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「一刀が天へ帰った」

蜀呉連合軍との決戦が終わり平穏の戻った翌日、魏の将を集めた華琳様はそう告げた。

その言葉に天を仰ぐもの、華琳様を問い詰めるもの、親しき者と共に涙を流すもの、ただ俯くもの、その誰もが考えていた。

 

信じたくない、と。

 

そんな中私はただ茫然と立っていた。

泣けば、問い詰めれば、華琳様の告げたことを認めてしまう。

 

私は信じなかった。

 

「皆聞きなさい」

遠くなった目の前の世界が華琳様の声に引き戻された。

「一刀が天に帰った、これは真実よ、昨夜私の目の前から消えたのだから」

「しかし!」

春蘭様が声を上げる。

「本当だと言っているのが聞こえないの!!?」

華琳様の声が広間に響き渡る。

「私が悲しんでないと思うの?なぜ嘘を言わなければいけないの?私の目の前で消えたのに!!」

「…っ」

華琳様の悲しさに満ちた叫びが抗議の声を掻き消した。

この時誰もが思っただろう。

 

北郷一刀がもう「この世に」いないのだと。

 

「…今日は一日休暇とする、皆気持ちに整理をつけるように」

華琳様はそのまま広間を出て行ってしまった。それに続くように広間にいたものが皆出て行った。

「凪行くで」

「凪ちゃん…」

呆けていた私に二人が声を掛けてきた。

その目は涙に濡れていた。

「沙和…真桜…」

私も二人に促され広間を出た。

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「なあ沙和、凪…」

「なーに…」

「…」

「整理なんて…つけられるんか…?」

「わかんないよ…」

「…」

「ウチら…北郷隊で4人ずっと一緒やったし…」

「整理つけられるわけないなの…」

「…」

「ああもう!凪!!何だまっとるんや!!隊長おらんようになったのになんも思わんのかいな!!」

「真桜ちゃんおちついてなの…凪ちゃんどうしたの?」

私は足を止め真桜達のほうを向き、思いを話した。

 

「私は…認めたくない、諦めたくないんだ」

 

認めれば、諦めれば隊長を思う心までなくなりそうで

 

「あの場で泣いてしまったら、叫んでしまったら、認めてしまいそうで」

 

だから泣かなかった、声を上げなかった。

 

諦めたくない一心に。

 

「きっと隊長はこの私たちと同じ空の下のどこかにいる、そしてきっと帰ってくる」

 

根拠なんてどこにもない、本当にもういなくなってしまったかもしれない、だけど…

 

「私は隊長の帰りを待ち続ける」

 

どんなに時間がたとうとも待ち続ける、これが私の思いだった。

また私達の前であのやさしい笑顔見せてくれることを願って。

 

「…耐えられるんか」

真桜がつぶやいた。

「真桜ちゃん…」

「隊長がおらんようになっても今までと同じようにすぎてく時間を耐えられるんか?」

「今までずっといるのが当たり前だったのがおらんようになることに」

「…ウチは自信ないわ」

耐えられるか、隊長を望み隊長のいない時間過ごすことに。

真桜の言うとおり、確かに辛いだろう、苦しくなるだろう、でも

「隊長を忘れることのほうが辛い」

あの笑顔を、あの声を、あのやさしさを忘れるよりも耐えることのほうがまだいい。

「二人はあの人のことを忘れることができるのか」

 

私はそんなことはできない。

 

「…忘れるわけないやろ」

「そんなことできないの…」

 

だったら出来ることは一つだ。

「ならば待ち続けよう…あの人が帰ってくることを信じて」

「…わかったなの」

「北郷隊のウチらが隊長のこと待たんで誰が待つんや」

本当に帰ってくるなんてわからない、だがあきらめない。

「そうだ…私達だけでも、隊長を待ち続けよう」

 

 

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その夜、凪は一刀にあてられた部屋へ来ていた。

ここには一刀の私物が運び込まれていた。

「隊長…」

隊長が使っていた剣、隊長が愛用していた携帯用の筆と墨、着替え…あの人が使っていたものがそのままにしてある。

まるで、今でもあの人がここにいるかのように。

 

私はあの人が体を休めるはずだった寝台にあがり横になった。

 

隊長、私達はあなたを待ち続けます。ずっと待ってます。

だから帰ってきてください。

またあの笑顔を見せてください、声を聞かせてください。

 

「今だけ…いいですよね…たいちょう」

 

「…ううぅ」

 

「うわああぁぁぁぁぁぁっ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから3年の月日が流れた。

三国同盟も順調に機能しており時折匈奴との国境線で小さな争いがあるも大きな混乱もなく平穏が続いていた。

 

「凪〜今日もお仕事行くで」

「今日も張り切っていくなの〜」

「今日もって…沙和、昨日さぼってお茶していたの、忘れたのか…」

「昨日は昨日なの〜」

「だったらサボらずしっかり働いてもらうぞ」

「えぇ〜」

「真桜も何で夏候惇将軍が一緒なんだ」

「うっ…何でばれたんや」

「いつもはそんな大荷物なんてもたないだろ…元居た所に置いてくるんだ」

「そんな言わんといてな〜今日はお世話せんと〜」

「凪ちゃん、夏候惇将軍の前にからくりってつけないといけないなの…」

「そんなことよりも早く行かないと、小隊長の私達が遅刻しては部下にしめしがつかないぞ」

「「は〜い(なの)」」

 

隊長、今どこで何をしているのでしょうか?

この空の続く場所、どこかで元気にお過ごしでしょうか?

なかなか帰って来る様子はありませんが私達はあなたの帰りを待っています。

それまであなたの場所は私達が守ります。

だから…

 

帰ってきてください。私達の所へ。

 

 

 

 

 

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はじめまして今回初めてお話を書かせていただきました。

 

 

 

初心者で稚拙な文章になりますがこれからもがんばって書いていこうと思います。

 

 

 

今回、真恋姫無双から楽進こと凪のお話を書いてみました。

 

 

 

真恋姫無双の中でお気に入りのキャラクターで、最初に書いてみたいと常々思っていました。

 

 

 

真桜、沙和、凪のトリオも好きですし霞、凪のコンビもいいですね。

 

 

 

今後も少しづつ妄想を増やしていきますのでどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

ぜひアドバイスなどを頂けるとものすごくうれしいです(笑)

 

 

 

 

説明
初書きの初心者です
駄文ではありますが読んでいただけると幸いです
文は魏ルートの一刀消失後の凪の独白?のようなものです
とある曲に影響を受けています
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コメント
毛布さん>> ありがとうございます 次回はこれの続きにするか別キャラ視点にするか迷っているところです(汗)(同人円文)
jackry さん よーぜふさん>>コメントありがとうございます お涙誘えてよかったです(同人円文)
ジョン五郎さん>>ありがとうございます あの曲を久しぶりに聞いていたら思い浮かびまして…うまくハマってよかったです(同人円文)
村主さん>>ホント初心者なんで初めはssでと考えてました 魏√のラストは切なすぎます 自分泣いちゃいました(同人円文)
泣ける話だ(ノД`。) 次回作期待してますwww(機構の拳を突き上げる)
朝からなんてものを!  …ぐすっ  (よーぜふ)
なんと物悲しい。自分の解釈では帰還ではなく消滅なので、soshiさんの話は割りとキましたよ。確かに、あの曲の歌詞は魏√に相応しいですな。よいチョイスでした。お見事!(ジョン五郎)
シンプルに纏まっていて読みやすいSSでした やっぱ魏√は切ないですがそれを乗り越えていこうとする姿は応援したくなります(村主7)
タグ
真恋姫無双  楽進 

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