真・恋姫†無双  星と共に 第20章
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真・恋姫†無双  星と共に  第20章

 

 

華琳達が劉備を退けてから数週間が経った。

 

「これからどうなるんだろうな」

「どうしたのだ? 一刀殿」

 

何かを考えている一刀の所に星がやって来る。

 

「星か」

「何かお悩みのようですが…」

「この前の戦いの事さ」

「この前の……劉備が攻めてきた時のことですな」

「ああ。あの戦い、それなりに規模が大きかったはずだ。それなら白装束の仲間が俺を消しに来るんじゃないかと考えてたんだけど……」

「なにもありませんでしたな」

「そうだ」

「この世界では一刀殿が一国の王ではないからなのでは?」

「それはあんまり関係ないはずだけどな……」

 

二人が考えているとどこからか良い匂いがしてきた。

 

「中庭だな」

「行ってみましょう」

「そうだな。これ以上考えてもただ腹が減るだけだからな」

 

二人は中庭に行ってみると流琉が料理を作って、季衣が喜んで食べようとしていた。

 

「良い匂いしてるじゃないか」

「あ、兄様!」

「本当に良い匂いね」

 

そこに華琳と秋蘭もやって来た。

 

「華琳様! 秋蘭様!」

「うん? 秋蘭?」

 

一刀が秋蘭がいることに驚く。

 

「どうした。そんな、物の怪でも見るように」

「そう言うわけじゃないんだけど……、秋蘭、凪と沙和を連れて馬騰って奴のところに行ったんじゃないのか?」

「馬騰のところに? …ああ、あれは姉者だぞ」

「あれは春蘭か」

「春蘭に交渉って出来るか!?」

 

星は平然としているが、一刀がものすごく心配そうに言う。

 

「出来るも何も、馬騰はれっきとした漢の将軍よ。その使者には同格の漢の将軍が行くのが礼儀と言うものでしょう?」

「それに、具体的な交渉は風が行うから大丈夫だ」

「なら安心だ」

「しかし……秋蘭、お前は将軍じゃないのか?」

「魏の中では将軍だがな……」

 

秋蘭は少し意味深な発言をする。

 

「魏の中では?」

「都から見れば、ここにいる大半は華琳様の私的な部下と言う扱いなのだ。私にも宮中の地位が無いわけではないが、使者として馬騰と交渉できるほどではない」

「なるほどね〜」

「私達の中で馬騰と交渉できるほどの官位を持っているのは、私と春蘭だけよ。まあ他にいるとしたら月と恋ね。その基準だけで見れば、秋蘭も流琉もさして立場は変わらないわ」

「……ふへっ!?」

 

華琳の言葉に流琉が驚く。

 

「で、でも秋蘭様はボク達より偉いですよね?」

「華琳様の下では、一応な」

「劉備のところだと地位があるのは公孫賛くらいね。張飛も諸葛亮も劉備の私兵扱いね」

「なんだ。ちびっ子もボク達と一緒なんですね」

「多分ね。それより、食べるなら早く食べましょう。せっかくの料理が冷めてしまうわ」

「だな」

 

皆がご飯を食べ終わると……。

 

「あ、華琳様なのー!」

 

そこに沙和、凪が帰って来た。

 

「あら、沙和に凪じゃない」

「ただいま戻りました。隊長は……またサボリですか?」

「資料整理してたんだ」

 

そうこうしていると春蘭も帰って来た。

 

「華琳様。ただいま戻りました」

「ご苦労さま。結果は……芳しくなかったようね」

「……申し訳ありません。詳しくは風の報告書を見ていただければと思いますが、馬騰は天子の臣であり、魏の旗の下にはけっして降らんと」

「構わないわ。あれほどの将、倒すのは惜しいと思っていたけれど……代わりに剣を交える楽しみが出来たと言うことね」

「相変わらず物騒だな。華琳は……」

「しかし、私は言うのもなんですが……討伐ならまだしも、交渉ごとは秋蘭に行かせた方が良かったのではないでしょうか?」

(……分かってなかったのか……)

 

一刀は呆れてため息みたいなものがついた。

それから少しして軍議が開かれ、西涼軍は騎馬隊が主な戦力であるとして、騎馬隊対策を今まで以上にしようとした。

稟は涼州を攻める理由を華琳に聞いた。今は孫策や劉備も力を蓄えていると報告があったからだ。

華琳は西方の奇襲を厄介と考えており、また最後の相手は劉備か孫策になるとして、その妨げになる戦力には今のうちに退場してもらおうと言う魂胆なのだ。

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それから数日後、華琳は軍を涼州へと進めていた。

 

「なあ、稟」

「何ですか?」

「念のため確認するけど、涼州ってどんな所なんだ?」

「そうですね…実力のある多くの諸侯が緩やかな共闘体制を取っている…そんな所です」

「反董卓連合みたいなのもの?」

「涼州には五胡と言う分かりやすい敵がいますからねー。反董卓連合よりは、はるかに統制の取れた集まりですよー」

「五胡か……」

「天の国の歴史には五胡の存在はありませんか?」

「一応あるけどな……」

「涼州の軍は五胡と戦っているため戦慣れしてます。大兵力の激突よりも、少数での奇襲や神出鬼没の遊撃が中心になって来るでしょう」

「奇襲か……。だったら奇襲対策を練らないとな……」

 

一刀が奇襲攻撃の対策を考えていると……。

 

「前の方が騒がしいな」

「隊長! 何こんなとこで油売ってんねん!」

 

真桜が一刀達のところにやって来た。

 

「どうした?」

「奇襲や、奇襲! 涼州連合の連中、いきなり攻撃しかけて来てん! ホンマに馬ばっかりやで!」

「早速奇襲か。だが、単純だな」

「ですが単純なものほど怖い物は無い時はありますぞ」

「分かってる」

「敵の旗は? 馬騰の本隊ですかー?」

「旗が無いから分からへん。とにかく急いでや」

「分かった」

 

一刀と星が真桜と共に前に行く!

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その頃、前では崖のところで涼州軍が奇襲をかけてきたため、霞がなんとか踏ん張っていた。

 

「霞、無事か!?」

 

霞のところに春蘭が来る。

 

「何とかな。…感謝しぃや? ウチが先頭やなかったら、グズグズになっとったトコやで!」

「助かった! 帰ったら酒でもおごってやろう!」

「あったり前や。一番エエ酒、アホほど注文させてもらうからな! 行くで!」

「命は投げ捨てるものではないぞ」

 

そこに一刀もようやく到着する。

 

「一刀!」

「ここは俺に任せろ」

 

一刀は破偉派を抜いて、破偉派に実弾を入れる。

 

「何をされる気で?」

「ただのこけ脅しだ」

 

一刀は破偉派を空に向けて、引き金を放つ。

馬は銃撃音と聞いて驚いてしまい、倒れたりして、その上に乗っていた兵達も倒れてしまう。

 

「頼む!」

「突撃!」

 

一刀が春蘭達に任せて、涼州軍は敗走する。

 

「深追いはするな! 陣形を整えることを優先せよ! 別の襲撃が来るやもしれん。警戒を怠るな!」

「……なるほど。確かに今までの戦い方が通用する相手ではなさそうね」

「相手の詳細は不明ですが、馬騰の本隊では無いようですね。当分はこの手の小さな衝突が続くのではないかと思われます」

「敵の規模は大したことが無くても、襲撃が続くと言うのは厳しいわね」

「御意」

「ふむ……ともかく、見晴らしのいいところに陣を張って、警戒を厳重にするしかないか……」

「情報収集も継続させます。まずは敵の戦い方に慣れることから始めなければ」

「でしょうね。国を出た途端にこれでは、先が思いやられるわ」

「………華琳様!」

「黒美、どうしたの?」

「敵が奇襲ならこちらも奇襲。それもとびっきりの奇襲をと思いまして……」

「何か良い案でも思いついたようね」

「華琳様。お耳を少し……」

 

黒美が華琳と永琳にだけこっそり教える。

 

「永琳。至急、使いを出しなさい」

「御意」

 

それから数日、涼州軍はほぼ毎日のように夜襲をかけてきた。

皆がその夜襲のせいで寝不足の状態であった。

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とある日の朝。

 

「華琳様、昼過ぎには涼州に入ります」

 

永琳があることを華琳に報告していた。

 

「そう。これで、全行程の半分ほどかしら……」

「半分は過ぎたかと思いますが…いよいよ、ここからが敵の本拠地です。攻撃はより激しくなるかと」

「そうね……。兵の疲労も酷いと聞いていいるし、少しはあれの効果が出ればいいのだけれど」

「今のところ、敵の攻撃が緩んだようには思えませんね……」

「まあ、上手くいけば儲けものよ。計画は、効果が無かったことを前提に進めるように」

「御意」

「まあ上手くいくと俺は思うんだけどな……。さてと……それじゃあ……」

 

一刀は華琳達のところを離れ、陣のところに行き、凪を起こそうとするが……。

 

「………」

「起きねえな」

「ああ、凪ならよう寝とるで。声掛けんといて」

 

そこに霞が来た。

 

「そうだな……」

「すいませんっ! 寝坊しましたーーーーっ!」

 

今度は勢いよく季衣がやって来た。

 

「……っ! 夜襲かっ! はあああああっ!」

「落ちつけ! 凪! ぐおおおおおおああああああ!!」

 

凪の氣弾を受け止めるために一刀が前に出て凪の氣弾を自分の体で受け止めた。

 

「てぇい!」

「……ぐっ」

 

霞が無理矢理、凪を気絶させた。

 

「いてて……」

「大丈夫か? 一刀」

「大丈夫だ。しかし容赦ないな。霞」

「仕方ないやろ。ウチも寝るから、凪が起きたらちゃんと寝直すように言うといて」

「ああ。霞も……ゆっくり……」

「おやすみなさーい!」

「ほななー」

 

そして霞は自分の天幕に向かった。

 

「今日は季衣か…」

「そうだね。よろしくね、兄ちゃん!」

 

そしてその日の晩、夜襲は無かった。

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それからまた数日後…。

一刀と星は霞、稟、流琉、季衣、咲、光琳と一緒に華琳の指示で涼州の街に来ていた。

 

「へぇ…涼州ってちゃんと街もあるんだな」

「何だと思っていたのですか?」

「田舎だな」

「いくらなんでもヒドイで」

「そう言えばよく考えたら月の両親って涼州に居たんだったな」

「と言うことは……月にとってはここは故郷なのか?」

「それだったら少し悪いことしたか……」

 

一刀が少しばかり罪悪感に襲われる。

 

「せやけど、これもこの世界じゃ良くあることや」

「……そうだな」

「二人とも、あんまりキョロキョロしない」

 

光琳が季衣と流琉を注意する。

 

「この二人を連れてきたの、失敗だったのでは?」

「そう言うな。息抜きになるだろってのは華琳の考えだ。しかし補給物資を渡す相手って誰だ?」

「ああ、あそこに」

 

稟が指を刺す方向には……。

 

「こっちよ」

 

見た事ある顔がいた。

その見た事ある顔とは詠であった。

そして詠に連れられてあるところへと来た。その場所とは丁度張三姉妹がライブを行っていた会場であった。

 

「ああ。あいつら補給物資の事も担当していたのか」

「正確にはボクと月だけどね」

「しかし悪いな、月。折角両親がいるってのに、こんなことさせちまって……」

「いいんです。一応、お父さんとお母さんと会えましたから……」

「そっか……」

 

一刀は少しばかり心が晴れた気がした。

一刀は張三姉妹のライブの盛り上がりを見る。

そのライブには季衣や流琉とそんなに変わらない女の子も混ざっていた。

実はその女の子は涼州軍の将の一人の馬岱であったが、一刀は知らなかった。

 

「ほあー!」

「ほああー!」

「で、二人も盛り上がってるな」

 

季衣と流琉もノリノリであった。

 

「それだけ娯楽に飢えていたと言う事ね」

「……ふぅ。しかし黒美が考えた作戦は成功してたようだな」

「伊達に黄巾の乱の原動力となったわけではありませんね。彼女達の歌、あの年頃の男達には効果絶大なようです」

「私も素敵な歌だと思うわ」

「ここに澪が居たら飛び入り参加しそうね」

 

咲が澪が居たらどうなっていた事やらと思う。

 

「確かに……澪は歌うのが好きだからな」

「そうならないように澪は連れていかなったのよね?」

「ええ」

「しかしこれ俺達のところでもやって士気高揚にならないか?」

「なるほど。考えておきましょう」

 

それからしばらくして一刀達は陣に戻り、華琳達に成果を報告した。

 

「さっきから外が騒がしいのは何なの?」

「いやな。兵達の士気高揚のために天和達を連れて来たんだけどさ……」

「ひょっとして悪かった?」

「……効果は?」

「抜群なんだ。おまけに澪も一緒になって歌ってるしな……」

 

澪の歌声は張三姉妹に勝らずとも劣らずの歌声であり、澪一人でも観客を魅了することも出来るのだ。

 

「なら、あの騒ぎが終わったら、一気に攻め込んでしまいましょう。士気は高いうちの方が良いし、彼女達が我々の陣に入ったのを見られていたら、この手はもう使えないわ」

「御意」

「ああ」

 

そして華琳達は騒ぎが終わった後、一気に涼州軍の陣へと攻めて行った!

その華琳達の侵攻を知った馬超達は迎え撃ちに行った!

 

「私も行くわ」

「ホウ徳」

 

ホウ徳と呼ばれる女性が馬超と馬岱の下にやって来る。

そのホウ徳と呼ばれる女性は現代で言う黒いジャケットに赤いマフラーをして、ピンク色の長い髪をしていた。

そしてホウ徳の背中には金属で出来たような棍棒を背負っている。

 

「いや、ホウ徳。あんたは城に戻ってくれ」

「何故?」

「母様の容体が気になるからな。あたしの代わりに見て来てくれないか?」

「……分かったわ。無茶はしないようにね」

 

ホウ徳は一人で城に戻った。

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「前方に敵影! 旗印は……馬!」

「よし! 敵の動きに応じて陣形を展開!」

「動きは間違いなく騎馬での戦い方で来るはずや。いつもの調子と思うとったら、痛い目に合うで」

「え、ええっと、あのぉ〜……」

 

一刀に連れて来られていた天和達は少し戸惑う。

 

「あのー。なんか私達、すっごく場違いみたいな気がするんですけどー」

「悪いけれど、あの連中を相手に安全な所はここしかないの。戦が終わったら、護衛を付けて城まで送ってあげるから……少しの間、我慢なさい」

「別に、街に戻してくれればいいんだけど……」

「それは危険よ」

 

詠が地和達の意見に反対する。

 

「なんでー?」

「もし一刀達と一緒にこの陣地に入るのを誰かに見られていたら、私達が魏の関係者だったことがばれてしまっているもの」

 

人和が詠のフォローをする。

 

「その通り。安全になったら、またこちらに来る機会もあるでしょう」

「そっか……。ここの人達、ノリが良くて楽しかったんだけどなー」

「入場料を羊で払おうとするのは参ったけれどね」

「ごめんなさい」

「いや、月が謝るところじゃないわよ」

 

何故か謝る月に澪がツッコム。

 

「華琳様。陣の展開、終わりました。敵陣からも将が出てきていますが……」

「なら私も行きましょう」

 

そして華琳はその将のところに行った。

 

「馬騰は?」

 

そこにいたのは馬騰ではなく、別の女性であった。

 

「あたしは馬超! 馬騰の名代として、この軍の指揮を執る者だ!」

「ああ、そう。馬超ね。そう言えば連合の時にも見た顔ね……」

「な……何だその反応はっ! もっとこう、あるだろうが! この侵略者め!」

「名将と名高い馬騰と相見えるのを楽しみにしてきたのだもの。その代わりがあなたでは……ねぇ」

「くっそぉぉぉぉ! その余裕面、後で泣きっ面に変えてやるからな! この野郎っ!」

 

そして馬超は下がっていった。

 

「……私は野郎ではないわよ。失礼ね」

 

華琳も下がった。

 

「随分早かったですね」

「噂通り、馬騰は体調が悪いようね。相手は錦馬超だったわ。あまり舌戦は得意ではないようだけれど」

「舌戦はともかく、戦働きに関しては五胡にも一目置かれる勇将よ」

「お気を付けを……」

 

詠と人和が華琳に忠告する。

 

「分かっているわ。早速来たわね…真桜の仕込みはどうなっている?」

「真桜から連絡ありました。完了だそうです!」

「よし! ならば総員戦闘配置につきなさい! この苛立ちだらけの涼州の戦に、さっさと終止符を打つわよ! 全軍!」

「とっつげきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

地和が突撃命令を出す。

 

「お前が言うな!」

 

魏軍が涼州軍と激突する。

そして戦いの中馬超達は地面のぬかるみにはまる。

 

「な……なんでこのあたりで地面がこんな……っ! 溝やぬかるみがあるなんて、聞いてないぞっ!」

「わかんないよっ! 雨も降って無いのに……!」

 

それは真桜の工作であった。

真桜の螺旋槍で溝を作ったり、水などを使ってぬかるみを作ったりして、それを隠していたのだ。

そして馬超と馬岱の相手を春蘭と霞、永琳と澪に任せ、一刀達本隊は実は城の制圧に向かっていたのだ。

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「日が暮れる前に陥落したな……」

 

一刀達は馬騰の居る城に辿り着き、日が暮れる前に城を落としたのだ。

 

「苦戦はしたけど、どうやら馬超の隊が本隊だったようね。まさか、ここまで城の守りが手薄とは……」

 

それは何時間か前の事であった。

 

華琳達が城に到着すると同時に熱烈な歓迎を受けたのだ。

 

「はあああああああ!」

 

華琳の上から突然鉄の棍棒が振られ、星が何とか棍棒を槍で受け止め、その棍棒を振った人間を押しのける。

棍棒を振ったのは馬超に言われて城に戻っていたホウ徳であった。

 

「これ以上好きにはさせないわ」

 

ホウ徳は棍棒を振るって華琳達を威嚇する。

 

「あらあなた、これだけの数を相手に一人で大丈夫だと思っているの?」

「ふっ……」

 

ホウ徳は大胆不敵に笑う。

 

「精一杯、頑張るつもりよ」

「そう……」

「あの者の相手……」

「俺がしよう」

 

咲が戦おうとするが、咲の前に一刀が立ち塞がるように出る。

 

「一刀さん、どういうつもりかしら?」

「何、殺すには惜しい将だと思ってな。殺さない戦いなら俺が良いだろ。俺の武器は逆刃刀だしな」

「華琳様、北郷はあのような事を言っておりますが……」

「構わないわ。一刀、やってみせなさい」

「ああ」

 

そうして一刀とホウ徳は対峙する。

 

「まずはこれだ!」

 

一刀は白(ホワイト)と黒(ブラック)を抜いて、ホウ徳に向かって氣弾を撃つ。

しかし二つの銃から放たれた氣弾をホウ徳は棍棒を自分の前に回しながら、氣弾を弾く。

 

「ならば、これでどうだ!」

 

一刀は白と黒をホルスターにしまい、満月を引き抜いて、突きの連打をホウ徳に当てようとするが、ホウ徳はそれも棍棒で上手にその刃先の部分だけを防ぐ。

二人は互いの武器を激しくぶつけ合う。そんな戦いが数分続くが……。

 

「次はこいつだ。戒刀乱魔!」

 

一刀は新月も抜いて、二本の刀を下から上へと何度も切り上げるようにする。

一刀のその行動は普通なら隙があるのだが、一刀の下から上へと振り上げる動作は早く、隙を見つけるのが難しい状態であった。

ホウ徳は受けているうちに手が痺れてしまい棍棒を持てなくなり、思わず手放していしまった。

 

「くっ!」

 

一刀は武器を持っていないホウ徳に満月を突きつける。

 

「俺の勝ちだな」

「ええ、悔しいけど私の負けね」

「それじゃあ身柄はこちらで預かるわ」

 

そしてホウ徳は華琳達に身柄を拘束されたのだ。

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そして今は凪達が懸命に城にいる人間の処遇をしていた。

 

「でぇえええええい!」

「まだ兵がいたか……」

 

凪の蹴りがその兵士に直撃する。

 

「ご無事ですか? 華琳様」

「ええ。平気よ」

「しかし剣を持っていたのにあえて格闘で来たか」

「五胡の使う格闘技の一つです。組み合いに持ち込まれては、私でも勝てる自信はありません」

「でゃああああああ!!」

 

まだ居た涼州兵が華琳を襲う!

距離的に凪のフォローは間に合わないが……。

 

「ふんっ!」

 

一刀が黒を出して、兵士を撃った。勿論放ったのは氣弾である。

 

「後は馬騰だけか……」

「華琳様、馬騰が見つかったという報告が……」

 

そこに秋蘭が来る。

 

「そう、案内なさい」

「………は」

 

そして馬騰の居る部屋に華琳達は行ったが、そこで見たものは……。

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「………」

「……毒をあおったようです」

「………そう」

「…………」

 

一刀と星は部屋に入っていないが秋蘭がやってきた時の表情と今の部屋の静けさでどんな状態かは察していた。

 

「一刀殿」

「行くぞ……星」

 

一刀は帽子を被っていないが、帽子を深くかぶるような手を頭に付け、星と共にその場を去った。

 

「秋蘭。ここに人が立ち入ることを禁じなさい。破った者がいれば、例え一刀でも斬り捨てて。死して馬騰になお辱めを与えることは…この曹孟徳が許さない」

「……御意」

「それから、ホウ徳と女官がいれば何人か呼んで来て。馬騰の亡骸は、この地の流儀で丁重に弔わせなさい」

「承知いたしました」

 

秋蘭が部屋を去る。

 

「どうしてよ……。私は、あなたと相見えるのを楽しみにしていたのよ……? 馬寿成……!」

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「……そうか。自害したのか」

 

馬騰の自害は馬超達の耳にも入った。

 

「姉様……これからどうするの?」

「たんぽぽ。お前は皆を連れて、南へ行け」

「南へ…?」

「益州には劉備がいる。悪い奴じゃないから、理由を話せばお前くらいなら面倒を見てくれるはずだ。あたしの名を出せば、たぶん大丈夫だと思う」

「たんぽぽはって……姉様は?」

「あたしは城に戻る」

「そんな! だって、城には曹操が!」

「ここまでされて黙っていられるか! あたしは馬超だ! 馬騰の子、馬孟起だ! 親が死に、城を奪われて……黙っているような女じゃないって事、あいつらに教えてやる!」

「それはやめて置きなさい」

 

そこに謎の女性とがやって来る。

 

「……誰だっ!」

「ああ、そう言えば…。会うのは初めてだったかしら。錦馬超」

「曹操の刺客か?」

「私は黄漢升。我が主、劉備の指示であなた達を手助けに来たのだけれど…ごめんなさい、ひとあし遅かったようね」

「黄漢升…長沙の黄忠か? そう言えば、母様に聞いたことが……」

「ええ。私の夫が以前、馬騰殿に助けられたことがあったの。だから、遠征軍に志願したのだけれど……」

「そうか……ありがとう。なら、頼みがある」

「聞こえていたわ。馬岱ちゃんね?」

「お姉様……」

「あなたはどうするつもり?」

「あたしはもう一度、曹操に決戦を挑む」

「私が受けた命は二つ。一つは西涼軍が苦戦していたらその援護をすること。もう一つはもしあなた達が敗れていた場合、生き残っていた涼州兵の身柄を引き取ることが任務なのです」

「……っ!」

「それは劉備達の配下になれ……そう言うことか!」

「……それはともかく、我が主はあなた達涼州兵を客人として迎える気があると言う事よ。臣下ではなく、対等な同盟の相手としてね。

そして私達と共に、曹操と戦って欲しい」

「涼州を取り返す、手伝いをしてくれるってことか?」

「ええ。ただし、涼州を取り返した後は、私達と同盟を組んで、良好な関係を築いて欲しい。それが劉備の望みよ」

「姉様……」

「劉備なら言いそうなことだな…分かった。それまでこの力、あんた達に預けさせてもらう」

「………」

「ならば案内しましょう。私達の国、蜀へ……」

 

そして馬超達は蜀へと向かった。

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その翌日華琳は哀しみの中、帰路につく中、ホウ徳の処遇を決めることになったが……。

 

「一刀の手柄よ。あなたに任せるわ」

「いいの? 姉さん」

「いいんだ。今の姉上にはあまり判断力が無い。それに一刀なら間違った判断はしないだろ」

「まあ一刀の考えそうなことは分かるけどね」

 

澪が笑いながら言う。

 

「私はどうなるのかしら?」

 

ホウ徳が一刀に尋ねる。

 

「俺は殺す気はない。仲間になってくれないか?」

「仲間……」

「っとは言っても華琳の部下にはなっちっまうけどな。それが嫌なら逃げても良いぞ」

「……いいえ、やめておくわ」

「ほう、何故だ?」

 

星がホウ徳に尋ねる。

 

「いくら敗者と言っても私も一人の将。恥で死ぬより生きて汚名をそそぎたいの。

それに……本音を言うとね、まだ生きていたいの」

「何故だ? 死ぬことを本望とする人間もいるのだぞ」

「確かにそういうふうに考える人はいるけど、私は違うわ。

私は人々の笑顔のために戦うの」

「まるで劉備殿と同じ事を言いますな」

「そうなの? でも私は思うの。それを実行するにしても劉備じゃダメだと思うの」

「何でだ?」

「あの人は責任……いえ覚悟が足りないと思うの」

(まるで一刀殿と同じ事を言いますな)

(劉備はそう言う人間だという認識が多いってことだろ)

「それに私は思うの。人々の笑顔を仲間にするには曹操……いえ、あなたの所に居た方がいいと思うの北郷一刀。あなたの所でね」

「俺の?」

「ええ。だから私は降るの。でも曹操にじゃなくてあなたに……」

「と言っても俺も華琳の……曹操の部下だぞ」

「まあそうでしょうけど…私は曹操の部下になったつもりはないですけど……曹操殿も主君として仕えることにしようと思います」

「色々大変だが……よろしくな、ホウ徳」

「私の真名……錫(すず)でいいわ。私もあなたの事を一刀と呼びたいけど……」

「分かった。錫」

「それでは私も真名を預けるとしよう。星だ」

「宜しく、星」

 

こうしてホウ徳こと錫が仲間に加わった。

その後華琳ときちんと話をした結果、錫は北郷隊に加わることになった。

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おまけ

 

 

作者「第20章だ」

一刀「また早い投稿だな」

作者「とは言ってもストックはもうそんなにない。次回分でストックが3つになる」

一刀「どうするんだ?」

作者「前にも言ったが、一応は不定期更新だ。次回はいつになるかは分からないと言っておこう。そして次回とその次はオリジナルの戦い話だが、考えるのが凄くめんどくさかったから正直な話手抜きだと思ってる」

一刀「直せよ」

作者「そんな気はゼロだ。それでは!」

一刀「逃げるなーーーーーー!」

説明
この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。
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コメント
手抜き、だと? では面白さに期待させていただきましょうか(ぇw(よーぜふ)
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