江東の覇人 7話
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戦乱の世を開いた黄巾党による暴動は、主導者の張3姉妹の討伐により幕を閉じた。

 

1ヶ月の後、蓮聖達に吉報が届く。

 

後漢王朝第十二皇帝、霊帝の死去。

 

それは、漢王朝が滅亡間近という事を意味する。

 

諸侯達が動きを活発にするキッカケにもなり、正に、世は群雄割拠する真の乱世。

 

その時、各地の諸侯に檄文が届いた。

 

当然、蓮聖達、孫呉にも。

 

反董卓連合の召集。

 

待ちに待った、乱世の混乱。

 

独立に向けて、孫呉は歩みを進める。

 

今こそ、好機と信じて!!

 

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揺れる揺れる・・・頭がぐわんぐわんと鳴る程に、一刀は揺れていた。

 

「なあ・・・俺達、何処向かってんだ?」

 

今の現状において最も聞かなければならない事を問う。

 

「あ?言ってなかったか・・・この前、檄文来ただろ?あれに召集されて、今、反董卓連合の本陣に向かってる訳。おわかり?」

 

「わかったけどさ・・・うん。わかった。だからこれ解いて?」

 

「えぇー」

 

「いや何でだよ!?」

 

現在、蓮聖達は反董卓連合の本陣に向け行軍中だ。

 

今回の召集をかけたのは袁紹。

 

袁術の従姉に当たる訳だが、どうやら袁術は袁紹の事が嫌ってるらしく、かなり嫌がってた。

 

そこを雪蓮が・・・

 

『皇帝になれるかもしれないわよ・・・?』

 

と、囁き、もっともらしい理由を立てると、バカでアホで無能な袁術+1名は信じ切ってしまい・・・・・・うんぬんかんぬん。

 

という訳で・・・行軍してる・・・のだが・・・・・・

 

「なぁ・・・そろそろ教えてくれない?何で俺さ・・・蓮聖の馬に縛りつけられてるの?」

 

縄でぐるぐる巻きにされ、しっかり・・・という風でもなく固定されている一刀。

 

馬の上は不安定で、少しでも動けば落ちそう・・・というか半分落ちてる訳で・・・

 

昨日眠りについた後、起きたら既に揺れる馬上だった一刀は何が何だかわからない。

 

多少現実逃避していたものの、やはり聞かずにはいられなかった。

 

「だってさぁ・・・・・・行軍中つまんねぇじゃん?」

 

「降ろせ!今すぐ降ろせ!!何でお前の退屈凌ぎの為に俺が死の境を彷徨わなきゃならん!?てか、せめてこれしっかり結べ!さっきから揺れる度にずれて落ちそうなんだよ!」

 

「・・・・・・・・・・・・ふぅん」

 

「何でそんな興味なさげなの!?なぁ!頼むから・・・って・・・え・・・ちょ・・・・・・蓮聖・・・?ずり落ち・・・という・・・か・・・・・・・・・んぎゃあぁぁあぁあ!!」

 

するっ・・・と縄が解け、一刀が落馬した。運良く足から着地したものの、転がり転がり・・・

 

「しーしゅーん。一刀拾っといてくれー」

 

「・・・・・・」

 

思春が蓮聖の呼び声で、ひょい・・・と地面の一刀を持ち上げる。

 

「・・・・・・」

 

そして、ひょい・・・と投げ捨てた。

 

「うおぉおおおおぉい!?」

 

「拾いはした。その後は知らん」

 

再び転がる転がる・・・結局、後ろの方にいた冥琳が一刀を拾う結果となった。

 

「まあ・・・何だ・・・・・・あんまり気に病むな」

 

「・・・・・・・・・むり」

 

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そして数刻後、蓮聖達は反董卓連合の本陣に到着した。

 

「ふぃ・・・やっとついた・・・ああ、退屈だっ・・・・・・・・・すんません」

 

我が人生・・・今なら倒せないものはなし・・・・・・そう言い切れる一刀。

 

その眼光は蓮聖を怯ませる程のものだった。

 

その様子に深い溜息をつき、一刀は改めて本陣を見渡す。

 

「あれ・・・そういや蓮華や祭は?穏もいないような・・・」

 

「あいつらとは別行動だ・・・何だ?蓮華達が隣にいねぇと落ち着かんのか?」

 

「ガキじゃあるまいし・・・そうじゃない・・・・・・」

 

実際少し寂しさを感じている一刀・・・蓮華とはわかりあえたのだから、もっと一緒にいたいというのが本音だ。

 

「・・・・・・んじゃ、大将達んとこ行ってきますかね・・・雪蓮、一刀、行くぞ」

 

「ええ」

 

「え?俺も?」

 

「今日お前の存在を明かす。反董卓連合は今、大陸中が注目してっからな・・・いい機会だ。いいな。お前は胸はって、肝座らせとけ」

 

「あ、ああ・・・」

 

困惑しながらも、その表情にやる気が出てくる。

 

覚悟は・・・とうに出来ていた。

 

「よし・・・行くぞ」

 

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「失礼するわよ」

 

雪蓮が大きな天幕の中へと入り、それに蓮聖と一刀が続く。

 

「あーら孫策さん、美羽さんは?」

 

金髪くるくる・・・曰く、袁紹。

 

彼女は上座に座っており、いかにも立場が上ーってのを見せつけている。

 

「袁術ちゃんならもう少しで来るわよ。途中で『蜂蜜水が欲しいのじゃー』とか言って、行軍止めちゃったから」

 

と、噂をすれば何とやらか、袁術の小さい体が張勲と共に天幕へと入ってきた。

 

しかし、その表情はふくれっ面。恐らく、蜂蜜水も何も貰えなかったのだろう。

 

その様子を嬉しそうに・・・でも表情には出さず、雪蓮と蓮聖は見つめて席に着いた。

 

数分して、次々と諸侯の代表が入ってくる。

 

曹操、公孫賛、劉備・・・黄巾党で名を残した諸侯達。

 

全員が揃った所で、袁紹が甲高い声を上げた。

 

「それでは、最初の軍議を始めますわ!恐らく、知らぬ顔もいるでしょうから、そちらの方から名乗っていただけません?」

 

「ん・・・幽州の公孫賛だ。よろしく頼む」

 

と、雪蓮とは反対側にいる赤髪の女性が答えた。

 

「平原郡の劉備です。こちらが軍師の諸葛亮・・・」

 

公孫賛の隣の少女が答え、その隣にいたさらに小さい少女が頭を軽く下げる。

 

「涼州の馬超。今日は馬騰の名代として・・・」

 

「なにぃ!?おばちゃん来ないの!?」

 

「ひゃ!な、何だよ・・・そうだけど・・・」

 

「えぇ・・・酒でも飲もうと思ってたのになぁ・・・・・・」

 

突然叫び声をあげた蓮聖はそのまま意気消沈。

 

「ちょっと。どちらの方かご存じないですけど、もう少し静かにしていただけます?」

 

「うるせぇ小娘。てめえの指図なんぞ聞くかっつうの」

 

ぴき・・・と、空気が固まった。

 

ここにいる中で、袁紹は1番力を持っている。

 

統率者ではなく、質でもなく・・・単純な数と装備で。

 

その袁紹相手に・・・・・・

 

諸侯達の中で、あの男は何者か知らんが消えるな・・・という思いが走る。

 

曹操と雪蓮達を除いて・・・だが。

 

「な・・・ななな・・・何なんですのあなた!!ちょっと孫策さん!?部下の育てがなってませんわよ!?」

 

「だって部下じゃないもの」

 

「だとしても・・・・・・」

 

「るせえ、名乗ってる途中だろうが。横槍だしてんじゃねぇよ」

 

「いや、お前が言える事じゃないと思う」

 

一刀の静かな突っ込み・・・袁紹も同意見だが、とりあえずあるのかどうかもわからない『威厳』を気にして、落ち着いた。

 

「典軍校尉の曹操よ」

 

曹操はそれだけ言うと座る。

 

「ん?妾か?袁術じゃ・・・・・・」

 

「もぅー、美羽様元気だして下さいよー・・・ええと、私は美羽様の補佐をしている張勲と申します。こちらは客将の孫策さん・・・と、他の方は知りません」

 

「私が紹介するわ。こちらは我が兄、孫・・・」

 

「ま、俺の事なんてどうでもいいんだわ。重要なのはこっち」

 

と、雪蓮の言葉を遮って一刀の肩を叩く。

 

「こいつの名は北郷一刀。見ての通り、奇怪な格好してるが怪しいもんじゃない・・・この大陸に真の平和を齎す存在・・・『天の御遣い』だ」

 

ばっ・・・と、劉備が反応を示す。

 

他の諸侯達はへぇ・・・と興味を示す程度。

 

やはり・・・噂はちゃんと大陸を走り抜けている。

 

時間をかいがあるというものだ・・・と、薄く笑った。

 

「天の御遣いたる一刀は、我が孫家が匿っている。今回は、貴君らにも会わせたく思い、連れてきた・・・顔は覚えたな?よし、んじゃあ一刀。外出てろ」

 

「え?いいのか?」

 

「ああ。紹介だけだ。それに、まだお前には見せたくないしなぁ」

 

朗らかな笑みを浮かべながら、蓮聖は一刀の背を押した。

 

「?」

 

一刀は?を浮かべながら天幕を出ていく。

 

ふう・・・と、蓮聖が息をついた。

 

 

「お初にお目にかかる」

 

 

瞬間、空気が変わった。

 

 

それは、英雄と呼ばれる人間が出せる空気。

 

圧倒的な重圧。

 

ただその場にいるだけで、己との差を見せつけられるかのよう。

 

「ひっ・・・」

 

英傑とは言えぬ、袁紹を始めとする人間がその空気と蓮聖の眼光に怯え、後ずさる。

 

平静でいるのは曹操、雪蓮・・・1度は驚いたものの、持ちなおした劉備、馬超。

 

それらを視界に入れながら蓮聖が続ける。

 

「我は、江東の覇人、孫覇と申す者」

 

「孫覇・・・って、あれ?」

 

馬超が声を上げた。

 

「ほお、ご存じか。馬騰殿は息災か?」

 

「あ、ああ。今は五胡の対応に追われていて・・・それで私が来たんだ」

 

「・・・・・・成程。まあ、驚くのも無理はない。風の噂で、我が死んだと聞いた者も少なくはないでしょうからな。しかし、我は生きている。これからも我が妹、孫策の所で厄介になるつもりだ・・・袁術殿も、ご挨拶が遅れて申し訳ない」

 

「ひぇ・・・く、くく、苦しゅうない」

 

「よろしく頼む・・・・・・それでは軍議をはじへぶっ!?」

 

途端、空気が元に戻り、蓮聖からも眼光が消える。

 

見れば、蓮聖の頭に雪蓮の手刀。

 

「その言葉づかい止めてよ兄さん・・・笑いがこらえきれないから」

 

後もうちょっとで爆発しそうな表情。

 

明らかに空気を読んでいない行為だが、兄妹だからこそ、蓮聖が諸侯を試す為にやってるという事がわかった。

 

「酷ぇな・・・何も叩くこたぁねぇだろ?」

 

「と、とととにかく、名乗りを・・・わたくしの名は・・・・・・」

 

「別にいいだろ?この名乗りは知らぬ方も・・・で始まったんだから。お前は誰もが知ってるからなぁ・・・なあ、曹操?」

 

と、隣の曹操に視線を投げる。

 

「ええ、そうね。それより早く軍議に移りましょ」

 

曹操が蓮聖の視線に気付き、相槌をいれた。

 

「だな。その方が手早く済む。それに名乗りって軍議を円滑に進む為のもんだろ?」

 

馬超も加担。

 

「そ、そうですか・・・まあ、いいですわ・・・では、軍議に移りましょう。進行は・・・」

 

「ああ、ほら、いいから。誰でもいいからさっさとやっちまおうぜ。んじゃあまず」

 

「って、何であなたが仕切ってるんですか!?」

 

「あ?だって誰が仕切るかなんて知らねぇし。だったら、誰でもいいだろ?」

 

「だからわたくしが・・・」

 

「ええと、まずは現状の確認と目的の明確化だな。袁紹、説明を・・・って無理か。公孫賛、頼む」

 

「きぃ―――!!何で無理なんですの!?そのぐらい出来ますわ!!」

 

「私達の目的は都で横暴を働いているという董卓を討つ事。でも、董卓の情報が少ないんだよな・・・誰か知ってるのはいるのか?」

 

「ちょ、白蓮さん!?」

 

「私達は知らないなぁ・・・曹操さんは?」

 

「同じく」

 

「あ?何だ、知らないのか?董卓なら見た事あるが」

 

「ちょっと、無視しないで下さる!?」

 

「そうなの?」

 

「ああ、言ったろ?洛陽にもいたって。そん時、ちょっとな」

 

「なら孫覇に聞けば大丈夫だな・・・で、次は」

 

「つ、次はこの連合の・・・」

 

「洛陽までの道のりだな・・・まあ、この人数だから街道沿いに行軍する事になるだろうが、問題はその先だ。難攻不落と呼ばれる、水関、虎牢関・・・そこと、その前後。戦闘になるとしたら、そこだろうな」

 

「配置されてる将は?」

 

「情報によれば、水関には華雄が・・・虎牢関には張遼と呂布が配置されてるそうです」

 

と、諸葛亮からの報告。

 

「変わる可能性もある。とりあえず、随時間諜を送って情報を入手しておかないとな」

 

「あ、じゃあ、私達がやります」

 

「んじゃあ、水関の情報は劉備に任せよう。こんな所か・・・はいじゃあ、かい・・・」

 

「ちょおおおおっっと待ったぁあぁぁ!!何か忘れていませんこと!!!!?」

 

完全に存在を消されていた袁紹がついに爆発する。

 

「この連合軍は誰が率いるか・・・そこが一番重要じゃなくって!!?」

 

「率いるも何もなぁ・・・戦闘になれば、お互いの軍なんて邪魔なだけだろ?ただでさえ腹探り合ってる奴らと共闘すんなんて、俺も願い下げだしな・・・」

 

「で、ですが、統率者というのは何れ必要ですわ!」

 

「いつ?いつ必要となる?必要性をちゃんと説明しろ」

 

「それは・・・連合が活躍した時の名声・・・とか・・・・・・」

 

「そんなん本当に貰えるとでも思ってんのか?実際名声を得られるのは、水関と虎牢関と洛陽を落とした諸侯だろう。はっきり言って統率者はあまり知られん。特に今回とかはな。即ち、必要ではない」

 

「ひ、必要ですわ!!」

 

「だから、その理由をちゃんと教えろつってんだろ?」

 

「う・・・」

 

沈黙が続く。

 

はぁ・・・という溜息が聞こえ、雪蓮が口を開いた。

 

「兄さん。楽しむのもそこまでにしたら?」

 

「えぇー、だってこいつ面白ぇじゃん?」

 

真剣な顔から一転、からからと笑いだす。

 

「な、なな・・・からかってましたの!?」

 

「うん。つうか、統率者の名前が知られねぇ訳ねぇじゃん?」

 

最もである。

 

「悪びれもなく・・・ある意味で凄いわね」

 

苦笑する曹操。

 

未だに笑う蓮聖に、袁紹は羞恥で顔を真っ赤にさせた。

 

「わあったわあった・・・お前が総大将になれ」

 

「・・・・・・は?」

 

一転、驚愕の表情。

 

それは他の諸侯も、雪蓮でさえもそうだった。

 

「反董卓連合の総大将に、俺は袁紹殿を推薦する。異存がある者は名乗り出てくれ」

 

再び、蓮聖から覇気が漏れだす。

 

しかし・・・今度は『本気』だった。

 

有無を言わせぬ眼光に、そもそも総大将に左程興味がなかった諸侯達は沈黙する。

 

「ないな・・・じゃあ、決まりだ。これにて軍議を終了とする・・・解散」

 

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「ねぇ、どういう事なの?」

 

「何って・・・袁紹の事か?」

 

雪蓮軍の陣地。

 

軍議を終えた雪蓮達は、行軍するまで待機していた。

 

「それ以外ないでしょ?」

 

「まあ、そうだな・・・敢えて言うなら、袁紹が1番操りやすいからなぁ」

 

「操る・・・?まさか、兄さん・・・」

 

「ったりめぇだ・・・俺があんな奴に従うかよ・・・・・・今回の戦、俺が操ってやる」

 

邪悪な笑みを%

説明
えー、お久しぶりです。

1ヵ月と少しぶりの投稿。

自分の更新速度の遅さが身に染みます、はい。
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2906 2403 21
コメント
pockeyさん<次で、活躍しますので、ごらんください(アクシス)
村主さん<がんばります!(アクシス)
もけもけさん<確かに踏み台っぽいですけど、違いますね(アクシス)
K2さん<いやいやいや、そんなことはないですよ・・・たぶん(アクシス)
コメントありがとうございます(アクシス)
一刀早く活躍してくれ!!w(pockey)
一応過去話を見てみると蓮華は「認める」的描写があったので・・・>一刀 これから活躍をしていくのではないかと・・・(村主7)
どうせ一刀を踏み台にしてお強いオリ主を目立たせたかったんだろ・・・(もけもけ)
一刀は紹介だけしてポイ♪ そして蓮聖凄いんだぞオーラ発動♪  西涼と繋がりがあって、華琳とは知り合い? フラグですか? 蓮聖さん凄いですね♪ この作品は何で一刀を出したんだろう?(K2)
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真・恋姫無双 恋姫無双 孫呉 江東の覇人 一刀 蓮聖 

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