「プラクティス・キス」 アイマス二次創作SS |
「目、閉じなくていいの?」
私にあごを持ち上げられた春香がそんなことをつぶやいた。
唇と唇の距離はあと2,3センチ。
吐息が唇の先に当たるほどの距離。
「どちらでも」
そう返すと、彼女はうんと言って、目を閉じた。
目を閉じたままの彼女の表情を少し見つめると、彼女が少し微笑んでいることに気づいた。彼女がうれしくて微笑んでいるのなら、これに勝る喜びは生まれて今までなかったかもしれない。春香が催促をするみたいに少しだけ唇を尖らせる。そんな愛らしい仕草に胸が高鳴ってしまう。
顔を寄せ、唇を軽く重ねる。
ひと呼吸かふた呼吸くらいの長さで私から唇を離した。
わずかな間だったのに唇には春香の体温がまだ感じ取れた。
「な、なるほど、キスってこんな感じなんだね。ありがとう、千早ちゃん。さすがこの前ドラマでやったことあることだけのことはあるねー」
動揺した様子を隠そうとしながら彼女は私から体を離していく。空いてしまった手の平にはまだ彼女の肌の柔らかさや体温が残っていて、私は握り込むことでそれが消えていくことを惜しんだ。
「ほんとにありがと、なんか色々参考になった気がする。またなんかヘンなお願いするかもしれないけど、またよろしくね?」
「ええ、私にできることならよろこんで」
そそくさと室内から出ていく春香に先ほどの手とは逆の手を振る。
余裕ぶってはいるけども、彼女には早く出ていって欲しい。気持ちの高揚が自分の中からあふれ出てしまわないうちに。
「じゃあね、千早ちゃん」
「また明日、春香」
ドアが閉じるとともに大きく息をついて近くの壁にもたれかかる。壁の冷たさが覚まさせてくれるみたいで今の自分にはちょうどよかった。
しかし先ほどの出来事を思い出すと壁の冷たさも忘れて火照っていくようだ。
「あの、千早ちゃんっ」
いきなりドアが開き、顔だけがこちらに出てきた。それは春香のどこか恥ずかしげな笑顔だった。
どうしたのか問う言葉がうまく出てこず、なんとか眼だけでその努力してみる。
「もう1回、いいかな? えっと、その、さっきの、なんだけど、も」
何度でも、と声が出そうになるのを咳き込むことで誤魔化し、笑顔を作り直す。
「ええ、もちろん」
春香の頼みなら、何度だって。私はそんなことを心で答えながら、何度もごめんと言いながら入ってくる彼女に近づいていく。
-END-
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