『ただ』、何かしら?」

 

蓮華は姉の見た事の無い冷徹な瞳にビクッと肩を震わせ言葉を詰まらせる。

 

「私は、ただ、あの男を見定めようと・・・・」

 

辛うじて絞り出したような声は、僅かに震えていた。

 

その言葉に雪蓮は額に手を当て、深く溜息を吐く。

 

「でしょうね。そうだろうと思ったわ・・・・でも、あれは軽率だったわね。はっきり言ってやり過ぎよ。白夜が怒るのも無理無いわ」

 

「・・・・どういう事ですか、雪蓮様?」

 

「・・・・本来こう言う事は本人から直接聞くべき事なんだけどね・・・・いいわ。簡単にだけど教えてあげる」

 

尋ねる思春に、雪蓮は少しずつ話し始めた。

 

赤子にして孤児となった事。

 

生まれながらに犯されていた病。

 

それにより周囲から受けた侮辱や差別。

 

そんな日々から救ってくれた、年の離れた養父母の存在。

 

そのあまりにも壮絶な過去に思春と明命は驚愕に顔を染め、

 

「そんな・・・・じゃあ、私は・・・・」

 

蓮華の顔からは、一斉に血の気が引いて行く。

 

四肢からふいに力が抜け、ふらりとバランスを崩して、

 

「蓮華様っ!・・・・大丈夫ですか?」

 

咄嗟に反応した思春に支えられ、何とか立ち直す。

 

「白夜は二人の事を心の底から敬愛してるわ。『自分がこうして生きていられるのは二人のお陰だ』って言うくらいにね。・・・・私が言ってる意味、解るかしら?」

 

その言葉に、蓮華は俯かせていた顔をゆっくりと上げ、

 

 

 

「蓮華、あなたは彼にとって『真名にも等しきもの』を汚したの。知らなかったとはいえ、ね。」

 

 

 

それはあまりにも重く圧し掛かった。

 

「・・・・・・・・」

 

「あなたの気持ちも解らなくはないわ。孫呉の人間として、人の上に立つ者として、そう簡単に万人を信じてはならない。でもね・・・・私は『全てを疑え』なんて教えた覚えは無いわよ?」

 

「・・・・はい」

 

「あなたがしなければならない事、解るわね?」

 

「・・・・はい」

 

「・・・・ん、よろしい」

 

その言葉で、やっと雪蓮の顔から剣呑さが抜けた。

 

辺りに漂う重苦しさも徐々に薄れていく。

 

しかし、

 

 

 

「ちゃんとけじめはつける事。いいわね。あなた達の夫になるかもしれない人なんだから」

 

 

 

「「「・・・・・・・・はい?」」」

 

 

 

和らいだ空気が一瞬にして固まり、三人は目を点にする。

 

「あ、あの・・・・どういうことでしょう?」

 

暫しの沈黙の後、三人の内で一足先に呆然から立ち直った明命が尋ねる。

 

「簡単な話よ。『天の御遣い』の血を孫呉に入れる事が出来れば、それは大きな評判に繋がる。『孫呉には天の血を引く人間がいる』ってね」

 

「今の我々には、資金も、兵力も、圧倒的に不足しています。それを得る為に必要なのは、庶人の口から放たれる風評に他なりません」

 

「だから白夜を保護した時に契約したのよ。『天の知識の提供』と『孕ませろ』って」

 

それまで傍観を続けていた冥琳も、そこで説明に加わった。

 

蓮華は複雑な表情になる。

 

「理屈は、解りますけど・・・・でも・・・・」

 

「まぁ、納得できないでしょうね。安心しなさい。強制ではあるけれど、本気で嫌がるのなら無理はさせないから。それは白夜にも言ってるし、彼もちゃんと解ってる。

・・・・まずはお互いを知り合いなさい。ちなみに私達はもう皆真名を預けてるわ」

 

「なっ!?」

 

蓮華は本日何度目かも解らない驚愕の表情を浮かべた。

 

「・・・・それほどの人物なのですか?」

 

「北条は中々の智謀と洞察力の持ち主だ。時折私や穏も驚かされる程のな。飲み込みも早く、磨けば間違いなく光るだろう」

 

思春の疑問に冥琳が答え、

 

「それに、武に関しては実際に拳を交えたお主等の方が解っておるのではないか?」

 

背後からの声に三人が振り向くと、いつの間にか祭がそこに立っていた。

 

「御苦労様でした、祭殿。兵士達の方は?」

 

「もう問題無いじゃろう。皆、北条の怒声に大いに驚いておったわい。まぁ、無理もないじゃろうな。普段のあ奴を知っとる者なら尚更じゃ」

 

『やれやれ』と洩らしながら祭は首をこきこきと鳴らす。

 

「兎に角、三人とも白夜に会って来なさい。こういう事は長引くと碌な事ないんだから」

 

その言葉に、三人はゆっくりと踵を返して、天幕を出て行った。

 

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・・・・・・はぁ、完全に失敗しちゃったわね。

 

 

―――――そうだな。色眼鏡無しに自分自身の目で判断してもらおうと敢えて北条の詳しい情報を送らなかったのが裏目に出てしまったな。

 

 

こうなるくらいなら前以て教えておくべきだったかしらね・・・・。

 

 

―――――過ぎた事をどうこう言った所で、今が変わる訳ではありますまい。問題は北条が蓮華様をどう思うかじゃと思いますが?

 

 

白夜なら大丈夫よ、きっと。

 

 

―――――何故、そう言い切れるのかしら?

 

 

冥琳も祭も、そう思ってないの?

 

 

―――――・・・・・・・まあね(ですな)

 

 

確かに白夜が怒った所なんて初めて見たわ。でも、彼はまず相手を理解しようとしてくれる。だから、きっと、ね。

 

 

―――――ですな。

 

 

それにしても、白夜があんなに強かったなんてねぇ・・・・正直驚いたわ。

 

 

―――――それは確かにそうだな。あの報告を聞いた時は正直眉唾物だったが。

 

 

ますます手合わせしてみたくなったわねぇ・・・・♪

 

 

―――――やれやれ・・・・手加減はしてやれよ?

 

 

う〜ん・・・・解んない♪

 

 

―――――はぁ・・・・・・×2

 

 

 

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所変わって、白夜が運び込まれた天幕の前。

 

閉ざされた入口の前に、三人は立っていた。

 

雪蓮に言われここまでは来たものの、やはり三人は大小の差はあれど引け目を感じていたのである。

 

特に、蓮華のそれは酷いものだった。

 

天幕に近づくに連れて足取りは段々と重くなり、視線も徐々に下がってゆく。

 

「・・・・蓮華様、大丈夫ですか?」

 

「え、ええ・・・・大丈夫よ、思春。ただ・・・・ちょっと怖くて」

 

その言葉に、思春もまた複雑な表情を浮かべる。

 

最初は、『蓮華様に手を出そうとした愚かな男』としか思わなかった。

 

しかし、違った。

 

あの男は、純粋に怒っていたのだ。

 

涙を流し、気を失ってしまう程に。

 

自分は、それに気付けなかった。

 

事情を知らなかったとはいえ、自分もまた一方的に彼を『悪』だと決めつけ、排除しようとしたのだ。

 

(未熟だな、私は・・・・)

 

何よりも、自分が許せなかった。

 

そして、

 

(今度こそ、しっかりと見定めよう)

 

そう心で呟くと、蓮華が深呼吸を繰り返している事に気付いて、

 

「・・・・いいわ、行きましょう」

 

呟き、前を見る。

 

そして天幕に足を踏み入れ、

 

 

 

「「「・・・・・・・・え?」」」

 

 

 

「「・・・・・・・・はい?」」

 

 

 

三人は再び完全に硬直した。

 

そこにいたのは、驚いたようにこちらを見ている藍里と、

 

 

 

 

上半身裸の白夜であった。

 

 

 

 

「き、きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

「な、なっ・・・・・・・・(赤面)」

 

「はぅわ!?わ、わ、わ・・・・し、失礼しました〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

「ふわっ!?え、えと、これは、その・・・・・・」

 

「はぁ・・・・(仄かに顔を赤くして)」

 

 

 

 

※どれが誰の反応なのかは皆様ならお判り戴けるかと。

 

 

 

 

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何故あのような事になっていたのか。

 

 

 

 

 

 

時間は若干遡る。

 

 

 

 

 

 

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―――――びゃ、くや・・・・そこに、居るのか・・・・?

 

 

 

はい、いますよ!ここにいます!

 

 

 

―――――そう、か・・・・すまんな、お前さんを・・・・ひと、りに・・・・

 

 

 

そんな事言わないで下さい!!

 

 

 

―――――出来る、事なら・・・・どんな、嫁さんを、もらうのか・・・・見てみたかったのぉ・・・・

 

 

 

お願いですから!!そんな事言わないで下さい!!

 

 

 

―――――泣くな・・・・折角の、男前が、台無し、じゃぞ・・・・?

 

 

 

無理ですよ・・・・泣くななんて・・・・・

 

 

 

―――――白夜、有難うな・・・・儂等は・・・・お前さんと居られて・・・・本当に楽しかった・・・・

 

 

 

『有難う』は・・・・私の台詞ですよ・・・・二人が居なきゃ、私はきっと・・・・

 

 

 

―――――なぁ、白夜・・・・最期の頼みじゃ・・・・聞いてくれんか・・・・?

 

 

 

っ・・・・何ですか・・・・

 

 

 

―――――もう一度だけ、呼んでくれ・・・・・・・・・

 

 

 

っ・・・・っ・・・・

 

 

 

―――――頼む・・・・びゃ、くや・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・有難う、『父さん』。

 

 

 

 

 

 

―――――ああ・・・・これで、やっと婆さんと・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

う・・・・うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――――――

 

 

 

 

 

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「―――――ぁあああああああああっ!!はぁっ・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・」

 

意識の覚醒と同時に白夜は跳ね起きた。

 

息が荒く、動機も激しい。

 

右手でYシャツの心臓の辺りを抑えると、まるで身体の内側から殴られているかのようだった。

 

「白夜さん!?」

 

「目が覚めましたか!?」

 

気付いた二人が慌てて駆け寄った。二人とも殆ど涙目である。

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・・藍里さんに、穏さんですか・・・・ここは・・・・?」

 

「天幕の中です。白夜様、先程の事、覚えてますか・・・・?」

 

藍里の言葉に呼吸を整えながら記憶を辿る。

 

「先程の・・・・確か、頭に血が昇って・・・・孫権さんに・・・・」

 

「どうやら覚えてるみたいですね・・・・その後、気を失って倒れたんです」

 

「その後天幕まで運んだまでは良かったんですけど、いきなり唸されたり泣き出しちゃったりで、もう私達どうしたらいいか解らなくてぇ〜・・・・良かったですよぉ〜〜〜〜〜!!!」

 

藍里はホッと胸を撫で下ろし、穏は気が抜けたのかペタンと地面に腰を落としてしまう。

 

「そう、でしたか・・・・済みませんでした、ご迷惑をお掛けしてしまいまして・・・・」

 

「これくらい構いませんよ。それより、本当に大丈夫ですか?」

 

「・・・・少し、辛い事が夢に出てきてしまいまして」

 

「辛い事ですか〜?」

 

身を乗り出して尋ねる穏に、白夜はばつが悪そうに答える。

 

 

 

 

「四年前・・・・秀雄さんが亡くなった時の記憶です・・・・」

 

 

 

 

その言葉に、二人は言葉を無くした。

 

「今でも、偶に夢に見るんです。突然病院から連絡が入って、駆け付けた時にはもう殆ど・・・・皺だらけの手が段々冷たくなっていくのを、今でもはっきりと覚えてるんです・・・・」

 

それはまるで独白のようで、二人は何も言えなかった。

 

「最期に少しだけ言葉を交わして、笑いながら眠るように亡くなりました・・・・その数カ月前に、幸子さんも既に・・・・」

 

頬に残る涙の跡を、再び雫が伝い落ちる。

 

徐々に嗚咽が漏れ始め、蒼いジーンズに斑点がぽつぽつと増えていく。

 

「・・・・白夜さん」

 

穏はそんな白夜にゆっくりと近寄り、

 

 

 

白夜の頭をふわりと抱き寄せた。

 

 

 

「初めてお会いした日に、私に言ってくれましたよね」

 

 

 

その表情は、まるで聖母のようで、

 

 

 

「泣きたいなら、我慢しなくていいんですよ・・・・?」

 

 

 

それが、箍を外した。

 

 

 

「う・・・・うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

天幕の中に、悲しい声が反響する。

 

 

 

その慟哭を優しく包み込むように、穏は真名の通り穏やかな笑顔で白夜を抱きしめ続けるのだった。

 

 

 

 

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やがて。

 

吐き出す事で落ち着いたのか、白夜は照れ臭そうに姿勢を正した。

 

目の周囲は仄かに赤く腫れており、その想いの大きさを痛々しいほど物語っている。

 

「重ね重ね、済みません。服、汚しちゃいましたよね?」

 

「良いんですよ〜、これくらい。それに、あの日は私が御迷惑をお掛けしちゃいましたから〜」

 

穏もまた照れ臭そうに頬を赤く染め、頭を掻きながら『あはは〜』と笑っていた。

 

その横で藍里は羨ましそうにちょっぴり唇を尖らせており、

 

「・・・・そう言えば白夜様、随分寝汗を掻いていたみたいでしたけど、大丈夫ですか?」

 

「はい?」

 

藍里の言葉に初めてその事に思い至ったらしい。

 

確かめてみるとYシャツは汗を吸い、完全に肌に張り付いている所が多かった。

 

「・・・・今気付きましたけど、結構酷いですね。汗臭くないですか?」

 

「え〜と・・・・ちょっぴり〜」

 

穏の苦笑混じりの答えに、白夜はYシャツの一部を摘み上げて顔を顰める。

 

「何とか出来ませんかね、これ・・・・?」

 

白夜が呟くと、穏は思い着いたように立ち上がり、

 

「それじゃあ私が上着を洗って来てあげましょうか〜?その間に白夜さんは汗を拭いておくという事で〜」

 

「・・・・ふわっ!?の、穏様、何を!?」

 

一瞬にして完熟トマトと化した藍里の耳元に穏は顔を近付けて、

 

(さっきのあれが急に恥ずかしくなってきちゃったんですよぅ・・・・お願いできませんか〜?)

 

見れば、確かに穏の顔もまた色濃く紅潮していた。

 

(そ、そんなぁ!?残される私はどうなるんですか!?男性の肌なんて、そんな事今まで一度も――――)

 

藍里がそう小さく返そうとした、その時だった。

 

 

 

「・・・・それじゃあ、お願い出来ますか?」

 

 

 

「「・・・・はい?」」

 

言うや否や白夜は立ち上がるとYシャツのボタンをゆっくりと一つずつ外していく。

 

徐々に表れるその上半身には無駄な肉など欠片もなく、

 

隆々とまではいかなくともそれなりについている筋肉が男らしさを感じさせ、

 

白い肌が整った顔立ちと相俟って、さながら美術品のようであった。

 

まぁ早い話が、

 

「「ふわ〜・・・・・・・・」」

 

二人が思わず顔を赤らめてこういう声を出してしまう程なのである。

 

やがてYシャツを脱ぎ終えた白夜が無言になっている二人に気付き、

 

「・・・・あの、ジッと見られてると流石に恥ずかしいんですけど?」

 

「はわっ!?す、済みません〜それでは上着をお預かりしますね〜!でわでわ〜!!」

 

我に返った穏は、彼女にしては珍しく早口で捲し立てながらYシャツを引っ掴むと、水差しを一つ手に取り、脱兎の如く天幕を後にした。

 

「別にそこまで急がなくてもいいんですけど・・・・?」

 

白夜は不思議そうに首を傾げ、

 

(ふわわ、ど、どうしましょう・・・・?)

 

藍里は『白夜を盗み見る』→『完熟トマト』の無限ループを繰り返していた。

 

「・・・・取り敢えず、身体を拭いちゃいますかね」

 

白夜は腰を降ろすとポケットからハンカチを一枚取り出し、枕元の水差しの水を含ませて汗を拭い始めた。

 

両腕を終え、首から徐々に下へ。

 

そして脇腹を拭き終えると、

 

「藍里さん、背中を拭いて貰えませんか?」

 

「・・・・ふわわっ!?わ、私ですか!?」

 

「はい、手が届かなくて・・・・お願いできませんか?」

 

「あぅ、えと・・・・・はい・・・・」

 

更に顔は赤くなり、語尾も尻すぼみにはなったものの、

 

(頑張るのよ、藍里!!これも白夜様の御付としてのお仕事なんだから!!)

 

グッと両の拳を握り、心の中で自分にそう言い聞かせる。

 

そしてハンカチを受け取り、白夜の後ろに膝をついて、

 

「それでは、失礼します!!」

 

「は、はぁ・・・・お願いします」

 

ゆっくりと拭き始めた。

 

無言の時間が続く。

 

しかし決して気まずいものではなく、不思議な安らかさが辺りに漂っていた。

 

(背中、広いなぁ・・・・)

 

父親を除けば、おそらく初めて見た筈の男性の背中。

 

広い肩幅とがっちりとした体つきが、余計に『男』を感じさせた。

 

先程までとはいかないまでも、仄かに赤い顔を僅かに俯かせながらハンカチを動かす。

 

(まだほんの少し汗の匂いが残ってて・・・・何かちょっぴり変な気分です・・・・)

 

その妙な感情を誤魔化そうとひたすら手を動かす事に集中していると、

 

 

 

「「「・・・・・・・・え?」」」

 

 

 

「「・・・・・・・・はい?」」

 

 

 

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と、言う訳である。

 

後から騒ぎを聞きつけて戻って来た穏が事情を説明すると三人も納得したようで、気まずそうに謝罪した。

 

そして、現在。

 

蓮華、思春、明命の三人と白夜が向かい合っており、傍らで穏と藍里が見守るように並んでいた。

 

(※ちなみに白夜はちゃんと乾いたYシャツを着ています)

 

「その・・・・あの・・・・・・・・・・・・」

 

蓮華は何も言えずに俯いていた。

 

天幕に入る前の勢いは先程の一件で完全に削がれてしまい、負の連鎖が始まっていたのである。

 

『ふざけるな』

 

『冗談じゃない』

 

そんな返答ばかりが頭の中を埋め尽くす。

 

無理も無いだろう。

 

自分のした事は、そういう事なのだから。

 

脳裏に浮かぶのは、つい先程の彼の怒声と、あの怒りと悲しみが入り混じった表情。

 

あんな表情は、初めてだった。

 

怖かった。

 

思わず気圧されてしまう程に。

 

自分が許せなかった。

 

話を聞けば聞くほど、彼は自分が勝手に抱いていた人物像とはかけ離れていたから。

 

 

 

 

だから、驚かずにはいられなかった。

 

 

 

 

「・・・・あの、孫権さん」

 

 

 

 

びくりと肩を震わせ、恐る恐る顔を上げて見ると、

 

 

 

 

「・・・・申し訳ありませんでした」

 

 

 

 

 

彼は深々と頭を下げ、謝罪の言葉を述べていたのだ。

 

 

 

 

 

「・・・・何であなたが謝るのよ?」

 

私の言葉に北条は顔を上げて、

 

「孫権さんは、ただ私を判断しようとしただけなんでしょう?別に悪気があってあんな事を言った訳では無いんですよね?」

 

「え、ええ・・・・でも、私のやり方にも問題があったから・・・・」

 

「いえ、孫権さんの立場を考えれば当然の反応ですから。暫く会わない間に、家族に見ず知らずの人間が近寄っていたとしたら、誰だって怪しんで当然です。

なのに・・・・私は一方的に私情をぶつけるばかりで、貴女の事を何も考えていなかった」

 

そこで彼は一度言葉を切り、

 

「だから、申し訳ありませんでした」

 

そう言って、再び頭を下げた。

 

「・・・・・・・・」

 

私は完全に言葉を失っていた。

 

明命も、あの思春でさえ、驚愕に目を見開いていた。

 

そして、暫くの沈黙の後。

 

「・・・・私の方こそ、御免なさい」

 

私は、自然と頭を下げる事が出来ていた。

 

「お姉様から、あなたの病と過去を、簡単にだけど教えてもらったわ・・・・知らなかったで済まされる事じゃない。本当に、御免なさい・・・・」

 

「あ、あのっ、私も!!」

 

そこで明命が声を上げると、瞼を閉じたその顔がそっちに向けられて、

 

「・・・・貴女は?」

 

「は、はい!姓は周、名は泰、字は幼平です!その、申し訳ありませんでした!」

 

「いいんですよ。周泰さんは、孫権さんを守ろうとしただけなんでしょう?」

 

「それはそうですけど、謝らなければならないと思いましたから!」

 

そう言って、明命は深々と頭を下げた。

 

この娘の潔さと素直さが、こう言う時は本当に羨ましくなる。

 

そんな事を思っていると、

 

「姓は甘、名は寧、字は興覇という。・・・・済まなかった」

 

振り返ると、思春もまた頭を深々と下げていた。

 

驚きもしたが、同時に納得もした。

 

彼女は元々義賊だ。

 

そういった善悪に対する意識は強くて当然だろう。

 

「・・・・いいんですよ。もう怒ってませんから」

 

頭を下げる二人に彼は柔らかな笑みを浮かべ、そう言った。

 

つくづく思う。

 

悔やまずにはいられない。

 

自分はこんな誠実な青年にあんな表情をさせてしまったのか、と。

 

「その・・・・それで、あなたにお詫びをしたくて、ここに来たんだけど・・・・」

 

「何度も言いますけど、別にいいんですよ?私はもう怒ってませんから」

 

「それでは、私の気が済まないのよ。知らなかったとはいえ、私はあなたの大切な物を汚してしまった・・・・私は何よりも、自分が許せないのよ」

 

「・・・・解りました。それでは、貴女のご自由に」

 

何処か諦めたような笑顔を浮かべる彼に、私は深呼吸を繰り返して、

 

 

 

「私は姓は孫、名は権、字は仲謀・・・・真名は、蓮華という。この名、あなたに預けようと思う」

 

 

 

「・・・・良いんですか?」

 

 

 

「ああ・・・・これが、私なりの精一杯のけじめだ」

 

 

 

「・・・・解りました、謹んで預からせて戴きます。私は姓は北条、名は白夜、字と真名は持ち合わせておらず、白夜が私にとっての真名になります。よろしければ、白夜とお呼び下さい・・・・蓮華さん」

 

 

 

そう言って、彼は右手を差し出した。

 

 

 

それが握手を求めているのだと気付いて、

 

 

 

「・・・・ええ。よろしく、白夜」

 

 

 

私はゆっくりと、その手を握りしめた。

 

 

 

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(やはり、こうなったか・・・・)

 

握手を交わす二人を見て、思春の心境は何処か複雑だった。

 

確かに、非は完全にこちら側にあったと思う。

 

だからこそ自分も素直に頭を下げたのだ。

 

しかし、

 

(・・・・釈然とせんな)

 

理屈は通っている。

 

納得も出来る。

 

しかし、何処かしっくり来ない。

 

この男が解らないのだ。

 

 

『蓮華様』が真名を許すに値する人物かどうかが。

 

 

「むぅ・・・・」

 

その奇妙な感覚に思春が顔を顰めていると、

 

「あ、あの、北条様!」

 

「・・・・何ですか、周泰さん?」

 

「その・・・・私の真名も、預かって戴けませんでしょうか!?」

 

(なっ、明命!?)

 

突然の発言に、蓮華も思春も目を見開いた。

 

「・・・・本当によろしいんですか?」

 

「はい!お話を聞いて、北条様は信頼できる方だと思いましたから!」

 

その顔や言葉に躊躇など全く無く、瞳は真剣そのものであった。

 

「・・・・解りました。教えて頂けますか?」

 

「は、はい!私の真名は明命と言います!よろしくお願いします、北条様!」

 

「白夜で構いませんよ、明命さん」

 

「はい、白夜様!」

 

「・・・・出来れば、その様付けは止めてくれませんかね?」

 

「いえ、それは出来ません」

 

キッパリ言い切られた。

 

「あ、あはは・・・・二人目ですか・・・・」

 

白夜は苦笑いを浮かべながらも明命と握手を交わした。

 

その光景に思春が呆然としていると、

 

「・・・・思春殿は、どうするんですか?」

 

「・・・・何?」

 

明命の思いがけぬ質問に、天幕中の視線が自分に集中する。

 

本人は何気ない疑問の積もりだったのだろうが、

 

(何だ、この空気は・・・・?)

 

向けられる視線は四組。

 

三組は純粋な疑問から。

 

一組は面白そうな者を見る視線で。

 

しかしそれらを向けられた本人には、その全てが何処か自分を急かしているようにも見えて、

 

「わ、私は・・・・」

 

つい言葉を詰まらせ、少々たじろいてしまう。

 

すると、

 

 

 

「・・・・それで良いんですよ、甘寧さん」

 

 

 

「・・・・何?」

 

見れば白夜は柔らかな笑みを浮かべていて、

 

「真名の価値は、この世界に来てまだ日の浅い私でも解ります。少なくとも『皆がそうするなら』っていう乗りで預けるようなものではないんでしょう?」

 

「それは、そうだが・・・・」

 

「甘寧さん」

 

言いよどむ思春に白夜は僅かに顔を傾けて、

 

「別に構いませんよ。それとこれとは別問題ですから」

 

その顔から、思春は目が離せなかった。

 

「誰かに言われたからではなく。周りに流されてではなく」

 

それは一体、何の感情からなのだろうか?

 

「私が貴女の信頼するに足る人間かどうか、貴女自身が見定めて下さい」

 

ただ一つ解った事は、自分は間違いなく間抜けな顔になっているのだろうと言う事だった。

 

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そんな会話の直後の事。

 

 

部隊の再編成の後、再び行軍を始めるとの報告が入った。

 

 

前曲には中心に祭、その両翼にそれぞれ思春と明命の部隊が、

 

 

後曲中央に雪蓮、その両翼にそれぞれ冥琳と穏の部隊が配置され、

 

 

その更に後ろに蓮華の部隊が輜重隊の護衛兼遊軍として待機という形となった。

 

 

やがて辿り着いた黄巾党の本拠地は、巨大な城壁で囲まれていた。

 

 

おそらく既に使われなくなった城の廃墟を利用したのだろう。

 

 

そして、その堅牢な敵城を取り囲むように、

 

 

様々な牙門旗が天を衝くかのように立ち並んでいた。

 

 

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孫呉軍本陣。

 

武将達が一堂に会する中、その光景を眺める雪蓮はにやりと口の端を持ち上げた。

 

「曹、袁、公孫、それに劉か・・・・良い感じに集まってるわねぇ」

 

「計算通りだな。これだけ集まっていれば、敵とは互角に戦えるだろうな」

 

「じゃが、儂等の参戦する場所が無ければ、功名も立てられんぞ?」

 

「祭の言う通りね。・・・・諸侯の軍勢が集まっている以上、時間を掛ける訳にもいかないし」

 

「かといって、力攻めだけでは落ちんじゃろ」

 

「そうよね〜・・・・どうする、冥琳?」

 

「ふむ・・・・穏。確か城内の地図があった筈だが」

 

「ありますよ〜。元々太守さんの持ち物だったお城でしたからね。え〜と・・・・はい、これです〜」

 

その言葉に、穏が何処からか紙の巻物を取り出し、円形に集う皆の中心に広げた。

 

皆がそれを覗き込み、難しげな声を上げ始める。

 

「ふむ・・・・厄介な城だな・・・・」

 

「攻め辛く、守り易い・・・・正に教科書のようなお城ですねぇ・・・・」

 

「全軍を展開出来るのは前面のみ。左右は狭く、大軍で攻めるのには無理がある、か」

 

「後ろには絶壁がそびえていて、回り込む事は不可能でしょう」

 

真面目サイドの面々が首を捻る中、君主と宿将の戦闘狂コンビは、

 

「めんどくさいから真正面から突入しちゃおうよ〜・・・・」

 

「うむ、策殿に賛成だ」

 

「何を馬鹿な事を言ってるのですか?たちの悪い冗談を言っている場合じゃありません」

 

「結構本気なんだけど・・・・」

 

「なお悪いです」

 

即座に斬り捨てられ、雪蓮は肩を落とす。

 

地図を囲む皆の間に呆れ混じりの空気が流れた、その時だった。

 

「・・・・ふむ。北条、お前の意見を聞かせてくれないか?」

 

「・・・・私ですか?」

 

輪から一歩離れた所で話を聞いていた白夜は軽い驚きと共に顔を向ける。

 

「ああ。思いつくままで構わん」

 

「はぁ・・・・それでは、ちょっと失礼します」

 

そう言って白夜は地図の前に立つ。

 

「藍里さん、城の構造を出来るだけ細かく知りたいので手伝ってくれませんか?」

 

「あ、はい。どうすればいいんでしょうか?」

 

白夜は伸ばした人差し指をトンと地図の上に置き、

 

「私の手を直接動かして、何処に何があるのか教えて下さい」

 

「え?・・・・えと、え?」

 

「いや、ですから、私の手を掴んで動かして下さい」

 

その意味を理解するや否や藍里の顔はやはり赤く染まり始め、

 

(い、いえ!これはあくまでお仕事の一環!白夜様のお役に立たなきゃ!!)

 

『頑張れ私!』と自分に言い聞かせ、白夜の手首に片手を添えて、

 

気付いた。

 

(ふわわっ!?これ、凄く身体が密着してしまうのでは!?)

 

肩が簡単にぶつかりそうな距離。

 

少し見上げると、すぐ傍に端整なその顔立ちがある。

 

そして、先程の彼の上半身が段々と頭の中に浮かんできて、

 

「・・・・藍里さん?」

 

「ふわっ!?す、済みません!!」

 

周囲からくぐもった笑い声が微かに聞こえた。

 

(うぅ・・・・集中しなきゃ・・・・)

 

かぶりを振り、改めて手元に視線を戻す。

 

「えと、ですね・・・・まず、ここが本丸です。そしてその横・・・・ここですね。ここはおそらく宿舎かと。そしてここが―――――」

 

藍里からの情報が入る度に、白夜は脳内に大雑把なジオラマを作り出す。

 

やがて藍里の説明が終わり、

 

「――――だと思います。解りましたか?」

 

「ええ、十分です。さて・・・・」

 

左手を右肘に、右手を顎に添える。

 

頭の中の引き出しを次々に開け、蓄えた知識を総動員させる。

 

「となれば・・・・いや、その場合は・・・・ふむ・・・・」

 

時たま微かにブツブツと呟きが漏れる。

 

そして、五分程経った頃だろうか。

 

「大体纏まりました。説明を始めても構いませんか?」

 

纏う雰囲気が変わっていた。

 

いつもの陽光のような暖かさではなく、何処か緊張感を感じさせる。

 

「あ、ああ・・・・」

 

その雰囲気に思わず呑まれ、孫呉の重鎮達は肯定せざるを得なくなっていた。

 

-12ページ-

 

「まず地図を見て下さい。倉の周辺が本丸から見て死角になってますよね?」

 

「あ、言われてみればそうですねぇ」

 

「彼等がこの城を本拠地にしている以上、兵糧などもこの倉に保管しているかと思われます。大所帯であればある程、消費する兵糧の量も多い筈。ならばここを叩くのが最上かと」

 

「・・・・ふむ、しかしどうやって?」

 

「隠密に長けた部隊はありますか?」

 

「ええ、思春と明命の部隊が・・・・ああ、成程」

 

「はい。闇に紛れて忍び込み放火、というのが常道でしょう。しかし、彼等に気付かれる可能性も零ではありません」

 

「なら、どうするんですか?」

 

「囮を使うんです。夜襲を掛ける振りをして彼等の目をそちらに向けさせれば、より成功確率は高まるかと」

 

その言葉を区切りに、辺りには沈黙が漂っていた。

 

「・・・・?どうかされましたか?」

 

「いや・・・・驚いてしまってな。普段のお前とはあまりにも違うというか、な」

 

冥琳の濁したような言葉に、雪蓮達も肯定を示している。

 

そんな面々に、

 

 

 

「決めましたから。『もう躊躇わない』って」

 

 

 

白夜ははっきりと言って見せた。

 

 

 

「正直、まだ納得は出来ていません。戦わずに済むのなら、それが最善だと思ってます」

 

 

 

その表情にははっきりと太い芯が通っているようで、

 

 

 

「でも、それじゃ何も変えられない。救えるものすら救えない」

 

 

 

その言葉に込められた感情がズンと響いて、

 

 

 

「なら、何時までも立ち止っていられないじゃないですか」

 

 

 

そのふと見せた笑顔に、雪蓮達はいつの間にか魅せられていたのだった。

 

 

 

 

 

そして、夜が訪れる―――――

 

 

 

 

 

-13ページ-

 

「作戦を開始する。興覇、幼平、行け!」

 

「「はっ!」」

 

冥琳の声と同時に、言葉だけを残して二つの影が闇夜に消える。

 

「祭殿は雪蓮と共に正面へ。後は作戦通りに頼みます」

 

「任せておけ。策殿、行くぞ!」

 

「了解。・・・・孫策隊、出るぞ!」

 

「黄蓋隊も続く!皆、儂についてこい!」

 

「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」

 

鬨の声が夜の帳に轟き渡る。

 

白夜は藍里と共に左翼の指揮をとっていた。

 

命令は『黄巾党の殲滅』。

 

 

 

 

つまり、『自分の手で人を殺す命令を下す事』。

 

 

 

 

いくら覚悟を決めたとはいえ、

 

いや、むしろ覚悟を決めたからこそ、

 

その重圧が双肩に重く圧し掛かる。

 

顔色が優れない。

 

手の震えが止まらない。

 

心臓が身体を突き破りそうにすら思えた。

 

「大丈夫ですか、白夜様・・・・?」

 

「えぇ・・・・大丈夫です・・・・」

 

汗が頬を伝い、顎から地に落ちてゆく。

 

脳裏に蘇る、あの記憶。

 

『死』

 

『絶望』

 

そんな単語で頭が埋め尽くされる。

 

逆流しそうな嘔吐感を必死に堪え、大地をしっかりと踏みしめる。

 

やがて、漆黒の世界に一筋の紅が空へと伸びる。

 

「来ましたっ、合図です!!」

 

藍里の言葉に、白夜は一歩前へと踏み出す。

 

 

表情は既に蒼白に近い。

 

 

息は荒く、喉も乾ききっている。

 

 

しかし、その姿は見る者全てに何処か大きく感じさせた。

 

 

右手を高々と掲げる。

 

 

唾を飲み込む。

 

 

そして、

 

 

「左翼前線へ!これより、黄巾党の殲滅を始めます!!」

 

 

「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」

 

 

鉄の雨が降り注ぐ。

 

 

絶え間なく聞こえるのは無数の剣戟。

 

 

立つだけで、精一杯だった。

 

 

まるで雑草でも刈り取るかのように、

 

 

無造作に命が消えていく。

 

 

やがて上がったのは、終幕を告げる鬨の声。

 

 

それと同時に、白夜の力がフッと抜けた。

 

 

「白夜様!!」

 

 

藍里が咄嗟に支える。

 

 

「はぁ・・・・はぁ・・・・済みません、藍里さん・・・・」

 

 

弱々しい笑顔。

 

 

誰が見ても憔悴しきっていると解るだろう。

 

 

何処かやつれたようにすら見えた。

 

 

「天幕に戻りましょう・・・・後はお願いしてもいいですか?」

 

 

「はっ・・・・北条様」

 

 

近くにいた副官の兵士が白夜へと近づき、

 

 

「御立派でした。後は我々にお任せ下さい」

 

 

その言葉に白夜はやはり弱々しい笑顔で返し、

 

 

藍里の肩を借りながら天幕へと戻って行った。

 

 

 

-14ページ-

見事勝利を収めた孫呉軍は南陽へと凱旋の途に就いた。

 

その深夜の事。

 

白夜の眠る天幕の前に、三つの人影が立ち並んでいた。

 

蓮華、明命、そして思春である。

 

「いいのね、思春」

 

「・・・・はい」

 

思春ははっきりと返答する。

 

戻った本陣に白夜がいない事に気付いた三人に、雪蓮が事情を説明したのだ。

 

『白夜?それなら彼が率いてた隊員から連絡が来たわよ。気分が優れないから天幕で休んでるって』

 

そして語られたのは、やはり彼の話。

 

戦場とは大きくかけ離れた世界の住人だった事。

 

戦場の空気に耐え切れず、嘔吐し気絶した事。

 

しかし、それでも戦場に立つと決めたのは、

 

「『守りたい人達の為』ね・・・・最初は罪滅ぼしの気持ちが大きかったけど、今は彼に預けて本当に良かったと思えるわね」

 

『何を』とは言わずもがな真名の事である。

 

「そうですね。やっぱり本当にお優しい方でした」

 

蓮華と明命は優しい笑みを浮かべた。

 

そこには既に警戒心は存在していなかった。

 

そして、それは思春もまた同様であった。

 

(何を躊躇う必要があったんだろうな・・・・)

 

認めたのである。

 

『真名』を預けるに充分に値する人物だと。

 

その為に、三人はこの天幕を訪れたのだ。

 

しかし、いざ中を覗いてみると、

 

「・・・・あら?」

 

「・・・・どうしたんですか、蓮華様?」

 

「誰もいないのよ。確かにここの筈なんだけど・・・・」

 

明命と思春が天幕の中を見ても、やはりそこには誰も居なかった。

 

「一体何処へ・・・・」

 

呟いたその時。

 

 

 

―――――――――――――――――。

 

 

 

「・・・・あれ?」

 

最初に気付いたのは、明命だった。

 

「どうした、明命?」

 

首を傾げる蓮華。

 

「思春殿、何か聞こえませんか?」

 

「何?」

 

言われて、思春もまた耳をすませる。

 

 

 

―――――――――――〜〜♪。

 

 

 

 

「・・・・何だ、この音色は」

 

「音色?そんなの聞こえないけど・・・・」

 

「こっちです!」

 

「あ、ちょっと明命!?」

 

明命は真っ先に天幕を出て行った。

 

その後を蓮華が追い始め、

 

「・・・・仕方ないな」

 

思春もまた、その後を追うのだった。

 

-15ページ-

 

 

陣地を抜けると、私にも徐々に聞こえて来た。

 

それは、不思議な音色だった。

 

湧き出たばかりの水のように透き通っていて、

 

風に舞う木の葉のように軽やかで、

 

しかし柳のように儚そうに見えても一本はっきりと芯が通っているような、そんな音色。

 

最早明命の跡を追うまでも無かった。

 

足が自然とそちらへと向かう。

 

やがて、荒野の真ん中に二つの人影が見えた。

 

よく見れば、一人がこちらに気付いたようで、自分達を手招きしているように見えた。

 

近づく程にその輪郭がはっきりと解り始め、

 

それが藍里だと解ったのは、後十数歩くらいになってだった。

 

そしてその隣に並び立ち、もう一つの人影へと視線を移す。

 

音色の主は、白夜だった。

 

まるで別世界の住人のようだった。

 

月光に照らされた彼の輪郭はまるで触れれば消えてしまう夢幻のようで、

 

本当に天の国から舞い降りたのではないかとすら思わせる。

 

その旋律はとても優しいようで、何処か物悲しさを感じさせる。

 

そして、何より自分達の目を惹いたのは、

 

「何故、彼は泣いているの・・・・?」

 

そう、決して開けられる事の無い両の瞼から、溢れるように雫が零れ落ちていたのだ。

 

藍里は、小さな声で教えてくれた。

 

「私は・・・・いえ、私達は今まで黄巾党に限らず、賊は皆『人である事を捨てた獣』だと、そう思っていました」

 

その言葉に、私達は肯定の意を示す。

 

「でも、白夜様は違うんです。・・・・彼等は人である事を『捨てた』のではなく、『捨てざるを得なかった』んだって」

 

信じられなかった。いや、信じたくなかったのかもしれない。

 

「白夜様が奏でられているこの曲は、この戦で亡くなっていった方達への『鎮魂歌』なんだそうです。・・・・味方の兵達だけでなく、死んでいった黄巾党の方達も含めた、本当に『この戦いで亡くなっていった方達』への」

 

「・・・・どうして?」

 

「白夜様の暮らしていた『天の世界』では、罪人も最低限『人として』扱われるそうなんです」

 

「な、何だと!?」

 

「彼等もまた、好き好んで罪を犯した訳ではない。出来る事なら、私達のように普通の生活を望んでいた筈なんです。ただ運が悪かっただけで、もしかしたらあそこに居たのは自分達だったのかもしれない・・・・だったら、自分達に出来る事は、その人達を決して『忘れない事』だって。それが、生きている人が死んでいった人達に出来る唯一の事だって」

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「衝撃でした。・・・・そして、思ったんです。私は、私達は、彼等を『獣』として見る事で、少しでも『罪の意識から逃れようとしていた』んじゃないかなって」

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「だから、私も決めたんです。『一緒に背負おう』って。だってそうじゃないと・・・・いつかあの人は、その重さに押し潰されちゃうかもしれませんから」

 

『まだまだ未熟ですけどね』と自重気味に微笑む藍里は、三人には何処か一回り大きく見えた。

 

やがて、曲が終わった。

 

佇む白夜は、夜空を仰いでいた。

 

まるで、天へと昇ってゆく魂達を見送るかのように。

 

「・・・・白夜」

 

思わず、声を掛けていた。

 

ゆっくりと振り返った白夜は、微笑んでいた。

 

涙の跡を隠そうとすらせずに。

 

「良く、ここが解りましたね」

 

「・・・・明命と思春が気付いたの。貴方の音色に」

 

「ああ、成程。隠密に長けた御二方なら、気付いてもおかしくありませんね」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

言葉が途切れた。

 

何を言えばいいのか、解らなかった。

 

静寂が辺りを包んでいた。

 

やがて、

 

「・・・・北条」

 

沈黙を破ったのは、思春だった。

 

「何ですか、甘寧さん?」

 

「・・・・思春だ」

 

「・・・・はい?」

 

「姓は甘、名は寧、字は興覇、真名は思春という。・・・・認めよう、お前を」

 

白夜は突然の事に驚いたのか暫しの間キョトンとしていたが、やがて意味を理解すると、

 

「謹んで、お預かりしましょう・・・・宜しく願いします、思春さん」

 

そう言って、右手を差し出した。

 

「・・・・あぁ」

 

思春は最初こそ驚きはしたものの、ほんの僅かに笑みを浮かべ短く答えるとその手を握り返した。

 

辺りの空気が、ふいに和らいだように感じた。

 

思わず私も明命も藍里も笑顔になり、

 

「ああ、そうそう・・・・思春さん」

 

「・・・・何だ?」

 

「ちょっとだけ、動かないでいてくれますか?」

 

白夜がその両手を思春の顔に伸ばしたのが見え、私は最早今日何度目かも解らない驚愕の表情を浮かべる事となった。

 

-16ページ-

 

「な・・・・ななななななななななななな」

 

人と言う生き物はあまりにも驚き過ぎると完全に動きを止めてしまうものらしい。

 

北条の手が私の顔へと伸ばされたのが見えた途端、私は咄嗟に後ずさった。

 

見れば蓮華様と明命は想像通り驚いているようだったが、

 

「くすくす・・・・くふふふふふふふ」

 

「おい藍里!何故笑っている!?」

 

「御免なさい・・・・だって、あの思春さんが顔を真っ赤にして・・・・くふっ、くふふふふふふふふふ」

 

口元を隠し肩を震わせているのが丸解りである。

 

「くっ・・・・おい北条、どういう積もりだ!?」

 

「どういう積もりと言われましても・・・・思春さんの顔が知りたいだけなんですが?」

 

「・・・・顔だと?」

 

「だって、私は目が見えませんから。私だけ皆さんの顔を知らないなんて、不公平じゃないですか」

 

「な・・・・・・・・」

 

あまりに単純明快すぎる理由に私が言葉を失っていると、

 

「それでは改めて、失礼しますね」

 

「な、おい、ちょっと待―――――」

 

私とした事が、完全に反応が遅れた。

 

いつの間にか北条は私の目の前に立っており、両手は既に私の頬に触れていた。

 

身長差から自然と私は見上げるような形になってしまい、

 

私を見下ろすように向けられたその顔はとても近く、

 

(これではまるで恋人同士ではないか・・・・っ!?そう言えば・・・・)

 

昼間雪蓮様が言っていた言葉を思い出した。

 

思い出してしまった。

 

『あなた達の夫になるかもしれない人なんだから』

 

(〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!)

 

その瞬間、体温が一気に上昇した。

 

「思春さんは、とても凛々しい顔立ちをしてらっしゃるんですね。目も切れ長で格好いいし・・・・おや?髪が少し傷んでいるようですが?」

 

「・・・・私は元々江賊だ。長い間海の上で生活すれば髪くらい傷んで当然だ」

 

「ああ、成程・・・・真名は、一体どう書かれるんですか?」

 

「あ・・・・う・・・・」

 

「・・・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・だ」

 

「・・・・はい?」

 

「・・・・・・・『春』を『思』うで、思春だ」

 

最早茹で蛸であった。

 

(恥ずかしいにも程があるぞっ!!!!!)

 

心の中でいくら叫ぼうとも、そんな心境が白夜に伝わる訳も無く、

 

 

 

「春を思う、ですか・・・・・・」

 

 

 

次の言葉が、止めだった。

 

 

 

「とても可愛らしいですね。素敵だと思います」

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」

 

 

 

思春は最早、言葉を発する事すら出来なかった。

 

 

 

-17ページ-

 

私は呆然としていました。

 

あの思春殿が真っ赤になって俯いている姿など、一体誰が想像できたでしょうか?

 

対して白夜様は柔らかな笑顔を全く崩していません。

 

(驚きです・・・・あれ?)

 

すると、その笑顔がこちらに向けられているのに気が付いて、

 

「それじゃあ、次は明命さん。こちらへ来てくれますか?」

 

「・・・・はぅあ!?わ、私ですか!?」

 

「はい」

 

う・・・・何でしょう、断れないです。

 

「うぅ、解りました・・・・」

 

私が諦めてゆっくりと白夜様に近づくと、その手がゆっくりと伸びてきて、

 

(はぅわ〜・・・・これは、お猫様にも匹敵するかもしれません〜・・・・)

 

ゆっくりと十本の指が輪郭をなぞって行く。

 

初めこそ緊張しましたけど、

 

その手は、とても優しくて。

 

その手は、とても暖かくて。

 

不思議と心が安らぎました。

 

「綺麗な髪ですねぇ、サラサラだ・・・・明命さんの真名は、どう書くんですか?」

 

「あ、はい。『明』るい『命』とかいて『明命』と読みます」

 

「成程。明るい命、ですか・・・・とても元気そうな印象を受けますね」

 

「そうですか?」

 

「ええ、貴女の声はとても明朗で、聞いていてとても心地良いんです。こちらまで元気を貰える、とでも言うんでしょうか?」

 

「あ、有難う御座います!!そう言って戴けて、凄く嬉しいです!!」

 

思わず何度も頭を下げてしまいました。

 

「そうですか・・・・では改めて、よろしくお願いします。明命さん」

 

「はいっ!!こちらこそよろしくお願いします、白夜様!!」

 

「・・・・あの、やっぱり様付けは止めてくれませんか?」

 

「いえ、それは出来ません」

 

「ですから、その――――」

 

「出来ません」

 

「あ―――――」

 

「出来ません」

 

「・・・・・・・・解りました」

 

変わる気配0の問答に、白夜は苦笑を浮かべて肩を落とすのであった。

 

-18ページ-

 

「それじゃあ最後に、蓮華さん。こちらに来てくれますか?」

 

「・・・・・・え、ええ」

 

本当に私は今日だけで何度驚かされれば良いのだろうか?

 

目まぐるしく変わってゆく現状に、私は軽い疎外感を感じざるを得なかった。

 

北条白夜。

 

本当に不思議な男である。

 

そんな事を考えていたせいか、私はずっと白夜の顔を凝視してしまい、

 

「・・・・・・どうかしましたか?」

 

「あ、いや・・・・何でも無いの」

 

「そうですか・・・・それでは、失礼しますね」

 

「え、ええ・・・・いいわ、始めて」

 

伸ばされた手が見えると、真っ直ぐに立って目を瞑る。

 

すると、ゆっくりと指先が頬に触れた。

 

男にしては細く長い指が優しく肌を撫で、やがて髪を櫛のように梳いていく。

 

「やはり、姉妹ですね・・・・何処か雪蓮さんと似ている気がします」

 

「本当か!?」

 

それは嬉しい言葉だった。

 

姉は自分の憧れであり、目指すべき目標だと思っているから。

 

しかし、

 

「ええ、ただ・・・・」

 

「・・・・ただ、何?」

 

「何処か、蓮華さんと雪蓮さんは違う気がするんです」

 

「・・・・どういう事?」

 

その瞳は、少し不安げに揺れていた。

 

「そう、ですねぇ・・・・何と言うか・・・・」

 

白夜は首を傾げ、そして、

 

 

 

「雪蓮さんが『天才』だとしたら・・・・蓮華さんは『秀才』って感じですかね・・・・?」

 

 

 

それは、先程とはまた違う意味で嬉しい言葉だった。

 

ずっと、思っていたのだ。

 

本当は、解っていたのだ。

 

『自分は、姉様のようにはなれない』と。

 

しかし、それを何処か諦めきれない自分が居て、

 

その為に努力を重ねてきた。

 

しかし、努力すればするほど、自分との違いを知るばかり。

 

負の循環が延々と続いていた。

 

身近にいるからこそ、羨ましさとほんの少しの妬ましさがずっと心の隅にあった。

 

「蓮華さんの真名は、どのように書くんですか?」

 

「『蓮』の『華』、そう書いて『蓮華』と読むわ」

 

「蓮の華、ですか・・・・成程。蓮華さんらしいですね」

 

「・・・・どういう意味?」

 

尋ねると、白夜は微笑んで、

 

「蓮華さんは、蓮の華を見た事がありますか?」

 

「ええ、あるわよ。でも、それがどうしたの?」

 

「では、蓮の華の下はどうなっているのか、知っていますか?」

 

「え?・・・・そう言われてみると、知らないわね」

 

言われてみるとその通りだった。

 

蓮と言えば、淡い桃色の花弁と大きな皿状の葉が代表的だろう。

 

しかし、その下はどのようになっているのか、自分は全く知らなかった。

 

それを聞くと、白夜はこう答えた。

 

 

 

「水面の下の蓮は、実は泥塗れなんですよ」

 

 

 

「・・・・え?」

 

「蓮の茎は他の植物と比べて、非常に長くて太いんです。『地下茎』と言いましてね、丁度私の握り拳くらいの太さの大きな茎が泥の中に埋まっていて、そこからさらに水面に茎を伸ばして華を咲かせるんです」

 

「・・・・てっきり普通の華と同じくらいだと思ってたわ」

 

「茎があまりに細いと、川の流れに耐え切れずに千切れてしまうからだと考えられているそうです。そして当然、その土台である地下茎はより強力な支えとなる必要がある。つまり、蓮の華が咲いていられるのは、その影で茎が泥に塗れながらもしっかりと華を支えているからなんです」

 

「・・・・・・・・っ!」

 

何となく、彼の言いたい事が解った。

 

「貴女の努力はきっと、いつか綺麗な華を咲かせてくれる。私はそう思いますよ?」

 

私は、知らず知らずの内に『自分には無理だ』と諦めていたのかもしれない。

 

その小さな諦めを、彼は何となく感じとっていたのかもしれない。

 

それが、何処か嬉しかった。

 

「・・・・有難う」

 

「・・・・どう致しまして」

 

互いにふわりと微笑んだ。

 

そして、少し左胸の奥が暖かくなった気がした。

 

「・・・・風も冷たくなってきましたね。夜更かしは身体によくありませんし、そろそろ戻りましょうか」

 

顔を仰がせ、白夜は言った。

 

「・・・・そうね。戻りましょうか」

 

頷いて、私は言った。

 

 

 

ほんの少しだけ早まる動悸を、私は心地良いと感じていた。

 

 

 

-19ページ-

 

 

 

夜は更ける。

 

 

 

月は照らす。

 

 

 

風は流れる。

 

 

 

影は伸びる。

 

 

 

数は五つ。

 

 

 

心は揺れる。

 

 

 

形は様々。

 

 

 

『今日』が『昨日』になり、

 

 

 

『明日』が『今日』になる。

 

 

 

さぁ、また『今日』が始まった。

 

 

 

(続)

-20ページ-

 

後書きです、ハイ。

 

 

 

過wwww去wwww最wwww長wwww

 

 

 

 

そして大丈夫なのかクオリティwwwwwwww

 

 

 

 

本来のプロットはもっと短かったのですが、何か書いてる内に『あれも書きたい』『これも書きたい』みたいなのが面白いくらい溢れてきちゃいまして、書いてたらいつの間にかこうなりましたwwwww

 

正直いつくかに分断してうpしようかとか迷っていたんですが、今回こうして纏めてうpさせて戴きました。

 

相談に乗って下さった同じく書き手の某M様、有難う御座いました!!

 

また何かあったら相談してもいいっすか?

 

よろしければまたショートメール頂けたらなぁと思います。

 

 

で、

 

 

今回作中で白夜が奏でていた曲ですが、坂本龍一さんの『energy flow』という曲をイメージしてみました。

 

俺なりに解釈すると『生命の息吹』。正にピッタリだな、と思いまして。

 

物凄く有名な曲なので、多分タイトルを知らなくてもメロディを聞けば殆どの人がピンとくるのではないかと思います。

 

ニコニコとかようつべで検索すれば直ぐに出てくると思いますよ。

 

俺もほんのちょびっとピアノをかじっておりまして、

 

いつか弾いてみたい曲の一つだったりします。

 

 

閑話休題

 

 

もう春だというのに、気温がさっぱり上がりません。

 

寒くて寒くてしょうがない・・・・未だに毛布が欠かせぬ環境下であります。

 

最近は雨続きで更に寒さに磨きがかかりやがって・・・・

 

皆様もくれぐれも体調には御気を付けて下さいね?

 

それでは、次回の更新でお会いしましょう。

 

でわでわノシ

 

 

 

 

・・・・・・・・『HEROMAN』は読み切り時代からずっと読んでたんですけど、もうアニメ化とはなぁ(しみじみ)

 

追記:(2010.05.05)

 

『HEROMAN』読み切りじゃなかったっすねwwwww

 

『ガ〇ガン』は基本立ち読みなんで勘違いしてましたwwwww

説明
投稿19作品目になりました。
色々と意見や感想や質問、
『ここはこうしたらいいんじゃねえの?』的な事がありましたらコメントして頂けると嬉しいです。
では、どうぞ。


2010/05/29:誤字修正しました。
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コメント
これにて1件落着、ですなー この孫権さんの所の邂逅のお話は本当に素晴らしいですね。何度見ても飽きません(はこざき(仮))
このおり主は素敵な性格の持ち主なのですね(阿修羅姫)
鬼間聡さん、コメント有難う御座います。そう言って戴けると非常に嬉しいです!!(峠崎丈二)
毎度毎度、ヒロインズがとてもかわいいです。(鬼間聡)
アオオニさん、報告有難う御座います。おお、久しぶりにやっちまった〜wwwww直しておきますね。(峠崎丈二)
今更ですが誤字報告です P18の白夜の台詞「握り拳くらい太さ」→「握り拳くらいの太さ」だと思います。(アオオニ)
うたまるさん、コメント有難う御座います。思春があの悲鳴ですかwwwww確かにそうであって欲しいwwwww(峠崎丈二)
あくまで人のままで、あの戦乱の世の中を生きる覚悟を、想いを見せた白夜、その想いが考えが、蓮華達には眩しいものだったのでしょうね。  乙女の悲鳴は思春であって欲しい(w(うたまる)
ブックマンさん、コメント有難う御座います。その言葉だけでもう・・・・ね。嬉しくてたまらんです。(峠崎丈二)
あいかわずいい話ですね。心が暖かくなりますよ。癒しありがとうございます。(ブックマン)
ぬるきおさん、コメント有難う御座います。マジッすか!?嬉しすぎて泣きそうです!!白髪ですか・・・・成程、それもありですね。名前に『白』って入ってますしね。三国無双に関しては激しく同感であります。俺なら絶対に買うけどなぁ・・・・・・・・(峠崎丈二)
いつも続きが気になって、毎日気がつけば更新してないかチェックしてます!いや面白いです、はい。前の話数でイメージはDTB二期の黒とありましたが、僕の中では、服はおろか髪すら白ですwあと関係ないですが、恋姫†無双のキャラで三國無双がしたいと思ってるのは、僕だけじゃないはず。(めるきお)
かもくんさん、コメント有難う御座います。実は既に登場キャラ全員分の解釈を考え済みだったりします。(峠崎丈二)
真名の意味を考えさせられるいい話でした(かもくん)
アンプレゼントさん、コメント有難う御座います。しっかり書ききれていましたか・・・・ホッ( ;)=3 楽しんで頂けたようで何よりです。次回も頑張りますね!!(峠崎丈二)
カピバラさん、コメント有難う御座います。あざっす!!その言葉だけでマジ嬉しいっす!!自分、これからも頑張らせて頂きます!!(峠崎丈二)
更新お疲れ様です!前回のラストから蓮華にどうケジメをつけさせるのかと思っていたら、しっかり書ききっていて感動です!次回の更新を楽しみにしています。(アンプレゼント)
更新お疲れ様です!、更新されるたびにクオリティの高さにビビリますw続編お待ちしてますね。頑張ってください。では^^(カピパラ)
kyowaさん、コメント有難う御座います。穏は良い娘ですよっ!?ちょっと特殊なだけですっ!!(オイwwww) 今まで会ってきたどんな男とも違う、自分と同じ真面目一辺倒の白夜だからこそ、思春は戸惑ってしまったのではないかなぁ?(他人事)(峠崎丈二)
初めて穏を好きになれた気がする。それに、あの真面目一辺倒の思春まで陥落させるとは……白夜恐るべし(笑)今回も素晴らしい描写の数々心があたたかくなりました。これからも読み続けます!(kyowa)
gmailさん、コメント有難う御座います。人徳というよりは彼の純粋さによるものかと。・・・・まぁ正直俺も上手い言い方が解りませんwwwwww(峠崎丈二)
しょうさん、コメント有難う御座います。うっす!!自分、頑張るっす!!(峠崎丈二)
神龍白夜さん、コメント有難う御座います。いや〜、今回はマジで疲れましたwwwww(峠崎丈二)
更新お疲れ様です。いやぁ、白夜さん落としてしまいましたねwwwでも、流石白夜さん。あんまりいやらしい感じにならないんですよね。不思議と。人徳なのでしょうか(gmail)
主人公に好感も持てますし文も読みやすいです。頑張れ!(しょう)
お疲れ様です!!心が温かくなりました(リンドウ)
田仁志さん、コメント有難う御座います。そう言って頂けると非常に嬉しいです!(峠崎丈二)
みっちーさん、コメント有難う御座います。確かに蓮根ですねwwwww体調にはくれぐれも気をつけて下さいね?バランスの良い食事と適度な睡眠、これに限ります。と、言う訳で俺はこれから二度寝に入りま〜す。おやすみなさ〜い・・・・・・・・・・ZZZZZZZZZ(峠崎丈二)
リョウさん、コメント有難う御座います。『顔チェック』・・・・まんまですけど語呂がいいですねぇ、それ頂いちゃってもよろしいですか?他勢力の皆さんとは正直未定です。どうしようかなぁ・・・・? ・・・・・・・・・・・・・『顔チェック』と聞いてその響きから『キ〇キス』の姉ちゃんを思い出したのは俺だけでいい。(峠崎丈二)
なんだかとっても幸せな気持ちになりました(*´∀`*)(ペンギン)
紫皇院さん、コメント有難う御座います。飾らないシンプルな言葉だからこそ、余計に心に響くものってたくさんあると俺は思うのです。(峠崎丈二)
Raftclansさん、コメント有難う御座います。白夜と思春は今後が中々面白い事になりそうな二人ですので俺もちょっと書くのが楽しみなんですよwwwww 白夜の優しさには敵味方など関係無いのです。(峠崎丈二)
hallさん、コメント有難う御座います。えぇっ!?俺なんて素人に毛が生えたようなもんですよ!?・・・・・・・・・まぁ、すっげぇ嬉しいっすけどねwwwww 今後ともよろしくお願いします!!(峠崎丈二)
Nightさん、コメント有難う御座います。タイトルには白夜と藍里、主従コンビの『一歩』という意味も含めていたのですよ。ですからある意味それも正解ですね。(峠崎丈二)
クォーツさん、コメント有難う御座います。『能ある鷹は爪を隠す』・・・・ちょっと違うかな?はい、頑張ります!!(峠崎丈二)
Oceanさん、コメント有難う御座います。優しさからの決意だからこそ、とても尊いのです。・・・・まぁ、本人にはそんな自覚は無いんですがねwwww(峠崎丈二)
自由人さん、コメント有難う御座います。そう言って頂けると本当に嬉しいです!!一人一人が少しずつ変わっていく回、という事で今回のタイトルを決めてみたのです。(峠崎丈二)
BookWarmさん、コメント有難う御座います。時代背景はさっぱりなので何とも言えませんwwww 今回は書くのがすっげぇ大変でしたよ・・・・次回はどうしようかなぁ・・・・?(峠崎丈二)
更新お疲れっす。いや〜蓮華の真名の意味は、納得だったなぁ〜。要は蓮根ですもんね!(ぉい 自分もさすがに気候の変動が大きくて、体調崩しましたorzなんとか良くなりましたけどね^^;ジョージさんもお体に気をつけて執筆活動頑張ってください!!次回も期待してますb(みっちー)
白夜は目が見えないから言葉がドストレートなんでしょうねぇ…響きます…そして羞恥な拷問と書いて顔チェック発動…これは外せませんねぇ…行く行くは他の勢力にもするのでしょうか?(マテ(リョウ)
毎回白夜の言葉には心を打たれます。これからも更新頑張ってくださいね!!(紫皇院)
更新お疲れ様です。相変わらず人物の動きが見ていて楽しいですね。今回は特に思春の反応が面白かったです。また獣にならざるを得なかったという賊に対する思いは今後の呉に大きな影響を与えそうですね。(Raftclans)
毎回、楽しんで読ませてもらっています。毎回、人柄と真名を含めた解釈はもはや達人芸ですね。これからも頑張ってください(hall)
お疲れ様です。蓮華が思春がメインに置かれているのに、なぜか私の中では『藍里ちゃん奮闘記』という文字が。どう流れていくのか、楽しみです(Night)
執筆お疲れ様です。遂に来ましたね蓮華衝突イベントが・・・。でも、之は之で思春にさえ好印象を齎したりと一読者として歓迎しています。更に白夜の強さが最高です。まさか、思春と明命の二人掛りでさえも惨敗したりと感激です是からも頑張って下さい 次作期待(クォーツ)
更新お疲れ様です。確かに現代人なら『どんなに罪を犯しても「人」は「人」』という考えがありますから、その命を背負う白夜の覚悟はカッコイイ。前話から一転して、蓮華たちとの関係も改善され、真名を貰うことに。前々から思ってたんですが、白夜は真名を貰う度に誰かを落としていきそうだ。(Ocean)
御疲れ様です。白夜君の感情が伝わるかの様に涙を浮かべながら読ませて頂きました。真名の本質と尊さの見解など素晴らしかったです!!蓮華達だけに限らず『孫呉』そのものが変わりつつあり、孫呉ではあと二人いますが『白夜』に関する見解も気になるなと。(既存? そして穏や藍里は拠点を補う様に大きな一歩を踏み出したのかなと思ってみたり。(自由人)
kazuさん、コメント有難う御座います。桃香含めた各国との絡みはもう少し先の話ですね、今暫くお待ち下さいませ♪ さ〜て、どうなるのかなぁ・・・・・・?(オイwwww)(峠崎丈二)
kureiさん、コメント有難う御座います。そう言って戴けて本当に嬉しいです!!俺なんぞの妄想がここまで喜んで貰えるとは・・・・(峠崎丈二)
mightyさん、コメント有難う御座います。どうやら御満足して頂けたようで、ホッと胸を撫で下ろしております・・・・良かった〜( ;)=3(峠崎丈二)
対神さん、コメント有難う御座います。質、高いんですか・・・・?どうも自分の書いた物だとよく解らんのですよ・・・・しかしまぁその言葉だけでまたやる気が湧いてくるんだから人間ってシンプルですよねwwww 真名に関しては『どうしてこういう名前を付けたんだろう?』等とプレイ中に妄想していたのを使用しているのが殆どです。(峠崎丈二)
あさぎさん、コメント有難う御座います。マジッすか!?毎回毎回駄文になってないか本当に心配で心配で・・・・あざっす!!(峠崎丈二)
前話から楽しみに待っていました。3人とも白夜のこと理解、信頼できて何よりです。そして相変わらず真名の説明が素晴らしいです!冥琳の真名の時といい、なんで本作に無かったんだろうってくらい記憶に残るシーンになっています!(kurei)
自然と涙が零れてました。泣きながら蓮華、思春、明命の場面をニヤニヤさせてもらいました!・・・・・・・人間ってニヤニヤしながらでも泣けるんだなぁ〜。もう一回見て、もう一度泣こう(mighty)
すごい! やばい! 面白い! すごすぎてこれらの言葉でしかまとめて言えませんね。 よく20Pの長話でここまで質の高い作品ができると感心します! 個々の心情・関係性をとても上手に表現しています。 あらかじめ設定された真名からここまで連想するとは発想・想像力がよいのでしょうね。 (RAIN)
すばらしい!!もうとにかくその一言に尽きますね!!(あさぎ)
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