mirage −ミラージュ−(7)
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mirage -7-

 

 

 

 

テストの時で行き来していたため、鏡を通るのはもう慣れたものだ。

華麗に着地し周りの様子を伺う。

 

・・・そうだった。昼間に飛び込んだからこっちでは真夜中なんだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・どうせこっちの私は家に帰らないこと多いらしいし、今夜は学校に泊まろう。

正直1人は怖いけど。

 

夜が明け、生徒がちらほら教室に入りだした頃明美が姿を現した。

あちらの明美の元彼、諒と共に。

 

・・・・・・やっぱり・・・・・・

 

「あ、夜見子夜見子っ!おはよ〜 昨日のメール見てくれた?」

「え・・・?     あ、あぁ・・・ごめん・・・電池切れてて・・・」

「あ・・・そうだったんだ・・・」

ちなみに携帯はどうなっているかというと、メール履歴から見ていつも自分が持っているものがそのまま持ち込まれているらしい。

こちらの世界に来ている間はメールなどは受信できないらしいが・・・

 

「・・・まだSTまで時間あるよね・・・  夜見子、ちょっといいかな?」

そうして連れてこられたのは人気のない階段裏。

 

「・・・・・・・・・・・あのね夜見子、私たち、付き合うことにしたんだ」

「・・・え・・・・・・・・・!?」

演技は苦手だが、なるべく自然に驚くようにした。

 

 

「えへへ・・・自分でもびっくりだよ。告白して、その上受けいれてもらえるなんて・・・」

そういえば、向こうの明美は告白された方だった

嬉しさよりも驚きのほうが先行したらしく、返事をするよりも先にその驚きの顔のまま私のところに飛んで来てたなぁ・・・

そういうところも逆になるんだ・・・

 

「とにかく夜見子には一番最初に話したかったんだ・・・ 唯一の、親友だから・・・」

・・・その言葉に、何かが引っかかった。

 

「あ、でも夜見子とは今まで通りだからね、毎日一緒に帰るから。 あ、でも・・・1日は諒くんと一緒に帰らせて欲しいな・・・」

「うん、いいよ。私は大丈夫」

「ほんと・・・?わぁ、ありがとう!夜見子大好き!」

私は少し困ったような笑みを浮かべた。

あちらの明美からも同じような言葉はよく聞くのだが、如何せんこんな柔らかい調子で言われるのは初めてなのでどうしても戸惑ってしまう。

 

「そういうことだから・・・よろしくね夜見子」

「えっと・・・よろしくね」

「あ・・・うん」

・・・美坂諒といったら身長高のイケメンで性格も◎、明美と付き合う前は競争率が50倍とかいわれてたのに・・・

こっちじゃ冴えないな・・・

 

・・・まぁそれはどうでもいいとして。

 

 

私の予想通り、こちらの2人は付き合っていた。

それなら明美の親友として私がすることはただ一つ。

 

 

この2人を別れさせること。

 

 

こちらの世界で起きたことの正反対のことが向こうの世界で起きるのなら、こちらの2人を別れさせればまたあっちの2人はくっつくはず・・・

 

だが、問題はどうやって別れさせるかだ。

 

前にも言ったが、私は恋愛経験が皆無なのである(この前の男子からの告白は無視するとして)。

故にどうやって男子の気を引かせるか、またその逆をあまりよく分かっていない。

 

ならば、明美の方の気持ちを変化させるか・・・

 

少なくとも、向こうの明美の性格は熟知している。

こちらの明美の性格は、単純に言えば向こうの明美の正反対と考えていいだろう。

 

向こうの明美の正反対・・・

 

・・・気弱、控えめ、大人しい・・・

 

そんな明美の気持ちを美坂君から離れさせる方法・・・

 

ありもしない噂を流すか・・・?

美坂君には他に付き合ってる女子がいるとか・・・

 

いや、それで確かに明美は傷つくだろうが、それで別れるまでに至るだろうか・・・?

 

美坂君のかっこ悪いところを見せる・・・

 

向こうの明美ならまだしも、こちらの明美じゃあまり効果はないか・・・

 

 

授業時間を屋上で過ごしながら、(そうしないと向こうでの評判がまた悪くなるため)頭をひねった。

 

しばらくしていると階段のほうから声が聞こえてきた。

もう休み時間になったのか…などと最初は思っていたのだが、その聞こえてくる声の調子が引っかかった。

聞き耳を立ててみると、少しばかり内容が聞き取れた。

 

「な…浮気…のよ…!!」

 

あぁ…いわゆる修羅場というものか…

 

…浮気…?

 

 

浮気……か……

 

一番原始的な方法を忘れてた

 

説明
−指先のほんの一振りで、世界は180度変わることがある。−
−これは、鏡の表と裏の、無限の可能性の話−
その第7話。
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現代 ファンタジー 

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