真・恋姫†無双‐天遣伝‐(3) |
・Caution!!・
この作品は、真・恋姫†無双の二次創作小説です。
オリジナルキャラにオリジナル設定が大量に出てくる上、ネタやパロディも多分に含む予定です。
また、投稿者本人が余り恋姫をやりこんでいない事もあり、原作崩壊や、キャラ崩壊を引き起こしている可能性があります。
ですので、そういった事が許容できない方々は、大変申し訳ございませんが、ブラウザのバックボタンを押して戻って下さい。
それでは、初めます。
真・恋姫†無双
−天遣伝−
第二話「真名」
「あたしは、姓は馬、名は騰、字を寿成と言う。
正直に答えて貰いたい事がある」
その名乗りを聞いた俺は、自分の耳を疑った。
だってそうだろう!?
目の前に居るのは、どう見ても綺麗な女性。
けど、馬寿成と言えば、三国志に登場する涼州の名将の名前。
馬超の父としても結構有名なんだが。
・・・ドッキリか何かか?
こういった女性に三国志の英傑達の名前を名乗らせるっていう。
いや、それじゃあ、さっきの藍色の髪の女性の殺気が説明できない。
もしかして、ここは・・・
「少年は、『天の御遣い』かい?」
考えに耽っていると、馬騰さんがそう聞いてきた。
その背後では、紅い三つ編みした人が変な顔をしていた。
普通こういう時って、流れ的に俺が自己紹介するんじゃあ。
まあ、それは置いといて。
天の御遣い? 初耳だ。
「すいません、『天の御遣い』って何の事でしょう?」
馬騰さんは、少し考えてから。
「管輅っていう占師があちこちで言い触らしてる。
『黒点を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。
その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す』
っていうもんさ。
で、どうなんだい?」
管輅、ね。
なんか冷汗がどっと出てきた
けど、念には念を。
「あの、馬騰さん」
「ん、何だい?」
多分、合っている筈だ。
けど、合っているからと言って、どうなるのやら。
できれば外れてて欲しいんだけど!
「今の王朝って、漢王朝ですか?」
「何当たり前の事言ってんだい」
・・・ま、まだだ。
「皇帝陛下の名前をお聞きしても?」
「劉宏様だよ、それがどうかしたかい?」
はい、確定。
霊帝が即位しているって事は、今の時代は三国志の最初期かな?
いや、どっちにしても、これから三国時代が始まるのはほぼ間違いない。
これは、まずいな。
この世界は多分、俺が元いたのとは違う時間。
いや、武将が女性になっているから、パラレルワールドかも。
とにかく、暁も手元に無い以上最も重要なのは、この人達を敵に回さない事。
「もし、ですけど。
俺がその『天の御遣い』なのなら、どうするつもりですか?」
少し馬騰さんを睨みながら言う。
「予言通り、この大陸を鎮める為に力を使って貰う。
当然、拒否権は無しだ」
「碧! 貴女は!!」
急に真面目顔になった馬騰さんの後ろで、紅い三つ編みの女の人が叫んだ。
「で、どうなんだい?」
「何を以って、俺を天の御遣いとするのか。
それが重要なんじゃないかと思うんですけど・・・」
俺の疑問を聞いて、困った様な表情を浮かべる馬騰さん。
しばらく考え込んでから、良い事を思いついた様な顔になる。
「神通力か何か使える?
ほら、遠くにある物を手も触れずに動かすとか、羽を用いずに空を飛ぶとか」
「無理です!」
「なぁんだ、つまんないの」
こ、この人は・・・
とりあえず。
俺は生まれ故郷の事と、俺の正しい状況と思われる事についてを話し、ついでに携帯電話とiPodを見せる事で、何とかここでは無い世界から来た事を信じて貰った。
まあ、その所為で、俺は自動的に天の御遣いという事になったのだが。
「成程、よし。 大体わかった」
「貴女がそう言う時は、大抵理解できてない時じゃない」
「いや解ってるっての。
要するに、こいつは此処の流儀だとか、現状だとかを全く知らないって事だろ?」
何気に、しっかり理解してるんだな。
暫く話していて、頭が足り無さそうだとか思っててごめんなさい。
「しかし、本物なら手放す訳にはいかないな。
おい、お前!」
「はっ、はい!」
突然言われ、身が竦む。
「お前の名前、何?」
“ズコ―――!!”
俺を含めて全員ずっこけた。
や、やっぱりこの人、どっか足りてないだろ!?
真っ先に聞くべき事だろ、それ。
「北郷一刀です」
「ほー、北が姓で、郷が名、字が一刀かい」
「いえ、北郷が姓で、名が一刀です。
字はありません」
「んじゃ、一刀でいいな」
図々しい、いや遠慮がないと言うべきか。
不快にはならないね。
「あたしの真名は『碧(みどり)』だ、これからはそう呼びな」
「「「!!?」」」
マナ? また初めて聞く単語が。
しかし、周りがやけに驚いているから、何か重要な意味を持っているんだろう。
「碧、貴女は一体何を考えているの!?
『天の御遣い』とは言え、得体の知れない男に真名を預けるなんて!!」
「母様、いくらなんでも早計じゃないか?」
「いいじゃないか。
少なくともあたしは、こいつを信用に足る人間だと思っただけさ。
ま、これから長い付き合いになるだろう。
よろしく頼むよ」
「あの、大変失礼なんですが、一つお聞きしても?」
「またかい? まあ構わないけど」
「ありがとうございます。
あの、マナって何ですか?」
空気が、凍った。
俺に向けて握手の形にした右手を差し出してきていた馬騰さんを初めとして、この部屋の中にいる人々全員が、「何を言ってるんだこいつ」という顔をしていた。
「ひょっとして、それは冗談で言っているのか?」
俺にさっき襲い掛かってきた藍色の髪の女の子が、また殺気を溢れ出させながら、俺を睨んでくる。
内心恐怖でドキドキしながら、否定の証として首を左右に振る。
「その様子では本当に知らないみたいね。
・・・ハァ、しょうがない、私が説明するわ。
いい? 真名というのは、その者の誇り、生き様等、その者の全てを表す神聖な名の事。
その者が呼ぶ事を認めない限り、勝手に呼べば殺されても文句は言えない。
そんな名前なの、真名と言う物はね」
紅い三つ編みの女性がそう説明してくれる。
「成程、それは責任重大ですね」
「ほほう? それはどうしてだい?」
「馬t「因みに、預けた以上、そう呼ばないのは失礼に当たるぞ」・・碧さんは、会ったばかりの俺を保護してくれるばかりか信用してくれた上に、そんな重い意味を持った名前まで俺に預けてくれた。
これじゃあ、裏切れませんよ」
感謝の気持ちと共に、今の俺に出来る精一杯の笑顔で、そう言った。
・・・あれ? 何か微妙な空気に?
皆さん何故か顔を赤くして目線を俺から逸らして。
俺、何か不味い事やったかな?
おや、碧さんがプルプル震え出して?
「尚一層気に入ったァ!」
"ガバッ!!”
「グエッ!?」
いきなり碧さんに抱き潰された。
うわっ!? 柔らかい物が顔に!?
「か、かかか、母様!
いきなり何やってるんだよ!?」
「ハァ、また碧の悪い癖が・・・」
「・・・・・・クスッ」
さっきまでの雰囲気は何処へ行ったのやら。
でも、こっちの方がフランクでいいかも。
それに碧さんの胸、大きくて役得だし。
“ゾクゥッ!!”
何か凄い怖気が奔った!?
「さてと、あたしはもう自己紹介終わってるから、皆もとっとと自己紹介しな」
「では、まずは私ですね。
私は韓遂、字を文約、真名を『朔夜(さくや)』と申します」
「あ、真名を・・・」
「碧が真名を預け、信じると言ったのです。
私も信じるのが筋でしょう」
「は、はは・・・・・・よろしく、朔夜さん」
握手を交わしながら、一刀は朔夜への警戒を高める。
史実通りなら、韓遂は馬超と反目した挙句、馬一門の没落の原因の一因となった筈。
だがしかし、目の前にいる女性を見ている限りでは、その感が凄い勢いで殺がれていっていた。
「次はあたしだな。
馬超、字は孟起。
真名は翠だ。
か、勘違いすんなよ!?
母様に倣っただけで、別にお前を信用した訳じゃないんだからな!?
いいな!? 絶対だからな!? 絶対に勘違いするなよ!?」
プイッ、と頬を染めながら視線を逸らす翠。
一刀は、それに「可愛いなぁ」という感想を抱いたが、当然口にはしない。
「私は姓を?、名を徳、字を令明、真名を葵と申します。
北郷殿、どうか葵と呼び捨てにして下さい」
礼儀正しく頭を下げる葵。
驚愕したのは一刀の方だ。
「え、いいの!?」
「はい、先程はいきなり斬りかかってしまい、すいませんでした。
思い込みで行動するべきでは無いと、頭では理解しているのですが」
「(実は素直な良い子なのかな?)
わかった、これからよろしく頼むよ、葵」
「はいっ! よろしくお願いいたします!」
そう輝く様な素晴らしい笑顔を浮かべる葵に、一刀は少しクラッときた。
一刀、【萌え】の素晴らしさに目覚めかけるのこと。
“ジー”
その様子を翠がジト目で見ているのに気付いて、即改めたが。
「おし、そんじゃ一刀、ようこそ涼州へ。
あたし等は、『天の御遣い』を歓迎するよ」
そう言って、右手を一刀の前に差し出して歓迎の意を示す碧。
一刀は一度笑ってから、差し出された手をガッチリと握ったのであった。
―――と言うのが、昨日の朝の話。
今一刀は街中を一人歩いていた。
背後の物陰からチラチラと覗く茶色い長短二本の尻尾を無視すれば、だが。
その歩く姿は、街の人々からは注目されていた。
今の一刀の姿は、フランチェスカの制服では無く、葵が用意してくれた(手作りの)緑の服を着込んでいる状態である。
碧は、皇室に「涼州に天の御遣いが降臨した」という情報を伝えるまでは、『天の御遣い』の存在を明らかにしない、という政策をとる事にした為、フランチェスカの制服を着る事は今現在許されていないのだ。
だと言うのに、何故注目されているかと言えば。
一刀が腰からぶら下げている暁にあった。
今の大陸では珍しい、反りが入っている剣。
目立った拵えこそは入っていないものの、今まで一度たりとも目にした事の無い類の剣を持っているとなれば、注目されてしまうのも無理は無い。
だが、一刀はそんな事は気にもしない。
そういう目を向けられるのは、初めてではないのだから。
現代でも真剣を持ち歩くと言うのは、良くも悪くも注目されてしまう故に。
一刀は、朔夜から渡された少々の小遣いを使って店で肉まんを買い、歩みを続ける。
その間も街の隅々まで、悪い部分が無いかどうかを調べる為に視線を飛ばす。
暫くは天の御遣いでは無く、一人のこの大陸で生きる人間として。
明らかに怪しい自分を信じて、真名を預けてくれた人達の為に何かをしたい。
そう思っているのだ。
「食い逃げだー!!!」
「ん?」
見れば、身長が2mを超しているのではないかと思える巨体の男が、ドシドシと大地を振るわせながらこちらへ走ってくる。
「どけぇえええええええええええええええええええええええ!」
声も巨大、体重も相当なものだろう。
人が轢ける人。
一刀はそう評した。
だが、一刀は避けない。
見ていた街の住人達から悲鳴が上がる。
彼等の脳裏には、痛々しい姿に変わってしまった一刀の姿が浮かんでいるだろう。
後二歩で、一刀が轢かれる。
その瞬間だった。
一刀は右腕を前に突き出し、左脚を体の後ろに伸ばした。
ただ、それだけ。
一刀と食い逃げ犯の距離が零になる。
しかし、人々が予想したような光景はそこには無かった。
逆にそこにあったのは、倒れ伏して痛いと喚く食い逃げ犯と、背後の地面が抉れている程度で、別段目立った外傷も無さそうな一刀の姿。
その光景を呑み込んだ人々から、一拍置いて大歓声が上がる。
口々に一刀の勇気を褒め称え、肩や頭をバシバシと叩いて来る者も。
また、幾人かの女性は一刀に熱い視線を送ってもいた。
その一方で、物陰から見ていたとある茶色の尻尾持ち達は。
一人は「おー」と素直に一刀に感心し。
もう一人は、「ぐぬぬ」とか言いながら、一刀と前述の女性達を睨んでいたのであった。
北郷一刀が涼州の人間として、受け入れられた日。
この日は、後世で『天の御遣い様が涼州の街に降臨した日』として語り継がれる事になるのだが、それはまた別のお話。
第二話:了
オリジナルキャラ紹介
名前:馬騰
字:寿成
真名:碧(みどり)
武器:極一閃(きわみいっせん)
設定:馬超、馬鉄、馬休の三児の母親。
因みに鉄と休は男。
三人も子供がいるのに、まるでそんな年には見えないと評判。
西涼と漢王朝の保持を真っ先に考える、皇帝からも信の厚い忠臣。
かなり豪快な性格で、酒と戦いがあれば、後は結構適当。
政務の類は殆ど朔夜に丸投げしている。
交友関係はかなり広く、近くなら天水、遠くなら江東に及ぶ。
本人も気付いていないが、死病の種を抱えている。
名前:韓遂
字:文約
真名:朔夜(さくや)
武器:朝霧
設定:碧と義姉妹の契りを結んでいる女性。
翠達にとっては、第二の母親のような存在。
史実では何度も反乱を起こしているが、ここではそんな事は無い。
至って温厚で優しいが、公私や損得をはっきりと分けている為、交流が余り無い人が見れば、冷酷に映るような強さを持つ。
西涼と馬家の皆を心から愛しており、普段厳しいのもその愛情の裏返し。
家事全般が壊滅的に下手糞。
名前:?徳
字:令明
真名:葵(あおい)
武器:前虎後狼
設定:翠の幼馴染。
細い見た目にそぐわず、パワー重視の武将。
義理堅く心根が真っ直ぐで、非常に素直。
ただし思い込みが激しく勘違いし易いのが、玉に瑕。
家事全般が得意で、こっちに来てから一刀が入手した服の九割は、彼女のお手製。
翠との闘いの勝率はおよそ五分。
しかし、碧の見立てでは、まだまだ成長の余地が十分残っているとのこと。
後書きの様なもの
自分で読み返してみて思った事。
なに、この超展開。
という感じですが、読み辛かったら書き直そうかと思います。
今は無理です。
色々と余裕ありませんので。
今回から、登場したオリジナルキャラ達の紹介が入ります。
まあ、物語の都合上空気になったりするかもですが。
次回もまたお願いします!
説明 | ||
第三作目です、意外と難産でした。 感想をくれた方々には、ここで感謝を述べさせて頂きます。 どうも、ありがとうございます!! |
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コメント | ||
おおっ馬休と馬鉄までいる西涼はめずらしいですね。(PON) 作者は一刻も早く蒲公英をだすべきw次回期待www(おやっと?) 医者王を召喚してほしいと願う。(黄昏☆ハリマエ) 馬騰、やっぱり病気ですか;死んでしまうのかなそれとも・・・ところで質問なんですが、馬休、鉄が男なのはどうして??(sink6) |
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