漆黒の狂戦士と薄幸の魔王<決戦・2> |
<side 黄蓋>
いかん!!!
あれは・・・・何かが違う。うまく言葉で言えぬが・・・・唯判るのは、権殿が危ないことじゃ!!
思えば策殿を守れなかった、ワシが言うのもなんじゃが・・・せめてもの・・・権殿だけでも守ろう!!
そう思って、権殿の腕を掴みそのまま・・後ろへと放り投げた。
幸い、後ろには思春と明命が受け止め・・落馬してくれたのだった。
安堵したのは、つかの間・・・・振り向くと四刃の光のうちの一刃が・・・・わしに迫っていた。
多くの若者たちを巻き込んでしまったのは、ワシ自身の未熟さゆえか・・・・?
だか堅殿・・・策殿・・・・江東の希望の光は・・守りましたぞ・・・冥琳・・権殿と江東の未来を託すぞ!!
そう願うとワシの体は・・・・光に飲み込まれ・・意識・・が・・・・
side end
「うく・・・・」孫権は少し打った体に鞭打つ、立ち上がり・・・・目眩がした。
辺りを見渡す限り・・・血の海が広がっていた。
これが・・・・我が同士達の・・・果て・・なのか。
そこで見つけてしまった・・・・一本の腕・・・・その手には、弓が握られていた。
見間違うはずが無い・・・あれは、黄蓋・・祭の・・・ゆ・・・みぃ・・。
「ぁ・・あ・・・・・ああああああ・・・・ああああああああ!!!祭!祭!!さいぃぃーーーーーー!!!」気がつけば・・悲鳴を上げ、泣いたのであった。
所変わって、この戦場は劉備軍。相手は小次郎・羽賛の二人組み。
そんな場所で・・・・竜と侍は舞を・・
「っじゃっっ!」「っしっっ!!」一騎打ちをしていた。
竜が槍で突き刺せば、侍が少し体を横にずらし・その隙を剣にて横に一閃、それを竜が防ぎ再び槍を繰り出す・・・・その繰り返しであった。
「ふむ。見事よ、槍使い。まだ舞っていたいが、これで終幕と以降ではないか。」と小次郎が宣言する。
「ほう。そうか、私もそう考えていたところだが、実力は共に五分。私を倒せる秘策でも?」そう趙雲が問いかけると、小次郎は唯、構えた。
背は趙雲に向け顔だけが左肩越しに向けられ、刀は目と水平に構えられている。
一見隙だらけにしか見えない構えだが、その実一分の隙も見せてはいない。
それを証明するように、趙雲が槍を構えた。それも、先ほどとは違い必殺の構えであった。
辺りの空気が急速に冷たくなる。小次郎の極限まで凝縮された、切っ先のように鋭利な殺気が、首にヒタリと突きつけられる錯覚を趙雲は感じた。
「秘剣――――――」
小次郎が踏み込む。趙雲もそれに合わせ槍を突き出す。先ほどとは違い・・・・音速を超えるほどの突きを!!!
だが―――
「――――――燕返し」
烈風が吹く。今までのどんな一太刀よりも速いそれは、烈風と呼ぶ他はなかった。風の質はそのままに稲妻の如き速さが加わったこれは、風雷と呼んでもいいかもしれない。
風雷は上段から真っ直ぐに落下する。その余りの速さに、驚愕の表情を浮かべることすら出来ない趙雲。そんな余分を含んだ瞬間、体が左右対称に割れてしまう。
故に表情はそのままに。落ちる風雷を見据えて、趙雲は迎撃に打って出る!
「―――ハッ!」
ギン!!、と音が響いて、趙雲は風雷を防いだ。人が―――盟友・関羽ですら出すことの難しいだろう速度の一太刀を防げたことに、趙雲は内心を喜びに染めた。
あれほどの太刀を放ち、あまつさえ防がれたのだから、小次郎にはこれ以上無い隙が生じているはず。
趙雲はそう思い、刃を返そうとして―――
――――――瞬間、二つの風雷がその身を裂いていた。
それは、趙雲の視界にどう映っただろうか。上段からの風雷を防いだ瞬間、どこからともなく二つの風雷が現れた光景が。・・・・・・否、恐らく理解は及ばなかっただろう。僅かに喜びに染まったままの表情が、それを物語っていた。
・・・・・・何だ、今のは
「避けられなんだか。如何に竜の如くとはいえ所詮は人、燕には遠く及ばなかったということかな?
」
趙雲はたった今、わかった。自分は斬られたのだと・・・・
「・・・・・・何を呆けた顔をしているのだ? いや、そのような表情も花があっていいが、少々品に欠けると思うぞ」
「下らん・・事・・・言うな・・・それよりも・・・今・・何をした・・貴・・・様!!」
それだけ言い、趙雲は強い殺気を込めて、小次郎を睨んだ。答えねば殺す、と視線にも言葉を乗せて。だがその先にいる柳のような侍は、やはり殺気をものの見事に受け流して口を開いた。
「何、そう大した芸ではあるまい。偶さか燕を切ろうと思いつき、身に付いただけのものであるからな」
「燕・・・・・・・だと?」
さっきまでの殺気を消し、自分を斬った妙技の種明かしを聞いた。
「燕、という鳥はな。風を感じて飛ぶ方向を自由に変える鳥だ。故に、大気を通らねば振れぬ刀で奴らを断つのは不可能よ。連中にとって速い遅いの区別は無い。更に太刀など所詮一本線に過ぎぬ。八方に方向を変えられる燕を断つことが出来ぬは道理よな」
唐竹(切り落とし)の線をなぞり終えた小次郎は、次に別の線をなぞり始める。軌道は逆袈裟。右側の首元から左脇下を両断するような軌道だ。そして、自分を斬った技の種明かしも、同時に進んでいく。
「どうしたものかと学の無い頭で考え、私は一つの結論に達した。一つで足らぬのならば増やせばいい、とな。
一つ目の太刀で燕を追い込み、二つ目の太刀で逃げ場を無くし、三つ目の太刀で断ち切る。だが知っての通り連中は素早い、加えてこの長刀だ。真にそれを成すのならば一息の内、ほぼ同時に放たねばならぬのだが、それはもはや人の身で行える業ではない。叶うことなど有り得ぬと承知していたが―――」
二つ目をなぞり切り言葉を区切ると、三つ目の線を示し始めた。最後の軌道は逆胴。左から右に胴を両断する線。種が割れるのは近い。
「―――生憎と、他にやりたいことが無かったものでな。一念天に通ずと言う言葉の通り、只管に剣を振ってきた結果は、下らぬ思い付きを必殺の剣に昇華してくれたという訳だ。
故に、秘剣・燕返し。三つの太刀を同時に放ち敵を確実に四散させる、我が唯一にして究極の必殺剣よ」
種が割れるのと、三つ目の線をなぞり終えるのは同時だった。小次郎が示した、その技の正体と同じように。
―――ハッ
知らず、趙雲は内心で苦笑を洩らした。
―――つまりこの男は、ただ只管に修練を積んだだけで『三太刀同時攻撃』なんていう絶技を身に付けたのか。
「ならば・・・・私の奥義を・・・お見せしよう。」
昔、見た夢。
ゴツゴツした道の上で戦っていた男女。男は槍で女の胸を・女は光の玉で男を肩から抉った二つの技。忘れられず、只管に訓練し編み出した二つの技をあわせた絶技を!!!!!
趙雲は構えた・・・小次郎も再び構えた。
二人の周りは静かになった。
動いたのは・・・・小次郎!!!
「――――――燕返し」
再び三つの剣撃が趙雲を襲う。
「後より出でて先に――――(竜爪――――)」
その刹那・・・・趙雲の槍は
「――――突き穿つ槍撃(――――返刃)」
小次郎の胸を穿っていた。
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更新。小説家になろうでも読めます。 | ||
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星が英霊に!!!(機構の拳を突き上げる) 宝具祭りですね。(永遠の二等兵) 星が英雄の座までのぼった!!? そして小次郎がカッコイイ!!!(ペンギン) |
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