真・恋姫†無双  星と共に 第16章
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真・恋姫†無双  星と共に  第16章

 

 

黄巾の乱から数週間が経った。黄巾党の残党はまだいるが華琳の治める領土は幾ばくか平和になっていたが、一刀はある情報を華琳から聞くことになった。

それは董卓が中央を抑えたとのことであった。

 

「董卓ね……」

「華琳は董卓を知らないのか?」

 

一刀がさりげなく華琳に聞いた。

 

「初めて聞く名よ。桂花や秋蘭たちも知らないそうだし、張三姉妹も戦っていた将の中に、そんな名は聞いたことが無いと言ってたわ」

「そうなのか……(張三姉妹はともかく桂花達が知らないとなると裏がありそうだな。それこそあの白装束の連中か……)」

「この間都から戻った、間諜も、董卓の正体は不明と言ってたし……恐らく、誰かの傀儡なのでしょうけどね」

「傀儡ね……」

 

一刀は今の華琳の答えでまたしても月の事で完全に何か裏があると理解した。

 

(黒幕が董卓を利用してる。話の流れからして十常侍みたいだな。十常侍は白装束の仲間なのか?

何にしろ月を助け出した方がいいなこれは……)

「一刀、何を考えているの?」

 

華琳が一刀に何を考えてるか尋ねる。

 

「単刀直入に言おう。俺は董卓を助けようと思っている」

「? 何故?」

「董卓は……悪い奴じゃないからだ」

 

一刀は前の世界であった董卓に関することを全て華琳に話した。

 

「そんなことがあったのね。それで、私が嫌だと言ったらどうするの?」

「星と一緒に逃げてやるさ」

「本気で私達から逃げれると思うの?」

「逃げ切ってやるさ」

 

一刀は苦笑いしながら言うが、華琳はその一刀の言葉に嘘偽りのない覚悟も入ったものだと感じる。

 

「いいでしょう。ただし条件があるわ」

「何だ?」

「董卓を助けたことは私以外の諸侯には言わないこと。そして今話したことは星以外に話してはいけない。いいわね」

「ああ」

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それからまた数日が経った。華琳はいざというときのための軍の強化を日に日に強めていっていた。

そんななか、一刀と星は一緒に街をうろついていた。

そんな時、女の子二人が一刀達を尋ねた。

 

(むっ……)

(この子達は……)

 

二人は前の世界で見覚えのある少女達なので少女達が誰なのかすぐに分かった。

 

(顔良と文醜……)

(袁紹の部下だよな)

(と言う事は袁紹がついに……)

(ああ……)

「お城……」

「の前に、美味しい料理を食べさせてくれるところ、教えてくれよ!」

 

文ちゃんと呼ばれる文醜と斗詩と呼ばれる顔良が何やら揉める。

何とか話はまとまり先に料理屋に行くことになったそうだ。

そんな中季衣と会い、六人でうまい店で食べることになり食べているうちに、華琳と秋蘭もやってきた。

そうこうやり取りをしていると給仕の女の子もやってきた。

 

「いらっしゃいませ! 曹操様、夏侯淵様、今日もいつものでよろしいですか?」

 

華琳が曹操と知るやいなや顔良は驚きをわずかにみせるが、文醜はわかっていなかった。

一刀と星はその事に気付くも、華琳達が常連のような事を聞いてとりあえず尋ねる。

 

「お前達、ここの常連なのか?」

「ええ、そうよ。さっきの子ね」

「さっきって給仕の子?」

「まだ若いのに、大した腕の料理人よ。お抱えで欲しいくらいなのだけれど……」

 

華琳が言葉を濁したので一刀は聞いてみると、どうやらさっきの子は親友に呼ばれて街に来たのだが、手がかりを見つけるまで店から離れる気がないと言われたそうだ。

一刀はそれを聞いてその子の人探しをしようと先ほどの子を呼び聞いてみたら…。

 

「真名じゃない名前は許緒って言います」

「は?」

「え?」

 

その許緒は目の前にいた。

 

「あー。流琉ー♪ どうしてたの? 遅いよぅ」

「遅いよじゃないわよー! あんな手紙をよこして私を呼んだと思ったら、何でこんな所にいるのよーーーーーー!!」

「その前に二人とも気づけよ!!」

 

一刀は鋭いツッコミを入れた。

季衣と流琉と言う少女が喧嘩を始めてしまい、先ほどまで食べていた顔良と文醜が二人を後ろから止めた。

 

「お前達……、何者なんだい?」

 

一刀は知っていながらも二人の正体を尋ねるが、無視された。

 

(無視か……)

「お初にお目にかかります、曹孟徳殿、私は顔良と申します」

「あたいは文醜! 我が主、袁本初より言伝を預かり、南皮の地よりやって参りました!」

「こんな場面で恐縮ではありますが、ご面会いただけますでしょうか?」

「あまり聞きたくない名を聞いたわね。まあいいわ、城に戻りましょうか」

 

華琳達は城に戻り、華琳は袁紹の発した文を読むと袁術、公孫賛に馬騰の署名があった。

 

(一刀殿……)

(ああ、予想通り反董卓連合の奴だな。公孫賛と袁紹、それに馬騰は前と一緒だが……)

(袁術……それに劉備がおりますとは……)

(予想通りだな。となると愛紗達は……)

(その劉備と共に居ると……)

(それがきちんとした流れだからな……。この世界の星ももしかしたら……)

(ですが私は一刀殿の味方ですぞ)

(ああ)

 

華琳は桂花の意見を聞き、桂花は連合の参加に賛成した。そのわけは一応名高い諸侯が参加する以上、華琳も出れば華琳の名も広がるということなのだ。

そんな中、一刀は一つ意見をする。

 

「董卓は悪いことしてないんなら、討つ必要ってないんじゃないのか?」

「董卓自身は悪くなくても、官を制御出来ないなら同じことよ。それに私達が動かなくても、既に周りは動いているわ。ならば、それに乗るのも一つの道」

「……」

 

実はこのやり取りは前もって華琳と一刀が打ち合わせていたものである。

華琳は連合の参加を決め、連合に行くための準備をした。

その間に季衣と流琉(名前は典韋)がかなり揉めていたが、何とか無事収集し、典韋は皆に真名の流琉を許し、華琳の元に入った。

 

(あれが典韋だったとは……)

(これで前に魏にいなかった人間が7人。あとどれくらいの将が出てくるのだろうか……)

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それからまた数日後、一刀達は華琳と共に連合の集まりに参加した。

 

「おーほっほっほっほっ!」

 

突然の笑い声に驚きを表す一刀。

 

(この声は……)

「久しぶりに聞いたわね。その耳障りな笑い声……麗羽」

「華琳さん、よく来てくださいましたわ」

 

麗羽もとい袁紹が華琳を出迎えに来たのだ。

 

(相変わらずの高笑いだ)

(ですな)

 

一刀と星がやはりと袁紹に抱いた第一印象である。

そして他にも集まった諸侯が自己紹介をする。

 

「幽州の公孫賛だ。よろしく頼む」

「平原郡から来た劉備です。こちらは私の軍師の諸葛亮」

「よろしくお願いします」

 

一刀は劉備を見る。

 

(あれが劉備……)

(なるほど。一刀殿とは違うおとぼけキャラのような感じですな)

(おとぼけとは失礼だな。しかし信念的には前の俺と同じかもしれないな)

(そうですな。でなければ……)

 

二人は諸葛亮の方を見る。この少女こそ二人が言っていた少女、朱里であったのだ。

 

(朱里があちらに就くことはありませぬ)

(ああ。恐らく信念的に俺と同じだからこそ朱里は劉備と一緒にいることを選んだんだ。愛紗達も……)

 

一刀は思わず泣きそうになるが、こらえる。

 

「ねえねえ」

 

すると劉備が一刀……いや、星の所に詰め寄って来た。

 

「何かな?」

「久しぶりだね星ちゃん」

「久しぶり?」

「忘れたなんてひどいな〜。私、桃香だよ」

(これは……)

(この世界の趙雲は既に劉備と会っていると言うことか……)

 

でなければ、劉備がここにいる星に声をかけるはずがない。

 

「済まないが、誰かと勘違いされているようだな」

「え?」

「確かに私の真名は星だが、私はあなたの事を知らない。私はあなたと会うのは初めてだ」

「そんな……」

「この子の言っていることは本当だ。俺はこの子と一緒にいたからな。あんたの人違いだ」

「人違い………ごめんなさい!」

 

劉備は頭を下げて謝る。

 

「構わぬ。本来なら許しも無しに真名を呼ばれたことを咎むべきだが、人違いだと分かった以上許すとしよう」

「本当に……ごめんなさい!」

「いやいや、構わぬのだ」

 

劉備は何度も謝りながら星から離れて行く。

 

(どうやらこの世界の私は前の世界と同じように黄巾の乱かその前あたりに劉備と会ったようですな)

(ああ。この様子だとこの世界の趙雲はあの劉備につくかもな。その時とはどうするんだ?)

(その時とは?)

(劉備につくとしたら、星はこの世界の自分と戦うことになるんだぞ。大丈夫か?)

(ふっ……、自分自身と戦えるとは戦士としては願っても無いこと。問題ありませぬ)

(それならいいが……)

 

一刀と星がこそこそ話し終えると二人はまだやっていた自己紹介を聞く。

 

「涼州の馬超だ。今日は馬騰の名代としてここに参加することになった」

(翠もいるようだな……)

(分かってたとは言え、少々つらいですな……)

 

星も一刀と同じで少し涙をこらえる様子であった。

 

「袁術じゃ。河南を治めておる。まあ、皆知っておろうがの! ほっほっほ!」

(何か袁紹を小さくした版って感じだな)

「私は美羽様の補佐をさせていただきます、張勲と申します。こちらは客将の孫策さん」

(あいつが孫策……。……孫策!?)

(孫策だと!? 孫策は前の世界では既に亡き者のはず……)

(こりゃ、完全に前の世界とは違うって事が証明されたな……)

(しかし孫策がおりますと……)

(袁術や劉備も問題だが、問題は孫策だな。一応の性格は蓮華から聞いてはいるけど、下手したら一番の障壁だ……)

(もし孫策が月の救出を阻むようでしたら?)

(俺が止めてやる……。蓮華や小蓮を悲しませる事になるかもしれないが……)

 

一刀はもしもの時は実弾を使って孫策を叩こうと言うのだ。

 

(一刀殿……)

(だがこれはあくまで最終手段だ。俺だってしたくはない。

それに……)

 

一刀が一人の女性を見る。その女性は孫策軍の軍師の一人周瑜である。

 

(周瑜が孫策を止めるだろう)

(何故そう思われるのだ?)

(周瑜は蓮華とは結果的に争ったが、孫策とはそうじゃなかったって蓮華が言ってた)

(どういうことで?)

(孫策と周瑜は友だとも聞いた。簡単に孫策が突貫しないようにすると俺は思う)

(それなら良いのですが……)

(そうであることを信じよう)

 

そしてお互いの自己紹介もとい名乗りは終わり、華琳達は巳水関は他の軍の観察で戦わず、虎牢関の指揮権を手に入れ、虎牢関攻略へと向かう。

虎牢関は呂布と張遼が守っているところであった。

 

「呂布は黄巾党の半分、約三万を一人で倒したと聞いてます」

(三万とな……)

(おいおい、そいつはいくらなんでもすごすぎるな。だがさすがは恋だな)

「もしどうしても呂布をご所望とあらば……そうですね。姉者と私、あと季衣と流琉に澪あたりはいなくなるものと思っていただきたい」

「その心配は無いぜ」

 

秋蘭の言葉を一刀が遮る。

 

「俺と星で十分だ」

「あんた正気!?」

「正気じゃなきゃなんなんだ?」

「狂ってるわ!」

 

桂花が珍しく一刀の身を案じるように言う。

 

「一刀、星……」

「いいだろ? 華琳」

「こちらには策もありますゆえ……」

「勝ち目はあるの?」

「ある」

「……………」

 

一刀の答えに皆が唖然とする。一刀ははっきりと答えたのだ。

その答えで皆が笑った。

 

『あははははははははははっ!!!』

「笑うなよ……!」

「…ごめんなさい、まあいいわ。見事呂布を生け捕りにしなさい!」

「御意!」

「ああ!」

 

こうして呂布は一刀と星が相手することになった。

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虎牢関の門の上には呂布、張遼、華雄、軍師の陳宮が虎牢間前に集まる連合兵を見て驚き、張遼は籠城するかそれとも思った矢先、華雄が勝手に飛び出してしまった。

 

「あんのぉ猪……!!」

 

張遼が華雄の安易な行動に怒る。

 

「……出る」

「呂布殿!」

 

華雄が出てしまった以上自分も出るしかないと判断した呂布は自分も出陣しようとし、陳宮が反対しようとする。

 

「しゃあないやろ! せめて華雄を引きずり戻さんと、月に会わせる顔が無いわ! 陳宮は関の防備、しっかり頼むで!」

「わかったのです!」

 

敵が虎牢関から出てくる様子を華琳は呆れたように言う。

 

「出てきたわね。巳水関の時と言い、連中は篭城戦を知らないのかしら?」

 

実は巳水関の時も華雄は籠城せず、出てきてしまい結果関羽に負け、何とか命からがら逃げれたのだが、まったく懲りてないようだった。

 

「華の旗って言うと華雄、後続も出てきたな。旗は呂と張……ということはこちらの目的二人が一気に来たな」

「華雄の独走に引きずり出された、といった所でしょうね。まあいいわ、一刀は他の部隊にも通達の指示。本作戦は、敵が関を出てきた場合の対応で行う!」

「わかった。じゃあ呂布の方は俺と星に任せてくれ」

「隊長……」

「なんだ?」

 

やはり一刀が呂布と戦うのに不安が残る凪達。

 

「本当に戦われるのですか?」

「本気だ」

「でも隊長達が負けたら……」

「死ぬだろうな」

「せやったら……」

「お前らな、自分達の隊長を少しは信じろ。それに俺はお前達を信じてるぞ」

 

一刀は実は考えていた策を凪達に任せようとし、既に凪達にはその準備をしてもらった。

 

「後はそれを投げる時期を上手く見てくれ。もしかしたら俺が合図するかもしれないが、その時は投げてくれ」

「分かりました。お二人のご武運を……」

「うむ」

「じゃあ行こうか。星」

「御意!」

 

一刀と星は部隊と共に華琳達と別れ、華琳達は出てきた董卓軍を相手にする。

相手が華雄、力は強けれど知を用いた攻撃には対処しきれず、董卓軍は敗走を始める。

その様子を見た張遼が何とか華雄を見つけて一緒に虎牢関まで戻ろうとするが、伝令により都に何かが起こり、虎牢関は放棄するとの事で陳宮が撤収準備をしているとの事。

虎牢関にはもはや袁紹軍や劉備軍の手に落ちようとしていたが、急いで戻ってきた呂布が阻んだ。

 

「…そうはさせない」

「呂布じゃんか、勝負だ!」

 

文醜が呂布に戦いを挑む。

 

「時間ないから本気でいく」

 

そういうと呂布は自分の武器の方天画戟を振るい、かかってきた文醜、それに近くにいた顔良を吹き飛ばす。

 

「遅かったか……、二人とも大丈夫か?」

 

関羽が何とか吹き飛ばされた二人を抱きとめる。

 

「あ、はい」

「助かったぜ」

「愛紗! 鈴々が行くのだ!」

「待て鈴々!」

 

鈴々と言う真名の少女、張飛が呂布に挑もうとするがその前に一人の男と女が張飛の前に立つ。一刀と星である。

 

「俺達だけでやる……」

「にゃ? 誰なのだ? って星!」

 

張飛は一刀の事を知らないが、関羽は一応一刀の姿を見ていたため誰かは知っていた。

しかしそれ以上に驚いたのが一刀の隣に星が居ることであった。

 

「まさかお主が曹操軍に就くなんて……」

「お主ら、はっきり言っておこう。私はお前達の知っているその星と言う女ではない」

「何だと?」

「私の真名は確かに星だ。だが私はお主らとは一度も会ってはおらぬ」

「そうか……済まなかった」

「いや、先ほど劉備殿も同じような間違いをした」

「そう言えばお姉ちゃんそんなこと言ってたのだ……」

「そう言えば……ところでお主の名は?」

「それは今は言えぬな。だが、時が来たら言おう」

「ところで、あなたは確か、貴公は曹操軍の……」

「よく言う天の遣いだ」

「無茶です! あなたのそんな体では…」

 

関羽は武人、一刀の体つきを見れば呂布に勝ててるところなんか一つもないのが簡単に分かる。

 

「そんなの呂布や君だって同じだぜ。大丈夫だ、俺は死なない」

「うむ。私がこの方を守るからな」

「俺もお前を守るぞ。星」

「それは嬉しいですな」

「さてと行こうか……」

 

二人が呂布の前に立つ。

そんな中二人は考える。

 

(愛紗達は本当に劉備達の下に就いたようだな)

(そのようで……)

(俺のこの世界の役割って本当に何だろうな……)

(それこそ華琳に天下を取らせるための存在なのでは?)

(かもな。そのためには今は前に立ち塞がる障害……恋をどうにかすることだな)

(一刀殿無理はなさらぬように。前よりも強くなったとはいえ、恋にはまだ敵わぬはず……)

(ああ、無理はする気はないさ。星こそ無理はするなよ)

(無論。一刀殿を置いて死ぬことはせぬ。一刀殿も私を置いて死ぬようなことはないように……)

(分かってる)

 

星は槍を構え、一刀は刀の一本「満月」を左腰に差し込んでいた鞘から抜く。

一刀はそろそろ武器に名前をつけようと考え、左腰にある刀を「満月」、右腰にある刀を「新月」と名付け、「満月」と一緒にしている白い拳銃を「白(ホワイト)」、「新月」と一緒にしてある黒い拳銃を「黒(ブラック)」、

そしてショットガンを「破偉派(ハイパー)」、脇差を「陰」と名付けたのだ。

 

「さてと、随分待たせたようだけど…」

「邪魔!」

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方天画戟と満月がぶつかり合う。

 

(すごい力だな……。これが恋の力か……)

 

前の世界での愛紗や鈴々に翠、そしてこの世界の桂花や秋蘭が言ってたことを一刀は今その身をもって実感した。

 

(昔の俺なら今の一太刀でお終いだったな。だが今の俺は違う!)

 

一刀は筋力も前以上のものになっているが、それでも恋には勝てない。星と互角かそれよりも下くらいである。

しかしそんな一刀が恋の攻撃を受け止めれたのは北郷流を極めたからであり、まともに刀で受けたと言っても実は力をわずかにだが受け流しているのだ。

 

(そして約束したんだ、絶対生きて帰るってな!)

「一刀殿!」

 

一刀と呂布の間に星が割り込む。

一刀と呂布は距離を取る。

 

「済まない星」

「構いませぬ。呂布よ、次は私の番だ」

「……来い」

 

星は呂布に向かって突きを連続で繰り出すも……。

 

「!」

 

呂布は星の突きの連打の合間に方天画戟の突きを繰り出そうとするが……。

 

「!?」

 

突然自分の前に若干大きめの氣弾が飛んできて、呂布は思わず方天画戟を戻してその氣弾を防ぐも、その氣弾は強力であり、呂布はその勢いに後ずさりしてしまう。

 

「今のは……」

 

星が後ろを向くと後ろには破偉派を構えていた一刀の姿があった。

 

「一刀殿」

「水を差しちまったか?」

「いえ。今の一刀殿の攻撃が無ければ私は死んでいたでしょう」

「そうか……」

 

一刀は破偉派を後ろ腰に付け、新月と満月を抜く。

 

「呂布は絶対に逃がすわけにはいかない。星!」

「分かっております!」

 

二人は呂布に向かって行き、激しく打ち合う。三人の中を邪魔することは誰にも出来ないほどに…。

 

「あの兄ちゃん達、すごく強いのだ…」

「あの呂布とあんなにも打ち合えるとは……」

 

張飛と関羽はただ見てるだけしかなかった。

しかしその激しい戦いに三人とも疲れを見せてきた。

 

(………頃合いか)

(ああ。凪!)

 

一刀が合図とばかりに上に向かって破偉派を撃つ。

 

「今だ!」

 

すると後ろに控えていた凪達北郷隊が網を持って呂布を捕らえのだ。

しかし網には呂布だけでなく一刀と星も入ってしまったが、これも計算のうちであった。

 

「……抜けない!」

「今だ!」

 

一刀は破偉派を呂布の腹部に押しつけ、そこから氣弾を発射させ零距離で撃つ。

 

「!」

 

呂布はその破偉派から放たれた強力な氣弾により気絶した。

 

「これでよしだ。引き上げてくれ」

「はい!」

 

凪達が何とか網を引っ張ることにより、一刀は引きずられそのまま陣へと連れて帰った。

 

「恋殿ーーーーーーーー!!」

 

呂布がつれていかれるのを見た陳宮は急いで一刀達を追ってしまった。

 

「陳宮まで行ってしまった…」

「とにかくウチらは都まで戻るで…」

 

華雄と張遼は何とか都まで戻ることにした。

そして呂布が華琳の前につれてこられて、華琳と一刀の質問を受けた。

 

「私の質問に答えてくれるかしら?」

「……(コクッ)」

「洛陽には後誰が居るの?」

「詠」

「詠?」

「賈駆」

「賈駆?」

「賈駆って奴の真名が詠ってことだろ?」

「……(コクッ)」

 

呂布は頷く。

 

「なるほど、賈駆ね……。他には」

「月(ゆえ)」

「月? もしかして董卓?」

「……(コクッ)」

「分かったわ。それにしてもずいぶん可愛らしい真名ね。とても暴君とは思えないわ」

「月は優しい」

「優しい?」

「何を言っている!? 董卓は暴君の限りを尽くしてるって聞いてるんだぞ!」

「それは違いますぞ!」

 

そこに現れたのは華琳の兵達に捕まっている陳宮であった。

 

「陳宮」

「呂布殿〜、ねねはいつでも呂布殿のお側におりますぞーーーー!」

「何でこいつがいるの?」

 

一刀が兵士に事情を聞く。どうやら、陳宮は呂布を追って、ここまで一人で来て、捕まったそうだ。

 

「速攻で捕まるとはな……」

「それで、さっき言った董卓が暴君ではないと言う意味なんだけど……」

「まさか白い装束を着た奴らが居るんじゃないだろうな?」

「白い装束? そんなのおりませぬぞ」

「何だと?」

 

一刀は陳宮の言葉を聞いて驚きを隠せない。

 

「どうしたのだ? 北郷」

「気にしないでくれ。それより……白装束が居ないのは本当か?」

「本当であります! 全部十常侍のせいなのです!」

「十常侍……」

 

一刀は十常侍の名前は華琳から聞いているの。

 

(もしやその十常侍は白装束に利用されているのでは?)

(可能性は否めないな。だが、単純にあいつらが関わってないだけ……という考えもあるが……)

(何にしろ用心を怠らないことですな)

(ああ)

 

その後呂布をどうするかどうかになり揉めそうになったが、華琳が一刀の手柄なので、呂布は一刀に任せるとして一刀は当然呂布を殺さず、自分達の仲間になって欲しいと勧誘。

呂布は自分の家族であるペット達をちゃんと保護して欲しいのと董卓達も助けて欲しいという条件を出し、一刀は快く承諾し、呂布を仲間にすることに成功した。

一刀は前の世界と変わらないと苦笑いであった。

陳宮の処遇も色々あったが、呂布の説得により何とか収まり、陳宮も呂布と一緒についてくることになった。

呂布と陳宮は一刀達に真名を預け、呂布は恋、陳宮は音々音(愛称はねね)であった。

 

(陳宮、初めてだな)

(そうですな)

(これから俺達が知らない人間が出てくるんだろうな)

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呂布と陳宮がいなくなったことは董卓軍にとっては大きな痛手となったが、都前には既に連合軍がやってきており、

今はそれどころではとなり、残った張遼と華雄で防戦したが、戦力の差がありすぎて敗れていった。

 

「くっ! やっぱ、この戦力じゃ厳しいか! 華雄ともはぐれてもうたし…」

 

張遼は華雄と離れてしまい、今は公孫賛に追われていた。

 

「待てー、張遼ー!」

「待てるかボケ!」

 

張遼は馬の速度を速め、公孫賛の追跡を逃れる。

 

「くっ、この私が馬術で追いつけんだと!?」

「やれやれ、何とか撒いたか…」

 

張遼は公孫賛が追いかけてないことを確認する。

 

「けど、どう見てもこっちの負けやなぁ。月や賈駆っち、うまく逃げられたやろか」

 

張遼の心配する月(本当は董卓)と賈駆なのだが、実は先回りしていた一刀の部隊に発見されていた。

 

「君が董卓?」

「違う! ボクが董卓よ!」

 

眼鏡をかけた強気な女の子が自分が董卓だと申告するが、一刀には通じない。

 

「悪いが俺にそんなのは通用しない。俺は董卓の顔を知っているからな」

「ぐっ……何でよ!?」

「色々あるんだよ。で、君が董卓だよな?」

「私が董卓です」

「ちょ、月!?」

 

董卓と名乗る少女はやはりどこか可憐でおしとやかであった。

 

「(久しぶりだな詠、……それに月……)董卓ちゃんでいいのか?」

「はい……」

「俺は北郷一刀、悪いが君を逃がすわけにはいかないんだな。これが。大人しく俺たちに捕まって欲しいけど構わないか?」

「それは……」

「そんなの出来るはずないでしょ! 月を守るためにはどこまで逃げるしかないんだから!」

 

賈駆が猛烈に反発するが一刀は説得を続ける。

 

「だが逃げたって連合軍は君達を追いかける。それこそどこまでもな…。この戦いの責任を擦り付けるためにな」

「くっ…」

「董卓ちゃんの状況は理解してるし、この戦いの本質を一応だが恋とねねからきちんと聞いている」

「恋さんとねねちゃんに?」

「まさか、あんたが!?」

「そう、恋こと呂布を捕らえた天の御遣いだ」

「恋達はどうしたの!?」

「ここにおりますぞ」

 

その言葉を待っていたかのように恋とねねがやって来た。

 

「あんた達、どうして……」

「この男は曹操殿の部下ではありますが、かなりの変わり者でねね達の面倒を見る役になったのです」

「……(コクッ)」

 

ねねの答えに恋がうなづく。

 

「曹操の……、だったら!」

「そういきりたたないでくれよな。華琳からは既に許可を貰ってるし、それに俺は追い詰められるだろう君達二人をこのまま放っておくのは嫌なんでな」

「どういうことですか?」

「董卓ちゃんには世間的に死んだことにして俺たちのところに来て欲しいって事」

「そんなことをして何の得があるのよ?」

「得か〜」

 

一刀がその事を聞いて考えるが……。

 

「得とかそんなの考えて無かった」

「何よそれ」

「まあ言えることは一つあるな」

「何ですか?」

「俺と君はこうして言葉を交わした。それに……」

「?」

「俺は可愛い子の味方だ!」

 

一刀は笑顔で答える。その様子を見た凪達は若干引いた。

そして一刀の説得に応じ、董卓と賈駆は一刀の元に行くことになった。

その際に董卓は名を捨て、真名を教えた。真名は月。賈駆も月と一緒にとの事で真名の詠を教えた。

とりあえず二人は張三姉妹と一緒に匿うことになった。

 

(白装束の者どもは見当たりませんでしたな)

(ああ。どうやらこの世界のこの騒動には関わって無かったようだが……)

(どこかで姿を現すと……)

(あくまで可能性だ。この世界が前と違うとは言えこの世界は外史なのは変わりないんだ。となると必ずあいつらの仲間の一人や二人は居るはずだ)

(会わないことを祈りたいですな)

(それは同感だな)

 

一刀と星はそう考えた。

 

(しかし何か大事な事があるよな。この戦いで華琳達に関するものが……)

(はて? 何でしたっけ?)

(……ああ! 思い出した!)

 

一刀は思い出してすぐにその場を走り去る。

 

「一刀殿!」

 

星は一刀を追おうとするが……。

 

「星は凪達と一緒に月と詠を頼む!」

 

一刀は星を置いてその場を去る。

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その頃……。

 

「待て! 貴様が張遼か!」

 

春蘭が張遼を追っていた。

 

「あちゃぁ、このクソ忙しいときに。一騎打ちの申し込みなら、もう締め切っとるぞ!」

「そんなことは知らん! 私との勝負に応じるまで追いかけるまでだ!」

「その目…ダメっちゅても仕掛けてくる目やな。恋や華雄っちと同じ目や」

「貴様も同じ目をしているぞ?」

 

同じ武人同士、春蘭と張遼は馬を降り、対峙する。

二人の戦いを邪魔しないように秋蘭が周りを警戒する。

 

「いくで!」

「おう! 来るならこ…」

「姉者!」

 

秋蘭が叫ぶ! その瞬間に春蘭の眼前には一本の矢が刺さろうとしたが、その矢は何かに落とされた。

その矢を叩き落したのは澪の栖冷矢から放たれた氣弾であった。

 

「澪!」

「何故ここに?」

「あっちで一刀に言われたのよ。春蘭の目を守ってやってくれてっね……」

 

一刀は何とか近くに居た澪に伝え、かなり早く動けた澪はすぐに真桜に改造してもらった栖冷矢の力でやって来たのだ。

 

「邪魔をしましたわね。それでは…」

 

澪は春蘭と張遼の間から去る。

 

「水を差されたが待たせたな、張遼。さあ、一騎打ちの続きと行こうではないか!」

 

春蘭が剣を構え、張遼も武器を構える。

そして二人は激しく戦い勝負は春蘭の勝ちであった。

 

「もう悔いは無いわ……さ。殺しぃ」

「何を馬鹿なことを…。貴様にはこれから、華琳様に会ってもらわねばならんのだ」

 

その後、張遼は春蘭との戦いもあって華琳の元に降り、真名を霞(しあ)と名乗り、華琳の元には新たなる武将が加わった。

 

(霞も加わったか)

(董卓軍は全員揃いましたな)

(誰か一人忘れてる気もするけどな……)

(そうなのですが……)

(まあ生きていることを信じるとするか)

(そうですな)

-8ページ-

 

 

おまけ

 

 

作者「二週間ぶりの投稿だ」

一刀「前も二週間だったな。ゲームはもういいのか?」

作者「かなり落ちついたからな。まあでも今は別のゲームをしている」

一刀「なんだそりゃ!」

作者「まあ今はちょこちょこだが、第22章を書いている。でも若干のスランプなのか思ったより筆は進んでない」

一刀「ほぅ〜」

作者「だから投稿自身はまだまだ不定期になるかな……」

一刀「ところで他に言いたいことはあるんじゃないのか?」

作者「また私用で忙しくなる可能性ありだな。

そして別だが、また映画風のSSを考え中だ」

一刀「またあの長い奴かよ! あれって読む人選び過ぎて、この作品よりも圧倒的に支持が少ないだろ!」

作者「まあこの作品が今まで俺が書いた作品の中で一番支持されてるんだよな。それは驚きだ。

だがそれでも俺は書きたいから書くんだ! そして俺は書いたものを人に読んでもらいたい! それだけだ!」

一刀「本当に自分勝手だな!」

作者「俺は自分勝手なのは重々承知だ。それと映画風SSとは別に一発ネタも考えちゃったりしている。

それはそうと映画風SSは当然のごとく俺が書いた仮面ライダー×真・恋姫†無双シリーズ系だ。

内容のちょっとしたネタバレだが、主役は呉編の一刀。ゲストはアクセル一刀&美沙緒、そして最強とされる魏編一刀だ。

それでは!」

説明
この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。
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コメント
あの人……ですか。個人的には好きなんですが、これが彼女の運命なのでしょう(笑)(kyowa)
月軍でのもう1人・・・あの人ですなw何も言うまい さて再登場の機会があるのかどうかですがw(村主7)
普通の人・・・・影が薄すぎるな(涙(nayuki78)
さすが一刀、堂々とそんなこというとはw 星だからよかったものの・・・ねw(よーぜふ)
4頁の恋の前に割り込む時の「美沙緒」は「星」では?(ロンギヌス)
続きが気になります!!(samidare)
やっぱり空気か、Kさん(涙)(黄昏☆ハリマエ)
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真・恋姫†無双 一刀 真・恋姫無双  恋姫†夢想 第16章 

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