清・恋姫無双 第八話 一刀の思い
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 白蓮の元を離れ独立した一刀たち、諸葛亮―朱里、鳳統―雛里を仲間にし荒野を進軍中……

 

 

 

 

「俺は旅に出ようと思う」

 

 

 

 

「「「「えっ? え〜〜〜〜!!!???」」」」

 

 

 

 

 それは一刀の突然の発言だった……

 

 

 

 

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「や、やっぱ駄目かな?」

 

 

「そ、そんなの駄目に決まってるよ!それに一人じゃ危険だよ」

 

 

「鈴々たちをおいていっちゃ嫌なのだ!」

 

 

「はわわ、逢ったばっかりなのにもうどこかに行ってしまわれるのですか?」

 

 

「あわ……」

 

 

 皆が口々に一刀を責めるなか、真っ先に反対するであろう愛紗は未だ何も言わなかった。

 

 

「ねえ、愛紗ちゃんも何か言ってよ」

 

 

 桃香は愛紗が反対すれば一刀も諦めてくれるだろうと思っていた。そのために発言を促したのだが……

 

 

「……桃香様、私からもよろしくお願いします」

 

 

 なんと愛紗は一刀が旅をすることを許したのだった。

 

 

「え〜!?愛紗ちゃんはいいの?ご主人様がいなくなっても」

 

 

「良い訳がありません。ですが、ご主人様が旅をしたいというのには訳があるのです」

 

 

 そう、一刀の決意には訳があった……

 

 

 

 

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 ――朝廷から黄巾党討伐の令が来る数日前

 

 

 白蓮たちの下に、盗賊が近くの邑を襲撃しているという報告がはいった。

 

 

 数は500、皆黄色い布を巻いており恐らく黄巾党と思われる。

 

 

 同時にほかの邑でも襲撃があり、そちらには白蓮、桃香、鈴々が向かっていたため、残っていた一刀と愛紗、星の三人が兵1000を引き連れて討伐に急行した。

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 邑に近づくにつれて火の手が上がっているのだろうか? 赤い光がちらほらと見えるようになってきていた。

 

 

「クソッ、民を襲うことしか出来ない下衆共が!」

 

 

 星はまるで苦虫をかみ締めるかのような顔で前を見つめている。

 

 

「全くだ。黄巾党など我々の力で蹴散らしてみせよう!」

 

 

「そうだな。民を救うためにも一刻も早く助けに行かないと!」

 

 

 愛紗と一刀も星の言葉に賛同する。

 

 

 

 …………

 

 

 

 しばらく進軍していると村へ先に向かっていた伝令が息を切らせながら報告にやってきた。

 

 

「ハァ、ハァ。伝令より報告! 現在も賊は邑を襲撃中、被害は甚大とのことです!」

 

 

「ああ、承知している。あの火の手の上がり様は遠くからでも良く見えるからな。死に逝く民達も……」

 

 

 星は遠くからでも見える邑の悲惨な状況に悲痛な表情を浮かべている。

 

 

 

「くっ、黄巾党の奴等め、許してはおけん!ご主人様、掛け声を」

 

 

「ああ。分かった。……聞いてくれ、皆!これから邑の人たちを救うために黄巾党討伐へと向かう!辛いとは思うがこれも邑人のためだと思って頑張ってくれ!」

 

 

 一刀は兵達を鼓舞するために武器を掲げて声を上げる。

 

 

「獣へと成り下がった奴等に容赦も情けも要らん!力の無い民を救うため、一人残らず殲滅せよ!」

 

 

 一刀の言葉に愛紗も続く……

 

 

「全軍……突撃せよ!」

 

 

「ウォォォオオオ!!!」

 

 

 そして星の出陣の合図と共に兵達は雄叫びを上げながら邑へと突き進んでいった。

 

 

 

 …………

 

 

 

 結果的には兵達の迅速な行動のおかげで、邑を襲った黄巾賊は全て討伐された。

 

 

 しかし、邑に広がる焦燥感はいわれの無いものであった……

 

 

 ……未だに煙が上がり、燃え続ける民家……

 

 

 ……まるで炉端に転がる小石のように横たわる、子供や女性の無残な死体……

 

 

 友人もしくは家族であったのだろうか?物言わぬ骸を抱きしめながら涙を流している姿や、

果敢に黄巾党と戦い戦死した骸を囲み、弔いをする姿が邑の至る所で見受けられた。

 

 

 しかし、そのなかでも笑顔で再会を喜び抱きしめあう姿もあり総じて明るい雰囲気が邑に広がりつつあった。

 

 

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 そんな邑人達の姿を一刀は神妙な面持ちでみていた。

 

 

「ご主人様、どうなされましたか?」

 

 

 と、そこに愛紗がやってきて一刀に話しかけてきた。

 

 

「ああ、愛紗か……理想と現実は違うのかな」

 

 

「ど、どうしたのですか、急に」

 

 

「俺は、この世界に降り立ったとき右も左も分からなかった。そんなときに愛紗と鈴々と出会って、その後で桃香とも出会って、覚悟を決めたんだ。無力な民の笑顔を取り戻すために戦うって」

 

 

「そう……でしたね」

 

 

「でも、実際には匪賊の増加、太守の暴政……いつも犠牲になるのは民ばかりで、不安が拭い去られることはいつまでも無い」

 

 

「…………」

 

 

「そして今も目の前で多くの無益な命が失われた。もっと早くに助けに行ければ犠牲は減らせたかもしれないのに……」

 

 

 悲痛な表情をする一刀。愛紗もその表情を見て顔を暗くしてしまう。

 

 

「ご主人様、そんなに自分を責めるのはお止めください。戦いには常に犠牲がつきものなのですから」

 

 

「分かっている。けど、それでも俺はより多くの人を助けたいんだ。馬鹿げた事だと思うかもしれないけどね」

 

 

「いえ、ご主人様の、常に民を心から憂い、平和な世を願う気持ちは尊敬に値します。そして、ご主人様にはそれを適えるだけの才覚を持っていると私は思っています」

 

 

「……愛紗は俺のことを過大評価しすぎだよ。でも、俺は理想を少しでも現実に近づけるために、決めたことがあるんだ」

 

 

 一刀は今までとは違う覚悟を決めた表情を愛紗に見せる。

 

 

「なんですか?それは」

 

 

「俺、見聞を広める為に諸国を旅したいんだ」

 

 

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 一刀は愛紗に自分の決意を口にした。しかし……

 

 

 

「そ、そんな話、駄目に決まっています!!第一、何故いきなり旅をしたいなどと言われるのですか!?」

 

 

 そう簡単に許される筈も無く、一刀の忠臣である愛紗は、怒りを露にして反対した。

 

 

「旅をしたい理由か……一つは単純にこの大陸のことを知りたいからかな。この大陸における状況を理解できれば民のためにどうしていけば良いかっていうのが、より分かってくると思うんだ」

 

 

 そんな愛紗にも動じることなく、真剣な表情のまま一刀は答える。

 

 

「もう一つは……こっちが本当の理由なんだけど、俺達と同様にこの大陸の現状をどうにかしようと思っている人たちがほかにもたくさんいると思う。俺はその人たちと実際に出会って、仲間になってもらったり、連携を組んでもらったりしたいんだ。そうすることが俺達の理想を叶える為には必要なことだと思うから」

 

 

 一刀の言葉に目を見開いて驚く表情をする愛紗。

 

 

「俺はもっと多くの人たちを救いたい。けど俺達だけじゃ限界がある。だから見聞を広げて一緒に戦ってもらう……やっぱり、無理なこと言ってるかな?」

 

 

 大それたことを言ってしまったと思ったのか、一刀は少し気まずそうな顔をする。

 

 

「いえ、素晴らしいお考えだと思います!やはり、貴方を主と仰いでよかったです」

 

 

「そ、そういってくれると嬉しいよ///」

 

 

 愛紗の言葉に照れて頬を掻く一刀。

 

 

「しかし、我々は白蓮殿に仕える身。突然旅をしたいなど許されることなのでしょうか」

 

 

「まぁ、それは無理だしやるつもりも無いけど、そろそろ俺達も独立しなければならないだろうから、その時かな」

 

 

「そこまで先を読んでいるとは……分かりました。ですが、いくらご主人様といえど一人では危険かと、ここは私が「駄目。愛紗は、桃香や鈴々と一緒に皆を守って欲しい」……」

 

 

 言葉半ばで否定されたことに無念の表情を見せる愛紗。

 

 

 敬愛する主から信頼を受けているのは嬉しいものの、愛紗は共に行きたいという私心と、一刀が何処か遠くに行ってしまうのではないかという不安に駆られていた。

 

 

 そんな思いに気付いたのかどうかは分からないが、一刀は愛紗を自分の胸に寄せると、

 

 

「大丈夫。君たちを置いていくことなんてしないよ。俺の帰ってくる場所はここしかないから……」

 

 

「ご主人様……///」

 

 

 一刀の決意した目を見て、愛紗には先ほどまで抱いていた気持ちは何処かに行ってしまった。

 

 

「……分かりました。だから約束してくださいね、必ず帰ってくると……」

 

 

「ああ、約束するよ」

 

 

 二人は誓いを立てあうと、顔を近づけていき、唇と唇が触れそうになったとき……

 

 

「ンンッ。邪魔をするようで悪いが、ここは戦場だったということを忘れないで頂きたい」

 

 

 いつの間に来たのだろうか?星が呆れた顔で、二人の前に立っていた。

 

 

「せ、星。これはだな……///」

 

 

「いや、これは、あの、その……///」

 

 

 必死になって言葉をつなごうとしている二人だが、顔を真っ赤にして手をワタワタさせている姿に全く説得力はない……

 

 

 そんなやり取りを見ていた星は口端をククッと上に吊り上げ、

 

 

「フム、これは良い酒の肴になりますな」

 

 

「「//////」」

 

 

 不敵な笑みを浮かべる星に二人はただ顔を赤らめるしかなかった……

 

 

 

 

 

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「……そういう訳で俺は旅をしたいと思っている」

 

 

 一刀は愛紗にした話を皆にも話していた。

 

 

 話をしているうちに愛紗の顔が赤くなっているのは気のせいだろう。

 

 

 そして話し終えると、

 

 

「うん、ご主人様の気持ち、わかったよ。でも必ず帰ってきてね!」

 

 

「ああ、もちろんだよ。桃香、俺のいない間よろしくな」

 

 

「うん♪まっかせなさ〜い!」

 

 

 ドンと胸を張って答える桃香。その動作に自然と笑顔になる。

 

 

「鈴々も元気でな。帰ったら思いっきり一緒に遊ぼうな」

 

 

「うん。だから鈴々、お兄ちゃんが帰ってくるまで皆のために頑張るのだ!」

 

 

 ウガ〜と吠える鈴々の頭をワシャワシャと撫でてあげる。

 

 

「朱里、雛里。出会ったばかりなのにゴメンな。でも必ず帰ってくるからね」

 

 

「気にしないでください。私達はいつまでもお待ちしております」

 

 

「……です」

 

 

 少し恥ずかしそうにしている朱里と雛里の頭も撫でてあげる。

 

 

 そして……

 

 

「愛紗、皆のことよろしく頼んだよ」

 

 

「はい、この関雲長。ご主人様のいない間、桃香様の矛となり黄巾党と戦い、民を救うことを誓いましょう」

 

 

 恭しく臣下の礼をとる愛紗。

 

 

「大丈夫、愛紗ならきっと多くの民を助けることが出来るよ」

 

 

 二人は微笑みながら握手を交わす。

 

 

「……じゃあそろそろ俺は行くよ」

 

 

「気をつけてね、ご主人様」

 

 

「行ってらっしゃいませ、ご主人様」

 

 

 一刀は桃香と愛紗の言葉に笑顔で応えてから皆に手を振りながら背を向けて旅立つ。

 

 

 皆は一刀が見えなくなるまで彼の背中を見ていた。

 

 

 

 …………

 

 

 

「行っちゃったね」

 

 

「そうですね……」

 

 

「私達もじっとしていられないよ!みんな、ご主人様が帰ってきたらビックリするくらいに私達もがんばろう♪」

 

 

「「「「御意(なのだ)」」」」

 

 

「(ご主人様、私達はずっと待ってるからね……)」

 

 

 桃香たちも一刀との誓いを胸に秘め、また荒野を歩き出していった……

 

 

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 あとがき

 

 

 一刀は旅に出ましたね。

 

 

 そこでこの小説を読んでくださっている皆さんにアンケートです。

 

 

 一刀がこれから向かう先はどこが宜しいでしょうか。

 

 

 1、呉

 

 

 2、董卓軍

 

 

 3、袁紹軍

 

 

 4、西涼

 

 

 5、オリジナル(内容は決まっています)

 

 

 の4つのどこがいいかコメント欄に書いていただけると幸いです。

 

 

 (魏が入っていないのは桃香たちが出会うので)

 

 

 よろしくお願いします。

 

説明
一刀の突然の発言に……
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
5131 4156 35
コメント
董卓軍で(VVV計画の被験者)
1で(右京)
5も捨てがたいですけど月たちのことを考えると2ですかね(brid)
5でお願いします!(ワカンタンカ)
1,3で(雪蓮の虜)
2 あとで月達の無実の証明をしてほしい(sink6)
3.5(solomon4)
1、2で(ブレイド)
南蛮(ヒトヤ)
5で(カイト)
2(kurei)
5次いで4、この時期に旅に出るとは良い意味で予想外(マフェリア)
1(カピパラ)
5でww(リンドウ)
5で恋姫未登場のオリキャラ(蜀とか国の枠にとらわれず)を出して欲しいです。(gmail)
内容も決めてるならせっかくだし5で。(Orcinus orca)
5で(2828)
1(真)
5(mayumurajr)
5(momo)
5で(masahisa000)
5に一票! 作者様の腕の見せ所になりそうなので。(相駿)
2(ユウ)
5(ジン)
5で、理由、話通りだと面白くないからもう設定されているならその方向でオリキャラ期待!(黄昏☆ハリマエ)
1で(sk)
袁紹軍でお願いします。(aoirann)
タグ
真・恋姫無双 恋姫無双  愛紗 鈴々桃香 朱里 雛里 一刀 

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