極楽幻想郷(仮) 2
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幻想郷に『勝手口』を作り、霊夢から結界の外へ蹴り出されてから数日後。

再び横島は『勝手口』を使って結界を潜っていた。

「しっかしあの拳は世界を狙えたなぁ。

どーれ、あの巫女さんは居るかな……あれ?」

鳥居の先に待っていたのは神社の風景――だったが、その風景に似合わない格好の少女が居た。

白と黒の衣装に身を包み、深く被った魔女帽から見える金色の髪は、知り合いの魔女とそっくりであった。

「……神社に魔女って、似合わんなぁ……」

「ん? なんだ、アンタ? こんな所に金目の物は無いぞ」

手に持った箒を肩に担ぎながら少女――『霧雨魔理沙』は微妙な表情を浮かべる横島に向かってそう言った。

「いや用があるのは金目の物じゃなくて、ここの巫女さんになんだが」

「あぁ、霊夢だったら外出してるぜ」

ヤレヤレだぜと呟く魔理沙に、日を改めるべきかなーと後方を向いた所で魔理沙に呼び止められる。

「そうだ、何かの縁だ。霊夢が来るまで掃除を頼むぜ」

「……俺が?」

自分を指差し確認を取るが、魔理沙はただ親指を立てて笑顔で箒を突き付ける。

引き攣った顔で箒を受け取り、仕方が無く横島は神社の敷居内を箒で掃き始めた。

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「……何が悲しぅて、いきなり掃除を押し付けられなきゃならんのだ……」

「まぁそう言うなって。ほら、お茶用意してやったぜ」

敷居内を箒で掃き終え、境内に腰を下ろした横島に魔理沙は注いできたお茶を渡した。

お茶を受け取った横島は、魔理沙へと疑問を問い掛ける。

「これって勝手に使っていいのか?」

「どうせ補充するんだから使ってもいいだろう。

で、アンタは一体何者だ? 見たところ外来人……っぽい格好だが」

「そっちこそ魔女っぽい格好で……今時の日曜朝8時30分は●リ●ュ……」

「待て、何だか知らんがそれ以上は何でか知らんが止めなきゃいけない気がするぜ。

それよりお互い名乗って無いよな? そうだよな? よし、今から自己紹介だ」

何故だかそれ以上は言わせてはいけないと本能的に悟った魔理沙がそこで待ったを掛け、話題を掏り返る。

それもそうだな、と横島も頷きお互いに軽く自己紹介を始める。

「俺はGSの横島忠夫。この間神隠しを調査しにここまで来たんだ」

「へぇ、アンタが霊夢の言っていた……私の名前は霧雨魔理沙。見ての通り、普通の魔法使いだぜ」

「魔法使いと神社に関係があるかはともかく、魔理沙ちゃんはここの巫女さんの知り合いなのか?」

「一応、友達のつもりだぜ。

……それより、″ちゃん″付けはちょっと止めてくれ。背中がムズ痒くなるから」

魔女帽を外し、照れるように頭を掻く魔理沙に横島はあいよ、と了解した。

横島が外から勝手口を作って入って来たことと、自身がGSであることを明かす。

魔理沙は幻想郷の軽いルールと管理者である「博麗の巫女」について語った所で小休止に入った。

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「へー、ここの巫女さんは霊夢って名前だったのか」

「そうだけど、どうかしたのか?」

「いや、●リームh「それ以上は言わせない。そんなことでアク禁を喰らってたまるか!」げふぅっ!?」

魔理沙の拳が横島の顔面を捉えると、そのままの勢いで外へと飛び出し地面に激突した。

拳を突き出したまま固まる魔理沙を尻目にムクリと起き上った横島は、離れている距離から魔理沙へと一瞬で詰め寄った。

「今のは痛かった……痛かったぞーっ!!

おいこら! 魔法少女が人に暴力で訴えていいのか!?」

「最新式のOHANASHIだぜ。あと魔法少女言うな」

箒の柄で横島の頭を叩き、魔理沙は某ツインテールの少女を思い浮かばせるような微笑みと懐から取り出した八卦炉を横島の目の前へと突き出し、横島は肝を冷やした。

「わ、悪かった……! だからその如何にも何か出ますよって感じのソレをどけてくれると嬉しいかなぁ……なんて」

「……分かればいいんだよ、分かれば。

全く、どうしてこんなに脱線するんだぜ……」

大人しく横島が非を認めて魔理沙への一言を撤回すると、手に構えた八卦炉をしまい、帽子の上から魔理沙は頭を押さえて溜め息を吐いた。

取りあえず目先に迫った驚異が去ったので、横島はほっ、と胸を撫で下ろした。

「で、GSってのは一体何なんだ?」

「そーだなぁ……悪霊とか妖怪をしばいて金を貰う職業だな」

「なんだ霊夢と同じか。でも金が貰える分だけそっちの方がマシなのか?」

(巫女さんってそんなことする仕事だっけ……?)

事務所のおキヌを頭に浮かべる横島だったが、考えてみれば死霊使い(ネクロマンサー)はともかく、街の浮遊霊のボスというのは巫女さんの仕事とはかけ離れている気がすると思い直す。

「あれ? 別に変わらんな。

それはともかく、魔理沙はなんで神社に居たんだ?」

「遊びに来ただけだぜ。まぁ、霊夢に弾幕ごっこで負けて留守番させられていた訳だ」

「弾幕ごっこ? なんだ「弾幕薄いよ! 何やってんの!?」とかでも言うのか?」

「どちらかと言うと「ミサイル一斉発射!」って感じだな」

魔理沙の話を要約するとこう言う事だった。

 

・幻想郷では人間と妖怪の間に「スペルカードルール」と言う掟のような物がある。

 

・「スペルカード」を用いた決闘を「弾幕ごっこ」と言う。

 

・「弾幕ごっこ」では殺傷禁止。

 

・負けたら大人しく諦めろ。

 

「……つまり、弾幕ごっこに負けた方は服がボロボロ、だと……!?」

「まぁ相手を倒すだけじゃなくて、決められた制限時間を逃げ切っても勝ちなんだかな」

魔理沙の説明は続いていたが、最早横島の耳には届いてなどいなかった。

妖しく笑みを浮かべ、横島の瞳が輝く。

 

(服をボロボロにして……そして敗者を自由にしていいだと……!?

魔理沙や巫女さんのレベルからして幻想郷には恐らくハイレベルな未知なる美女、美少女が……!?

素晴らしい、素晴らしすぎるぞ幻想郷……!

ぐふ、ぐふふふふふふふふふ……!!「で、何が素晴らしいんだって?」当然美女とのアッハンウッフンな展開を……はっ!?」

 

「横島……少し、頭 冷 や そ う ぜ?」

 

魔理沙の視線は氷のように冷ややかで、手には八卦炉が握られ横島の目の前へ突きつけられていた。

「……や、優しくしてね?」

 

「すぅ……恋符、マスタァァァァァァスパァァァァァァァァクッ!!」

 

その日、博麗神社から上空へと打ち上がるド派手な閃光と、幻想郷中に響き渡る男の悲鳴が聞こえたとか、ないとか……。

 

「ぐふ……負けん……俺は負けんぞぉ……!」

神社の敷居内に消しズミと化した横島はプルプル震えながら拳を天へと突き上げる。

プスプスと煙を立てながら黒焦げになった横島は、そのまま力尽きたのであった。

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なんとか続きを書けました。

日に日に総閲覧数が増えていって……これはもう、頑張らないと…(汗)

もう読んでくれるだけで感激です!

ご意見できればよろしくお願いします。

説明
め、目の錯覚じゃ無ければ総閲覧数が1000越え…ゆ、夢じゃないですよね!?
これは、続きを書かねば!と意気込んでみましたが、できれば生温かい目で今後を見守ってください。
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