真・スーパーロボット大戦第一章1話“鋼の青龍”
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 Scene 01 「鋼の青龍」

 

 3月X日 江東区 有明 

  東京ビッグサイト 正門  

 

 「大志の奴、人を呼び出して一体何のつもりだ?」

 彼、ブルックリン=ラックフィールドはいささか不機嫌な面持ちで雑踏の中ビッグサイトへ歩を進めていた。

 それもそのはず、ブルックリンはつい12時間前に演習地のオーストラリアから戻ってきたばかりである。

 彼は連邦軍第1独立装甲連隊に所属するPT(パーソナル・トルーパー)パイロットであり階級は少尉。

 そんな彼が何故こんな所まで足を運ばなければならなかったのか?

 話は11時間前にまで遡る。

 ブルックリンは部隊が駐屯している横田基地内にある独身者向けの官舎に演習でしごき抜かれて疲労がピークに達した体を引きずりながら帰って来たその時である。

 彼が個人的に所有しているD‐CON(高性能携帯端末)に飛び込んできた一通のメール、それが不愉快極まりない招待状であった。

 

 

 −【まい同士ブリッド、3月X日有明東京ビッグサイトにおいて待つ。なお、こない場合はいかなる事態になろうとも当方は一切関知しないものである。】−

 

 

 と言う差出人不明のメールだったのだがブルックリンには心当たりがあった。

 『こんな真似をやらかすのは奴しか居ない』

 あまり係わり合いにはなりたくはないほうの部類に入る知り合いの顔を思い出していたのだ。

 とりあえず3日間の休暇が与えられていたため行ってみる事にしたのだ。

 “ある”目的を果たすためでもあるのだが・・・・。

 愛車DUCATI SPORT1000レプリカを有明駅の駐輪場に止め、ヘルメットとグローブをコインロッカーに預け徒歩で指定された場所に向かった。

 それにしても人、人、人、人、途切れることのない人の波がただ一方向に向かって進んでいく。

 一体何があるのかブルックリンには分からないのだが、何か異様な雰囲気を感じたのも事実である。

 第一、この場にいる者たちの服装は凄まじく違和感を覚えるいでたちばかりであった。

 異様にそれも無駄にゴージャスなもの有り、鑑賞にさえも堪えないほどのもの有り、リアリティーに欠けすぎるもの有りその他etc。

 彼らにおよそ共通しているのはやたら大きなバッグを肩にかけているか、デイバッグを背負っているか、手引きのカートにダンボール箱を積み重ねたものをロープで固定したものを引きずっていると言うことである。

 そんな集団が死んだ魚の目でただ黙々と行進している様は異様を通り越してある意味不気味とさえ言えた。

 ブルックリンのいでたちはと言うと上は薄いベージュ色に染められたタートルネックの薄手のセーターにAVIREX社製のB‐3シープスキンW/Pを羽織る、パンツはLEVI‘Sモデル501(1955年型ヴィンテージ)、長年はき続けていたせいか良い風合いを醸し出している。

 足はティンバーランド社製ウオータープルーフシリーズのココア色が特徴的なハーフブーツで固め、胸元を飾るのは剣を模ったシルバーに誕生石が中央に埋め込まれたトップをつけた皮製のチョーカー、腰には大振りなウオレットチェーン、その先には“ウイリアム=ウオレス”の財布がGパンの右後ろのポケットに納められている。

 軍人らしく短く刈り込んだプラチナブロンドの髪に強い意志を秘めた氷青色(アイスブルー)の瞳が精悍な印象を与える顔立ち一つとってみても美形と言うほどではないが男前である。

 周囲から“浮く”様な状況になっても致仕方ないところであるのだが。

 ブルックリンは途方もなく場違いな違和感にさいなまれつつもその場に到着した。

 そこに元凶が傲慢不遜な態度で立ちはだかっていた。

 「遅いぞ!まい同志ブリッド、そんなことで我等の野望が達成できると思うか!」

 「五月蝿い!何時誰がお前の同志になった?!それに確かお前には俺のアドレスは教えて無かったよな九品仏大志!」

 「昔から言うではないか“蛇の道は蛇”と、幸か不幸か我輩はその手の知人には事欠かんのでな」

 大志は悪びれもせず得意気に自慢する。

 「それって犯罪じゃねえか?」

 「まあ、細かいことは気にするな」

 「気にするぞ、とてつもなく」

 「ここで議論している場合ではないのだ、さあいくぞ、我輩についてまいれ」

 「ふざけるな!話はまだ済んでないだろうが!」

 ブルックリンの抗議にも耳を貸さず大志はさっさとビッグサイトに向かい歩き始めた。

 「お、おい待てよ、まだ話は終わってないぞ」

 「時は金なり、兵は神速こそ尊ぶと言うではないか。今は一分一秒たりとも無駄には出来んのだ」

 「だから俺に何の関係があるって言うんだ?つーか聞けよ人の話」

 大志は故意に聞こえないようにしているのか一向に歩く速度を緩めなかった。

 そして、ある場所にたどり着く。

 「お、おい大志ここは何処だ?」

 見たところ何かの入場口のようにも見える、誰もがそこを通る際にスタッフと思われる人間にチケットのようなものを渡しているのが分かる。

 「まい同志よこれを与えようぞ、感謝するがよい」

 大志が脈絡もなく突きつけたそのチケットのようなものには“サークル入場券”と書かれていた。

 「へっ?」

 思わず一瞬間抜けな返事を返したが間髪いれず気を取り直し問い質そうとしたのだが大志はチケットをスタッフに渡してさっさと建物の中に消えていった。

 ブルックリンもそのチケットをスタッフに渡し後を追う。

 『相変わらず人の話を聞かない奴だな』

 このまま無視して引き上げてもいいのだが後々自分だけならともかく奴のことだから必ず周りの人間も巻き込みかねないしそうなると後々面倒な事になること請け合いである。

 『今日こそはキッパリ言わなきゃ駄目か』

 ブルックリンは一人ごちた。

 とはいえ大志は何も言わず一人勝手に行ってしまったのだから場所など分かるはずもなく適当にうろつきながら探すことにする。

 その道中、無駄なまでの元気が売り物の小柄な少女がおせっかいを焼いてくれたためか意外に早くその場所は見つかった。

 そこへ行くと壁際に山積みにされたダンボールを前にした一団の中に“ヤツ”がいた。

 「どこで油を売って居るか早く参れ!」

 大志はブルックリンを見るや開口一番かくの如き暴言に及んだ、無論自分の行動を棚に上げて。

 「いい加減にしろ、人を置き去りにしていきやがったのはどこのどいつだ!それになんの理由があって俺を呼びつけた」

 ブルックリンも負けまいと噛み付く。

 「だから我々の大いなる野望のためだと言っているであろうが」

 「お前の同類にされては甚だしく迷惑だ、その上理由になっていないのだが」

 かくして、二人の不毛な議論は毎度のことながら平行線をまっしぐらに爆走していくのであった。

 「なあ、あんたら取り込み中悪いんやけどな早よ準備せんと始まるで」

 ブルックリンを案内してくれた少女がその場に割り込んできた。

 「一体何の準備をするって言うんだ?」

 至極当然にブルックリンは問いただした。

 「無論、我輩とまい同志“千堂和樹”の血と汗と涙の結晶たる新刊販売の準備に決まっているであろうが!」

 その冊子を片手に握り締めながら無駄なまでのハイテンションで力説する大志の姿にブルックリンは呆れ果てたような冷たい視線を向けるのだった。

 「帰る!」

 そう言い放つやいなやブルックリンは踵を返して歩き出した。

 「ち、ちょっと待てここまで来て引き返すのか?それはないだろう」

 引きとめようと大志が食い下がる。

 「まったくもって俺には何の関係もない話じゃないか、そんな事の為に人のD‐CONに違法アクセスかますたぁ一体どういう了見だ!」

 「目的のためには手段を選ばぬのが我輩の主義でな」

 「そーやって無関係な人を巻き込んで良いなんて道理はないだろうが」

 「ならば何故貴様はここに来たのだ?」

 「無論きっちり“ケジメ”をつけるためだ、いいかげんお前の友人扱いされては迷惑だからな」

 ブルックリンはキッパリと言い放つ。

 「金輪際俺に係るな、それと近日中に“迎え”が来るから楽しみにしていろ」

 暗に今回の件を警察に訴えたことを告げた。

 そのときのブルックリンの表情たるやまさに絵に描いたような会心の笑みであった。

 当然だが大志の表情はショックで引きつっている。

 そして再び出口に向かって歩き出す、負け犬の遠吠えを背に受けながら。

 そうこうしているうちにイベントの開催を告げる放送が流れてきたのである。

 [これより、第XX回“こみっくパーティー”を開催します]

 場内から歓声が拍手が沸いてくる。

 異様な興奮がこの場を支配していく。

 途切れることのない人の列があたかも津波の如く四方八方に散っていくのが分かる。

 それはある意味“祭”である。

 物欲とリビドーと混沌が支配する祭である。

 この場に居る殆どの人間が己の欲望のままに同人誌を買い求めていく。

 無論、他人のことになど気にも掛ける事もない。

 歯止めのない欲望だけが暴走している。

 余りにも見るに耐えないその光景にブルックリンはいたたまれなくなってこの場を後にした。

 ブルックリンは人の居なさそうな場所を求めて移動する。

 『まあ、適当に流して“スキンヘッド”でも行くか』

 “あの”光景は見なかったことにしておくのが賢明であろうという結論を得た。

 かくしてブルックリンは外のほうに足を向けて歩き出す。

 そしてエントランスに出たブルックリンはそこでも現実離れした光景を目の当たりにした。

 その場にいるのはおよそ実際にはありえないであろう服装をまとい思い思いにポーズをきめている人たちとおそらくそれを目当てにしているのであろうカメラを構えてしきりにシャッターを切っている俗に言うところの“カメラ小僧”と呼ばれている連中に分かれる。

 とりあえずブルックリンは近くの自販でウーロン茶の350mm缶を買ってのどの渇きを潤しつつこの光景を見ていることにした。

 そんなときである。

 ふと、ブルックリンの視界に一人の少女が飛び込んできたのだ。

 少女のいでたちは過剰なまでの可憐さと愛らしさに溢れていた。

 ピンク色のベレー帽にフリルが所々あしらわれた桜花色のブラウス、金色の縁取りのあるピンク色の裾が広く極端に丈の短いスカート、手袋やオーバーニーソックスも桜花色に染められている。

 足を固めるエナメルのローファーまでもがピンク色に彩られているという徹底振りだ。

 その総てにこれでもか、と言わんばかりに紅薔薇色のリボンが咲き誇っていた。

 ひょっとして全てが彼女の為に設えられたのでは?という位よく似合っている。

 『髪の毛が紅い、コーディネイターなのかな?』

 確かに彼女の髪は紅い、しかし違和感はなくむしろそれが自然な形であるかのようにも見えた。

 しかし、何よりも印象的なのは宝石のような紫水晶(アメジスト)の瞳だ。

 天使か妖精に出会ったといっても言い過ぎではないようにも思える。

 ふと、少女と視線が合う。

 互いに身動きひとつ出来ずに見つめあい続ける。

 懐かしさがこみ上げてくる。

 暖かい気持ちがこみ上げてくる。

 愛しさがこみ上げてくる。

 生まれる前、いやもっと遥かな過去から。

 もっともっと以前の、いくつもの永劫を遡った昔から。

 否、もっともっともっと以前の久遠の時を遡り世界が生れ落ちる更にその前の遥かな昔から。

 『俺は彼女を“識っている”?』

 ブルックリンはその事実に愕然とした。

 やがて少女の瞳から一筋の涙が流れ出す。

 そして、少女はブルックリンの方へ歩を進めだした。

 「き、君は?」

 近づいてくる少女にブルックリンは問いかける。

 少女はブルックリンの目の前に立ち、真っ直ぐな視線を向けてきた。

 その表情にはブルックリンに対する懐かしさや愛しさが、そして幾星霜の時を経てやっと廻り逢えた運命の人に対する絶対的な思いが溢れていた。

 「逢いたかった・・・・・・ずっとずっとあなたに逢いたかった・・・・・・・・」

 そう告げると同時に少女はブルックリンに抱きついた、もう二度と放さないといわんばかりに。

 少女の温もりがブルックリンに伝わってくる。

 ただ、無限の愛しさだけが胸を満たしていく。

 二人の間の時間だけが永遠に止まっているような錯覚を覚える。

 だが、ブルックリンの中に何か引っかかるものがあった。

 『誰かが監視しているような気がする、この場にいない誰かが遠くから』

 この出会いさえその誰かによって仕組まれたのではないか?

 そんな気がしてならなかった、この少女は何一つ識らないのだとしても。

 少女の無垢なまでの想いさえ自分に対して悪意を持つ誰かが利用している。

 しかも、離れた場所からこの状況を見てほくそえんでいるのだろう“してやったり”とでも言わんがばかりに。

 ブルックリンの中には少女に対する想いと同時にこの出会いそしてこれから起こるであろうことさえも仕組んだ誰かに対する怒りがこみ上げてくるのを感じていた。

 しかし。

 「こらぁ〜そこっ、そこの痴漢!」

 突然、どこからか別の少女の声が聞こえてきた。

 我に返ったブルックリンが声が聞こえた方向に視線を向けるとそこには 男装の麗人が立っていたのだ。

 薄紫色の髪はショートボブにまとめられている。

 彼女の装いは所々に軍装風のアレンジが施されているせいか華麗さの中にも凛々しさが漂う。

 黒いビロードのマントは裏地の赤が際立って目立つ上に金色の生地もふんだんに使われているのが分かった。

 どこかの少女歌劇の男役と言われても誰もが信じて疑わないだろう。

 青味掛かった紫色の瞳に宿る光は彼女の気の強さを物語っている。

 その視線はお世辞にもブルックリンに対して好意的とは言い難いものがあった。

 少女は大仰なポーズを取りながらブルックリンを指差して

 「そこな痴漢、可及的速やかに“瑞希”ちゃんから離れなさい!」

 すっかりブルックリンを痴漢扱いである。

 「ち、ちょっと待った。これは突発的な事故・・・・」

 「問答無用!スタッフ呼ぶからねっ」

 発言する度いちいちポーズを決めながらなので少々鬱陶しい物がある。

 「少しは人の話を聞けーっ!それにいちいちポーズを取るような事じゃないだろう」

 「黙れ痴漢、貴様の弁解など聞く耳持たん。潔く神妙にお縄につけい!」

 弁解に対しても少女は聞く耳を持とうともしない。

 この騒ぎで周囲の視線がこの場に集中する。

 大分人が集まりだした。

 『い、いかん状況は最悪へ向かって驀進しとる』 

 このままではものの見事痴漢の汚名が問答無用に熨斗つきで進呈されそうな勢いだ。

 当然、ブルックリンも心中穏やかではない。

 二人の間が平行線をたどる中、もう一人の少女の発言が均衡を破った。

 「待って“玲子”ちゃん、あたしが自分から抱きついたの。だってこの人はあたしにとってやっと出逢えた“運命の人”なの」

 瑞希と呼ばれた少女が助け舟を出してくれたのだ。

 「えっ、み、瑞希ちゃん?」

 玲子と呼ばれた少女は信じられないと言った表情で瑞希の発言を聞いた。 

 しかし、気を取り直してすかさずブルックリンに噛み付く。

 「ち、ちょっとあんた瑞希ちゃんに無理矢理そう言えって脅迫したんじゃないんでしょうね?」

 「だから、俺が彼女を無理矢理抱いたり発言を強要したりして一体何のメリットがあると言うんだ?いくらなんでも俺だってTPOはわきまえるし女性を抱くときはそれなりの段取りを踏むさ」

 ブルックリンも反論する。

 「だ、だってあたしは瑞希ちゃんの事が心配だったし・・・・・・・」

 玲子は赤面しながら居心地悪そうにぼやき始める。

 「君が友達のことを心配するのは分かるけどもう少し冷静に考えたほうがいいんじゃないかな、こんな状況で言われても何の説得力もないと思うけど」

 あくまでも玲子を諭すように話すことを心がける。

 「わ、分かったからとにかく瑞希ちゃんから離れてよね」

 「あっそうだった。悪いけど瑞希さん、少し離れてくれませんか?」

 少々不満そうな瑞希をなだめながら少し距離を取ろうとするブルックリンであった。

 それでも瑞希はブルックリンの傍から離れようとはしない。

 玲子はそれが不満で面白くないのかどことなくいらいらしている。

 とてつもなく険悪でぎこちなく気まずい空気が流れるそんな中。

 「あの〜何の騒ぎですか?」

 いかにも温厚そうな女性の声が聞こえてくる、あたかも場の空気を和らげるように。

 その声の方へ向いてみるとスタッフと思われる女性の姿があった。

 見るからに先ほどの声の持ち主にふさわしい容姿だ。

 イベントスタッフの制服なのだろうか青を基調とした機能的な服装が返って彼女のスタイルの良さを引き立てている。

 眼鏡を掛けた顔立ちは実年齢よりも若くむしろ少女的な幼ささえ伺えた。

 インカムと一体化したサンバイザーを頭にかぶり動く際の邪魔にならないように後ろ髪をまとめている。

 「失礼ですが、あなたは?」

 ブルックリンはその女性に問いかける。

 「はい、わたしはこのイベントのスタッフを務めている“牧村 南”と申します」

 南と名のった女性はこの上ないほどに朗らかな声で問いに答えた。

 「じ、自分はブルックリン=ラックフィールドであります」

 いささか緊張しながらも内心胸をなでおろしていた。

 『やっと、やっとまともな会話が出来た』

 そう思うのも無理からぬところではあるが。

 「こみパは初めてですか?」

 「はい、招待状が無理矢理送りつけられてきたので」

 「そうですか、趣味は何かお持ちですか?例えばアニメとか漫画とかゲームとか」

 「いえ、自分はむしろ体を動かすほうが好きなものですしあまりその手の趣味はないですね。それに訓練や修行であまり余暇が持てない身分ですから」

 「しゅ、修行といいますと?」

 「空手とか剣術とか・・・・・・・」

 「失礼ですが・・・ご職業は?」

 「一応連邦軍の少尉やってます・・・」

 何時しか会話はお見合いの様相を呈して来た。

 そんな中、ブルックリンはいつのまにか瑞希がしがみついているのに気が付く。

 “あたしの彼に近づかないで!”とでも言わんばかりに涙目で南を睨んでいた。 

 「あ、あのー瑞希さん?・・・・(汗。)」

 ブルックリンは内心あせりながら瑞希に声を掛ける。

 南も困ったように引きつった笑みを浮かべながらそれにならう。

 「た、高瀬さん?“そういう”意味じゃないですから・・・・・」

 「・・・・・・う゛ー・・・・・・・・・・」

 それでもなお瑞希はブルックリンから離れようとはしなかった、ジャケットの端をぎゅっと握り締め自分の体を更に密着させてくる。

 ブルックリンに対しても涙目で何事か無言で訴えてきた。

 そんな状況の中。

 「むきーっ!ちょっとあんた、瑞希ちゃんから離れろっていってんでしょーっ!」

 終に玲子がキレた。

 「だーかーらー、少しはちゃんと状況を見てくれーッ!」

 ついに騒ぎは収拾がつかない事態に発展した。

 

 嗚呼閑話休題・・・・・・・(‐_‐;)。

 

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 数十分後、ようやく状況は落ち着きを見せたのでブルックリンは瑞希への説得を再開した。

 「瑞希さん、俺はまだ君の事をよく知らないし君も俺のことは知らない。俺と君の間に一体何があったのかも知らない、でも俺の気持ちは“あの”時から変わっていないから安心してくれないか」

 何故このようなことが言えたのかブルックリンにも理解できなかったが確信にも似た感覚が彼の意識に閃いたのだろう。

 瑞希もその言葉を聴いて安心したのかうなずきながら返事をする。

 「う、うん。ありがと、ごめんね」               

 「分かればいいさ。まあ、こうなったのも何かの縁だろうし好かったら君たちのこともいろいろ教えてくれないか?俺はブルックリン=ラックフィールド、“ブリッド”でいいよ」

 ブルックリンも気を取り直して会話を再開する。

 「あたしは高瀬 瑞希です。こっちは羽賀 玲子ちゃん」

 瑞希に紹介された玲子は憮然とした表情のまま素っ気無い態度である。

 その様はまさに典型的駄々っ子状態と言えた。

 「玲子ちゃん?・・・・・・・・ 」

 瑞希も困った表情で玲子を見ている。

 そんな状況を見かねてブルックリンは玲子に話しかけた、無論彼女の目を見ながら。

 「羽賀さん、高瀬さんの気持ちが変わらない限り君の居場所が無くなるわけじゃないだろ。それに耳を塞いだままじゃ何も聞こえないし目を閉じたままじゃ何も見えない、他人の意見を認めたって君の価値が下がるわけじゃないんだ。そんなんじゃ敵を作るだけだし無駄に疲れるだけだろ」

 玲子は視線をそらそうとするもののなぜかブルックリンから目を外せなかった。

 彼女の記憶の中に何か引っかかるものがあったからだ。

 玲子と瑞希が幼い頃に見た少年の面影がブルックリンに被ったからだろう。

 彼女たちは幼い頃からずっと行動を共にしてきた、10年ほど前からだろうか玲子の両親はそれぞれ家庭を顧みることはなく父親は仕事に母親は若い愛人にそれぞれのめりこんでいった。

 そのためかその頃から近所にあった瑞希の家に預けられていたのだ。

 故に2人は実の姉妹かむしろそれ以上に仲睦まじく育った。

 そんなある日、彼女達は幼女趣味(ロリコン)の集団にレイプされそうになったのである。

 その窮地を救ったのは一人の少年であった。

 少年は次々と大人たちを空手でなぎ倒していったのだ。

 大人達の手にはナイフやスタンガン等が握られているにもかかわらずである。

 そして、暫くしてから少年が呼んだのであろう警察がおっとり刀で駆け付けて来た時には全てが終わっていたのだ。

 玲子達は無事保護されたが少年はいつの間にか姿を消していた。

 かくして、この事件は玲子や瑞希に強烈な精神的外傷(トラウマ)を刻み込んだのである。

 瑞希はこの件により完全な男性恐怖症となり玲子は完全に男性に対して憎悪と殺意を向けるようになったのだ。

 それから玲子は空手を習い始めた、自分が瑞希を守ろうと彼女の騎士になろうと。

 彼女の父親以外で瑞希に近づこうとした男という男総てを排除してきたのだ。

 しかし、あの少年は別であった。

 彼女達にとって少年の存在がかなりのウェイトを占めるようになっていたのは事実である。

 その想いを胸に玲子と瑞希は互いに寄り添って生きてきたのだ。

 そう、この時までは。

 本来ならブルックリンは招かれざる異分子なのだが不思議なことに玲子も口では反抗的なのだが彼に対しては悪い気分にはなれなかった。

 もしかしたらブルックリンこそがあの少年なのではないか?と言う気がしてならない。

 玲子も空手の腕はかなりの物なのでブルックリンの身のこなしからしてもかなりの使い手であるのは彼女にも理解できる。

 否、彼女の記憶の奥底にある“何か”が訴えていた。

 彼こそが自分達が待ち望んだ存在なのだ、と。

 「どーしてだろ・・・・・・・」

 玲子は一人問いかけるが答えは出てこなかった。

 ようやく場の空気も和らぎ始めてきた。

 そこへ先程ブルックリンを案内した少女が知人を連れ立ってやって来た。

 「なんや兄さんそんなところにおったんか?」

 「え、ええ・・・まあ・・・・・・・・・」

 ブルックリンは拍子抜けしたような表情でそれに答えた。

 「あれなぁさっき警察に連れてかれたで」

 「えっ?」

 「それとなぁなんかいかついおっさんもおったわ」

 「それって・・・・・」

 ブルックリンは思い当たる譜節があった。

 『そーいえば最近軍のサーバに対しての違法アクセスが頻繁になっているとかいってたな・・・』

 「兄さんわかるんか?」

 「ま、まあ・・・・・」

 当然ブルックリンには分かってはいたが口には出来なかった。

 元より軍人には守秘義務が付きまとう。

 知ってはいても知らぬ存ぜぬを貫かねばならない時も多々あるのだ。

 『まあ、これで“ミランダ法”は無効だな』

 ブルックリンはため息とともに一人ごちた。

 「なんや兄さん、大丈夫か?」

 「あ、ああ大丈夫・・・大丈夫・・・はははは・・・・(^_^;)」

 心配そうに問いかけてくる少女に対してブルックリンは引きつった笑いとともにこれに応える。

 「ブリッドさん本当に大丈夫ですか?」

 ついには瑞希までが心配そうな表情で寄り添う始末。

 「ありがとう本当に大丈夫だから」

 ようやく落ち着いたブルックリンは瑞希に微笑みながら語りかけた。

 「ぱぎゅ〜っ、ブリッドさんですの〜っ☆」

後ろから聞きなれた声がした。

長い黒髪と愛らしさ溢れる服装が特徴的な少女が走りながら近づいてくる。

 「す、すばるさん?」

 「すばるちゃん、スペース大丈夫なの?」

 「みずき姫〜ごきげんようですの〜スペースはともだちにみてもらってますの〜☆」

 「すばるさん、師匠はお元気ですか?」

 「おじぃ〜ちゃんはあいかわらず元気ですの〜☆」

 「すばるちゃんおじいちゃんって?」

 「はい〜ブリッドさんはぁ〜おじいちゃんのお弟子さんですの〜☆」

 「なんや、すの字知っとったんかい」

 「失礼ですが貴女のお名前は?」

 「ああ、うちは“猪名川 由宇”ここでふてくされてるんは“大庭 詠美ちゃん様”や☆」

 「なあにぃよおぉ〜っパンダがパンダがパンダがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!(怒。)」

 「なんやいつもは自分で“ちゃん様”ってえらそ〜にゆうとるやないか(笑)」

 「ち、ちょっと喧嘩は・・・・」

突然口論を始めた二人にブルックリンは止めようとしたが。

 「気にしないでください、いつもの事ですから」

 南がじゃれあう子供達を見ているかのような笑みを浮かべながらブルックリンに語りかけた。

 「そ、そうですか?・・・・・」

 そう言われれば微笑ましい光景と言えなくも無い。

 気を取り直してブルックリンは由宇に問い掛けた。

 「ところで猪名川さん、自分に何か?」

 「用があるんはうちやのうてこっちのほうや」

 問いかけられた少女は見るからに誠実な人柄がにじみ出ているような青年を指差してブルックリンに答えた。

 「せ、千堂 和樹です、うちの大志がご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 青年は深々と頭を下げながらブルックリンに詫びた。

 「い、いえ別に気にしてませんから、どうか頭を上げて下さい」

 ブルックリンは誠意を持って相手に答えた。

 彼等が言うところの同人誌の世界も自分達軍にも良い奴もいれば悪い奴もいる。

 そういうことなのだ。

 もう少し彼のような良い奴が増えれば世間の偏見と言う物も無くなっていくのだろう。

 少なからず“メディアリテラジー”が存在しているのは事実ではあるが。

 そんなことを思いつつブルックリンは彼等とひとしきり談笑に興じた。

 いつしかこの周囲に暖かい時間が流れていたのだった。

 しかし、この光景を見つめている者たちがいたのだ。

 そう、遥か遠くの空から。

 空を舞う姿は一見海鳥のようにも見えるがそれは小型の偵察型UAV(無人機)であった。

 それが見たものはさらに遠くのある場所に届けられていたのだ。

 

 

 同時刻 某所 位置不明

 

「少佐、サンプルが“触媒”と接触しました。」

 偵察型UAVからの映像を監視していた兵士の報告を受けたショートカットが知性的な印象を与える女性が背後にいる男にそう告げる。

 少佐と呼ばれた男はさほど表情も変えずそれを聞き流した。

 彼はおよそ軍人にあるまじきウェーヴがかった長髪と冷たいというよりむしろ無感情的な光を宿した青水晶色(クリスタルブルー)の瞳が特徴的で軍服よりむしろブランド物のスーツの方が似合いそうな印象を与える。

 「“宝船”と“海賊船”はどうなっている」

 男は女性に質した。

 「予定通りです、少佐」

 女性は事務的に返答する。

 「ではサンプルの監視を続けろ、それと“R‐GUN”を準備させておけ」

 それだけ伝えると男はモニターに冷ややかな視線を向けながら声無き宣告を投げつけた。

 『さあ、お前の力を見せてもらおうか?サンプルナンバーα01“ブルックリン=ラックフィールド”』

 

 

 同時刻 有明 東京ビッグサイト

 

 「えっ、携帯が通じないんだなぁ」 

 「た、確かに通じぬでござるよ」

 2人の典型的ヲタクによる会話を聞いたブルックリンは嫌な予感に襲われた。

 「失礼」

 彼等のD‐CONを拝借したブルックリンはその雑音を聞いた。

 そして一つの確信に到った。

 「ありがとう」

 D‐CONを彼等に返してブルックリンは南の側へ近寄ると話しかけた。

 「牧村さん大至急警備責任者を呼んでください、それと水上バスやバスを集められるだけ集めて下さい」

 「えっ、それは一体・・・・・・・・・・・・」

 南はあっけに取られたかのようにブルックリンの声を聞いた。

 「奴等が、“アンセスター”が来る」

 「ま、まさか・・・・なんだなぁ」

 「まさかでござるよ」

 「まさかそれって・・・・・・・・・・」

 ブルックリンの言葉に周囲は無秩序なざわめきが支配していった。

 「皆落ち着いて、確かにそのまさかだ。必ず最初に戦闘濃度のミノフスキー粒子をばらまくのが連中の常套手段だしな」

 そんな空気を見て取るやブルックリンは周囲を落ち着かせる為に自分が公表できる範囲内で情報を与えた。

 「それでもすぐさまズドンとなるわけじゃない、落ち着いて避難すれば助かるから安心して指示に従って行動するように」

 いつしか口調も軍人のそれに戻っていた。

 「わかりました、会場にいる全参加者に避難を指示します」

 南もスタッフとしてやるべき事を十分理解していた。

 「ち、ちょっと待ってよまだ完売してないのにぃ〜」

 事態の重大さを理解してないのか詠美がブルックリンに噛み付いてきた。

 「今はそんなことを言っている場合じゃないだろ」

 「そうや詠美、あいつらがどんなんかしってるやろ」

 度重なるテロ行為によってアンセスターの悪名はかなり知れ渡っていた。

 そう、一見戦争とは無縁そうなこの極東地区においてもである。

 「だ、だって・・・・」

 「だってもへちまもあるかい、死んだら元も子もないやないか」

 「ふみゅ〜ぅぅぅパンダがいぢめる〜」

 「大庭さん、君が何を大事にしているのか俺は知らない。しかしこのままでは君は君を慕っている人達まで不幸にしてしまう。そう、君の本を楽しみにしている人達をだ。そうなるのは君も望んでいるわけじゃないだろう?すまないが今は黙って協力してくれないか」

 ブルックリンは諭すように詠美に語りかける。

 「わ、・・・・・・・わかった・・・・わよ・・・・・・・・・」

 詠美は赤面しながらも同意した。

「牧村さんそう時間があるわけではありませんのでなるべく急いでください、それと運転手の皆さんには木更津方面へ逃げるように指示を」

 「は、はい」

 ブルックリンは的確な指示を矢継ぎ早に出していく。

 そして。

 [まことに申し訳ありませんが、第XX回こみっくパーティーはただいまをもって中止とさせていただきます。なお会場の皆様は係員の指示に従って落ち着いて行動してください、本日はまことにありがとうございました]

 会場内全体に放送が流される。

 多少の混乱はあったものの各サークルの協力もあってか避難は整然として行われた。

 その最中。

 「・・・・・・スン・・・・・・・・・クスン・・・・・」

 何所からか子供の泣き声が聞こえてきたのである。

 「あ、あそこ」

 瑞希が見つけたのは幼い女の子であった。

 「・・・くすん・・・まあま・・・・」

 何所かではぐれたのか母親を呼びながら泣いている。

 「ね、ど〜したのかな?」

 瑞希はその女の子に近づきしゃがみこみながら話しかけた。

 しかし女の子は泣き止む気配が無い。

 「くすん・・・・くすん・・・・・・・・まあま・・・・」

 『ど〜しよっかな〜、あっ“あれ”があったんだ』

 何を思ったのか瑞希は私物や着替えの入ったバッグの中を探し始めた。

 『見っけ』

 そして見つけた“それ”を女の子の前に差し出した。

 「こんにちは、あたし“ももちゃん”あなたのおなまえは?」

 それは瑞希がコスプレしているアニメのキャラクターを模った手袋人形である。

 「・・・・・かある・・・・・」

 女の子はようやく口を開いた。

 「そっか〜“かおる”ちゃんっていうんだぁ〜あたしはみ・ず・き、よろしくね」

 「おね〜ちゃんももちゃんそっくり〜」

 「ありがと、これあげるね」

 瑞希はかおるの右手に人形をはめてあげる。

 「おねぇ〜ちゃんありがと〜」

 いつしかかおるは泣き止んでいた。

 「じゃあさぁ、おねぇちゃんたちといっしょにおかぁ〜さんのところへいこ〜か?」

 「うん」

 かおるはすっかり瑞希に懐いたのか素直にうなずいた。

 「ニャハハ〜さっすが瑞希ちゃん、だてに保育士志願じゃないわね」

 玲子が感心したように話しかけてきた。

 「おだてたって何もでないわよ」

 「おに〜ちゃんだぁあれ」

 「え゛っ?(・。・;」

 かおるは玲子を男だと思ったのだろう、まあそのいでたちでは無理も無いが。

 「あたしのなまえはれ・い・こ、それにねーおにーちゃんじゃなくてぇお ねーちゃんだからねーわ・か・っ・た?」

 「う・・・・・・・・・うん・・・・・・・」

 玲子の押しにかおるは少々怯えるように頷いた。

 「玲子ちゃん、駄目じゃない子供を怯えさせちゃ」

 瑞希は玲子をやんわりと嗜める。

 そんな微笑ましい光景を見守っていたブルックリンは心温まるものを感じていた。

 瑞希の一面を知る事が出来たのだから。

 ブルックリンはもっと瑞希の事を知りたいという欲求が自分の中に目覚めつつある事を感じていた。

 そのためにも彼女とその周囲の人々を絶対死なせない、自分も絶対生き残る。

 そんな決意にも似た感情がブルックリンを突き動かしていく。

 その甲斐もあってか避難もあらかた済み後はブルックリンとその他数名を 残すのみとなったその時である。

 海の方からジェットエンジン特有の爆音が鳴り響く。

 三つの黒点がたちまち大きくなってゆく。

 それはお台場へ向かって飛ぶ3発のステルス巡航ミサイルである。

 無論それは“M・A・P・W(大量広域先制攻撃兵器)”なのはいうまでも無い。

 「みんな、ふせて!!」

 ブルックリンは全員を伏せさせ自分自身はお台場の方を見た。

 『やらせるものか!』

 隠し持っていた“独鈷”を取り出す。

 それを右手で握り両腕を前方に突き出した。

 丹田に力をこめ精神を集中させる。

 周囲の空気がざわめきだした。

 何らかの力による“力場(フィールド)”が形成されていく。

 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 閃光が爆ぜた。

 

 

-3ページ-

 暫くして再び静寂が訪れた・・・・・・。

 気が付いた瑞希が見たのは見知らぬ男性の姿であった。

 「金色の長髪、蒼き衣、雷を纏った刃・・・・・気高き龍の皇・・・・・大極を統べる者・・・・・其の名・・・“龍帝”」

 いつしか瑞希は呟いていた。

 否、瑞希だけではなかった玲子も同じく異口同音に呟いていたのだ。

 いつしかその男の姿はブルックリンと重なるようにして消えた。

 「大丈夫か、みんな怪我は?」

 「ブリッドさん・・・・・・・」

 「あんさんこそ怪我は?」

 「見ての通り大丈夫大丈夫、ハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・(^_^;)」

 ブルックリンはオーバーアクション気味にアピールした。

 「あたし、何であんな夢を・・・・・・・」

 瑞希と玲子は互いの顔を見合わせて自分達が何かの糸で結ばれていることを無言の内に理解する。

 そしてブルックリンとの絆も確信していた。

 一方ブルックリンは前を睨んでいる。

 その視線の先にはかつて“お台場”だった空間が広がっていた。

 土地の半分以上が海中に没し地上の建造物はきれいさっぱり消え去りかろうじて残った残骸がその名残を残す程度となっている。

 大気には未だに所々プラズマが発生して空間の歪みを示していた。

 ランドマークとなっていた放送局の建物の残骸であろう巨大な球体があたかも墓標のごとく地にめり込んでいる。

 つい先程までは人々の笑顔が溢れていた筈の場所が今となっては唯一つの生命の息吹すらも感じる事の無い静寂と絶対的な死が支配する荒野と成り果てていた。

 ただ一瞬の出来事がこの街を地上から永遠に消し去ったのだ。

 「この分だと豊洲の方も唯では済んでいないはずだ・・・・・・・」

 ブルックリンは唯おのれの拳を強く握り締めていた、指先が掌に喰い込むほどに・・・・。

 「ブリッドさん・・・・・・・・・・・なんだか悲しそう・・・・」

 瑞希がそっと寄り添う。

 「ありがとう、大丈夫だ」

 微笑みながらブルックリンは瑞希に礼を言った。

 「それより冷えるだろ?」

 ブルックリンは自分が着ていたB‐3ジャケットを瑞希に羽織らせた。

 「・・・・・・・・・・あ、ありがと・・・・・」

 今のブルックリンには泣いている暇などありはしない。

 彼の立場が涙を許さないから。

 そう、アンセスターのテロはこれからが本番である。

 本当の脅威は間近に迫ってきていたのだ。

 

 某所 位置不明

 

 「そうか、“触媒”の効果は在ったと言う訳だな」

 “少佐”と呼ばれる男がスタッフの報告を受けている、スタッフの声には明らかに興奮の色が含まれていた。

 「はい、αリンク係数が今までのサンプル中最高の数値をマークしています。なにしろ“T‐LINKシステム”なしで“念動フィールド”を展開できたぐらいですからね、正真正銘の“サイコ=ドライバー”と言ってもいいでしょう」

 “M81超大型トレーラーシステム、通称PTキャリアー”の牽引車にある指揮所内は興奮と歓喜の空気に支配されていた、ようやく自分達が求めていた人材がそれも最高の部類に入るであろう人材だ。

 もし“ケンゾウ=コバヤシ”博士がこの場に居合わせていたら感動の余りショック死しかねないのでは?と妄想させるに充分なものであった。

 そんな状況の中少佐と呼ばれる男は一人冷ややかな視線をモニターに向けていた。

 そして背後にいるショートカットの女性に向かって指示を出した。

 「アヤ、“宝船に矢を放て”サンプルの適性を試す」

 「イングラム少佐!・・・・・・・・・」

 「どうした、命令を実行しろ私もR‐GUNで出る」

 「は・・・・、はい」

 指示を受けたアヤは別の席にいる兵士に向かってそれを伝える。

 イングラムはそれを確認すると指揮所を後にした。

 

 有明 東京ビッグサイト

 

 「本命が来る!」

 確信があったのだろうブルックリンは空を睨みながら独白した。

 青天の霹靂とはこの様なもののことを言うのだろう。

 突如“パレットタウン”上空の空間を叩き割りながら“それ”は現れた、 地獄から這い出てくる怪物のような咆哮を上げながら。

 そのおぞましき姿はさしずめ機動兵器というよりも旧西暦の頃日本で流行した特撮映画に良く出て来る“怪獣”といった方が似つかわしかった。

 巨大な剣に似た一本の角を持った肉食恐竜のような頭部、ゴリラを連想させる胴体と腕、両肩には巨大な角、マンモスのごとく力強い両脚そしてその足先は斧のように鋭利な刃であった。

 背中に連なる刺々しい鰭からは時々放電している。

 2本の尻尾が全く別の生き物のようにのたうち巨大な鎌のような両手を振り回しながらかろうじて残っていた周囲の構造物を次々と破壊していった。

 体長は100m位あるだろうか、その異様な外見を構成するのは皮膚なのか装甲なのかさえ見当が付かない。

 今まで度々極東地域を襲撃してきた“機械獣”や“戦闘獣”、“百鬼獣” そして“メカザウルス”とも違っていた。

 それはアンセスターが送り込んできた大規模破壊型戦略機動兵器“妖機獣”である。

 かくして妖機獣は3分足らずでパレットタウンを瓦礫の山に変えた。

 ようやく駆けつけてきた連邦軍の攻撃も混乱しているせいか散発的で有効なダメージを与える事が出来ずにいた、総て妖機獣が展開している“見えざる壁”にさえぎられているのだ。

 その最中ブルックリンたちの許に一両の“M353A6H‐LAV(ホバー駆動軽装甲車両)”がやって来た。

 「まぁだ民間人がおったんかい」

 車長と思われる老軍人が車体上部にあるハッチからブルックリンに声をかけてきた。

 「自分は“第一独立装甲連隊第一PT中隊”所属ブルックリン=ラックフィールド少尉であります、自分以外は全員民間人であります」

 ブルックリンは老軍人に対し敬礼しつつ答えた。

 「わしは第7補給大隊所属“ジダン=ニッガード”大尉じゃよ」

 「“エレドア=マシス”伍長であります」

 「じ、自分は“ミゲル=ニノリッチ”伍長であります!」

 老大尉の部下二人も敬礼と共に名を名乗った。

 「ご苦労様です、ついてはお願いしたいことがあるのですが」

 ブルックリンも軽く返礼しながら老大尉に願い出る。

 「あの娘たちのことじゃろわかっておる、わしらに任せてもらおうかの」

 「ありがとうございます、では木更津の駐屯地へお願いします」

 「まっかせんしゃぁ〜い!」

 そう言うと老大尉は軽く胸を叩いた。

 その時である。

 妖機獣が連邦軍の攻撃をものともせず有明に向かって歩を進めてきたのだ。

 「い、いかんこっちに向かってくるぞい」

 「皆急いで中へ!」

 ブルックリンの呼びかけを聞いた瑞希達は急いで車両に乗り込んだ。

 対するブルックリンは車内にあった“M22A1アサルトライフル”とヘルメットそしてボディーアーマーを借り受け周囲を警戒する。

 全員が乗り込んだことを確認するとブルックリン自身も乗り込み後部ハッチを閉じた。

 「大尉、乗車完了しました」

 ブルックリンの報告を聞くや老大尉はエレドアに指示を出す。

 「マシス伍長、車を出すんじゃ!」

 「了解!」

 しかし、車はぴくりとも動かなかった。

 「伍長、どういうことじゃ」

 「分かりませんよ機械的には何の異常も無いんですから」

 エレドアもコンソールを操作しながらチェックしている。

 「自分が見てきます、ニノリッチ伍長付いてきてくれ」

 「は、はい!」

 ブルックリンはそう言うとミゲルを伴い上部ハッチから車外へ出た。

 M353のエンジングリルのハッチを開けてエンジン、ラジエター、バッテリーなどを調べたが機械的異常は何一つ見つからなかった。

 「おっかしいですねぇ」

 「確かにな・・・・・駆動系は?」

 「さっき見たんですけど何も・・・・」

 「そうか・・・・報告に戻るぞ」

 「了解」

 ブルックリンは報告の為ミゲルを車内に戻らせた。

 そしてミゲルが車内に戻ったのを確認したブルックリンは“20mmチェインガン”を装備した砲塔に入り稼動を確認し警戒を続けた。

 M353に向かい突き進んでくる妖機獣に対し一体のMSが攻撃を仕掛けた。

 “RGM-89ジェガン”である。

 しかし、その攻撃はまたもや見えざる壁に阻まれる。

 妖機獣の攻撃を器用に回避してはいたが終に振り翳された尻尾の直撃を受け機能を停止させた。

 その後ジェガンはM353の近くまで飛ばされ地面にめり込む様に叩き付けられる。

 そのショックかジェガンのコクピットハッチが開く。

 コクピットから這いずる様にパイロットが出てくる。

 そこへ駆け寄るブルックリン。

 「大丈夫ですか?」

 「な、何とか・・・・・・な」

 パイロットが返答する。

 ブルックリンはその声に聞き覚えがあった。

 「バニング大尉」

 そう、“サウス=バニング”大尉。ブルックリンと同じ第一独立装甲連隊に所属するMSパイロットである。

 「すまんな少尉・・・・」

 「あまり喋らない方が良いですよ。自分の肩に掴まって下さい」

 そう言うやブルックリンは屈む様な姿勢でバニングに肩を貸すのだった。

 とそこへ・・・・・・・・・・・・・。

 突如“C‐575D超大型輸送機”が飛来した、しかしその動きはコントロールされた物ではなかった。

 よく見るとコクピットの辺りがきれいに無くなっていた、何らかのトラブルがあったのだろうか・・・・・。

 輸送機は“有明フロンティアビル”をかすめ“臨海高速鉄道りんかい線”の“こくさいてんじじょう”駅手前辺り通称“イーストプロムナード”付近に墜落した。

 

-4ページ-

 

 「少尉ーッ」

 ミゲルが駆け寄ってくる。

 「ニノリッチ伍長、バニング大尉を頼む」

 「りょ、了解です」

 そう言うやブルックリンはミゲルに託すと無線を借り交信を始める。

 「ニッカード大尉、大型輸送機が墜落しました!」

 「なんじゃと?」

 「自分が見てきます」

 「わかった、頼む」 

 ミゲルからトランシーバーを受け取るとブルックリンはイーストプロムナードへ急いだ。

 ひたすら積み重なる瓦礫を乗り越える。

 普段ならば大した時間も掛からないのだがこの時ばかりは1メートル進むにも苦労と体力を要する。

 訓練していない素人であれば数時間は掛かるであろう道のりをブルックリンは僅か15分程度で踏破して行く。

 そして輸送機にたどり着いたブルックリンは外部からハッチを操作できる事を確認し中に入る。

 「誰かいますか!?」

 まずはコクピット付近に向かったが生存者は一人も存在しなかった。

 一通り確認するとブルックリンはカーゴエリアに向かう。

 途中で何回か生存者の有無を確認したが結局唯の一人の生存者も見つけることも出来なかった。

 かくしてカーゴエリアに到着したブルックリンはハッチを半ば強引にこじ開け中に入る。

 そこで彼が見たものはメタリックブルーで彩られた巨大な人型機動兵器通称“特機”と呼称されるものであった。

 「グルンガスト?」

 その機体には見覚えがあった。

 しかし、それはブルックリンが知る物とはかなり外見が異なっていたのだ。

 胸部はほぼ一体化され人間で言うところの腹部にその名残が残されている程度である。

 「所々違うようだ、ジェネレーターに火が入っている?」

 機体はすでにアイドリング状態であった。

 突如胸部にあるコクピットハッチが開いた、あたかもブルックリンを導いているかのように。

 『俺に“乗れ”と言うのか?』

 トランシーバーでブルックリンは連絡を入れる。

 「マリリン05聞こえますか?こちらラックフィールド、オーバー」

 「こちらマリリン05聞こえとるぞいオーバー」

 「生存者は一人も発見できず、積み荷はグルンガスト型特機のようです」

 「そうか・・・・・・・・」

 「特機は自分が操縦します、時間稼ぎぐらいは出来るでしょう」

 「ちょっと待たんか、第一お前さんがPTパイロットなのは分かるが」

 「現状では最も確実に生存率を上げられる方法です」

 「・・・・・・わかった、あまり無茶をしてはいかんぞ」

 「聞こえるかブリッツ03、その機体は貴様が扱ってきた機体とは訳が違う。出力、サイズその違いを頭に入れて扱え。いいな!」

 途中ジダンから通信を変わったバニングの声がブルックリンの中の“スイッチ”を入れた。

 「了解、ありがとうございますオーバーアンドアウト」

 『やってみせるさ』

 ブルックリンは迷うことなくコクピットに滑り込んだ。

 その中はほぼ球体状になっておりシートはアームによって持ち上げられ球体の中央に浮かんでいるような配置であった。

 そしてシートの両側にもアームが付いておりその先端部に“HOTAS(ハンズオン・スロットル・アンド・スティック)”型の操縦桿が付いている。

 操作の簡略化を狙ったものなのだろう、それ以外のボタンやスイッチは極力廃しているのがよく分かる。

 OSの起動画面が表示されたメインパネルがブルックリンを迎えた。

 「マニュアルは何所にあるんだ?・・・ぐっ!な、なんだ?・・・・」

 その瞬間ブルックリンの意識に膨大な量の情報が流れ込んできたのだ。

 その影響か激しい頭痛が彼を襲った。

 その刹那。

 

 『我が名は青龍・・・・・、我が主よ今こそ再び我と共に』

 

 ブルックリンは声を聞いた。

 懐かしい声だった・・・・遥か古に聞いた事のある声であった。

 「なんだ?この感覚は・・・・・・・・だが今は考えている場合じゃないか・・・・・」

 流れ込んできた情報を元に手順を踏んでゆく。

 傍から見れば操作に熟練したパイロットのそれのようにも見える。

 “DML(ダイレクトモーションリンク)システム”が使える事を確認した。

 そしてシートベルトで身体を固定する。

 ジェネレーターが鈍い駆動音を立て始めた。

 各部駆動系のモーターが甲高い音を出して回転を始める。

 総ての関節のロックと拘束具が解除された。

 270度のメインパネルに外部の画像が映し出され各種情報が“ウインドウパネル”に表示されブルックリンに機体の状況を知らせた。

 “SRG‐02‐01C SYSTEM ALL GREEN”

 と表示されたメインパネルがブルックリンに総ての準備が整った事を伝えた。

 「よし、征くぞ“青龍”!!」

 その声に呼応するかのようにメインカメラに光が灯る。

 輸送機の上部ハッチが開く、それに合わせるように機体を起こす。

 慎重に機体を立ち上がらせる、弱い振動がコクピットに伝わる。

 巨大な足が大地にめり込む。

 両肩に装備されたジェネレーターが凄まじい爆音を奏でる。

 あたかもブルックリンの意志を示すかのように“グルンガスト弐式改 青龍”は力強く立ち上がった。

 そう、迫り来る理不尽なる暴虐に立ちはだかるように天を突き聳え立ったのだ。

 ブルックリンが駆る青龍は地響きを立てながら“敵”に向かって突進していく。

 

 お゛汚苧乎麻掩??小oオ牡ぉぉぉぉぉ ぉ・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 咆哮をあげ襲い来るは暴虐の化身、破壊の権化、鋼の魔獣たる“妖機獣”。

 雄々しく迎え撃つは青龍が化身たる蒼き鋼の巨神。

 いざ戦いの時来る!

 「いくぞッ、ブーストナックルGO!!」

 空手の構えから正拳突きの延長のように噴射炎を噴きながら鋼の拳が妖機獣めがけて飛び出す。

 それは見えざる壁をいとも容易く貫きダメージを与えた。

 間髪いれずさらに間合いを詰め上段回し蹴りを叩き込んだ。

 妖機獣が悲鳴に近い叫び声を上げながら地面に倒れこむ。

 その間に放たれた右の拳が青龍の右腕部にドッキングした。

 さすがに50mの巨体となれば4枝の質量そのものが武器となる、それ故格闘戦は有効な手段と言える。

 ましてブルックリンは“琉球唐手桐島流”の皆伝を持つ為DMLシステムによる機体のコントロールはお手の物であった。

 ダメージを回復させて起き上がろうとする妖機獣めがけ踵落としでさらに 追い討ちをかけていく。

 「まだまだぁッ!!!!」

 ブルックリンは次々と下段や中段の突きを繰り出した。

 そして相手が怯んだと見るや右腕を引き絞り足を広げ踏ん張って身構える。

 「チェストォォォォォーッ!!!!!!」

 気合もろとも引き絞った右の拳を妖機獣めがけ一気に打ち放った。

 拳圧で周囲の空気が歪んでいくのがよく分かる。

 鋼の拳が凄まじい勢いで怪物の体にめり込んでいく。

 妖機獣の装甲が歪な形にひしゃげて行った。

 何者にも形容し難い轟音が周囲に鳴り響く。

 さらにその衝撃で妖機獣はその巨体をくの字に曲げたまま周囲の建物を破壊し地面を耕しながら数百メートル吹き飛んでいった。

 青龍の胸部装甲が左右に展開し誘導砲身を形成する。

 その中央の核らしき所から膨大な量のエネルギーが発生した。

 「ゲットセット、マキシブラスターァァァァァァッ!!!!!!」

 ブルックリンの叫びに呼応するかのように青龍の胸部からプラズマ化した 高エネルギー波が解き放たれる。

 それは情け容赦なく怪物の巨体を焼き尽くさんばかりに荒れ狂った。

 直撃をまともに受けた妖機獣は天地を揺るがすがごとくの咆哮を上げのた打ち回る。

 ブルックリンはすかさずそこへめがけて飛び蹴りを叩き込む。

 さらに手を緩めることなく怒涛の攻めを重ねていった。

 その激戦の最中。

 何所からか異様な音が聞こえて来た。

 虫の羽音のようにも鴉の鳴き声のようにも聞こえる音であった。

 そして、たちまち異形の集団が姿を現した。

 それは地球上の生物で言うところの昆虫のような外観を持ち、不規則な機動を繰り返している。

 その機体を構成する装甲の素材は明らかに地球上には存在しない物質で構 成されているのが素人目にも理解できた。

 それは連邦軍が“AGX‐01バグス”と呼称している機動兵器である。

 「何っバグスだと、こんな時に!」

 ブルックリンは招かれざる来訪者の到来を呪った。

 『瑞希達をやらせはしないぞ』

 「アイソリッドレーザー!!」

 青龍のこめかみから放たれた閃光が“虫”を次々と射抜いていった。

 

 牙ぁア呀悪閼唖?騰?ァァァァァァッ。

 

 ダメージから回復した妖機獣が青龍めがけて襲い掛かるが。

 「邪魔だぁぁぁぁ!!!!」

 返す刀で蹴り倒した。

 TFTホールが吹っ飛ばされた怪物の下敷きとなって圧壊する。

 「くそっ、きりが無い」

 その時である。

 上空にいた数匹の虫が突如爆球に変えられた。

 そして前身翼が特徴的な4機の戦闘機が飛来した、それもただの戦闘機ではなく“VF(可変戦闘機)”と呼ばれるEOT兵器の一つであった。

 しかも最新型の“VF‐19J エクスカリバー”が3機そしてリーダー機と思われる“VF‐19Splus エクスカリバー”1機という編成だ。

 「こちら“クロガネ”機動隊“スカルリーダー”だ。特機のパイロット、所属姓名階級を知らせろ!」

 「じ、自分は第一独立装甲連隊第一PT中隊所属ブルックリン=ラックフィールド少尉、コールサイン“ブリッツ03”であります」

 突然入ってきた通信にブルックリンは返答した。

 即座にフォッカーからの指示が飛んでくる。

 「よしブリッツ03、貴様はそのままあのデカ物の相手をしろ。虫退治は俺達がやる、いいな!」

 「了解です!」

 それに返答するやブルックリンはすかさず妖機獣に向かっていった。

 そして4機のVF‐19が虫の群れに向かって切り込んでいく。

 それだけではなかった。

 別の方向からも4機のPTが飛来した。

 “PTX‐010RヒュッケバインMk‐U通称タイプR”と呼ばれる機体であった。

 「スカルリーダーから各機へ、聞いての通りだ。化け物はブリッツ03に任せて俺達は虫退治だ、いいな!」

 「グリフォン01了解、グリフォン03“アイマン”中尉あてにさせてもらうぞ」

 「了解、“黄昏の魔弾”の二つ名が伊達じゃない事を証明して見せますよ少佐」

 「良かろう、全機仕掛けろ!!」

 「02了解」

 「04合点承知!」

 「ゆくぞ異星人、貴様等の好きにはやらせん!」

 グリフォン01“カイ=キタムラ”少佐は正面の虫に向かってトリガーを引く。

 かくして瞬くうちに戦闘が始まった。

 「フッ、エクスカリバーの機動力を甘く見るなよ」

 スカルリーダー“ロイ=フォッカー”中佐は豪胆な機動で次々と虫を仕留めていく。

 「そんなんじゃ当たってはやれないぜ」

 スカル02“イサム=ダイソン”中尉が続いた。

 「そこ動くなよ」

 スカル03“柿崎 速雄”中尉も瞬く間に3機の虫を仕留めた。

「そこだっ!」

 スカル04“大神 一郎”中尉はすかさずフォローに入る。

 「堕ちろ」

 グリフォン02“アーウィン=ドースティン”中尉が一機づつ確実に撃破していく。

 「悪いな、俺は虫が嫌いなんだ」

 グリフォン03“ミゲル=アイマン”中尉も瞬く間に数機の虫を爆球に変えていった。

 「ををっ、はずれみたいね」

 グリフォン04“ヘクトール=マディソン”中尉は虫の攻撃を軽く回避しながら仕留める。

 虫共は数に物を言わせてきたが4機のエクスカリバーと4機のタイプRは機動性とスピードそして火力で虫の群れを圧倒していく。

 その様子は空に咲き乱れた炎と硝煙の花畑のようにも見える。

 そんな光景を離れたところから見ている者がいた。

 

 お台場 海浜公園付近

 

 “シーリアお台場”付近に一体のPTらしき機動兵器が建物の陰に待機状態で隠れていた。

 白を基調とした塗装で全身を覆い所々に赤や青等が塗られている。

 そのコクピットにはイングラムがいた、すなわちこの機体は“RW‐1 R‐GUN”と呼称されているのだ。

 『クロガネ隊の介入は予想外だったがいいデータが揃いそうだな』

 「こちらR‐GUN、アヤ聞こえるか」

 「は、はい少佐聞こえます」

 「私は予定通り状況終了後サンプルを確保する。お前は触媒達と接触しろ、方法はお前に一任する分かったな」

 「り、了解です少佐・・・・・」

 「では始めよう、ステルスシールド解除R‐GUN起動」

 そう言うやイングラムはR‐GUNを起動させ有明に向かった。

 「何っ不明機、識別・・・味方機?」

 青龍のレーダーに示されたマーカーも味方機のそれであった。

 「こちら極東支部司令部直属特戦隊隊長“イングラム=プリスケン”少佐であります、これより貴隊を援護します」

 「こちらクロガネ機動隊隊長ロイ=フォッカー中佐だ、今回は一応俺の指揮下で動いてもらうぞいいな?」

 「了解です」

 『流石だよ“兄弟”、今触媒達に退場されてもらっては困るからな』

 イングラムはモニターに映るM353に冷たい視線を送った。

 R‐GUNに向かってきた一機の虫を手に持つライフルであっさり撃破する。

 かくして戦闘はさらに激しさを増していった。

 「このおぉっ!!!」

 ブルックリンは青龍の膝を打ち据えた。

 膝の装甲が展開して発生した光の刃が妖機獣にダメージを与えるがしかし。

 妖機獣は自らが被ったダメージを瞬時に回復させる能力“自己修復能力”を持っていたのだ。

 この金属細胞で構成された化け物は凄まじいまでの闘志と殺意をブルックリンに向けてきたのである。

 「こ、こいつは不死身なのか?」

 ブルックリンは戦慄を覚えた。

 しかし、そんな中においても必死に活路を見出そうとしていた。

 『意識を集中させろ、奴の急所を探せ』

 「T‐LINKシステムフルコンタクト!」

 意識を集中させ念を練り上げていく。

 だが、妖機獣の顎門が開かれその奥からマグマのような光が灯された。

 凄まじく膨大な量のエネルギーが渦を巻き、今正に臨界を迎えようとしていたのだ。

 

 冴ァッ臥覇ァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!

 

 かくて業火は咆哮とともに放たれた。

 炸裂!

 爆発!

 周囲に大音響と衝撃、そして閃光と爆風が広がっていく。

 

 虞ァッ牡悪汚嗚終ォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!

 

 妖機獣が咆哮を上げる、あたかも勝鬨の声の如くに。

 それは空を海を大地を震撼させ歪ませる。

 そして世界の果てまでも駆け巡り闇と絶望を招く・・・・・・・・・・・・・。

 

 だが。

 蒼き鋼は砕けず。

 朽ちず。

 折れず。

 曇り一つ無く健在。

 妖機獣の威を左の腕一つで受け止め健在。

 そして否定する。

 眼前の理不尽を。

 邪悪を。

 暴虐を。

 勝鬨を。

 闇を。

 絶望を。

 弱き儚き者達を脅かす者総てを否定するッ!!

 「認識しろ、この世界の総ての理を・・・・・・支配しろ、あまねく総ての理を・・・そして書き換えろ、森羅万象総ての理を!!!!」

 ブルックリンの額に“紋章”が浮かんでいた。

 “龍”の力を示す紋章が。

 「覇アァァァァァァァァァァァッ!!!」

 闘志が、気が、力が満ちる。

 そして確信する。

 眼前の理不尽ごときに負ける道理など微塵も無い事を。

 邪悪を確実に滅する理を。

 絶望を覆す法を。

 そう、後は行うのみ!!

 「プラズマコンバーターオーバードライブ!」

 青龍の4枝に青白い光が燈された。

 その輝きはより力強い物となっていく。

 周囲の大気を振動させ凄まじい爆音を奏でる。

 あたかもそれは山をも砕く龍の咆哮の如く天空を切り裂いた。

 眼前に立つ理不尽に対する神罰執行を高らかに宣言するかのように。

 

 渠魏ィ?ァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!

 

 対する妖機獣は雄叫びを上げ再び威を放つが・・・・・・・・・。

 その業火は蒼き鋼に触れる事すら叶わず霧散した。

 三撃目を放とうとしたその刹那。

 雷光を纏った鉄拳が天に向かって突き上げるように轟音もろとも叩き込まれた。

 まともに喰らった妖機獣はそのまま数百メートル上空に打ち上げられ地面にめり込むように叩きつけられた。

 そしてブルックリンは青龍の両腕をクロスさせ構える。

 「征くぞ!!」

 青龍は地を蹴り飛び上がった。

 一撃目の飛び蹴りは起き上がりかけた妖機獣の顔面を捉える。

 さらに左足ですかさず二撃目を放つ。

 その反動を利用して五千メートル上空まで一気に上昇する。

 「テスラドライブオーバーブースト、スパイラルフィールド展開!行けぇぇぇぇぇーッ!!!!!」

 右脚部に円錐状で展開したエネルギーフィールドの先端が大気との摩擦で青白く燃えていた。

 音速を遥かに超えた凄まじいスピードで妖機獣めがけ突進していく。

 逃げる事も許さず。

 一片の慈悲も与えず。

 敵の急所たる核を完全に粉砕する。

 邪悪なる理不尽を否定するように必滅の一撃を叩き込む。

 「砕け散れェェェェェェェェェェェェッ!!!!!!!!!!!!!!」

 直撃!

 ただ破壊する。

 ただ蹂躙する。

 ただ撃ち貫く。

 妖機獣はその威もろとも“船の科学館”跡へと吹き飛ばされた。

 ブルックリンは宣言する、理不尽を抹殺する者の名を。

 

 奥技、飛龍三段蹴ッ!!!

 

 そして着地した青龍はそれに背を向け構えた。

 右腕の拳を引き、左腕の掌で払う、いわゆる空手で言うところの“残心”である。

 それとほぼ同時に背後で巨大な火柱が立つ。

 妖機獣の最後である。

 断末魔の叫びすらも飲み込んで爆音が鳴り響く。

 神罰と言うのは正にこの様な物の事を云うのかも知れない。

 かくして夜明けに朝日が昇るようにアンセスターの脅威は去った。

 

 

                  +

 

 

 しかし、その様子を遥か彼方から見つめる者がいた。

 

 それは金色の闇。

 

 光持たぬ黄金。

 

 それは見つめ続ける。

 

 傲慢な優しさを持つ絶対者の瞳で。

 

 愛おしむように。

 

 憐れむように。

 

 嘲るように。

 

 「やはり“今回も”こうなったか・・・・・・・・」

 

 その声は少年のようにも少女のようにも聞き取れた。

 

 そして老人のようにも・・・・・・・・・。

 

 彼は疲れていた。

 

 喩えようも無いほどくたびれていた。

 

 心は憔悴しきっており、魂は永遠の安らぎを求めていた。

 

 「いよいよだな?“兄弟”、“道化芝居”の開幕は・・・・・・・・」

 

 『そうだ、我々が待ち望んだ事だ』

 

 金色の闇は凄絶な笑みを浮かべる。

 

 「そうだな・・・・すべては運命のままに・・・・・・・・・」

 

 いつしか金色の闇は消え去っていた。

 

 

                  +

 

 

 いつの間にか瑞希たちはM353から下車してブルックリンの乗る蒼き鋼を見上げていた。

 そこにいる全員が言葉も無かった。

 余りの神々しさに誰一人語る言葉を持たなかったからである。

 そして、瑞希は龍の声を一人聞いた。

 

 

 『“姫”よいずれ我が真の名を識る事となろう、其の時こそ我が主そして汝の目覚めの時・・・・・・・・・』

 

 

 瑞希は自分とブルックリンを結ぶ“何か”が解る時がいずれ訪れる事を予感していた。

 それが遠い日のことではない事も・・・・・・・・。

 「皆、無事か?」

 ブルックリンは機体を降り瑞希たちの所へ歩み寄った。

 瑞希たちもブルックリンに駆け寄る。

 「ブリッドさん!」

 瑞希はブルックリンに寄り添い、玲子は半歩離れた所から安堵の表情で見つめている。

 他の人達も一様に安心したようだ。

 おまけにあれだけいた“虫”の大群も何処へか消え去っていた。

 クロガネ所属の機動部隊も帰還の途に付く。

だが、ブルックリン達の所に近づいて来る者がいた。

 イングラムである。

 「ブルックリン=ラックフィールド少尉、だな?」

 「は、はっ確かに自分は第一独立装甲連隊第一PT中隊所属ブルックリン=ラックフィールド少尉であります」

 ブルックリンは敬礼しながら答えた。

 「私は極東支部司令部直属特殊戦部隊司令“イングラム=プリスケン”少佐である」

 イングラムも軽く返礼した。

 瑞希はイングラムに対して言いようの知れない恐怖感を覚える。

 あたかも底知れぬおぞましい闇を纏った人の姿を装う何かが自分の目の前に存在しているとしか言いようがなかった。

 「何なの?・・・・・なんだか怖い・・・・・」

 「瑞希ちゃん・・・・」

 玲子は心配そうに瑞希に寄り添う。

 その時である。

 『大丈夫』

 聡明で優しい響きを持った女性の声が瑞希の意識に直接響いてきたのだ。

 「えっだ、誰・・・・ですか?・・・・・・・・」

 「瑞希ちゃん・・・大丈夫?」

 「だ・・・・・大丈夫・・・・・ありがと玲子ちゃん・・・・」

 『誰なんだろう?きれいな声・・・・・・・』

 そんな瑞希たちの様子をブルックリンも察したのか。

 「少佐、少しよろしいですか?時間は取らせません」

 「分かった、彼女達の事は心配しなくていい。決して悪いようにはしない」

 「ありがとうございます」

 イングラムに礼を言うとブルックリンは瑞希達の下へ駆け寄った。

 「ブリッドさん・・・・・・・・」

 「瑞希さん、心配しなくていい」

 ブルックリンは瑞希の目を真っ直ぐ見つめ諭す。

 「は、・・・・・・はい」

 それを受けて瑞希も安心した様に頷く。

 『この先何があろうともこの娘達は護り抜いてみせる』

 ブルックリンは虚空を見上げ一人決意する。

 統合暦0193年、虚空より静かにそして確実に未曾有の脅威が近づいていた・・・・・・・。

 

 {了}

 

 とりあえず第一話掲載致しました。

 本来は神騎さんのサイトに掲載していたのですがいつの間にかアクセス出来なくなったので今回加筆修正の上での掲載となりました。

 ご意見ご感想お待ちしております。

 

 尚本作品に関する著作権は自分及び各版権元に帰属します。

 無断借用等著作権法に抵触する行為一切これを禁ずと同時に各版権元へ問い合わせも死活問題となりますので固く禁じます。

 当然各版権作品とは一切関係在りません。

 

-5ページ-

 

 真・ス−パ−ロボット大戦 

 〜LEGEND OF THE DORAGONLORD〜                               

1)イントロダクション

 旧西暦2000年代初頭、南極における「セカンド=インパクト」発生によって時間、空間、次元の壁が破壊され世界は混乱の極みに達した。

 (後に、“仕組まれた災い”と呼ばれることとなる。)

 とりわけ発生直後の4年間は「Missing4Year」と呼ばれ、それに関する記録は総て封印されているため今となってはそれを知る術はない。

 そして旧国連を中心とした「地球連邦政府」が発足、強引なまでの武力による統一を行った。

 後に「統合戦争」といわれるこの戦いで反連邦勢力をほぼ一掃した後「統合暦」を制定し宇宙開発に着手、人類はその生活圏を月面にまで拡大していくことになる。

 そして、1世紀以上の時が流れ人類は100億以上の人口の内およそ89%が月もしくは人工島「スペースコロニー」で生活していた。

 しかし統合暦0179年、地球から最も遠いコロニーであるサイド3は「ジオン公国」を名乗り連邦に対し独立戦争を挑んだ。開戦わずか一週間で総人口の半数が死に到る。

 同年12月、連邦軍の反抗作戦である「星一号作戦」発動直前L5空域に突如出現した巨大な物体(メテオ3)は連邦、ジオン両軍の宇宙艦隊を巻き込みつつ地球の南アタリア島に落下。統合暦0180年1月、連邦とジオン共和国との間で休戦協定が結ばれる。この戦いは後に「一年戦争」と呼ばれた。

 終戦後の調査によってメテオ3は異星人の宇宙船(しかも戦闘用)であることが判明した。これにより人類以外の知的生命体による大規模な恒星間戦争が繰り広げられていることが証明される。なお、巨大宇宙船は「ASS−1」と呼称されることとなりそこより得られたテクノロジー(EOT)は地球圏のミリタリーバランスを崩すには充分すぎる材料であった。

事の重大さに気付いた連邦政府は南アタリア島を連邦特別区とし「SDF(連邦特別宇宙軍)」を創設、島の防衛にあたらせる。同時に徹底的に情報の規制が行われ事実が公になることはなかった。

 ところが、ASS‐1の落下を合図にしたかのように13年間に渡ってあらゆる災厄が地球圏を襲う事になる。しかし、それらはこれから始まる「大いなる災い」の序曲にすぎなかった。

 アンセスター、エアロゲイター、使徒、火星の後継者、木星帝国、堕天翅族、ゼントラーディー軍、ゾンダリアン、ゼラバイア、ラダム、プロトデビルン、宇宙怪獣。そして「根源的破滅招来体」、「外なる神々」。

統合暦0193年。 今静かに、そして確実に未曾有の危機が人類に降りかかろうとしていた。

2)企画意図

 2001年9月11日、ご存知のようにニューヨークの世界貿易センタービルそしてペンタゴン(米国防総省)に対して行われた“同時多発テロ”。

 それを発端にした一連の“テロとの戦い”を大義としたアフガニスタンそしてイラクに対する一方的な侵略。(タリバンやサダム=フセイン、ビンラディンとその一味に対しては同情の余地などないが)

 それに対してわが国日本は盲目的なまでの忠犬ハチ公っぷりでアメリカにべったりとくっついているのが情けなくも現実である。

 一部妄想的理想主義者によるあまりにも現実離れしすぎた反戦運動がまかり通る有様はもはや見るに耐えない状況だ。

 TVも不毛な討論(とも言えないような幼稚なののしりあいではあるが)を垂れ流しにしているのを見ると正直いい加減にせぇよと言いたくなる。

 他にもどこぞの“将軍様”至上主義の国家を名乗る“カルト”集団とそれを裏で操る中華帝国主義者共。(何様のつもりだか知らんが内政干渉も甚だしいったらありゃしない。)

 かくのごとき現実に対して俺は常に“これでいいのか?”と思っている、と同時にただ思うだけでは駄目だと言うのも分かっている。

 エゴを振りかざして革命などをやる気はさらさらないが俺なりの方法で打ち上げられればと考えてみたらひとつの方法が見つかった。

 “小説を書くこと”だった。

 ただ書くのではなく、俺の大好きなものを“スーパーロボット大戦”という器に一緒くたに詰め込んで噛み砕いてやろうと思う。

 ギャルゲー、とりわけ泣きゲーとか感動系と呼ばれているゲーム(AIR、SNOW等)はスパロボと相性がいいと思うのだが。

 パワーアップのネタに使えるし、逆にゲルルンジュースや謎ジャムを目の当たりにした主人公や甲児やキラとかアムロ達がどういうリアクションをするのか見てみたいところであるしギャルゲーのキャラが自分たちのいる世界は砂上の楼閣に過ぎないと知ってしまったとしたらどうなるのだろうか?

 その上、オフィシャルではありえないカップリングが出来るだけでなく人間関係もかなり踏み込んだものが出来ると思う。(性的なものもタブー視しない。)

 スパロボ世界とギャルゲー世界を対比させることによって我々のいる世界が如何に危ういものの上に成り立っているのかを表現できると思う。

 さらに、いつも思うことなのだがオリジナル系の敵や今までの敵連合軍では少々インパクトに欠ける気がするので最終的にはクトゥルー神話でおなじみの外なる神々、旧支配者の皆様に出張ってもらうことにした。(当然ラスボスは盲目にして痴愚、されど全知全能の魔王たる“アザトース”である。)

 コンセプトとしては“ガンダム=センチネル”の方法論を使ってみようと思う。(あくまでもスパロボ世界における“リアル”の追求である。)

 そしてもう一つの方針として“マトリックス”シリーズをリスペクトした上でαシリーズを再構築する。(ブルックリン= “ネオ”だと言えば分かりやすいと思う、ちなみに孫 光龍はさしずめ“エージェントスミス”といったところだろう。)

 主人公の相方はライバル的な位置づけのため同性とする。(男女の組み合わせだとどうしても馴れ合いが生じるため。)

 戦場では究極の選択を迫られることは日常茶飯事なので下手な馴れ合いは命取りとなりかねないという当たり前をやろうと思う。

 スーパーロボットとリアル系の定義づけもはっきりさせていこうと思っている。

 スーパーロボットは“外なる神々”を殺すために人が創りし神の模造品。

 リアル系は我々がよく知る兵器や道具の延長線上に位置する物。

 他にも同人の特権を最大限に活用していろいろ仕込んでいくつもりだ。

 まあオフィシャル原理主義者の方は精神的衛生上無視したほうが賢明だとは思うが。

 コンセプトは邪道、されどストーリーは王道をやるつもりだ。

 とにかく肩肘張らず気楽に気長にやって行こうと思う。

 

 【参戦作品】

<バンプレストオリジナル系>

超機人龍虎王伝奇

オリジナルジェネレーション (*)

魔装機神〜THE LORD OF ELEMENTAL

 

<宇宙世紀ガンダム>

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (*)

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)☆

機動戦士クロスボーンガンダム (*)

機動戦士Vガンダム

 

<SEED系>

機動戦士ガンダムSEED

機動戦士ガンダムSEED ASTRAY

機動戦士ガンダムSEED=DESTINY

 

<平成ガンダム>

機動新世紀ガンダムX

新機動戦記ガンダムW

新機動戦記ガンダムW Endless Waltz

機動武闘伝Gガンダム(*)

ターンAガンダム

 

<OO系>

機動戦士ガンダムOO (2ndシーズン含む)☆

 

<スーパー系:勇者シリーズ>

勇者王ガオガイガー (*)

勇者王ガオガイガーFINAL (*)

勇者特急マイトガイン☆

勇者指令ダグオン☆

 

<スーパー系:大張系>

超重神グラヴィオン(アレンジVar,)

超重神グラヴィオンツヴァイ(アレンジVar,)

超獣機神ダンクーガBURN(アレンジVar,)☆

獣装機攻ダンクーガNOVA☆

 

<スーパー系:ダイナミック系>

ゲッターロボシリーズ(原作版) (*)

真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ(アレンジVar,) (*)

マジンガーシリーズ(TV、劇場版) (*)

マジンカイザー(アレンジVar,)

UFOロボグレンダイザー

鋼鉄神 ジーグ

獣神ライガー(アレンジVar,)

 

<スーパー系:無敵シリーズ>

無敵超人ザンボット3

無敵鋼人ダイターン3(*)

 

<スーパー系:その他>

機神咆哮デモンべイン (*)☆

機神飛翔デモンベイン☆

THEビッグオー

超合体魔術ロボ ギンガイザー☆

GEAR戦士電童

伝説巨神イデオン(逆襲のギガンテスVar,)

ガイキング〜LEGEND OF DAIKU‐MARYU(アレンジVar,)

マシンロボクロノスの大逆襲 (*)

創聖のアクエリオン

冥王計画ゼオライマー

ラーゼフォン

闘将ダイモス

六神合体ゴッドマーズ

銀河旋風 ブライガー

戦国魔神 ゴーショーグン

勇者 ライディーン (アレンジVar,)

鉄(くろがね)のラインバレル☆

宇宙戦士バルディオス

宇宙魔神ダイケンゴー ☆

合身戦隊メカンダーロボ

ガン×ソード

GR〜ジャイアントロボ ☆

天元突破グレンラガン☆

超星艦隊セイザーX(アレンジVar,)☆

未来ロボ ダルタニアス

最強ロボ ダイオージャ

 

<リアル系:マクロス系>

超時空要塞マクロス愛・おぼえていますか(*)

マクロスプラス

マクロス7

 

<リアル系:富野監督作品>

オーバーマンキングゲイナー

聖戦士ダンバイン (*)

リーンの翼☆

戦闘メカ ザブングル

重戦機 エルガイム

 

 

<リアル系その他>

機動戦艦ナデシコ〜The Prince of darkness

コードギアス反逆のルルーシュ ☆

コードギアス反逆のルルーシュR2 ☆

新世紀エヴァンゲリオン

ヱヴァンゲリヲン新劇場版☆

蒼き流星SPTレイズナー

フルメタルパニック!

フルメタルパニック!TSR

宇宙の騎士テッカマンブレード(コミックVar,)

蒼穹のファフナー

機甲戦記ドラグナー

POWERDoLLSシリーズ ☆

超時空世紀 オーガス

装甲騎兵ボトムズ (*)☆

マブラヴオルタネイティブ ☆

マブラヴオルタネイティブTOTALECLIPSE ☆

交響詩篇エウレカセブン

 

注)☆が付いている作品は新規参戦作品です。

 

(アレンジVar,)と付いているのは自分の独断と偏見で原作設定から大幅な変更を行ったバージョンのことです。

 

尚、スーパールートのみ若しくはリアルルートのみに登場する作品もあります。

 

【コラボレーション作品 】

 

こみっくパーティー (*)

AIR

Kanon

SNOW

リフレインブルー

下級生

下級生2

ONE〜輝く季節へ

ToHeart

ToHeart2

シスタープリンセス

魔法騎士レイアース

マリア様がみてる

おねがい☆ティーチャー (*)

みずいろ

キディ・グレイド

Piaキャロットへようこそシリーズ

LostPassage〜 失われた一節

顔のない月

ガルフォースエターナルストーリー

ちっちゃな雪使いシュガー (*)

Re‐leaf

神無月の巫女(*)

ギャラクシーエンジェル(*)

CLANNAD

リトルバスターズ!

フルメタルパニック?ふもっふ

シムーン

ストロベリーパニック

夜明け前より瑠璃色な

FORTUNE・ARTERIAL

SHUFFLE!

乙女はお姉さま(ボク)に恋してる

サクラ大戦シリーズ

D.C.〜ダ・カーポ

D.C.2

Fate/staynight

恋姫†無双(真〜を含む。)

一騎当千

魔法少女リリカルなのはStrikerS

ほしフル〜星藤学園天文同好会〜

タユタマ‐Kissonmydeity‐

乃木坂春香の秘密

仮面のメイドガイ

あかね色に染まる坂

ましろ色シンフォニー

かしまし〜ガールミーツガール〜

しゅごキャラ!

らき☆すた

落語天女おゆい

Stellar☆Theater

ティンクルセイバーNOVA

けんぷファー

 

ストーリーは4章構成で全104話を予定しております。

 

注)総てが同時に出てくるわけではありませんし、それぞれの章のみの参戦や出演という作品もあります。

 

注2)(*)がついている作品は4章総てに登場します。

 

尚、コラボ作品は更に追加されるかも知れません。

説明
 バンダイナムコゲームズのソフト“スーパーロボット大戦シリーズ”をベースにギャルゲー等とのコラボレーションを行った小説です。
 なお原作設定はある程度敢えて無視してある部分が多々ありますのでそれぞれの原作信者にはお勧めできません。
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タグ
クロスオーバー 二次創作 こみっくパーティ スーパーロボット大戦 

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