真・恋姫†無双 星と共に 第11章 |
真・恋姫†無双 星と共に 第11章(桂花拠点1)
とある日。
「お待たせ、何か用か?」
一刀は華琳に呼ばれて華琳の部屋を訪ねた。
華琳は読書中であった。それもかなり分厚い本の……。
「読書の邪魔をしたか? だったらどこかで時間を潰してくるけど……」
「気にしなくていいわ。それに、私があなたを呼んだのよ?」
華琳は本を開けながら、一刀の方を向く。
「どうしたの? 私の顔に何か付いているかしら?」
「ありきたりの答えしかないな。それで、俺に用事って?」
「そこに積んである書物を蔵に返してきて」
華琳が指す方向には分厚い本が何冊も積んであった。
「分かった、手伝うよ」
「は? あなた、何を言っているの?」
「運ぶのを手伝ってくれじゃないのか?」
「何か勘違いしてるようだけど、私はそれを一人で持って行きなさいって言ってるの」
「手伝わないのか?」
「私は知識を吸収するのに忙しいのよ」
そして華琳は再び持っていた本に目を通す。
「華琳、ひとついいか?」
「何?」
「最初にこの本らこの部屋に持ってきたのは誰だ?」
「秋蘭よ」
「大変だったろうな」
「そうでもなかったわ。秋蘭は一人で持ってこれたわ」
「……そうか」
「分かったら、早く持って行きなさい」
「はいはい」
そして一刀は言われるがままに大量の本を持って蔵に向かった。
「まったく、一冊一冊はそんなに重くはないが、たくさん持つとさすがに重いな……」
そう言いながらも一刀は蔵にたどりついた。
そして蔵を扉を開けようとするが、両手が塞がっているためなかなか扉が開かない。
そんな時であった。
「あなた、ここで何をしてるの?」
そこに桂花と澪が来た。
「ん? ああ、桂花に澪か」
「何だとは失礼ね」
「ま、別にあんたに諧謔に富んだ理想の返事なんて期待してないけど」
「理想の返事って?」
「知らなくて良い。あんたには無理だから」
「まあいいさ。悪いけど、ちょっと蔵の扉を開けてもらっていいか?」
「はぁ? ……いやよ。どうして私があなたのために何かしなくちゃいけないの?」
「別にいいわよ」
澪が蔵の前にある扉を開けようとするが……。
「待ちなさい! 澪!」
「何よ?」
「どうしてあなたが開けるの?」
「別にそれくらいなら頼まれてもいいと思うけど……」
「とにかく、ちょっと待って……」
「……仕方ないわね」
澪は扉から手を離す。
「おいおい…。でもお前達も蔵に用があるだろ? ついでに開けてくれたっていいんじゃないのか?」
「あんたの為に開けるなんてまっぴらごめんね」
「やっぱり開けるわね。私は一刀の為に開けるの、そんなに嫌じゃないし……」
結局、蔵の扉は澪が開けた。
「サンキュー」
「サンキュー?」
「何よ? どこの言葉?」
「通じないんだったな、悪い悪い、ありがとうという意味だ」
「なるほどね……サンキューか……」
「ふんっ……」
澪は少し嬉しそうだが、桂花は不機嫌そうに蔵の中に入り、一刀も二人を追うように蔵に入った。
「結構な数だな」
一刀は蔵の中を見る。
前の世界で自分が治めた蜀の国での蔵を見たことはあるが、ここにある本の数はその時以上のものだと一刀は考える。
「ちゃっちゃと片付けるとするか」
「手伝う? 一刀」
「いや、これも修行だと思って一人でやるさ」
一刀は本を机に置いて、蔵の扉を閉めようとすると……。
「ちょっと待ちなさい!」
桂花が驚いたような声を出し、一刀と澪は止まる。
「どうしたの?」
「……扉、閉めないで」
「?」
「どういうことかしら?」
「澪、あなた何も感じないの?」
「何をかしら?」
「ケダモノみたいな男と密室でいるなんてサイテーなんだから。絶対に閉めないでよ!」
「ケダモノ……」
澪が一刀の方を見る。
「俺はそんなケダモノになった覚えはないが……、分かったよ」
一刀は扉から手を離す。
(桂花、前の世界よりもひどくないか? 男嫌い…)
桂花は前の世界でも男嫌いであったが、ここまでのものかと一刀は思う。
(まあいいさ。とにかく本を返すか……)
そして一刀は何とか本を返していく。
前は字が読めないこともあって本を返すのはかなり不慣れだったが、今は慣れたので普通に返すことが出来るのだ。
もっとも完全に字をマスターしているわけではないが……。
一刀は本を少し立ち読みしている澪を見つける。
「何を読んでるんだ?」
「ああ、一刀。これよ」
澪が見せた本は国力を計るのに大事な本であった。
「そんな本も読むのか」
「昔からかなり最近のことまで書いてあるわ」
「どれどれ?」
一刀が澪に本の中身を見せてもらう。
「思ったより細かいな」
昔、朱里に言われて読んだ本があるが、それと同格かそれ以上に細かく書かれていた。
「細かくないと……資料としてのっ……んっ、意味がないでしょ?」
どこからか苦しそうな桂花の声が聞こえてくる。
「何してるんだろ?」
「さあ? 見て来たら?」
「そうする」
一刀が見に行くと、そこにはつま先立ちをして必死に本棚に手を伸ばしている桂花がいた。
(背が届かないのか)
「もうちょっと……。もうちょっとで届くのに……んくっ」
(……仕方ない)
一刀が桂花の後ろに立って、桂花が取ろうとしている本を代わりに取る。
「これで良いのか?」
一刀が取った本を桂花に渡そうとするが……。
「………」
「桂花?」
桂花は硬直し、そして次に言った言葉は……。
「ひあっ!? い、い、いやぁぁぁ! 襲われるぅぅぅぅ!」
「ちょ……何だよそれっ! 本を取ってやっただけだろ!」
しかし桂花は……。
「来るな来るな来るな来るなーっ!」
桂花は思いっきり後ろに下がって後ろの本棚に頭をぶつけ、本棚から本が落ちてくる。
「お、おい! 大丈夫か桂花」
「どうしたの?」
澪が何事かと思ってやって来る。
「来るなっ、触るなっ、近づくなー!」
桂花は近くにある書物を一刀に向かって投げ飛ばす!
「危ないだろ!」
「本は投げ捨てるものじゃないわ」
(命は投げ捨てるもの……それはネタだな)
一刀が桂花を止めようと、桂花の腕を掴む。すると!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 男が触ったぁぁぁぁぁっ! に、妊娠するぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「どうしてそうな……ぐわっ!」
かなり分厚い本の角が一刀の眉間に直撃し、一刀の眉間からは血が少し流れてしまう。
「一刀、大丈夫?」
澪が一刀を心配し、駆け寄る。
「痛いけど、何とかな……。とりあえず桂花、落ち着け」
「うるさいっ、喋るなっ、空気妊娠する!」
「澪!」
「分かったわ!」
一刀は仕方ないので、澪に桂花を取り押さえてもらい、何とか桂花を鎮めようとしたら……。
「賊め、華琳様の書物庫で狼藉とはいい覚悟だな! この場で斬り捨ててくれる!」
騒ぎを聞きつけて、春蘭、季衣、星が入ってきた。
「春蘭! 落ち着け! 俺だ!」
「あれぇ? 桂花と兄ちゃんに澪ちゃん?」
「何をやっておられたのだ? 一刀殿」
「俺が桂花の取ろうとしている本を取ったらこうなったら」
「それは一刀殿が迂闊でしたな」
「ああ、確かに俺の失敗だな……。だが、よくここが分かったな」
「何を言っている。……桂花の悲鳴など外にまる聞こえだぞ?」
「そうか、蔵の扉を開けっぱなしにしたんだったな」
「あーあ。華琳様に怒られるよ、兄ちゃん達」
「………それは嫌だな……」
「……こいつが! こいつがいきなり襲いかかってきてっ!」
澪に取り押さえられながらも、桂花は言う。
「それは違うだろ」
「いや、寄らないで! 妊娠しちゃう!」
「そんなんで妊娠しない!」
「いやー! 耳が犯されるー!」
「今まで普通に会話してただろ」
「来るなっ、喋るなっ、見るなっ、息するなー!」
「それは俺に死ねと言っているのか?」
「あんたなんかいなくなればいいのよ! 全部あんたのせいじゃない! あんたがいなければ、蔵が滅茶苦茶になることはなかったのよ!」
「そっくりそのまま返していいか?」
「いい加減にせんか二人とも。……事情はおおよそ分かった。騒ぎを起こしたことは華琳様に報告せんでやる。だから、蔵の中をすぐ元通りに片付けておけ!」
「早くしない、もうちょっとで華琳様が蔵に来ちゃうよ?」
「何!?」
「ウソっ!?」
「先ほど、新たな本が必要になったと仰っていたからな。……この惨状を見られたらどうなるか」
「ただでは済まないだろうな」
「仕方ない、桂花!」
「分かってるわ。ここは一時休戦しましょう。ただし可能な限り近づかないでよ。妊娠するから」
(まだ言うか)
「私も手伝うわよ、一刀」
そして桂花と一刀は澪の手伝いもあって何とか蔵を元の状態に戻したのであった。
おまけ
作者「第11章だ」
一刀「本当に投稿しやがった」
作者「ふふふ。まあ出かける用事はあるがこの時間は基本は暇だ。土曜と日曜は別だがな」
一刀「今回は特に省略した節は見当たらないな」
作者「最後の部分だけだな。それ以外は台詞を変えたりしたけど、省略自体してないはず」
一刀「次回は?」
作者「投稿はいつかは考えてないが、明日も投稿する予定だ。現在なんとか第20章を書いてる最中だ。
それでは!」
説明 | ||
この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。 | ||
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コメント | ||
ビビり過ぎですwww(ブックマン) 桂花のツンツンは国宝だと思うんだ。(dagsj) うむ、まだこの話の流れはとちゅうなんですな?なにかおもしろいことがおきるはず!(ぇ(よーぜふ) 猫耳よ、少し落ち着きなさい。(みっちー) オチがちょっち弱い気がするです、もう少しコメディが欲しかった。(雨水2) OK 応援してるぜ!(rukaruka) |
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