崩落してゆく世界の中で |
この世界は、壊れている。
そう言ったのは誰だったろうか。
確か、戦争の続いていた時代だ。
何かの本で見たことがある。
その人は、人が殺し合う様を見て。
その人は、人が奪い合う様を見て。
その人は、この世界が壊れていると言った。
僕も、そう思っていた。
・・・そう、『思って』いた。
今日までは。
・・・ある日
「5XXX年。5月7日。
世界は崩壊を始めます。
防ぐ手立てはありません。
滅びを受け入れて下さい。
この世界の管理者より」
こんなふざけた内容の手紙やメールが、世界中に広がった。
崩壊なんてものを予知できるなんて可笑しすぎるし、世界に管理者なんているワケない。
これを見た大半の人はそう思ったことだろう。
一部の小心者だって、ちょっと怯えた程度。
なんにも起こるわけないと思っていた。この世界は、ヒトにとって住みやすいから。
だが、これを信じるものがいた。
「管理者」達を知っている存在。
「管理者」達を作り出した本人。
神?創造主?それも当てはまるだろう。
だが、その存在は・・・
あまりにも弱い、ヒトだった。
そのヒトは、強いワケではない。
かといって、同じヒトに負けるほど弱い存在でもない。
どこまでも非凡で。
どこまでも平凡で。
どこまでも混沌で。
どこまでも純粋で。
どこまでも弱くて。
どこまでも強くて。
どこまでも醜くて。
どこまでも綺麗で。
どこまでも非情で。
どこまでも優しい。
そんな、ヒトだった。
ソレにとって、この世界は箱庭だった。
自分の言葉で進化し、自分の言葉で退化する。
それが、ソレにとってのこの世界だった。
ドウデモイイ、ナンデモイイ。
ツマラナイ、タイクツダ。
それが、この箱庭を作った理由。
あまりにも軽く、あまりにも愚か。
マズハ、ソラヲツクロウ
ツギハ、ダイチヲツクッテ
コンドハ、ウミヲツクラナキャ
サイゴニ、イノチヲツクロウ
ジブントオナジヨウナ、ヒトガイイ
ソレガイキルタメノドウブツヲツクロウ
ソシテソレヲイカスタメニクサバナヲツクロウ
ソウダ、クサバナトイッショニキギモツクッテオコウ
こうして、箱庭は完成した。
あくまで、これは箱庭でしかない。寂しさを紛らわすための、箱庭。
・・・・・・でも、ダメだった。
コノハコニワノヒトタチハナンデジブンヲウヤマウノダロウ
コノハコニワノヒトタチハナンデジブンヲオソレルノダロウ
コノハコニワノヒトタチハナンデジブンカラハナレテユクノダロウ
ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ
ワカラナイワカラナイワカラナイ!
モウジブンヲヒトリニシナイデクレ!!!
この箱庭は、それを忠実に実行した。この箱庭のヒト達がソレから離れないようにした。
ソレをどれだけ恐れていても、嫌悪していても、決して離れられないように、束縛した。
そしてソレは幸せになったかに見えた。
しかし、そのもの達を見るたびに自分に向けられるのは、
あからさまな嫌悪。
あからさまな侮蔑。
あからさまな憎悪。
あからさまな悲哀。
あからさまな憐憫でしかなかった。
ソレは絶望した。
どこまで行っても、自分は独りのままなんだという事実を拒んだ。
・・・そして、世界は広がった。
ソレは自分がこの箱庭を作ったことを隠蔽し、人々の記憶から自分を消した。
そして、ソレはもう一度人生をやり直そうとした。
だが、これもダメだった。
ソレは、一度死んだ後、必ず前世の記憶を完璧に持ったまま、転生を繰り返した。
そして・・・
今度のソレは・・・
今度のソレの願いは・・・
・・・破滅
あとがき
「崩落する世界の中で」プロローグ如何でしたか?
興味を持って下されば幸いです。
この作品は、作者である私が、躓いた拍子に階段で前転したことで浮かんだものです。
第三話まであり、エピローグを入れれば四話まであります。
ではノシ
説明 | ||
・・・最近、なにかに体をクリティカルヒットさせないと構想が浮かばない・・・(^^;) | ||
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コメント | ||
ジョージさん<コメントありがとうございます!この作品のメインキャラは今のところ四人なのですが、創造主と語り手と・・・あと二人はどんな人物がいいですかね?コメか、メールしていただけると幸いです。(水上桜花) 破滅に奔った創造主、ですか・・・・理不尽、しかしあまりにも悲しいですね・・・・(峠崎丈二) |
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