外史伝外伝 第三話『姫君と御遣い』 |
真・恋姫†無双 魏ルートアフター
外史伝外伝
『外史伝エピソード零:鏡花水月編』
第三話『姫君と御遣い』
実は、一刀は三国会談に参加することはあまり無く、王達以外と話をしたことがなかった
蜀に来てからは月と詠が二人そろって世話をしてくれるなか多くの蜀の人々と交流を持つことができたが、呉のもの達とは未だに会話をしたことがない
呉の王孫策と側近周瑜は既に真名を許してくれているが、他の者たちは黄蓋の死の原因を作った一刀を未だに憎んでいた
故に、一刀を避けるようにしていたのだった
一刀的には仲良くしたいのは山々なのだが、彼は無理強いはさせたくないのでいつか彼女達と仲良くできることを願っていた
そうこうしているうちに、蜀で行われる三国会議が近づいてきた
一刀は今回こそは呉のもの達と和解しようと決意を新たに要人達の警護に向かうのだった(本来なら警備される側の立場だが…)
魏国要人の出迎えに来た一刀と翠、そして白蓮
蜀軍の精鋭たちがその護衛につく
「おっ!一刀!
見えたぞ。曹操たちの軍だ!」
翠の声に一刀は笑みを浮かべる
ようやく会える。大好きなあの娘に…
目を細め、華琳たちが来るであろう方向を見つめる
そうしていると…
地平の向こうから華琳と桂花、秋蘭、真桜、沙和、霞が軍を率いてやってきた
「みんな…」
秋蘭「心配は無用でしたな?華琳様」
桂花「ちぃ!あの男運が良いわね!」
一刀の姿を確認した霞達はいっせいに駆け寄ってくる
「一刀〜!!」「「隊長ぉ〜!」」
三人は馬から飛び降りると人目も省みず一刀に飛びついた
「おっと!
久しぶりだね…みんな」
「ばかぁ!心配したのぉ〜」
「ほんまや!凪なんて心配のし過ぎで寝込んでもうたで!」
「一刀ぉ〜!一刀ぉ!!
うち…心配で…心配でぇ」
三人とも泣きながら一刀にすがりつく
一刀も優しく抱き返した
「一刀…元気そうね」
華琳は一刀の顔色がよさそうなのを確認し始めて笑顔を浮かべる
「あぁ。心配かけてごめんよ、華琳。」
一刀は三人をゆっくり放すと、華琳のほうをむく
近づくと優しく包みこんだ
普段ならツンを見せるであろう華琳も、この時だけは一刀に抱きついた
それほどに、この少女に心配をかけてしまった
一刀は改めて自分の力の無さを怨んだ
そんな様子を見ていた翠と白蓮
「…////」
「うらやましいのか?翠」
白蓮が嫌な笑みを浮かべながら近づいて声をかけた
「べ、べべべべつに!あ、ああああたしは一刀のことなんて!」
「あはははは。顔、真っ赤だぞ」
「ぬぅうう…//////
そういう白蓮はどうなんだよ!?
一刀と話をしているときなんて妙に嬉しそうだし」
「なぁ!?そ、そそそれはだ//////!」
素直になれない女の子×2なのでした
魏のもの達は翠に連れられて成都城に向かった
残った一刀と白蓮は呉の連中を待つ
程なくして呉の軍勢が見えてきた
「一刀ぉ〜!」
呉の王孫策。真名を雪蓮
彼女と周瑜だけが一刀に真名を許している
彼女たちとて黄蓋は大切な人たち
それでも、私憤を乗り越えて新たな平和をともに作ろうと誓い合い真名を預けたのだった
雪蓮は馬から下りると一刀に近づいてきた
お供には孫権、陸遜、周泰、甘寧そして冥琳
「やぁ。雪蓮
お久しぶりです」
一刀は最上級の礼をもって彼女達を迎えた
「でも、あなた自身がお出迎えなんて…」
「今の俺は蜀の軍師将軍だから。
仕事はきちっとしなくっちゃ」
一刀と雪蓮は笑顔で話す
「北郷。いずれ、呉にもその力を貸してもらうぞ。なぁ、雪蓮?」
冥琳が歩いてやってきた
「冥琳。久しぶり。大喬ちゃんと小喬ちゃんは元気ですか?」
「あぁ。相変わらずだ。
お前も元気そうで何よりだ。」
雪蓮は一刀に笑いながら言う
「聞いてよ一刀!大喬ちゃんったら最近夜のお付き合いしてくれないのよ!」
「こらこら。雪蓮。北郷に夫婦生活の悩みを相談するな…」
「そうだなぁ。まずは心を開きあって話をするのが一番「答えるのか!?」」
そこに…
「姉さま!!」
孫権が怒鳴り込んできた
「あら、蓮華。どうかしたの?」
「どうもこうもありません!!」
孫権は一刀を指差しながら叫ぶ
「なぜ、この者がここに居るのですか!?」
一刀は孫権に答える
「なんでって、華琳の命で蜀の客将としてお手伝いを…」
「貴様には聞いていない!黙っていろ!!下郎が!!!!」
「…………」
流石に孫策も口を出してきた
「蓮華!」
「姉さま!なぜ、このような者に真名を預けているのです!
冥琳もだ!こやつは祭の敵なのですよ!?」
「蓮華様の言われるとうりです。
この者は、我らの敵です!」
「一刀は三国を平和にした功労者よ。
確かに、彼の策で祭は死んだわ。
でも、それは私たちも同じことを彼にしているはずよ。」
それでも、孫権と甘寧は孫策に食い付きながらまくし立てる
「蓮ふ…「待ってくれ、雪蓮」か、一刀?」
一刀は雪蓮を制すると彼女の前に出る
「孫権さん、甘寧さん。お久しぶりです」
一刀は手を手で包む敬礼をする
しかし、
「黙れ!!
思春!!!!やれ!!」
「はっ!
貴様!どの面下げて蓮華様に言葉をかけるのだ!」
甘寧は一刀の首もとを持ち締め上げる
「ぐぅ…」
「蓮華様につらい思いをさせた貴様に生きる価値など無い!」
更に力を込め一刀を締め上げる
「思春!蓮華!いい加減にしろ!!」
孫策は覇気を滲ませ怒鳴る
しかし、一刀は雪蓮を手で制する
「か、一刀!?」
「しぇ…雪蓮。覇気……は…よして…く、くれ。
皆…縮み上がって…るぞ?」
一刀は未だに締め上げられている状態から声をかける
「か、甘寧…孫権。
き、君達が…お、俺を…う、怨むのは…いい。
だが、そ…その怒りは…俺だけ向けてくれ。
魏や蜀に…決して…向けるな。
死んだのは…黄蓋さんだけじゃ、ない!
俺の…大切な…部下達も、大勢君達に殺された
だが、俺は…君達を怨まない!
アレは…戦争だ。人が、人を殺す…お、おろかな行為だ。
その戦争で死んでいったもの達は、決して…帰ってこない。
いいか。
彼らが望んだ…平和は…いま、ここにある。
君達は…乱世を…、生き抜いた…責任があるんだ。
生き残った…責任が…ある。
こ、…この平…和を、ま、守る…ことだ。
それが…この乱世を…深め、多くの命を弄んだ…俺たちの、責…任だ
それだけ…は…どうか…忘…れ…ない…で…」
「!?」
ドサァ!
甘寧は一刀の声が消えたのに気が付き慌てて彼を落とす
一刀は力なく倒れこむ
「北郷!」
「か、一刀!?」
白蓮と雪蓮は一刀に駆け寄ると顔を青くした
「め、冥琳!すぐに医者を!!!」
「どうしたのだ!?」
「一刀の…一刀の呼吸が!!」
「な、何!?」
冥琳も一刀に駆け寄り確かめる
「まずい!!軍医をここに!!!!」
呉兵「ハッ!!」
「そんなもの…待ってはいられないわ!」
「一刀!一刀!!」
雪蓮は必死に叫びながら心臓マッサージを行う
軍医が到着したところで
「明命!孫権と甘寧を拘束せよ!」
雪蓮は命を下すが、周泰は
「蓮華様達は…間違っていないのです!
悪いのは…悪いのは…御使い様なのです!!」
っと頑なに命を拒否した
「これは命令よ!!!拘束しなさい!!」
雪蓮は王としてのことばを放つ
「し、しかし…なのです…。」
「私が拘束する!いいな、雪蓮?」
白蓮が申し出た
「えぇ…呉王として許可するわ!白蓮、お願い」
「分かった」
白蓮は部下達とともに二人を縛り上げた
そうこうしていると…
「何事だ!!!?」
騒ぎを聞きつけた愛紗が蜀兵を率いてやってきた
「愛紗!?」
「むぅ…雪蓮殿たち?いったい、どうし…!?か、一刀様!?」
軍医に必死に治療されている一刀をみた愛紗は一刀に駆け寄る
「一刀様!一刀様ぁ!!いったい…これは!?」
動揺する愛紗に雪蓮が言う
「愛紗…あとで必ず説明するから今はあの二人を成都城に監禁して。」
雪蓮は孫権と甘寧をさす
「まさ…か」
愛紗は気が付いてしまった
「貴様らが…一刀様を…!?」
愛紗は殺気を放つ
甘寧でさえ震えるほどの殺気だ
孫権にいたっては顔面を青くしている
「許さん!!!!!!」
愛紗は青龍堰月刀を振りかざし、二人めがけてかけて行く
その目は鬼神の如く鋭く、見るものすべてに恐怖と畏怖を植えつけた
「あぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
しかし、青龍刀が二人を捕らえることは無かった
ガキィイ!!
「なぁ!?」
「「な!?」」
「うそ!?」
その場にいた全員が驚いた
愛紗の攻撃を剣一本で防いだものがいた
それは…
「愛紗…。落ち着け!」
「か、一刀…様?」
一刀自身であった
「し、しかし!」
一刀は剣を下ろし、愛紗を胸の中に抱きしめた
ドクントクンっと彼の心臓の音が聞こえる
「ほら…生きているだろう?
だから、彼女達を…殺してはいけない」
「…わかり…ました」
愛紗は青龍刀を手から落とすと、一刀に抱きつき落ち着くまでそうしていた
雪蓮達は自身の目を疑った
さっきまで隣で息を吹き返さなかった一刀が次の瞬間には消えていて、愛紗の豪撃を防いでいたのだから
「これが…天の御遣い?」
雪蓮は恐怖した…この男が戦場に出ていたら、孫呉の損害はもっと大きくなっていたかもしれないっと
だから、改めて思った
彼はすごい、っと
「白蓮も…彼女達の拘束を解いてやってくれないか?」
「し、しかし!?北郷!こいつらは…」
「分かっている。
でも、復讐や恨みの連鎖はここで断ち切らなくてはいけないんだ。
俺のみでなく、三国の皆が本当の仲間になるためにも…許しあい助け合う心を持たなくてはいけないんだ。」
「…わかった」
白蓮は二人の縄を解き、解放した
二人は呆然と一刀を見つめる
彼は先ほど自分達が殺しかけたのにもかかわらず微笑を浮かべ、
「痛いところは、ないかい?」
っと聞いてくる。
二人は…いや、孫呉の兵士たちは皆そんな一刀の姿を見つめる
気高く…強く…優しい、天の御遣い:北郷一刀
「みんな…」
一刀はその場の人々に訴える
「生き残った…責任をともにとっていこう。
死んでいった者たちの命を、背負って生きていこう。」
その場にいたもの全員がただ黙って頷いた
蓮華は感じた
互いに許しあおうという彼の強さが…美しい…
死を背負おうっという、彼の決意が…かっこいい…
思春は感じた
互いに許しあおうという彼の強さが…羨ましい…
死を背負おうっという、彼の決意が…たくましい…
殺そうとしたのに…笑って許してくれている
自分達のしたことの重大さが改めて伝わり
蓮華はごめんなさいと泣き出した
雪蓮は感じた
互いに許しあおうという彼の強さが…美しい…
死を背負おうっという、彼の決意が…美しい…
だから、こんなにも気になり始めたのかもしれない。
大喬も彼女の気持に気が付いたのだろう
だから、もう少し一刀に抱いている自身の気持に気が付いてほしくて、あえて相手をしなかったのだ
それは、誰よりも孫策を愛するが故に、彼女の幸せを応援したいという純粋な気持からだった
「(大喬ちゃん…。わたし…貴女に心配かけてばかりね。
帰ったら、たっぷりとお礼をさせてもらうわ。ありがとう。)」
ようやく気が付いた気持を彼女はそっと胸に抱いたのだった
つづく
あとがき
ぐだぐだってのは…こういうことを言うんでしょうか?
しかも、すこし暗いし…もう少し明るくすれば、っとかすこし反省中です。
今回は、呉の者達が少しだけ心を開いてくれました。
この先どうなるのか…それは、作者にも分かりません(笑)
次回は…ついに三国会議開催です!
(今日の一言:ゴールデンウィーク…遊びすぎた…)
説明 | ||
皆様こんにちは。 外史伝外伝の第三話をお送りいたします。 三国会議がはじまる時、一刀の戦いは始まりを告げた。 すこしでも楽しんでいただけたら幸いです。 それでは、どうぞ! |
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コメント | ||
あれ? 第2話どこですか?(アレン★ゼロ) いくら恨みあるとはいえいきなり重要人物殺そうとするってーのは器が知れる行為ですわなぁ(闇羽) なんかゲームの一刀よりつよいな(弐異吐) かっこよすぎだぜ一刀!!そこに痺れる惚れる憧れる〜w続きが速く見たいです!!(リンドウ) やっぱり一刀は器が違うな〜しかも愛紗の豪撃を受け止めてしまうとわ・・・・アンタ何者www (スターダスト) 更新お疲れ様です。一刀君は男、いや漢だよ!!しびれた〜〜!!(mighty) 更新お疲れ様です。一刀がデッカく見えましたね。明命の反応は少し意外に感じました。(tokitoki) こ、こんなカッコイイ一刀なんて・・・・・・惚れてまうやろ?ww 続き期待大o(^▽^)o(JIN) |
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