恋姫無双 3人の誓い 第十七話「信じられるもの」
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付き付けられた刃に、俺は一歩も動けなかった。

「隊長っ!」

「おっと!お姉ちゃんの相手は俺だよ・・・。」

凪が助けに行こうとしたが、そこに王湾が立ち塞がる。この絶望的な状況の中、俺は刃を突き付けた相手の顔をじっと見つめていた。

「・・・な、なあ、飛鳥・・・なのか・・・?」

「・・・・・」

 

 

 

 

 

俺の質問に、相手は何の返事もなく、刃を向け続ける。・・・この顔立ちといい、背丈といい、飛鳥にそっくり過ぎる。だけど、あの飛鳥がこの世界にいるはずがない・・・。俺はそう強く願った。

「ああ。そいつは飛鳥だよ。お前と同じような現れた天の御遣いさ。」

「・・・っ!?おいっ!それホントなのかっ!?」

俺の質問に対して、代わりに王湾が答えてくれた。その答えに、俺は驚きの色を隠せなかった。

「ホントだよ。だけど・・・今のこいつは、只の人形とあまり変わりないかな。」

 

 

 

 

 

「どういう意味だっ!」

「そのままの意味さ。今のこいつは飛鳥であって、飛鳥ではない存在なんだから・・・なっ!」

「・・・くっ!」

王湾は冷酷な笑みを浮かべながら、凪に重い一撃を浴びせる。

「凪っ!」

 

 

 

 

「他人の心配より、自分の心配をしたらどうだ?天の御遣い様よぉ!」

「・・・くっ!どうしたんだよ、飛鳥!目を覚ませよ!飛鳥ぁ!」

「・・・・・」

必死に飛鳥の名前を呼び続けるが、状況は何も変わらない。ただ一歩一歩、飛鳥が鋭い槍を構え、近づいてくる。

何とかして、この状況を打開する方法はないのかっ!?俺はない頭を一生懸命振り絞る。

 

 

 

だが、時間はもうなかった。俺の目の前に来た飛鳥は、槍を振り上げる。・・・くそっ!ここで死ぬのか・・・っ!

俺が諦めかけたその時だった。一つの矢が、風切り音と共に構えた槍を弾いた。

「・・・っ!」

俺と飛鳥が驚き振り返って見たものは・・・。

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「北郷、凪!大丈夫か!」

「今だっ!怪しい賊を捕らえよ!」

部隊を引き連れた春蘭と弓を放ってくれた秋蘭と・・・華琳の姿だった。

「春蘭、秋蘭!それに華琳も・・・!」

「大丈夫、一刀?」

「ちっ!・・・邪魔が入ったか・・・っ!おい!逃げるぞっ!」

「・・・・・っ」

 

 

 

 

「逃がすな!追え追えぇ!」

「邪魔な奴らだ・・・!はああああああああああっ!」

王湾の拳になんかオーラみたいなのが、集まってくる。・・・あれ?どっかで見た光景。

「・・・っ!隊長達、伏せてっ!」

凪の咄嗟の呼びかけに、俺達は地面へと伏せる。

「吹き飛べっ!螺旋弾っ!」

 

 

 

 

 

王湾の掛け声と共に、拳に集まった氣が一気に放たれる。その威力は、いくつかの隊を吹き飛ばすほど。・・・なんだがネーミングが、某忍者マンガみたいのだけど、気にしないでおこう。

「か、夏侯惇様!敵、逃亡いたしました!」

「くそっ!なんなのだ奴らは!」

「そのことは、後で城で聞きましょう。総員、城へと帰還する!」

華琳の号令に部隊は撤収していった。

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城へと帰還した後、すぐさま俺達は玉座の間と集められた。

「それにしても、よく俺達が見つけられたな。」

「他の部隊がもう帰ってきているのに、いつまで経っても帰ってこないものだから、変だと思ってな。」

「さすが秋蘭。頼りになるよ。」

俺は心底、秋蘭の気転の良さに感謝するばかりだ。

 

 

 

 

「さて、本題に戻るわよ。一刀、あの者達は一体何者だったの?」

「詳細は俺にも分からない。けど、名前は確か、黒装束を着た王湾っていうやつと・・・」

続きを言おうとしたが、果たして飛鳥の事を言って良いのかと戸惑ってしまう。けど、言わなくちゃいけないと思う。本当の事を知るためにも。

「飛鳥って言うあいつらの天の御遣いだ。」

「何っ!?それは本当なのか、北郷?」

 

 

 

 

 

「ああ・・・」

信じたくは、なかった・・・。けど、あの飛鳥は俺の知る飛鳥と一緒だと、雰囲気で感じられた。

「なるほど・・・。これで天の御遣いは三人いるということになりましたね。一人はこの北郷一刀。二人目は、劉備達のところにいる天城蒼介。そして三人目は・・・五胡にいる飛鳥。占い通り三人揃いました。」

桂花がしっかりと情報を整理してくれた。

 

 

 

 

「あの王湾という者・・・さすがは、あの大部隊の上だけはあります。かなりの強さでした。」

「凪が認めるほどの者なのか。それがあと三人もいるとなると・・・」

春蘭の顔が少し不安げに曇る。

「少々厄介ね。・・・その者達、なぜか一刀だけを狙ったのよね?」

「はい。北郷一刀を渡しな、と。」

「・・・多分、あの者達の目的は一刀。あなただと思うわ。」

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「・・・俺、なのか。」

一体、俺なんかを捕まえて何をしようとしてるのか、見当も付かない。俺は急に怖くなってしまった。

「・・・ちょっと、外に行って来る・・・」

「あっ!ほんご_______________。」

春蘭が呼び止めようとしたが、秋蘭に肩を掴まれ、止められてしまった。

 

 

 

 

 

俺が来たのは城壁の上。そこから見える景色と吹いてくる風は、いつもと何ら変わりはなかった。

「・・・・・」

俺は一人、城壁にもたれこむ。上を見上げると、空は雲一つもない青空だった。

「・・・飛鳥・・・」

五胡の狙いも気になるが、何より飛鳥のことが気になって仕方がなかった。あの飛鳥が俺を刃を付きつけた・・・。その事実が深く胸に刺さる。

 

 

 

 

「一刀。」

「ん?ああ、華琳か・・・」

「大丈夫?なんだか顔色が悪いみたいだけれど・・・」

「平気だよ。ちょっと疲れただけ。」

俺は心配させまいと、軽く作り笑いをみせる。その笑いはすぐにバレた。

 

 

 

 

「・・・バカ・・・」

その一言を告げた瞬間、俺は華琳に抱き締められていた。

「どうして、そんなに強がるのよ・・・。気になって、しょうがないじゃない。・・・あの飛鳥っていうの、あなたの知り合いでしょ?」

「っ!・・・何で分かったの?」

「あなたの態度と顔を見れば、すぐに分かるわよ。あなた分かりやすいもの。」

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「ははっ。何でもお見通しなんだな・・・。あいつは・・・飛鳥は、俺の大切な友達なんだ。とても。」

「・・・その親友に刃を向けられて、どう感じたの?」

「・・・たまらなく怖かった。そして、何より・・・何も信じたくなかった。」

これが現実なのか、夢なのか・・・。できれば悪い夢であって欲しかった。けど、現実だった。辛く受け入れ難い現実だった。

 

 

 

 

「けどね、一刀。今のあなたには、あなたを信じてくれる人はたくさんいるわ。春蘭や秋蘭、季衣に桂花にあの三人組。それに・・・私だって。・・・だから、無理に何でも一人で背負い込もうとするんじゃないわよ。私達が、いるんだから・・・」

「・・・っ!」

俺はその言葉に、涙が止め処なく溢れた。全部、吐き出すくらいに。そして決意した。必ず飛鳥を助けてやると。そう決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※どうもお米です。なんか作品違くね?と思ってしまうくらいごちゃごちゃになってしまいました。すみません。・・・なんだか切ない・・・。そんな風に感じてくれたら僥倖です。さて、次回は蒼介√になると思います。次回も頑張りたいと思います。それでは失礼します〜。

説明
第十七話となります。みなさんからのご指摘、ご感想ドンドン募集中です。
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コメント
>茶々さんコメント有り難うございます!これからの更新も期待して待って頂けると幸いです。(お米)
友人に刃を向けられる……そりゃこんなナイーブな気持ちにだってなりますわな。 次回を待っています。(茶々)
>samidareさんコメント有り難うございます!これからも期待に応えられるよう誠心誠意頑張らせていただきます!(お米)
更新お疲れ様です!これからも頑張って下さいね!(samidare)
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