土方山甲の手記より抜粋 |
気づけば大和・雪風・矢矧の三人は敵に囲まれていた
「わざわざ後を付けて来たってぇのかよ・・・ご苦労なことだな!!」
「大和さん!!ここは引きましょう!!矢矧さんも重傷を負ってます!!」
「どうせここで死ぬか、向こうで死ぬかの違いだ!!」
雪風の制止を振り切り、大和は拳を硬く握り締めた
「行くぜ!!かかって来いよ!!」
そう言って大和は握り締めた拳を大きく振りかぶり放った
「へっ・・・テメェみたいな図体だけの力任せの時代は終わったんだよ!!」
大和は自らの拳が空を切ったことに気づいたとき、左足に鋭い痛みを感じた
「ナイフ・・・か・・・・・・」
ナイフを乱暴に抜くと、大和は啖呵を切った
「こんな姑息な手でしか俺を倒せないとは、お前たちも地に落ちたもんだな!!」
「何とでも言えよ、これからの戦いは頭の勝負だぜぃ」
ナイフには毒でも塗ってあったのか痛みは引くどころかますますひどくなっていった
「その足では自慢の拳も放てまい?これでお前はただ図体がでかいだけの的だ!!」
大和は背中に嫌な汗が流れるのを隠すように叫んだ
「上等だ!!かかって来やがれ!!」
大和の拳がようやく敵を捉えた
左足の感覚を失いその威力は劣っていたものの、軽く一人を壁にたたきつけ失神させた
「さすがは力馬鹿なだけはあるな」
大和がその勢いでもう一人の顔面を握りつぶそうとした時、左腕に鋭い痛みが走った
「これで左腕も使えまい・・・」
大和はかまわずそいつの頭を握りつぶした
そいつが地面に横たわるのを確認した瞬間、大和は左膝を地面についた
見ると、アキレス腱の位置にナイフが深々と刺さっていた
「これで完全に動けまい!!」
そこからは完全に一方的な展開だった
腹、胸、顔面体中のさまざまな場所にナイフが突き立てられる
「テメェの弟にゃ、ずいぶん苦労させられたからなぁ・・・」
その言葉を聞いた瞬間大和が激昂した
「武蔵を殺ったのはテメェらか!!」
「あぁ、ずいぶんと派手に暴れてくれたが、おかげでテメェがこんなにあっさり倒れてくれるんだからな・・・感謝しなくちゃなぁ」
その言葉を言い終わった瞬間そいつは壁に叩きつけられ事切れていた
「テメェらだけは生きて帰さん!!」
「ま・・・まだ立てるのかよ・・・・・・」
大和の気迫に押され、囲んでいた人垣が少し輪を大きくしたように見えた
「か・・・かまわねぇ!!やっちまえ!!」
いくら気迫があったところで左足が動かないのでは、勝利など望むべくも無かった
ましてや、全身に毒の回りきった体ではもう拳を握る力も残っていなかった
「くそっ!!これまでか・・・・・・」
言い終わるや、大和は口から大量の血を吐いた
「大和さん!!」
「来るな!!雪風!!」
「で・・・でも・・・大和さんが・・・・・・」
「どの道もう助らねぇよ・・・・・・それより矢矧はどうなった?」
「矢矧さんは先ほど・・・」
「そう・・・か・・・・・・先に逝かせちまったか・・・・・・」
「だから!!せめて!!大和さんだけでも!!」
「しつけぇぞ!!雪風!!・・・・・・死に場所くらい自分で決めさせろや・・・・・・」
「――――――っ!!」
「だけどよ・・・雪風・・・・・・お前は生きろ!!」
「嫌です!!大和さんのいない世界なんて生きてる意味が」
「甘ったれるな!!テメェまで死んだら誰がこの国守るんだよ!!」
「―――――っ!!」
「後な、お前にゃ重要な仕事が残ってるんだぜ?」
そういうと大和は再び血を吐いた
「俺が生きていたという証・・・それがお前の生きる理由だ・・・わかったな!!」
雪風の目には涙が溢れていた
「早く行け!!」
走り出した雪風の背に二つのナイフが迫っていた
「最後の会話くらいはさせてやったが、逃がしてやる筋合いはねぇなぁ・・・死神さんよぉ」
「させるかよ!!」
二人の頭は大和の両手で鷲掴みにされ、地面に叩きつけられていた
「テメェ、死に損ないの癖に・・・」
「どうせ死に逝く体だからな!!無茶は承知だ!!」
「後は任せたぜ・・・雪風・・・・・・」
この言葉を最後に大和は事切れた
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勘のいい人・・・じゃなくても気づくかな・・・? | ||
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コメント | ||
第2艦隊の天一号作戦ですか? でも数が少ないような・・・・・・冬月、涼月、初霜、霞、浜風、朝霜、磯風がいない(デルタ) | ||
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