真・恋姫無双 ifストーリー 桜の奇跡
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我が名は曹丕(そうひ)、字は子桓(しかん)、真名は桜華(おうか)

 

私の母は偉大なる魏の覇王、曹操。

 

いつか私も母のような偉大な王になるために日々精進している。

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何故私に父親がいないのか。それは常々思っていたことだった。

 

母はあまり父のことを教えてくれない。母だけではなく母の周りの武官、文官も知っているだろうが教えてくれない。

 

前に母に聞いたときはとても悲しそうな顔をしていた。あんな顔を見てしまってはそれ以上聞くことができなかった。

 

私が父について知っていることは、天の御遣いとして魏、呉、蜀の三国に平和をもたらしたこと。天の知識を利用したことによる国の発展への尽力。この程度のことしか知らない。

 

私はどうしても父のことが知りたかった。もし、また母のあの顔を見ることになっても。

 

私は意を決して母に聞いてみることにした。

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「母上、お聞きしたいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

「あら、桜華。一体何かしら?」

 

「その・・・父上のことです」

 

「・・・・・・」

 

案の定母はあの顔をした。だが、今回は引き下がらない。

 

「お願いします母上。どうしても父上のことを知りたいんです」

 

「・・・わかったわ。そこまで言うなら話してあげる」

 

そう言うと、母は父の話をしてくれた。

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いろんな話しがあったが一番興味深かったのは私の名前についての話だった。

 

私の名前は母から、真名は父からのものだとは知っていたがまさかあんな形で名付けられたのだとは思わなかった。

 

ある時、母は父をからかうために子供ができたらどんな名前を付けるかという話しをした。いきなりそんな話しをされた父はとても慌てていたらしいが、落ち着くと真剣に考えだしたと言う。

 

そして考えに考えた父は<桜華>という名前を考えた。なんでも<桜>というとても綺麗な花が天の世界にはあるらしく、そこから考え付き、さらに母の真名である<華琳>から一文字取ったらしい。

 

その時は「あなたにしては、なかなかいいじゃない」と素っ気なく答えたが、内心はとてもうれしかったと母は言った。

 

しばらくして三国に平和が訪れると父は天に帰ってしまったらしい。それからしばらくの間の魏は、母たちだけではなく一般の兵士や民にいたるまで悲しみに包まれていた。

 

だが、母の「彼は天からこの国を見守り続けてくれている。だが、今のこの国は彼が望み、形にしようとした国ではない。皆が笑顔で暮らしていくことが彼への恩返しなのだ」という言葉で皆に笑顔が戻った。

 

それから数日後、体調不良になった母は医者に見てもらうと妊娠していた。

 

誰もが驚き、そして喜んだ(約一名を除いて)。

 

そうして生まれた私の真名は母が父をからかって考えさせた真名になった。

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すべて話し終えた母の目には涙が浮かんでいた。やっぱり聞かないほうが良かったかもしれないとも思ったが、聞くことができて本当に良かった。

 

しばらくお互いに何も話さなかったが、母が口を開いた。

 

「明日、蜀で行われる定期会議に行く秋蘭について行きなさい」

 

「え?」

 

いきなりどうしたんだろうと思っていると母は一枚の地図を取り出した。

 

「この辺りが、あなたの父が天に帰って行った場所よ。彼がいた証として簡単なものだけど石碑があるわ」

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蜀に着いてすぐに私は母に教えてもらった場所に向かった。

 

「この辺りのはずなんだけど・・・」

 

思っていたよりも木々が生い茂っていてなかなか見つけることが出来なかった。

 

その時一陣の風が吹いた。思わず目を瞑った私の目の前に目的の場所である父の石碑があった。

 

そして、その石碑の前に一人の男が立っていた。

 

その男は初めて会ったはずなのにそんな気を感じさせなかった。

 

「こんにちは」

 

男はこちらに気付くと笑顔で挨拶してきた。

 

「・・・こ、こんにちは」

 

いきなりでビックリしてしまった。

 

「あなたはどうしてここに?」

 

そう尋ねると男は答えた。

 

「ここは思い出の場所なんだ。良いような悪いようなって感じだけど。それと贈り物をしにきたんだ」

 

「え?」

 

男は指をパチンと鳴らすと周りの木々の色が桃色になった。

 

「わぁ」

 

その光景の美しさに目を奪われた。

 

「これが桜だよ」

 

男の言葉に耳を疑った。だが、それと同時にもしかしたらと心の奥で思っていたことが確信に変わった。

 

「誕生日おめでとう。桜華」

 

男の言葉で思い出した。今日は自分が生まれた日であったことに。

 

「あなたはもしかして、ちち・・・」

 

全部言い切る前に、急に眠気が襲ってきた。何故こんな時に。今までずっと知りたくて、会いたかった父が目の前にいるのに。

 

しかし眠気に勝つことは出来ず、目を覚ますとあの男はおらず、周りも元の光景に戻っていた。

 

「夢、だったのか・・・」

 

少し悲しい気持ちになった。きっと母たちもこんな気持ちだったのだろう。でも、やっぱりうれしさのほうが何倍も勝っていた。夢の中とはいえ初めて父に会えたのだから。

 

ふと手のひらを見ると一枚の花びらが乗っていた。それは間違いなく桜の花びらだった。

 

 

 

 

説明
思いつきと勢いで書きました。

おかしな所とかがあると思いますので、その際は指摘をしていただきたいです。

曹丕は和兎さんの描かれた感じで

あと、コメント大歓迎です。
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コメント
GJ!(btbam)
すごく綺麗な話でよかったです。桜華っていう名前もいいなぁとおもいました。うちでも使いたいなぁと思うくらいw あと絵のほうは全然OKですー(和兎)
少しでも早く夢が現実になるといいですね。続きを期待しています。(Nyao)
いいですね ぜひ続きを(クロス)
安易に帰ってくるでなく一瞬だけあえたのはよかったと思います。(ゴリポン)
タグ
真・恋姫無双  曹丕 曹操 

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