真恋姫無双〜ありえたかもしれない外史〜 第20話 赤壁×別れ 
[全11ページ]
-1ページ-

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

-2ページ-

 

前回のあらすじ

三国が拮抗する状態になり一刀達はあらためて決意をする。そして、再び曹操が一刀達に襲い掛かる。一刀達は曹操と対抗するために蜀と同盟を結ぶ。

真恋姫無双〜ありえたかもしれない外史〜始まります。

-3ページ-

 

明命の報告によると魏の大軍は長江を下る準備をしていた。冥琳の提案で仲・蜀の連合軍は赤壁で魏と相対することにした。現在はそれに向けての詰めの段階まできていた。

 

 

冥琳「あれだけの大軍だ……生半可な策は通用しないであろう…」

朱里「そうですね」

仲と蜀の主な将が集合して冥琳と朱里を中心にそれぞれが策を出し合っていた。

愛紗「ある程度は固まった……しかし…」

星 「うむ……決定的な策がないな……確実に相手にトドメを刺す策がな…」

愛紗と星の言葉に頷く面々。そこで朱里が口を開いた。

朱里「あの…周瑜さん私に一つ策があるのですが……」

冥琳「ふむ…実は私も一つあるのだがな」

朱里「では掌に書いて一斉に見せ合いっこをしましょうか」

冥琳「ああ……その前に……一刀」

冥琳が一刀に声をかけて指名すると全員が一刀を見る。。一刀は今までの軍議の間中ずっと沈黙していた。

冥琳「一刀も策を出せ…先程からずっと黙っておまえらしくもない」

雪蓮「そういえばそうね」

  「いや……『美周郎』に『伏竜鳳雛』がいるんだ。俺が口を出すこともないだろ?」

一刀は軽く肩をすくめる。その言葉を聞いて冥琳が苦笑する。

冥琳「どの口がそう言うのだ『天の御使い』……いいからさっさと書け。」

冥琳がそう言うと三人は筆をとり掌に書き始めた。

朱里「いいですか……いっせーの」

朱里の掛け声にそれぞれが掌を見せる。三人がそれぞれの掌を見る。

朱里「はわわ……皆さんと同じですね」

冥琳「そうだな」

  「これしかないだろ?」

それぞれの掌にはたった一文字だけ『火』と書かれていた。

-4ページ-

 

一刀達は赤壁で相対する前に数回牽制をしていた。それは相手の混乱を誘うものであったがあまり意味を成さなかった。魏も仲と蜀が同盟を組んだことを把握していたのでそれに対する対抗策を練っていたのである。そうした中一刀達は軍議を行っていた。

冥琳「とりあえず魏を足止めすることはできているな…」

朱里「しかし、この均衡も長続きはしないと思います」

雛里「例の策を行うには不十分ですね」

音々音「確かにそうですな……」

詠 「あの策を実行させるにはもうちょっと混乱させないと駄目ね…」

穏 「確かに効果ありませんよね〜」

軍議では仲と蜀の軍師達が集まっていた。しかし、思ったほどの効果がでておらず顔はどこか暗い。一刀はその様子を黙って聞いていた。

美羽「どうするのじゃ?」

朱里「はわわ……どうしましょうか……」

するといきなり軍議の場に祭が現れた。

祭 「なんじゃまた軍議か。下手な軍議に何の意味があろうか」

刺々しい言葉と共に祭が軍議の場にやってきた。その言葉を聞いて冥琳が不機嫌そうな顔をする。

冥琳「黙れ黄蓋!!貴様はただ我らが指示したことに従えばいいのだ」

祭 「はっ!!それであの様か。貴様らの指示で我ら将や兵の命がかかっているのじゃ。そんなお粗末な指示を出されても困るわ!!」

冥琳「何だと!!貴様……我らを侮辱をするか!!」

冥琳と祭のただならぬ雰囲気に周囲の人間が沈黙する。その後も二人の口論が続いた。

美羽「のう…祭よ…みんな一生懸命頑張っておるのじゃ……そこらへんで」

二人の口論を仲裁しようとして美羽が口を開いた。祭は美羽に視線を向ける。

祭 「なら袁術よ……この状況どう思っているのじゃ?」

美羽「それは……」

祭の言葉に沈黙をする美羽。そんな美羽の様子を見て祭が呆れる

祭 「軍師が軍師なら王も王じゃな……はっきりせんの」

詠 「ちょっと!!祭、あなたその言葉はないんじゃない!!」

祭の言葉はあきらかに美羽を侮辱していた。その言葉に七乃や詠などの仲の面々は怒りをあらわにする。

七乃「……いますぐに訂正してください」

祭 「何故訂正をしないといけない?儂は確かに袁術に降った。しかし、それは策殿に言われたからじゃ……儂は呉に……先代孫文台に忠誠を捧げておるのだ!!」

冥琳「貴様!!」

軍議の場はもはや一色触発の雰囲気であった。美羽は一刀に助けを求めようとしてあることに気づいた。

美羽(どうして一刀はこの状況でも黙っているのじゃ?普段の一刀なら黙っていないはずなのじゃ……)

一刀の様子がいつもと違うことに気づく美羽。さらには冥琳と祭にもっとも近い関係である雪蓮と穏も一言も喋っていなかった。

美羽(……きっと何か意味があるのじゃ……一刀ならきっと……)

美羽はそう考えて軽く深呼吸をして口を開いた。

美羽「そこまでじゃ……ここは軍議の場じゃ。口論は控えるのじゃ…」

美羽の言葉に仲の面々は大人しくなる。美羽はそこで桃香を見る。

美羽「桃香よ……すまないのじゃ」

そう言って桃香に謝罪の言葉を述べる美羽。

美羽「黄蓋よ……妾に対する言葉は不問とするのじゃ……ただし軍議の場を混乱させたのじゃ…相応の処分を受けてもらうのじゃ…」

美羽がそう言って冥琳を見る。美羽の視線に気づいた冥琳は口を開いた。

冥琳「黄蓋、貴様はこの戦いが終わるまでは謹慎だ。正式な処分は戦いが終わった後に通達する……この場から去れ!!」

祭 「勝手にしろ!!」

そう言って黄蓋は軍議の場から去って行く。そうして軍議は解散となった。

-5ページ-

 

解散となった天幕には一刀と美羽と蜀の面々が残っていた。蜀は先程の口論のことがあり不満が残っていた。

美羽「あらためてすまなかったのじゃ……」

桃香「あっ!!いや…その」

愛紗「袁術殿……先程のことなのですがあれが戦況に響いたらどうするのですか……」

星 「うむ…共に戦う者としては慎んでもらいたい」

先程の口論に対して蜀の面々は愛紗を筆頭に口を開いていく。

美羽「申し訳ないのじゃ……他の者達にもよく言っておくのじゃ…」

  「さてと……あとのことは諸葛亮と?統よろしく頼んだぞ。」

一刀は朱里と雛里に視線をむける。二人は一刀の視線に気づくと黙って頷いた。

  「では失礼する……」

美羽と一刀は蜀の面々にそれだけ言うと自分達の天幕に戻っていった。

 

天幕に戻る途中に美羽が一刀に尋ねた。

美羽「一刀よ……あの口論は何か意味があるのか?」

  「……どうしてそう思うんだ?」

美羽「祭が妾を侮辱した時に七乃は怒っていたのに一刀はずっと黙っていたのじゃ…普段の一刀ならきっと怒るか七乃を止めていたのじゃ……あとは雪蓮と穏も…その大人しかったし……何よりいつもの冥琳と祭ではなかったのじゃ……」

仲や呉の面々すらほとんど気づかなかった様子の変化にも美羽は気づいていた。美羽の言葉を聞いて一刀は美羽の頭を撫でる。

  「詳しいことは言えない……ただ一つ……皆を信じてくれ…冥琳も祭さんも」

美羽「うむ。わかったのじゃ。」

 

美羽と別れたあとに雪蓮と冥琳が一刀の前に現れた。

冥琳「何も言わないのだな……一刀」

  「……別に……雪蓮は?」

雪蓮「私と冥琳の絆をなめないでよね〜何か考えていることぐらいわかるわよ」

  「そうかい」

雪蓮の言葉を聞いて肩をすくめる一刀。

雪蓮「このことを他に理解しているのは?」

  「俺と冥琳と雪蓮と穏。向こうは諸葛亮と?統ってところだな……あとは美羽だな」

一刀の言葉を聞いて二人は驚いた顔をする。そんな二人を見て一刀は苦笑する。

  「全ては理解していないけどな……ただどこか違和感を持っていたぞ」

冥琳「美羽に気づかれるとわな……」

  「俺としては涙ものだよ…あの美羽がここまで成長するなんてね」

雪蓮「まるで父親みたいな発言ね〜一刀」

そのような会話をしていると一刀達の前に明命がやってきた。

明命「報告します!!祭様が……兵を連れて脱走しました!!」

  (いよいよか……)

明命の報告を聞いて一刀は戦いが近いことを感じていた。

-6ページ-

 

祭の脱走の報告を受けた一刀達はすぐさま指示をだしたが祭はそのまま魏に投降をした。天幕では仲の面々が集まっていた。

蓮華「まさか祭が脱走するなんて…」

思春「……しかし、現実に祭殿は裏切りました」

呉の一部の面々は深刻そうな顔をしていた。雪蓮と冥琳と穏だけはいたって平然としていた。

詠 「……で?どうするの一刀?」

  「別に……詠はどこまで気づいてる?」

詠 「祭が脱走したときにあんたと冥琳が穏に追跡の指示をだしたあたりかしら…」

  「そっか……なら…」

その後一刀と冥琳は残りの面々にことの全てを話した。それを聞いた面々はそれぞれ安堵の表情を浮かべた。

蓮華「そうなの……祭は裏切ったわけじゃないのね……」

小蓮「さすが祭ね!」

冥琳「さてと……あとは……曹操次第だな」

-7ページ-

 

一刀は船上で目の前の光景を見ていた。あの先に魏の大軍が控えている。

  「……準備は整った。あとは風が吹くだけだな」

一刀の後ろには北郷隊の面々が控えている。そこで一刀は北郷隊の面々を見る。

  「皆……今までよく俺についてきてくれた。本当にありがとう」

副官「隊長……まるで死ぬみたいじゃないですか」

  「それは悪かった……ただ最後の戦いを前にちょっと感傷に浸っていた。」

  「……負ければ全て終わり、勝ってもきっと大量の仕事が待っているんだろうな」

副官「勝っても地獄、負けても地獄ですね」

  「どっちも地獄なら勝つしかないな」

一刀がそう言って再び前を見た。

  「風向きが変わったな……」

風向きが変わったことを確認すると目の前から火の手があがった。

 

 

祭が魏の船団に火矢を放ったのを合図に連合軍と魏の戦いが始まった。蜀もこのことを予測していたのか火矢があがると同時に仲と一緒に魏への攻撃を行った。雪蓮達はすぐさま祭の救出にむかった。

雪蓮「祭!!よかった無事ね」

祭 「おお!!策殿、ごらんの通り儂は大丈夫ですぞ」

祭と合流した雪蓮達は再会を喜んでいた。

雪蓮「さてと……じゃあ曹操達を倒しましょうか」

冥琳「ええ……それより祭殿は大丈夫か?」

祭 「儂をみくびるではない!!まだまだ若い者には負けんわ」

冥琳「それは愚問でしたな」

祭の言葉に苦笑する冥琳。

雪蓮「じゃあ……行くわよ!!」

-8ページ-

 

祭があげた火は次々に魏の船団を飲み込んでいった。その中一刀は一人でひたすら曹操の場所を目指していた。船から船へ跳躍をしながら進んでいた。するとそこに矢が飛んできた。一刀は矢を叩き落し着地をする。一刀の目の前に夏侯惇・夏侯淵・霞の三人がいた。

夏侯惇「ここまでだ……北郷。貴様をこれ以上先へは行かせない」

  「前回、俺に手も足も出なかったのによく言うよ」

そう言って双剣を構える一刀。

霞 「せやな〜…でも一刀。うちらも前回と同じちゅうわけじゃないで!!」

そう言うと霞が一刀に向かって攻撃を仕掛けた。

  「だから……その程度じゃ俺には届か……!!」

霞の攻撃は一刀の予想を超えていた。前回とは比べ物にならないほどの速度であった。一刀は自分の頬が切れていることに気づいた。

霞 「どうや!!一刀!!」

  「確かに……前回とは大違いのようだな……」

魏の将達は前回の戦いで一刀に手も足も出なかったことを悔やんでいた。全員が武人としてのプライドを傷つけられたがそのことをバネに全員がより一層鍛錬を行いもう一段強くなったのである。そこから三人が一斉に攻撃を仕掛ける。夏侯惇・夏侯淵・霞の連携に一刀は苦戦をしていた。一刀は三人の攻撃をかわしながら考えていた。

  (正直勝てなくはないけど……はやく曹操の元に向かわないと逃げられてしまう)

雪蓮「一刀!!」

一刀が振り向くとそこには雪蓮と恋と祭がいた。

雪蓮「この三人は私達に任せて一刀ははやく曹操の所に行きなさい!!」

雪蓮がそう言うと恋と祭が頷いた。

  「………わかった」

雪蓮の言葉を聞いた一刀は急いで曹操の元にむかった。

夏侯惇「待て!!」

霞 「そうや!!」

夏侯淵「行かせるか!!」

夏侯惇達が一刀に攻撃を仕掛けようとしたがそれは雪蓮達によって止められた。

雪蓮「悪いけど……あなたの相手は私よ!!」

夏侯惇「くっ!!孫策ーーー!!」

霞 「ウチの相手は恋か!!」

恋 「……ん……負けない」

祭 「相手は夏侯妙才……不足なしじゃ!!」

夏侯淵「黄蓋か……行くぞ!!」

六人「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」

そして、六人が衝突した。

-9ページ-

 

曹操は目の前で燃える自軍の船を見ていた。後ろには魏が誇る三軍師が控えている。

曹操「天は……私ではなく仲と蜀に味方するか……」

現在の状況は魏が不利であった。間違いなく火計による混乱が影響している。曹操は『絶』を強く握り締めた。

曹操「しかし、我が覇道はまだ潰えてはいない」

荀ケ「……華琳様」

郭嘉「華琳様ここは一度引きもう一度体制を整えるべきです」

程c「そうですね〜……逃げ道は風達が作ります〜」

  「悪いが…それはさせない……」

曹操達の目の前に一つの影が現れた。曹操はその影を確認すると笑みを浮かべた。

曹操「久しぶりね……北郷一刀……」

  「そうだな」

一刀の両手には気を失った許緒と典韋がいた。一刀は二人を曹操達に投げた。

荀ケ「季衣!!流琉!!」

荀ケ達が二人に駆け寄る。曹操はその場所から動かずに一刀を見る。。

曹操「……あれだけの兵を潜り抜けてさらに季衣や流琉すらも圧倒するか。さすがと言ったところかしら」

  「あの娘達はまだ強くなるさ……ただまだ俺と戦うには力不足だけどな」

一刀は双剣を構えるが曹操の前に荀ケが立った。一刀は荀ケに殺気をぶつける。

荀ケ「華琳様……はやくお逃げください!!稟!風!華琳様をはやく連れて行きなさい!!」

気丈に振舞うが荀ケの顔は青くなっており足も震えている。これはただの文官である荀ケには当然の反応である。むしろ一刀の殺気をぶつけられ気を失わずにいる荀ケを褒めるべきである。

  「立派な覚悟だな…」  

荀ケ「男が話しかけないでよ……」  

曹操「桂花結構よ…どっちにしろ北郷からは逃げられないは……」    

そう言うと曹操は一刀の前に立つ。

曹操「桂花、稟、風……あなたたちは早く逃げなさい」

荀ケ「華琳様!!」  

曹操「私が相手よ……北郷」

曹操が『絶』を構える。一刀も『白夜』と『月詠』を構える。  

  「……曹操……悪いがお前の覇道ここで終わらせる」

一刀はそう告げると一気に曹操との距離を詰める。そして、彼女の武器を弾き飛ばす。

曹操「くっ……」

素手になった曹操だがそこから右拳で一刀に突きを放つ。しかし、一刀はその拳を左手で易々と受け止める。

曹操「まだよ!!」

さらに蹴りを放つが一刀はそれも軽く避ける。

  「終わりだ」

曹操「がはっ!!」

一刀は曹操の腹に拳を叩き込む。曹操は一刀の一撃を受けるとそのままその場所に倒れこむ。地面に倒れこんだ曹操は一刀を睨む。

曹操「くっ……殺しなさい」

  「殺しはしない……お前はこれからの大陸に必要だからな」

曹操「……どういうことかしら?」

  「詳しいことは後で美羽とかと話な……まあ同盟とでも言っておこうか」

曹操「……なるほどね……」

一刀の言葉を聞いて曹操はその意味に気づいた。一刀はその場で宣言した。

  「戦いは終わった!!無駄な抵抗はせずにすみやかに投降しろ!!」

こうして赤壁の戦いは一刀達の勝利で終わった。

 

戦いの後、魏の将と兵は次々に投降していった。仲・蜀の連合はすぐさま魏との交渉の席を設けて同盟の提案をした。曹操は特に反論することもなくその提案を受けた。長く続いた戦乱の世も終結を迎えた。

-10ページ-

 

美羽は現在、三国同盟結成の宴の場所にいた。その宴は敵・味方関係なく大いに盛り上がっていた。

美羽「すごく楽しいのじゃ〜七乃〜」

七乃「ええ〜そうですね」

周囲を見れば様々な光景があり、皆それぞれ笑っていた。そこで美羽は一刀がいないことに気づいた。一刀は先程まで春蘭や愛紗や雪蓮や霞に勝負しろと絡まれていたのである。

美羽「七乃〜一刀は?」

七乃「一刀さんならさっきあっちの方に行ってましたよ〜」

そう言って一刀が行った方向を指さす。

美羽「わかったのじゃ〜ちょっと行ってくるのじゃ」

七乃「はいは〜い。迷子にはならないでくださいね〜」

七乃の言葉に頷いた美羽は一刀を探しに席をたった。

 

 

美羽「一刀〜一刀〜」

城をぬけだして美羽は一刀をさがしていた。すると城から少し離れた川に一刀がいた。

美羽「一刀!!ここにいたのか」

  「ん?……美羽か…駄目じゃないか一人でこんなとこに来るなんて」

美羽に気づいた一刀はそう注意をした。しかし、美羽は一刀の言葉を聞いて笑った。

美羽「もう妾の命を狙う輩なんていないぞ一刀。それにここが今一番大陸で安全な場所じゃ」

  「それもそうだな」

美羽が一刀の隣に並ぶと二人はそのまま空を見る。

美羽「一刀……全て終わったのじゃな……」

  「ああ……でもこれからが大変だぞ……戦争が終わった後にこの平和が長く続くように頑張らないとな」

美羽「うむ、確かに大変じゃが……皆がいれば絶対にできるのじゃ!!」

  「……そうだな……皆がいればできるな……」

美羽「一刀?……どうしたのじゃ?」

そこで一刀の様子がおかしいことに気づいた美羽が一刀を見る。すると一刀の体が薄くなっていた。

  「もう……時間がないか……」

美羽「一刀……何を言っているのじゃ!!」

美羽が慌てて一刀の手を掴む。一刀はそんな美羽に微笑む。

  「美羽……これから色々と大変だと思う……でも大丈夫。美羽には七乃さんがいる。月や詠のような大切な仲間がいる。皆が美羽を助けてくれる。俺はその場所にはいないけど」

美羽「何を言っておるのじゃ!!嫌なのじゃ!!妾は一刀と一緒にいたいのじゃ!!」

  「俺も一緒にいたいけどな……こればかりは無理かな?」

その間にも体が消えていく一刀。一刀の言葉を聞き美羽はきつく抱きつく。まるで離さないといわないばかりに

美羽「どうしてなのじゃ?」

  「……本来あるべき歴史を壊したからかな?」

美羽「な、何を……」

  「いや……美羽は気にしなくていい…」

美羽「一刀!!逝くな!!……これからは一刀の言うこともちゃんと聞くし、我侭も言わない。勉強もちゃんとするし、仕事も覚えるのじゃ!!だから逝かないで欲しいのじゃ!!」

美羽の言葉を聞いて一刀は美羽の頭を撫でる。

  「美羽……ありがとう」

美羽「一刀?」

  「美羽に会えて本当によかった……」

抱きついていた美羽から一刀が離れる。美羽の目からは涙が溢れていた。

美羽「一刀!!」

  「さようなら……俺の大切な人」

美羽「一刀!!嫌なのじゃ!!逝くな!!」

  「さようなら……美羽……」

美羽「一刀!!!!」

一刀に抱きつこうとした美羽だがそこにはもう一刀はいなかった。抱きつこうとした両手だけが虚しく空をきった。その場所には一刀の漆黒のマントだけが残った。

美羽「一刀……かずと……うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

美羽はその場所で崩れると大声で泣いた。

その日『天の御使い』が天に帰った。その男はたった一人の少女のために己の全てを懸けて少女を守り大陸に平和をもたらし全ての民の願いを叶えた。しかし、ただひとつ…少女の願いを叶えることはできなかった。

-11ページ-

 

後書き

一気に赤壁の戦いを終わらせました…。これが今の自分の限界です。もっと精進します。この話も次回で一応最終話になると思います。あともう少しだけお付き合い願えたらと思います。この話の美羽は原作とはかなり違った感じに思われますがこれも一つの可能性であるのだと思ってくれると幸いです。ではみなさんまた

 

説明
投稿です。生暖かく見守ってください。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
18623 13802 119
コメント
ここまで淡々と進めるんですね〜、。面白いなぁ。(readman )
うおおおおおおお!!画面がゆがんで見えるぜ、ちくしょう!美羽は冷静な観察力を身につけましたね。あの苦肉の計に気づくとは・・・(btbam)
魏√の終わり方っすね(VVV計画の被験者)
美羽ちゃんとお別れとは悲しいですね 誤字というか用法違いが一つ 役不足ではなく力不足が正しいと思います(サクラ)
最終回楽しみだ〜(スターダスト)
画面がぼやけて見えない・・・。壊れたかな・・・。(おやっと?)
ifEND美羽編完成直前にこのお話ですか。でも面白かったです、最終話も楽しみにしています。僕も負けないような話を作ってみます。(乱)
次回が楽しみだ!!(リンドウ)
まさかの擬似魏ルート!?これは・・・次回に期待せざるをえない・・・(水上桜花)
更新お疲れ様です。美羽が物凄く成長しましたね。まさかの一刀が消滅!!次回の展開を楽しみにしています。(アカスズ)
次回が楽しみです(neko)
まさかの魏ルート話!?次回期待・・・・・・・魏とは違う復活イベントがあったらいいな(願望強し!)(黄昏☆ハリマエ)
次回を楽しみに待っています。(宗茂)
まだ終わってないことを信じる!!(スーシャン)
しかしながら「苦肉の策」を空気読んでなにも言わなかった・・・実羽の成長っぷりが凄まじい限りでwやっぱ一刀補正は尋常では無かったのですね そして次回最終回ですか 楽しみにまってますw(村主7)
タグ
真恋姫無双 美羽 七乃 一刀無双 

ちいたさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com