真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第20話
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 「へえ〜、もう随分と諸侯が集まっているな」

 

 反董卓連合の陣地に着いて出た俺の第一声がそれだった。

 実際、俺達が来たときには既にかなりの数の諸侯が集まっていた。

 その中には、向こうの世界で見たことの無い諸侯も居た。

 

 「本当ですね。まあほとんどの諸侯はただ功名を狙っているだけなのでしょうけど・・・」

 

 「まあ俺達も同じ様なものだけどね・・・」

 

 「確かに」

 

 愛紗が俺の隣で不満そうな声を漏らしていたので、俺は苦笑しながら愛紗にそう言った。

 そして俺の言葉に愛紗も苦笑していた。

 

  「でもよくもまあここまで集まったものよね〜、冥琳」

 

  「まあそれだけ袁家の名声が高い、ということだ。もっとも、頭首の袁紹は、有能かどうか怪しいがな」

 

 隣で雪蓮と冥琳も会話していた。どうやら二人もこれだけの軍勢を見たのはそんなに無いようだ。

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 「っと、どうやら軍議が始まるようだな、雪蓮、行くぞ」

 

 「え〜、冥琳代わりに行ってきてよ〜。私どうもそういうの苦手なのよね〜」

 

 「軍の代表が軍議に出なくてどうするのだ、雪蓮」

 

 「そこをなんとか〜、ね、冥琳」

 

 と、雪蓮は冥琳に頭を下げてお願いしてる。それを見て冥琳は頭を抑えて

 

 「はあ・・・仕方ないわね、今回だけよ」

 

 「ありがと〜♪冥琳大好き〜♪」

 

 冥琳の言葉に雪蓮は喜んで冥琳に抱きつく。冥琳はそんな雪蓮を引き剥がしながら

 

 「それでは北郷殿、いってくる。雪蓮をしっかり見張っておいて頂きたい」

 

 「ん、分かった冥琳」

 

 「ちょっと冥琳どういうことよ〜!!!まるで私が聞き分けの無い子供みたいじゃない〜!!」

 

 冥琳の言葉に雪蓮は頬を膨らまして抗議する。

 

 「実際子供みたいだろうが、お前は、いや、子供よりたちが悪いな。

 私が居ないところで仕事をさぼって酒ばかり飲んでいるだろうが」

 

 「うっ・・・・・」

 

 雪蓮は冥琳の返答に言葉もでないようだ。

 まあ確かにたまに政務さぼって酒飲んでたからな〜。

 それで冥琳に怒られてたし。

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冥琳が出かけた後、俺と愛紗は雪蓮と雑談していた。

 

 「ところで関平、あなたまだ亞莎と喧嘩してるの?」

 

 「うっ・・・・。そ、それが・・・・」

 

 雪蓮の言葉に愛紗は口ごもっていた。額には汗が滲んでるし。

 愛紗と亞莎の仲は未だに改善していない。

 ちなみに真名は、愛紗と亞莎の追いかけっこを止めた後に教えてもらった。

 

 まあそれはともかくとして、愛紗と亞莎は、仲が悪いというより、愛紗が一方的に亞莎に攻撃をしかけているのだ。まったく、正史の因縁がここまでとはね・・・。

 

 「まあ、今すぐとは言わないけど、できる限り仲良くしてあげて。

 あの子って内気で人と話をするのが苦手なのよ。

 おまけに夜遅くまで本を読んで勉強したせいで目も悪くなって、そのせいで目つきが悪くなっちゃったから余り人も寄ってこないし・・・。だから二人にはあの子と仲良くしてもらいたいのよ」

 

 雪蓮が苦笑しながら俺と愛紗に言った。

 なるほどね、あの鋭い目つきは近視の所為か。

 まあ俺も愛紗と亞莎とは仲良くしてもらいたいけど・・・。

 まだまだ時間がかかりそうだ。

 

 「わかっています!わかっているのですが・・・」

 

 愛紗はそう言いながらうつむいてしまった。

 やれやれだ・・・。

 

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「それにしても、咲耶と思春もどうにかなんないかしらね・・・・」

 

 あ〜・・・それもあった・・・。

 あの二人の斬り合いはもう完全に日常になってるからな・・・。

 

 「あれはね・・・。もう日常茶飯事だからもう慣れたよ・・・。

 しかし父親の敵だからってあそこまで恨むとはね・・・」

 

 「はい・・・。確かに咲耶の行動はかなり過激・・・というよりもうなりふり構わず思春を殺そうとしてますね・・・」

 

 実際咲耶の行動は段々過激になってきている。この前なんて剣舞に見せかけて思春殺そうとしたし・・・。その時は蓮華と俺が止めたんだけど、またいつ同じことが起こるか分からない。かと言って四六時中俺達がついて見ているわけにもいかない。

 これに関しては俺と愛紗も頭を悩ましていた。

 俺達の話を聞いていた雪蓮は肩をすくめて話し始めた。

 

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「咲耶の父親、凌操さんはね、祭、六花と同じ孫家の最古参の家臣だったの。

 まあ初めは母様の部下じゃあなかったんだけどね」

 

 「?どういうこと?」

 

 「凌操さんと祭、六花はね、元々お父様の家臣だったの。なんでも昔同じ私塾で学んだ仲だったらしいわ。その後、お父様が母様と夫婦になったときに、三人ともお母様にも仕えることになったわけよ」 

 

雪蓮がどこか遠くを見るような表情で答えた

 

 「凌操さんはね、お父様の娘ってことで、お父様が死んだ後も私達の面倒を見てくれたわ。でね、咲耶は蓮華とは歳が近いってことで遊び友達だったの。

 でもね、劉表との戦で凌操さんが亡くなってからはずっと部屋に篭っていたわ。

 それもしかたないことよね、彼女の目の前で凌操さんは殺されたんだから」

 

 雪蓮はそれを思い出したのか悲しげな顔で目を伏せていた。

 

 「私達が駆けつけたころにはもう凌操さんは討たれていて首は当時敵方にいた思春に持ち去られたところだったわ。咲耶ちゃんは凌操さんが討たれる一部始終を見ていたからね、憎しみも深いんでしょ」

 

 雪蓮はそういって頭を掻いた。

 確かに、自分の父親を目の前で殺されたら相当ショックだろうな・・・。

 思春を恨むのもわかる気がするけど・・・。

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「咲耶は、凌操さんが大好きだったんだな」

 

 「ええ、まだ幼いときに母親を病気で亡くしちゃったからね。

 その後凌操さんが男手一つで育てたからね。相当悲しかったでしょうね、咲耶は。

 まあ私も気持ちは分からないわけじゃないんだけどね」

 

 そうか、雪蓮も劉表との戦で孫堅さんを・・・。

 雪蓮のどこか悲しげな顔を見て俺と愛紗はただ沈黙するしかなかった。

 

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 「雪蓮、北郷殿、関平、帰ったぞ」

 

 「あっ、おかえり冥琳」

 

 「冥琳、ご苦労様です」

 

 「お帰り〜冥琳。どうだった?軍議の方」

 

 雪蓮が冥琳に問い掛けると冥琳は眼鏡の縁を指でおさえながら軍議の結果を話し始めた。

 

 「ああ、まず第一に先鋒は劉備軍に決まった。ついでに総大将は袁紹に決定した」

 

 「へえ〜・・・って今頃総大将決めたの!?」

 

 雪蓮が冥琳の報告に驚いている。

 まあ俺達は前の外史で袁紹がどういう人間か知っているから大して驚かないけどね。

前の世界でも、連合の総大将軍議中に決めていたし・・。

 

「ああ。全く軍議まで誰が総大将になるかも決めてなかったとは、この時点でこの連合にかなり不安を覚えたよ」

 

 冥琳はそう呟いてため息をついた。

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「あ、でも軍議だから何か作戦でも立てたんでしょ?」

 

 雪蓮は咄嗟に冥琳に質問した。

 作戦、ねえ・・・。その策もか〜な〜り、不安なんだけど・・・。

 

 「作戦は・・・・無いな」

 

 冥琳の言葉に一瞬時が静止した。

 いや、決してタイムスカラベ使ったわけでもザ・ワールド使ったわけでもないんだ。

 ただ冥琳の言葉に呆然としたというか、なんというか。

 

 「あの・・・冥琳?」

 

 「なにか、関平」

 

 沈黙を破って愛紗が冥琳に話しかける。

 

 「先ほど、作戦は無い、とか言いませんでした?」

 

 「ああ、言った。・・・いや、厳密にはあるんだが私はあれを作戦とは認めたくない」

 

 冥琳はどこか苦々しげにそう言った。

 

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「それで、一体どんな作戦なのかしら?」

 

 「“雄雄しく、勇ましく、華麗に進軍”これだけだ」

 

・ ・・・・は?

 

 「・・・それだけ?」

 

 「それだけだ」

 

 ・・・・なんじゃそりゃ。

 俺達はすっかり唖然としてしまった。

 なんなんだ、雄雄しく勇ましく華麗に進軍って。

 てかそれ作戦でもなんでもないだろ。

 橘さんじゃないけど、ナニイテンダ!!フジャケルナ!!と袁紹に言ってやりたい。

 

 「・・・どうやら袁家の連中は馬鹿ばっかりらしいわね・・・」

 

 「全くだ。袁術以外は呆れていたぞ」

 

 二人とも呆れてため息をついていた。

 隣の愛紗を見てみると、まさに開いた口が塞がらないといった表情をしていた。

 ・・・前の世界に負けず劣らず馬鹿みたいだな、袁紹は。

 これだと袁術も同じようなものかな。

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「それにしても劉備軍が先鋒ね〜。水関の兵力ってどれ位だっけ?」

 

 「たしか3万近くはいたと思うぞ。それに対して劉備軍は約1万程度、まともにやっては相手になるまい」

 

 なるほどね、朱里も城を落とすには敵の三倍の兵力が必要って言ってたし、敵より兵が少ないんならほとんど相手にもならないだろうな。

 でも劉備か・・・。史実通りにいけば蜀の王になるはずだし、ここで手を組んでおくのもいいかな。

 

 「なあ雪蓮」

 

 「何かしら?一刀」

 

 「劉備の手助け、してあげるっていうのはどう?」

 

 「へ?なんで?」

 

 当然のように雪蓮は驚いたような顔をした。

 冥琳と愛紗はまるで全て分かっているかのような顔をしていた。

 

 

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「ほら、前言っただろ、俺達の世界での歴史では劉備が三国の一角の王になってるって。

 ならここで恩を売っておいても損はないと思うんだけど」

 

 俺の言葉を聞いた雪蓮は冥琳と関平に目を向けた。

 

 「う〜ん、どう思う?冥琳、関平」

 

 「ふむ、北郷殿の案はいいと思うぞ、確かにここで恩を売っておいて損はないだろう」

 

 「私もご主人様の意見に賛成です。私とご主人様の知っている劉備ならばまず裏切られるということはないと思われますので」

 

 冥琳と愛紗は賛成の意見を出した。その言葉を聞いて、雪蓮は少し考えた後、俺達に目を向けた。

 

 「分かったわ。でも、まず実際に劉備がどんな人物なのかは私が見て確かめないとね。

 同盟を結ぶかはその後よ」

 

 雪蓮はそう言って笑みを浮かべた。

 

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 そういうわけで、俺と愛紗は、雪蓮と冥琳と一緒に劉備陣営に来ているわけだ。

 

 しかし俺と愛紗は少し、いやかなり不安な事があった。

 

 劉備陣営にはまず間違いなくこの世界の関羽がいる。

 それなら間違いなく愛紗と同じ容姿のはずだ。

 もし劉備陣営で関羽に会えば、まず間違いなく俺と愛紗は雪蓮達に問い詰められる。

 その時どう説明すればよいやら・・・。

 

 俺が愛紗の顔を見ると愛紗は困ったような顔をしていた。

 

 いやいや愛紗さん、そんな顔されてもこまるの俺も同じだからさ!

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なんだかんだで劉備陣営に到着した俺達は、劉備陣営の兵士に取次ぎを頼んだ。

 そしてしばらく待っていたら、

 

 「にゃ〜〜!愛紗がもう一人いるのだ〜!」

 

 「な、なに!?おのれ、貴様、何者だ!?け、化生の者か!!?」

 

 「ちょ、か、関平がもう一人!?しかもなんで劉備陣営にいるのよ!?」

 

 「むう・・・、これは驚きだ。関平、お前に双子の姉妹がいたとは・・・」

 

 「い、いえ!私は姉妹などおりません!」

 

 「おのれ偽者!いい加減正体を現せ!!」

 

 「だ、だれが偽者だ!!貴様こそ!ふざけるな!!」

 

 「ちょっ、愛紗!お、落ち着いて〜!!!」

 

・ ・・やっぱり大騒動になりました。

 

 その後騒動は劉備とこの世界の朱里が来るまで収まりませんでしたとさ。

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あとがき

 

 はい、20話目投稿しました。

 

 少し詰め込みしすぎましたかね・・・。

 

 まあいいとして、ようやく二人の愛紗、ご対面です。

 

 まあ詳しい描写はまたの機会に、ということになりますが。

 

 では皆さん、次回もお楽しみに。ついでにコメントもよろしくお願いします。

 

 書いてくれるとやる気が出ますので。

 

 

説明
 どうも皆さん、20話投稿しました。
 今回ようやく反董卓連合編に入ります!
 そしてようやく二人の愛紗が遭遇します!
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コメント
てか・・・一刀、真名をみんなの前で言ってるけど・・・大丈夫なのか?(スターダスト)
今までも関羽が二人いる状況のssは読んだことがありましたがこの話は、どんな展開が待ってるのか楽しみです。(ハーデス)
おもしろいですね〜。この後の展開が気になります!!(ニトロ24)
この世界は誰の世界だ?(笑)(BLACK)
どやって収めるんだろ。楽しみww。(狭乃 狼)
いつか来ると思ってましたが、ここでようやく愛紗がお互いにご対面ですねw融通の利かない愛紗だけにこの後、どうなることやらw(だめぱんだ♪)
ジェ…ジェミニ(抹茶)
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