真恋姫無双 北郷一刀と博愛の帝國(後編) |
真恋姫無双
<北郷一刀と博愛の帝國(後編)>
(はじめに)
未来にある偉人が言いました。
「ふぉーすを感じるんだ!!」
宜しければ読んでみてください。
あまり深く考えると知恵熱が出ますので考えないでください。
『偏 愛 主 義』
『ある物』やある人だけを偏って愛するべきであるという考え方
・・・造語です。
現在、
大明宮の城壁には多数の守備兵とそれを包囲している好禁党
党員が時々、矢を飛ばしあい両者はこう着状態となっていた。
「あわわわ、朱里ちゃん。私達はただ長安に会合に来ていたはずなのに…… きゃや」
雛里は涙目で鼻息荒く弓弩を撃つ兵達に的確に指示をしている朱里に尋ねた。
「ふっふふ、小癪にも反撃するなんて、
皆さんあそこの密集しているところに一斉射撃してください」
「朱里ちゃん、楽しんでない」
「雛里ちゃん悲しいけど、これって戦争なの。人は博愛の生き物ではないよ」
朱里はワザとらしく目元をハンカチで拭っているが、
雛里にはどう見ても朱里は楽しくて仕方が無い様子であった。
そもそも、朱里と雛里は長安で開催される全国八百一の会(男子禁制)の学院代表
として参加する為に長安に来てたはずであった。
しかし、何時しか長安の街区の至るところで火の手があがり
それに比例するかのように城内の兵士達が慌しくなっていった。
はわわわ―――――
――――――あわわわ
朱里と雛里は戦火から逃れる為に右往左往して逃げ回った。
しかし無常にも二人は戦火を逃れるはずが逆に最前線に迷い込んでしまっていた。
そこで、朱里と雛里は何かを連呼しながら突撃する敵兵達を目撃した。
全国で蜂起している黄巾党が有名であるが、その他にも東は黒山賊
西は西涼の韓遂、北は北宮伯玉といった地域に密着した反乱軍は多数
蜂起していることは誰もが周知であった。
しかし、この長安を襲った賊軍は他とは万里の長城ぐらいに
一線を引いた異質な存在であった。
『貧乳はステータスだ! 希少価値だ!』
『巨乳万歳!』
賊軍が何やら奇怪な言葉を繰り返し唱えいるのを聞いて
何を思ったのか朱里は隣にいた雛里を見た。
じっ――・・・
ぷに・キュ・すとーん
「――――!?」
そして、朱里は慌てながら己のカラダを見比べた。
ツル・ぽこ・ズとーん
「はわわわっ……ひっ 雛里ちゃん、この前の測定どうだった……」
雛里は口元に手をやりしばらく考え、顔を引きつらしている朱里に言った。
「うん、朱里ちゃん全然前と変わんなかったよ。
ただ最近服がちょっときついかな」
「―――――!?
ひっ、雛里チャンのブルジョアめ〜!」
「あわわ――――、朱里ちゃんいきなり泣き出してどうしたの」
そう言って貧乳でも巨乳でもない幼児体型の朱里は
近くで命令を出していた守備隊の隊長にしばらく何か話をすると
守備隊の隊長は突然泣きながら逃げて去っていった。
……隊長さん泣きながら行ったけど、 朱里ちゃん一体なにしたの……
雛里は時々朱里がときおりみせる神がかり的な能力 『神算鬼謀』
これこそが孔明が孔明たる所以を周囲に見せ付けるものであった。
もっとも朱里がこうなる時は何か理不尽な理由で黒い情熱で抱いて
やっているが多いことを雛里だけが知っていた。
「ここの守備隊隊長が敵前逃亡をしたことから、私がこの部隊の指揮をします!!」
それを聞いた古参の兵士達から町民が口を出すなと不平の声が上がった。
しかし朱里はすかさず潤んだ瞳で不平を言う兵士達の手をそっと握り問いかけるように言った。
「皆さん、私を信じてください……(ウルウル)」
「……わっ、われ、我々は貴女に忠誠を尽くします(ポッ)」
幼女嗜好の危ない兵達とそれを内心ほくそ笑む黒い朱里の利害が一致した。
はぅ〜 雛里は帽子を深くかぶりこれからどうなることかと考えるとため息が出た。
最前線に来た一刀は馬上から、今だ組織的な抵抗をしている一角を見ていた。
城壁には守備をしている兵はもちろん、戦火を逃れる為に避難した女・子供
までもが武器をとり、城壁を駆け昇ろうとする好禁党党員に熱湯を掛け
投石したり皆必死で持ち場を死守していた。
「仲達、あの一角を攻略し始めてから、どれぐらいかかっている」
「およそ三刻かと」
苛立ちを隠せない一刀の問いに仲達は小首を傾げ、しばし考えて話をした。
簡単な梯子を組み城壁に掛け、蟻のような隊列で城壁の一角に集中する。
今だ落とせぬことにあせりを感じた前線指揮官は声を張り上げ兵達を叱咤する声が聞こえてきた。
一刀は低い冷たい声で仲達に眼前の城壁を落とすために
現在の部隊を後退するように命令をだした。
そして、好禁党 第13連隊 にあの城壁攻略を命じた。
「第13連隊……あのおぞましい悪魔の集団をお使いになるのですか!?」
一刀の命令を聞いた随伴の幕僚達は血相を変えた。
仲達は自らの策を交えながら一刀の命令を補足説明をした。
「あの一角は金城鉄壁であり、指揮官は墨者のように籠城戦
を得意とするものが守っております。
兵法では城壁攻略には守備兵の倍の兵を動員しなければならず
また今の攻城方法では余りにも時間が掛かりすぎます。
以上のことから、この用兵では悪戯に兵と時間を浪費するだけになります。
そこで、第13連隊をこの場で投入するのです」
「しかし、あの連中は敵のみならず味方にも甚大な被害を与え
戦線を維持できなくなる諸刃の剣です。
閣下、今一度ご再考を!!」
一刀は重い口を開き第13連隊の恐怖におののく将校に優しく語った。
「貴様の危惧することはわかる。
しかし我々は多くの民の平安を実現させるためには一刻も早く
長安を制圧しなければならない。
そう、その為には例え好禁党の暗部と呼ばれる者共を使ってでもだ……」
一刀の真剣な表情に決意に意を感じた将校は
第13連隊に命令をすべく馬の踵を返して駆け出していった。
暫くして、
ゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
大通り遠方からこちらに向かい何かが疾走することにより
生じた地響きと砂煙が巻き上がってくるのが見えた。
目の良いものはそれが多数の人の疾走により起こされたものが窺えたであろう。
そして、次第にその輪郭が見えてきた。
それは気の弱いものが一目見れば萎縮してしまうような面構えであった。
それは野武士を連想するかのように男気ある精悍な眉であった。
それは極限にまで鍛え上げられた筋骨隆々な肉体であった。
そして、全員が 『 女 装 』 していた………
「第13連隊、お兄様のご命令により駆け散じましたワン」
三つ網をしたメガネの委員長風の連隊長は鍛え上げられた上腕筋で
しなをつくりながら一刀に着任の報告をした。
「ご苦労、 楊(ヤン)連隊長 オット、それ以上近づくな」
この手の人外をも相手にしてきた百戦錬磨の一刀は面妖な連中を
相手にしても顔色一つ変えることなく着任の挨拶を受けたが
仲達を筆頭に他の将校達は短い悲鳴を上げ後ずさりをしていた。
今は亡き及川が手塩にかけて創り出した特殊精鋭部隊
その名も 『絶対☆漢娘(オトコノコ)』
あらゆる戦場にて過酷な任務を遂行できる強靭な肉体と精神
漢女に匹敵する高い戦闘力を量産化した異色の戦士達
人はそれを、『漢娘(オトコノコ)』 と言う!
連隊の分隊長達も一刀に報告にやってきた。
「べっ、べつにアニキの為に来たわけではなく一応仕事だからね(ツンデレ風)」
「アニ様、ゴホゴホ、私はアニ様の命令に従います(薄幸少女風)」
「ヤッホー、ボクはさっさと仕事を片付けるよー(ボクッ子風)」
漢娘は及川により『ありとあらゆる萌え!』に対応できるように
一人一人が特殊訓練を受けた猛者であった。
なお、彼らは皆鍛え上げられた筋肉でその衣服はパチンパチンであった
ことは今更言うまでもないし、聞きたくもないであろう……
「バッ バケモノの集団だ……」
一人の若い下士官が何気に言った言葉に三つ網の連隊長は素早く反応し
下士官の背後に回り首を絞めた。
「ムッキ〜こんな可憐で清楚な私たちに向かってなんていい草なんでしょ。
これは教育が必要だワネン」
ふっん ゴキッ!
連隊長の腕に締め上げられていた下士官の首の辺りから鈍い音がして
首がありえない角度に曲がった。
連隊長のフローラルな汗の香りのする脇の下が解けると
糸の切れた人形のように下士官は立ち崩れた。
一刀は楊連隊長の無音瞬殺の手際に満足した表情で、第13連隊隊員に向かい語り出した。
親愛なる我が精鋭諸君・・・
諸君らは不可能を可能とするべく鍛え上げられてきた 。
だからこそ俺は成功しか求めない。
諸君らの力と技は、無敵である 。破れぬ守りなど存在しない!
我が親愛なる友が築き上げた精鋭達よ。
諸君らが・・・破られるはずがあろうか。
ただ、喧騒と炎をまとった力士(どすこーい)の如く可憐な乙女(いや〜ん)であれ。
俺は唯一それのみを期待する。
「オッシャ! オメーラ、大将からの命令だ。気合入れて行くぞ!!
きゃ! 私としたことがハシタナイ〜。 お兄様からのご期待よ〜 ミンナ張り切るワョ〜ン」
熊を殺すような巨体でしなをつくる連隊長を一刀以外の幕僚は奇異な目でそれを見ていた。
第13連隊が投入されてから一刻の時間が経過した……
遠方からその戦況を監視していた者達は誰もが青ざめた顔をしていた。
その光景をじかに目撃した気の弱いものは両足を抱えガタガタと振るえ
又別の者は余りの衝撃で精神が崩壊し土壁に向かい頭を打ちつけていた。
そのような中で、唯一精神の均衡をなんとか保っていた書記官だけが
この阿鼻叫喚の地獄絵のような戦況を記していた。
「……猛牛のような顔をした漢娘は、口に油条(揚げパン)を咥え、
『遅れちゃう〜 きゃや〜イタ〜い!』
と言いながら暴れ馬の如く若い兵の一団に肩から突撃していった。
また、ツインテールにした漢娘は、
『オニイチャンが起きないなら上に乗ってやるんだから!』
と叫び、重装備をしていた兵達にフライングボディーアタックをして
敵兵達を圧死した。
あるメガネをした漢娘は、
『アレ〜 ボクのメガネ何処いったの〜 』と頭にあるメガネを探すようにして
ダブルラリアートで群がる敵兵を次々と遠方まで吹き飛ばしていた。
敵は余りの出来事に皆戦意を喪失しており、
これはもはや戦闘と呼べるものではなく一方的な大虐殺であった……(ウップ)」
絶対☆漢娘が戦力投入されるまでは善戦をしていた朱里と雛里であったが、
人外の生き物の登場により戦局は大きく変わってしまった。
眼下に広がる阿鼻叫喚を見て、青ざめた顔で考えていた雛里はある一点に敵の本陣まで
手薄な経路があることを見抜いた。
だが、その経路を通過し敵本陣を奇襲するにはこのバケモノをどうにかしなければならない。
雛里の敵本陣に進撃するための戦術を聞いていた朱里は顎に手を置き、
戦場を眺めていたが決心したかのように雛里に言った。
「雛里ちゃん、 正義は時には残酷なの。 その為には そう、ある程度の覚悟が必要ね」
それから暫くして・・・
ジャ―――ン!ジャ―――ン!
いきなり、城壁の上から銅鑼を鳴らす音が聞こえた。
息もたえだえな若い兵に情熱的で濃厚なベーゼ(人工呼吸)をしていた漢娘
服を脱がされ自分の貞操を守る為に必死に槍を振り回している守備兵
誰もが銅鑼の音のする城壁の上を見た。
「あわわわ、エー 反乱軍の皆さん、お仕事ご苦労様です。
本日、長安に新装開店したホストクラブ
『残酷 † 黒薔薇縛り』
の開店祝い限定割引券をただいま配布しています。皆さん是非ご来店ください」
雛里は涙目で出来るだけ大きな声で叫んだ。
そして手にある紙切れをヤケクソのようにあたりにまき散らかしていた。
何気なく舞い落ちてきた紙を見たモノは更なる衝撃を受けた!
ホストクラブ 『残酷 † 黒薔薇縛り』
『美少年から美青年、美老人!!! あらゆる男性が貴女を満足させます』
「ワシの好みのオノコとヤルんじゃ――!!」
この一言に反応したかのような戦線に投入されていた人間兵器達は
飢えた野獣の如く天から木の葉のように落ちてくる割引券に群がり
その券を手中に収めるべく同士討ちをしだした。
「思ったとおりになったけど、朱里ちゃんこれで暫くは時間稼ぎにはなるよね……」
眼下のおぞましい叫び声や血飛沫を恐々と涙目でみていた雛里は
別働隊を率いて敵本陣に奇襲に行った朱里達の安否を心配した。
真の漢女は、自分好みのオノコがいればそのオノコに身も心も捧げる。
しかし漢娘は所詮は漢女を劣化量産しにすぎず、その精神は脆く自己の欲望まで制御できない。
「ズボッと狙うんじゃ―!!」
意味深な言葉を叫びながら漢娘同士討ちを始めたのを見ていた一刀は
瞬時に漢娘の弱点を的確に分析し、素早く対抗手段を構築した敵の戦術家の存在に舌打ちをした。
その頃、
朱里は損傷の少ない兵100を率いて、一刀達のいる本陣を奇襲すべく後方を移動していた。
兵達の息は荒く、もはやこの奇襲に失敗したら兵達の士気は極限に低下してしまう。
朱里は兵達を鼓舞するために語り出した。
「私たちは…… 国の為に闘うのではないのです。
ただ己の生涯で成すべきこと、それは愛の為に立ち上がるのです!
その先にあるのが たまたま死や他の何かだとしても、
私たちは戦い続けなければなりません」
朱里は兵達を激励しているうちに、あと敵本陣まであと100歩手前にまできた。
本陣は臨時に設けられたことから、周囲は木柵もなく簡単な布を張って周囲を
隠しているだけであった。
そして、その布には一人の人影が映し出されていた。
それを見た朱里は直感した。
この賊軍の首謀者
朱里は手を上げ兵達に指示を出した。
(ここにいるのは天の御遣いでも、救国の英雄でもありません。ただ一人の男がいるだけ)
朱里の命令により射手達は敵本陣中央に照準を合わせ矢を身構えた。
(第一波、第二波 用意! 撃て!!)
朱里の命令により敵陣中央に孤を描くように無数の矢が飛来していった。
矢は雨のように中央に降り注いだ。
数瞬、悲鳴のような声が挙がった。
敵将の頸をとった。
朱里は内心この奇襲の成功を確信し、抜刀を号令し止めを刺すべく突撃した。
「いや〜ん、オトメの柔肌にキズが残ったらどうするのよ〜」
幕の向こう側にはセーラー服を着た不気味な三つ網した物体が一匹だけおり
その周囲には降り注いだ矢が全て地面に突き刺さっていた。
「はわわわわ・・・だっ、第三波 射撃! 撃て!!」
水平距離、それも至近からの射出により誰もがこのバケモノをハリネズミのよう
になることを想像した。
しかし、連隊長は三つ網のお下げを振り回し哄笑と共に次々と飛び交う矢を叩き落した。
人間離れしたものを見ていた射手達はあまりの恐怖に慄いた。
だが、そのような中で一人の勇者がいた!
震える手で、このバケモノの心臓を狙い矢をは放った。
しかし、弓を引く張力が足りずバケモノの心臓ではなく、腰を僅かにかすっただけであった。
だが、そのヤジリは連隊長の下着の紐を切り裂き、
スルスルと解け白のレースの下着は地面に落ちた。
「イヤ〜ン、まいっちんぐ!」
雄々しいおぞましいものを強制的に網膜に焼き付けた兵100名は悶死した……
「……ぐっほ、やっぱオレここで死ぬのかな……田舎(クニ)に残してきた桂花に……」
「張、しっかりしろ! 子豚の桂花はオレが美味しく食べ ―――!? チャ――ン!!!(男泣)」
はわわわわわわッ
朱里は周囲の兵が次々と感動的に天に召されるのを見て、考える暇もなく右往左往していた。
その時、朱里の左右側、後方から軽装兵が戟を構え朱里達一団を囲った。
その包囲陣から光を異様に乱反射する化学繊維の上着を肩にかけた男が進み出た。
「そこまでだ! ロリコンども!
股間から手を離し、ゆっくりとパンツをあげろ! そうだ、ゆっくりとだ!」
アメリカの刑事ドラマ風に言った一刀の警告により朱里達は密集し
突破口はないか様子を窺っていた。
「貴方がこの賊軍の首謀者ですか?何故私たちが本陣を奇襲することがわかったのです」
朱里は少しでも時間を稼ぎ、事態が好転するように一刀にかまをかけた。
「今は無き友の残したこの上着、
ヨダレや謎の体液が付いて汗臭いや……
これは持ち主の念が込められているようで四方八方に女性の氣を
感じると素早く反応するようになっている」
朱里は怪訝な表情で、
「エッ……と 貴方様の近くの女性には反応しないのではないでしょうか……」
それを聞いて一刀は爆笑した。
「ハッハッハッハッ、ハー!
そう俺の演説を聞いたことから極少数の女性以外は
『最低ッ――!! 』
と言ってこの軍団から去って行ったのだ……
その為、この軍団にはムサイ男のみで女っ気などナイ!!」
この一刀の話を聞いていた仲達は、くやしいけど、僕は男なんだな……とボソっと呟いた。
仲達の言った言葉をかれーに無視し、話題を逸らす為に一刀は小動物のような少女の名を尋ねた。
朱里はもほやどうでもいいような脱力感に襲われ、
やさぐれた目をしながら自らの名前を名乗った。
「諸葛……亮、 字は孔明」
「ウソをつけ!」
「あわわわわっ、な、何を根拠にいきなり否定するんですか」
一刀は横にいた仲達を引っ張り言った。
「これを見ろ、司馬仲達ですらこんな美少年なのだから、
この世界最高最大の大策士 天下の孔明ならもっとこう妖艶なオトナの女性で
ラフレシアの如くプンプンと漂わした 雰囲気をだな・・・」
「天下の孔明なんてテレます……って、それじゃあ私の存在全否定ですか!?」
「うん」
一刀の心無い一言に朱里は轟沈した。
「さて、何故その孔明ちゃん(自称)は何故官軍を指揮していたんだ」
朱里はやさぐれた目でボソボソと話だした。
ううっ、貴方の唱える博愛とは第三者から見た考え方なのです。
当事者は持つ側と持たざる側の二つに分かれるのです。
その為貴方の唱える博愛など虚構で人は偏愛する生き物なのです。
一応言っておきますが私が決して持たざる側にいるからではありません。
それを聞いた仲達は朱里に反論した。
「間違っているのは兄様ではありません、世界の方なのです」
ジィ――・・・
と反論する仲達を見た朱里は言った。
「それは貴方が持つ側に立っているからです。
なんですか!! 男なのにその沁み一つない絹のような肌やねたましい位の腰のくびれは!」
「それは貴女が日頃の節制を怠ったのが原因ではないですか?
僕は常日頃鍛錬をしているのですよ」
仲達は朱里に舌戦を仕掛けた。
「人間は美味しそうなお菓子があればつい食べ、
今日ぐらい怠けてもいいやと考えるのが人情ではありませんか」
「そんなの個人の自堕落が原因ではないですか」
朱里は仲達に人は生まれながら怠けてしまう性怠説を語った。
しかし仲達は人は生まれながら働きものであるが環境が人をダメにする性働説で論破した。
そして、朱里と仲達の舌戦は一刻以上にも及んだ。
「はぁはぁ、どうやら貴方とは同じ天を歩むことは出来ないようですね……」
「それは、僕のセリフです……」
両者は互いににらみ合い、その背後にはあたかも龍と虎の姿が見られた。
「朱里ちゃん、早く乗って逃げるよ」
突然の乱入者の登場で周囲を包囲していた党員達は散開した。
その乱入者は馬に乗った雛里であった。
雛里の馬に乗った朱里は仲達を見た。
「司馬仲達、貴方を私の敵と認識します……」
「……諸葛亮、その幼児体型覚えましたからね」
朱里と仲達の舌戦に呆けていた為周囲の警戒を怠っていた為、
単騎突進してきた雛里の存在に気つかず朱里と雛里の逃走を見逃してしまった。
私はオトナの女性です! 幼児体型じゃないです―――!!
と朱里の雄叫びを残し逃走を許してしまった。
「追え!ヤツラを逃がすな」
「仲達、もういい。それより作戦を継続する」
荒野を単騎掛けていく馬を尻目に一刀は長安攻略を指示した。
ワァ―――!!
掛け声とともに、完全武装した兵士達が一刀達を囲った。
一刀は天の御遣いに相応しく神々しく何のマネだと硬く響く声で質問をした。
その反乱兵の一団から二人の人影が現れた。
月と詠であった。
「詠どうやってあの拘束を解いたんだ!?」
冷や汗を流しながら後ずさりする一刀に詠は不敵に笑った。
「アンタがいない間に、?統と名乗る子が縄を解いてくれたのよ……
さあ、どうしてやろうかしら」
「仲達、何か策!? 仲達何処に行ったんだ」
脇に控えていた兵士が一刀に素早く話した。
「仲達様なら家の門限になりましたのでお帰りになられました」
「チッ、これだから夜遊びもしない良家のご子息は」
ジト目で指を鳴らし近づく詠に一刀は防ぐように近くにいた兵を盾にした。
「みんな〜もうすぐ夕ゴハンだから帰るよ〜」
月の掛け声に一刀の周りにいた兵士達はぞろぞろと月の元に降っていった。
「月の軍団は、アンタが思っている程柔ではなく月がいれば一枚岩のような結束力があるのよ」
「まて、詠はやまるな!そうだ。長安で入手した氷菓子引換券を10枚やろう」
「で、それからなにか言い残すことは……」
「わぁ、わかった。それなら引換券30枚でどうだ」
一刀の言葉に無言でいた武闘派軍師は刻々と一刀の命の蝋燭を消すかのように近づいて行った。
「オレは・・・オレは・・・一体何の為に戦っているんだぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!」
「アンタのためでしょ」
その夜、董卓軍の中央広場に一刀は磔にされて首には但し書きが吊るされていた。
『淫 果 応 報』
あとがき)
はじめまして、この度は
外伝「真恋姫無双 北郷一刀と博愛の帝國(後編)」
をご覧になって頂きましてありがとうございました。
前編は所詮カレーの福神漬けにすぎず、今回の外伝のキモは
この後編がメインとなっております。
本編にでてきました性怠説ですがあれはテキトーに造った言葉
です。本気にしないでください。(笑)
キモである『漢娘(オトコノコ)』ですが、ある方とメールを
している最中に「男の娘」なら「漢の娘」というのが発端でした。
何せ、漢女を劣化量産化を実現した及川の手腕、チートキャラでは
なく、リセットキャラですのでなんでもありです。あと、及川に
関しましては一刀が天の御遣いらしく神々しい描写ですが、及川は
胡散臭い描写で書いております。
ドラマCDの「ドM」を一度聞いて頂いてから本編を読まれるとより
一刀の性格設定がわかると前編でかきましたが・・・
意外にもゲームはしたが、ドラマCDを聞いていないと言う方が多い
ようでした。本編を楽しまれた方ならドラマCDも楽しめると思います。
(まだ「にこ☆さうんど」にあったかな・・・)
最後まで、本編を読んで頂きまして大変ありがとうございました。
説明 | ||
この話は、本編とは関係のない外伝です。 今回のはお笑い重視となっております。 その為、時代考証はメチャメチャです。 又、時間の関係で前後となりましたがこちらがキモです。 また、本編は自主PG12指定(小学生には非常識なオ・ト・ナの助言や指導が必要)ものです。 それにしても、本編より外伝系の割合が多いというのも…… |
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コメント | ||
>jackry様コメントありがとうございます。そうです深く考えると膝を抱えガクガクブルブルになります。(笑)(thule) >リーゼア様コメントありがとうございます。男は皆、オオカミですという発想からでております。(thule) >Night様コメントありがとうございます。ををを、コレの意味がわかりましたか?本編よりタグの方がインパクトあるかなと思いまして書きました。(thule) >ねこじゃらし様コメントありがとうございます。ふっふふ典型的な萌では面白くないでしょうww最近体得した経験では、そこを典型的でないモノがするから笑いがでるようです。(thule) 子豚の桂花←色々酷いwwww(リーゼア) お疲れ様です。タグの時点で笑わせてもらいました、連隊長…最後は一刀見捨てたのか(Night) 話が違うぞ!男の娘が典型的な萌えをかます話ではなかったのか!?笑いすぎて腹筋鍛えられたからいいよもう…。(ねこじゃらし) |
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