仮面ライダー ライト&ダーク 〜闇の鬼士と光の騎士〜 |
陽の元で駆け回った者全てが寝静まる星瞬く深き夜。
眠らぬ街、不夜城たる大都会で尚、その戦いは人知れず繰り広げられていた。
―― 日と日の境目に四刻の間、ソレは現れる ――
「フッ」
鋭い呼気と共に手にした双剣を振るい次々と斬り払い屠っていく。
向かってきたモノを右手の剣で一刀で斬り伏せ、背後から迫ってきたモノは左手の剣で振り向き様に横一文字に斬り払う。
赤々とした闇の中でひと時も立ち止まることなく軍勢の如きソレらを一匹残らず等しく■していく。
ギュアァァアアァアッッ
「! 」
耳を劈く不快な咆哮に視線を向ければ、群れから離れた場所に獣の顎だけで出来たようなひと際大きな身体を持った一つ目のモノが立っている。
視認した時には大人を余裕で丸呑みに出来るだろう大口が既に大きく開かれ、渦巻く闇の塊が吐き出されようとしていた。
「チィッ」
取り囲むモノ達の中から最も近くに居たモノを踏み台に跳び上がる。
高々と跳び上がった瞬間に闇の塊が着弾。爆発しどす黒い炎が辺り一体を取り囲んでいたモノ達とその断末魔の叫び諸共に全てを焼き尽くす。
ギョゲェェエ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?
逃げられたと知りまたすぐに第二射を放たんとする大口だったが、その急所でもある一つ目に投げつけられた双剣ふたつが突き刺さり■飛沫を上げる。
―― 巨大な禍々しい真紅の月が浮かぶ怪異空間 ――
無手となったところへまた湧いてきたモノ達が群れとなって襲い掛かるが、慌てることもなく避け躱し己が影から鏃の如き刃の付いた黒き矛を造り出し、振るい退ける。
ひと薙ぎで四匹、五匹を薙ぎ飛ばし、瞬きの間に七度突きが繰り出され立ち塞がったモノをボロクズに変える。
烈風の如き薙ぎ払いと瞬雷の如き突きが向かってくるモノの群れを、軍勢を悉く喰らい尽くして行く。
どす黒くもアカイあかい■を華の如く咲き乱れさせながら。
縦横無尽に、舞うが如く、アカク穢れた漆黒の風が翔け抜ける。
―― 怪界、鬼界などと称され、近代ではZONEと呼称する者たちも居る ――
『――君、新たな目標がポイントd-315に出現。
近くに繁華街があるわ。急いで』
「了解。
すぐに向かいます! 」
一戦終えた休む間もそこそこに白と青のコンストラストも鮮やかな専用車両であるバイクに跨り、指示されたポイントへと急行する。
月光に照らされた穢れ無き純白の鎧が闇夜にあって尚白く輝く。
―― その怪異空間がいつ頃から在り、何故存在するのかはわかっていない ――
深夜0時になりZONEが現れ、その口を開いている2時間の間、ヒトは黒く染まり不動の人形となって何も知らぬまま、何も感じぬまま時が過ぎるのを静かに待ち続けることになる。
何事も無かったように再び24時間の時が刻まれるまで。
ZONEから吐き出されたモノ達に貪り食わられる恐れがあることを知らぬまま。
「お前たちの好きには絶対にさせない!! 」
手にした白銀の銃、ブリューナクから純銀を媒介に造られた浄化弾が放たれ、今まさに黒い人形、ヒトに襲い掛からんとしたモノを撃ち抜く。
撃たれたソレは出鼻を挫かれ、撃たれた痛みに怒り狂い標的をこちらに移し襲い掛かってくる。
咆哮と共に突進し、一本一本が大振りのサバイバルナイフのような爪を持つ手を振るうソレ。
「くっ! 」
ヒトから遠ざけるように立ち回り何度か攻撃を掠らせながらも何とか躱し続け、充分に離れたのを確認すると素早くブリューナクの引き金を二度三度と引き絞る。
しかし、ソレは近距離からの射撃を一発は受けるが二発目を掠らせ、三発めを完全に躱してみせ、一切怯むことなく下から掬い上げるような一撃を見舞ってきた。
「うわッ!? 」
咄嗟に防御するも盛大に弾き飛ばされ少なくないダメージを受け無様に転げる。
―― ただ言える事は、怪異空間が現れている間、『パス』を持った限られた者を残して世界は沈黙し眠りに付き ――
ル゛バァァァアァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ
止めを刺さんと力を込める為か、ひと際大きな咆哮を上げ、ソレは全身に力を行き渡らせ始める。
『――君! 』
「ぐ、ぅっ……
ブリューナク、チャージアップ! 」
≪charge. up≫
痛む身体を鞭打ち、立ち上がりコマンドを受けて輝き出したブリューナクを両手に持ち、高々と自慢の爪を振り上げて突進してくるソレに向けて構える。
しかし、ダメージからか狙いが上手く定まらない。
「ッ、ブリューナク・マキシマムシュートッ!!」
ついに目の前まで迫り、爪が振り下ろされようとした瞬間、引き金を引き絞る。
放たれる閃光、光の槍が迫って来ていたモノを貫く。
叫びにならない断末魔の叫びを上げてソレは光りの粒子となって跡形も無く消え去っていく。
―― 怪異空間に迷い込んだ、引きずり込まれたヒトは生きていることも存在していることも決して許されないということと ――
「オォォォォォオオオオオオオオオオッ」
黒き瞳を紅く染め、顎(あぎと)を開くほどの雄叫びを上げて黒矛を振るい、ひと薙ぎで十匹ものソレらが弾かれ高々と宙を舞う。
文字通りに向かってくるモノ全てを蹴散らし、湧いて来た先から■し、潰していく。
辺り一体が湧いてくるモノの■煙でアカイ霧が立ち込め、どす黒くアカク染め上げられていく。
―― 生物の天敵を生み出し吐き出し続けているということ ――
「こんっのぉおおおおおおッッ! 」
ソレを打ち砕けというように至近距離で3点バーストに切り替えた銀銃ブリューナクでありったけの弾丸を叩き込む。
そしてソレは苦しげに悶えて光りに消えていく。
「はぁはぁはぁ……」
『――君』
「あ、だいじょう、大丈夫です。まだやれます! 」
『――君………』
『――、次はポイントd-913だ』
『主任!
少しは休まないと……』
『そこからだとd-913まで距離がある。休んでいる時間は無い、補給次第すぐに向かえ』
『主任! 』
「了解、です! 」
―― 陽の光りを恐れ、闇を好みヒトを貪り喰らうモノ、不死身の『異形』アンデッドを延々と ――
「オォォォオオオオオオッッ」
「負けるかぁぁああッッ!! 」
━━ 仮面ライダー ━━
「……………」
━━ 異形と戦う力を得た超常の戦士 ━━
「はぁはぁはぁ……」
━━ 古来から異形と戦い続け、怪異空間封印を目指す一族によって生み出された闇の戦士 ━━
不気味な紅き月に照らし出される屍山血河の地獄絵図。
異形の骸で築かれた屍の山、その頂に黒矛を肩に抱いて腰掛け、見上げる闇空は紅い月明かりも呑み込んで何処までも暗く深く濁っている。
あとほんの僅かでこの怪界は眠りに付く。もう異形共は明日の日の境目まで湧いて来ない。
昂ぶった身体を鎮めるためのひと時。
鼻に突く■臭と■臭。
どす黒くアカイあかい■でべた付く穢れた手。アカクあかく染まり穢れた身体。
━━ それは怪異空間への突入・脱出、存在し続ける力を持って異形と戦い続ける漆黒の修羅羅刹 ━━
毎日毎日、休むことなく、果てなく只ただ■し続ける。
日と日の境目を迎えるたびに繰り返す。
いつ終わるともわからずに「何か」を少しずつすり減らしながら。
「〜〜♪」
吹き始めた木枯らしのような音色の口笛は死神の子守唄を思わせた。
━━ 近代、怪異空間と異形の存在を知った者たちによって設立された半民間組織により最新技術によって造られた光の戦士 ━━
『アンデッド、出現確認出来ず。状況終了だ』
『お疲れさま、――君』
「ふぅぅ……はぁぁ」
大きく息を吐いて夜空を見上げる。
ZONEによって沈黙した世界は眠り付き、暗闇に閉ざされる。
それ故に月明かりは煌々と降り注ぎ、夜空を埋め尽くすように星々は煌いて美しく夜を彩る。
世界が目覚めるまでの僅かな間にある至福のひと時。
━━ それは浄化の力を持って異形を跡形もなく消し去る純白の戦天使 ━━
アンデッドから人々を守り抜いた達成感を抱きながら昂ぶった身体を鎮めていく。
戦いで良かったところ悪かったところを思い出し反省する。
次はもっと上手くやるために。一人でも多くのヒトを守り抜けるよう、もっと強くなるために。
「よっし!」
━━ 今代最強/最恐たる討滅の鬼にして一族から忌み嫌われる鬼子、<仮面ライダー ダーク> ━━
自分を唯一恐れず愛してくれていた父も母も異形との戦いで命を落とし、討滅の鬼だった従姉(あね)も怪界で命を落とした。
仇を討つだとか復讐だとか考えたことはない。
一族に生まれ、戦うと決めたなら全ては覚悟の上。
残された者が死した者に囚われ己を見失ってはならない。討滅の鬼ならば尚のこと。
もし討滅の鬼が己を見失い、負の念に身を委ね戦い続ければ暗き闇の底へと堕ち、討つべき異形に成り果てる。
だから、父と母と従姉を失っても、一族の人間にどう思われ何を言われようとも、自分は何も持たず、何も感じない。
余計な感情も感傷もいらない。
ただ、異形共を■し続けるだけだ。
━━ 組織にその才器を見出された心優しき少年、<仮面ライダー Lugh(ルー)> ━━
最初は何がなんだかわからなかった。
何だか寝付けなくて、何の気なしにコンビニに何か買いに行こうと家を出たら突然周りが真っ暗になって全てが止まり、ヒトがみんな真っ黒なマネキン人形になっていた。
言い知れない不安と恐怖に身が震え、助けを求めて街を彷徨った挙句にアンデッドに襲われた。
あわやのところを間一髪、主任達に助けられて―――に保護され、そして教えられた世界の真実。
最後には自分にアンデッドと戦う力を得られる才があると言われ、選択した。
戦うことを。
どうしようもなく怖かったけど、知っていながら見て見ぬ振りなんてできない。
誰かが自分と同じ目に遭うと、あんな化け物に誰にも知られずに、本人さえも知らずに理不尽に殺されるなんて思ったら許せなかったから。
━━ 二人の戦士はまだ互いの存在を知らない ━━
「ああ、如何して……」
「ああ、如何して……」
見上げた先、見つめるのは
「世界はこんなにも……」
「世界はこんなにも……」
不気味に輝く紅き月
神々しく白金に輝く月
「醜い」
「綺麗いなんだろう」
━━ 闇と光の運命が交差するまで、あと僅か ━━
To be Continued.…………???
<あとがきという名の懺悔室>
即興で設定もそこそこにノリと勢いだけで書いた割りには中々見れるものに………なっちゃいないですね(^_^;AJJ
それでもオリジナル仮面ライダーの駄絵を上げさせて貰った勢いでだだーーっと一気に書けてしまった自分にビックリです。ダイジェスト風とはいえ、遅筆過ぎる自分には珍しこと極まりない(汗;
まあそれはさて置き、作品について言えば、闇でダークでダーティなヒーローがいたらライバルは光で優しさと勇気+熱血な正義のヒーローだろう。王道的に(普通逆だけど(^_^;A )。
ということで「ルー」が出来たわけです。見ての通り、「ダーク」の対比となるイメージでカラーは純白、武器は銃となってます。
ちなみに名前の「Lugh(ルー)」はケルト神話の光槍ブリューナクと魔剣アンサラーを持つ光神の名前から取りました。
そのうちルーの絵も描いて上げようと思います。
来年以降くらいに。
いや、まあどうせ誰も見たいとは思わんだろうしね( ̄△ ̄;AJJ
などと勝手に一人自己嫌悪の自己完結でいじけつつ、駄文を見ていただきお粗末さまでした<(_ _)>
説明 | ||
オリジナル仮面ライダーの駄絵だけ上げるのも何だな〜と思い、恥ずかしげもなく即興で駄文も書いてみました(^ ^;AJJ 尚、ちょっと某P3の影時間の設定を流用しておりますが即興なのでそこはどうか多めに見てください( ̄_ ̄;AJJ |
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