真・恋姫†無双 星と共に 第21章 |
真・恋姫†無双 星と共に 第21章
西涼の戦いから1ヶ月半が経つ。
魏では軍議が開かれ、そこで重要な事を華琳は聞く。
「呉に動きがあった?」
「はい。呉の動きを探っていた霞からの報告です。呉はどうもこちらの領土を狙って来そうな動きが見受けられるとの事です」
「具体的にどこから攻めてくるのかしら?」
「あくまで予測ですが、合肥が有力だと思われます」
「合肥……」
一刀と星は聞き覚えのある地名に少々驚く。
「何か問題でも?」
「いや、何でもない」
(一刀殿)
(大丈夫だ。合肥の戦いなら魏が勝つ。それに張遼の霞が行ってるとなると大丈夫だろ。まあここは外史だから何が起こるかは分からないから、用心は必要だけどな)
「それで、霞は合肥の城に先に行き、先遣隊を送って欲しいとの事ですが……」
「そう……。誰を送りましょうか」
「それなら北郷隊の俺達と星を行かせてくれ」
一刀が名乗り出る。
「北郷隊を……つまりはあなたや星だけでなく凪、真桜、沙和、錫を行かせて欲しいと言うことかしら?」
「ああ、そうだ」
「あなたが自分から言い出すなんて……、何かあるの?」
「何かある……と言えばあるが、この面子で先に行った方がいいかなと言っておく」
「そう………」
「まあ判断は華琳に任せる」
「………」
華琳は考えた末、答えを出す。
「いいでしょう。一刀、あなたは北郷達を先遣隊として、霞の援護に向かいなさい。軍師として、稟を連れていきなさい」
「分かった」
そして一刀は北郷隊と稟と星は先遣隊として霞の居る合肥に向かった。
その道の中、稟が一刀に尋ねる。
「一刀殿」
「何だ?」
「何故一刀殿は北郷隊を先遣隊に決めたのですか?」
「確かに気になるのー」
「隊長、何かちゃんとした理由があるとちゃうのか?」
「ちゃんとした理由か……」
「一刀殿、どうします?」
「星も何か知ってるのか?」
「まあ、知っていると言えば知っている。知らないと言えば知らないだな」
「知っていると言うことね」
「まあちゃんとした理由にしては変なんだけどな。これから起こる戦いは恐らく『合肥の戦い』だ」
『合肥の戦い?』
「ああ。その戦いだと楽進、李典、そして張遼が活躍して、呉の軍勢を追い払う。それが俺や星の知っている戦いの歴史だな」
「なるほどな。だからウチや凪を自然に連れていけるように北郷隊と言ったんやな」
「そう言うことだ」
「ねえねえ、沙和は?」
「沙和の出番は特に書いてなかった」
「そんなー……」
「まあ沙和もこれからの戦いで活躍できるようにすればいい」
「ただし、無茶はするなよ」
「はいなのー!」
「錫もな」
「精一杯頑張るわ」
「ところで何で星も一緒に指名したんや?」
真桜が当然疑問に思う事を口にする。
「……簡単な話だ」
「なになに?」
「俺と星はずっと一緒に居ようと決めた仲だからだ」
「ふっ、一刀殿。嬉しいことを言ってくれるじゃないですか」
「最初に言ったのは星だぞ」
二人がいちゃつくようにしていると……。
「そろそろ、合肥城に到着します」
稟が呆れかえったような顔で一刀に言う。
「分かった。それじゃあ皆気を引き締めていこうか!」
『はい!』
そして北郷隊は合肥の城に到着、霞と合流した。
「待っとったで一刀」
「悪い悪い」
「それで呉の軍勢の規模はどのくらいですか?」
「ざっと見積もって、二万やな。それで対するこっちは五千や。ちなみに今回の総大将は孫権やそうや」
「二万も来るなんて……」
(蓮華……)
一刀は孫権の名を聞いて、孫権の真名を心で呼ぶ。
(蓮華とも戦わないといけないんだよな……)
(それが乱世の宿命です。一刀殿)
(ああ……愛紗達の時から分かってたけど、さすがにつらいな……)
「(気を落とされるな、一刀殿)少しは本気を出してここを落としにかかろうと言うことだな」
「籠城するにしても相手はこちらの四倍やで」
「どうするの隊長〜」
「………」
一刀は黙り込む。
「一刀」
「霞、お前、何か思いついてないか?」
「え?」
一刀が霞の顔を見る。霞は少し考えていながらも、何か思いついていたような顔をしていたのだ。
「まあ思いついてないわけやないけど……」
「奇襲で失敗することを考えてるの?」
錫が霞の考えていたことを的確に射抜く。
「当たりや」
「そんなこと考えとったんかいな、姐さん」
「せやけど、これがうまくいくかやけど……」
「上手くいくさ。そう信じた方がうまくいく確率が上がるぞ」
「そうね。やってみないと分からないことも多いわ」
「稟はどう思う?」
「正直な所、軍師としてはあまりお勧めは出来ません。しかし打開策としては悪くないと思います」
「それで問題はどういう配置で敵を待ち伏せしようかと思っとるんやけど」
「それならいい場所があります」
稟が隠れるには絶好な場所を教え、全員がそれぞれ配置に着いた。
凪、沙和、真桜が城からそんなに離れていない草むらに兵と一緒に隠れ、一刀、星、霞は凪達よりもさらに城から遠く、呉の軍勢が通らざるを得ない場所で待ち伏せをする。
「これでええんやろか」
「敵を分断して確実に倒す。これは常套手段だと思うぞ。それに霞、今回の策、お前にかかってるからな」
「そうなんか?」
「俺がそう言う風に打ち合わせたと言うかそう仕組んだ。だから頑張ってくれ」
「任しときぃ!」
そうは言いつつも一刀はやはり蓮華である孫権と戦うことに少し気が進まなかった。
(一刀殿、また悩んでおられるのか)
(当たり前だろ。一応は戦ったとはいえ、その後で仲良くなった仲だったからな)
(とは言ってもこの世界の孫権は一刀殿の知っている孫権ではありませぬぞ)
(分かってる。……俺も腹をくくらないとな……)
(もしもの時は私が……)
(………まあなるようになれしかないか……)
その頃合肥城に近づいていた呉軍は……。
「蓮華様、間もなく合肥に到着します」
「ええ」
甘寧が孫権に状況を説明する。
今回の呉の将達は、孫権、甘寧、呂蒙、陸遜、周泰である。
呉の将でも若手の面々である。
今回の戦いは孫策と周瑜が話しあった結果、若手の将達を育てるためにわざとこの編成にしたのだ。
ある意味呉はこの戦いに勝つことには執着はしていない。
そんなことは孫権達も分かっていたが、孫権はそれとは別の事を懸念していた。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、どうも嫌な予感がして……」
「嫌な予感ですか?」
「正確にはどうも戦いたくないの。これから出会う敵と……」
「何故ですか?」
「それがよく分からないの」
「? よく分からないのですか」
「ええ」
「ですが、間もなく戦場です。蓮華様、あまりそのような事は申さないように……」
「ええ、分かってるわ」
それから程の無くして呉軍は合肥に到着。合肥城を目指そうとすると呉軍の前には錫が部隊を連れて前に立ちはだかっていた。
「蓮華様、敵です!」
「我らを合肥の城にまで近づけないための足止めか?」
「蓮華様! 命令を!」
「………全軍、………突撃!」
孫権が突撃を命令し、呉軍は目の前にいる錫の部隊に向かって突撃していく。
「皆、行くわよ!」
『応っ!』
錫の檄を聞いて錫の部隊も呉軍と戦う。
しかし多勢に無勢。錫が奮戦するも錫の部隊の兵は次々に減っていく。
「まずいわね……撤退! 撤退!」
錫が撤退命令を出し、錫の部隊は撤退していく。
「逃がすな! 追え! 追え!」
甘寧が率先して軍を引き連れて逃げる錫の部隊を追う。
「追え! 追え!」
甘寧が錫の部隊を追って来る様子は凪達にははっきり見えていた。
「頃合いやで」
「ああ。全軍突撃!」
凪が命令を下すと伏せていた北郷隊の部隊が呉軍を横から襲ってくる。
「何!? 伏兵だと!」
「甘寧様、囲まれております!」
「何だと!?」
実は回りこめるように配置しており、正面には真桜、横には凪、後ろには沙和の部隊が呉軍を囲めるように稟と一刀と霞が考えたのだ。
しかも逃げていた錫の部隊も転換して、真桜達と合流してきた。
「ええい! 何としてもこの包囲網を突破するぞ!」
『はっ!』
甘寧部隊は何とか凪達の包囲網を突破しようと奮戦する。
甘寧部隊と少し離れてしまった孫権達本隊は、甘寧隊を追おうとするが……。
『わぁああああああ!!』
孫権の本隊を襲おうと一刀、星の部隊が襲いかかろうとする。
「伏兵です!」
「……蹴散らせ!」
孫権が命令を出し、呉軍は一刀と星の部隊を相手にするが……。
「ぐわああああ!!」
突然後ろから伏兵が現れた。
「どうした!?」
「ちょ、張遼です! 張遼が来ました!」
それはまだ伏せていた霞の部隊であった。
「ほれほれ、いくでぇ!」
霞が後ろから部隊を引き連れて、後ろにいた呉の兵達を次々に倒していく。
「囲まれましたよ。蓮華様」
「撤退しないと……」
そんな時であった。
「ぐわああああああ!!」
兵士の一人が孫権と周泰の所に飛んできたのだ。
「これは……」
その兵士が飛んできた方を見るとそこには一刀が一人、満月を抜いて孫権達に近づいていたのだ。
「(蓮華……)初めましてだな。孫権」
「貴様、何故私の名を知っている!?」
「色々あるんだよ。まあそっちの君は誰かは知らないけどね」
「我が名は周泰」
「周泰……君がか……」
一刀は驚く。
(やっぱり前の外史に居なかった魏の将が居るように呉にも居たんだな。この様子だと蜀も……)
「蓮華様、お逃げください」
「しかし明命……」
そんな時であった。
念のためとしてさらに後ろに居た陸孫と呂蒙の部隊が霞の部隊を襲っていたのだ。
しかも同じ時に何とか凪達の包囲網を突破した甘寧部隊が星達の部隊を襲ってきた。
「穏……」
「蓮華様! 早く!」
「分かった。明命も思春を連れて戻ってこい!」
「御意!」
蓮華は何とか戦線離脱を図り、そこから逃げる。
その様子をただ一刀は黙って見ていた。
「追わないのですか?」
ただ見ていただけの一刀に対して周泰が問う。
「別にここで倒そうなんて思ってない。ただ追い払う。俺はそう考えてるだけだ」
一刀は後ろを向く。
「な、何を?」
「今君とも戦う気はない。いくらそちらが多勢と言ってもこの奇襲でかなり痛手を負ったはずだ。
これ以上の戦いは無意味だ。君も甘寧を見つけて退くといいさ」
一刀はそう言ってその場を去る。
「あの方……一体何を……」
「明命!」
周泰の所に一刀とは別のルートから甘寧が合流する。
「思春殿!」
「明命! ここは退くぞ!」
「はい!」
甘寧と周泰は撤退した。
それから呉軍は合肥から完全撤退したが、呉軍はかなりの痛手を負った。
「まさかここまでやるなんて……」
「やられました。伏兵の可能性は考えていたのですが……」
「兵を隠せそうにない場所に兵を隠すなんて……」
「それよりもこちらの動きをまるで一部始終読んでいたような動きでしたよ」
「確かにあれだけ鮮やかな動きとなると、こちらの動きが完全に読まれていたと考えたくなる」
「………」
「蓮華様?」
孫権が黙っている様子を呂蒙が尋ねる。
「……ああ済まない。少し考え事をしてて……」
「考え事ですか?」
「ええ。あそこまで動きを読まれていたことを……」
「今はその事を話していたのです」
「そうなの。ごめんなさい」
孫権が謝るが、また何か考え事をするような顔をする。
(多分ここまで動きを読まれたのは……あの男ね)
孫権は自分の目の前に現れた一刀の事を思い出す。
(あの男を見ていると胸が痛む。何故だろう、初めて会う人間なのに……)
それから呉軍は合肥を狙うのをやめ、完全に撤退し、一刀達は帰路につく。
そして帰ったら帰ったで華琳に褒められたりしたが……。
「どうして本隊を待たなかったの?」
「本隊を使わなくても勝てる自信があったからだ」
「それは前の世界での事?」
「いや、俺の世界の歴史でのことだ。確かに前の世界で得た知識を使ったことは使ったが、どちらかと言うと俺が知っている歴史を元に作戦を考えた」
「そう………」
すると華琳は一刀の頬を平手打ちした。
「一刀……今後は私の許可なしに、あなたの知っている歴史や知識を振るわないで頂戴」
「………分かった」
一刀は華琳の心を複雑ながら読み、今後はあまり出しゃばらないようにした。
おまけ
作者「久々の投稿だ」
一刀「確かに久々だな」
作者「色々あって執筆自体止めてたからな。で、昨日になってまた少し書き始めた」
一刀「そして投稿か」
作者「それと前に『スーパー口こぼしタイム』の時に言った事、覚えてるか?」
一刀「ディケイド激情態でも送ってやろうか? って言った事だろ?」
作者「ああ。だけど、それは止めになりそうだ」
一刀「どうした?」
作者「第9話のときはまだ怒りがあったが、第10話見たら怒りが少し収まった。だけど怒りが完全になくなったわけじゃない。子○許さん!」
一刀「声優に罪はないだろ!」
作者「ニ○ニ○動画のコメント的に言ってみた。
まあまだ俺は第11話を見てないが、一つ言える事がある」
一刀「何だ?」
作者「Wを入れるならアニメ版だと言う事だ」
一刀「そうか」
作者「そしてアニメの最終回の展開によってはWだけじゃないぞ。
現時点ではディケイド一刀、蜀一刀+オリキャラの矢刀も援軍に出そうかと思ってる」
一刀「また映画みたいな事を…」
作者「映画よりは短いさ。それでは!」
説明 | ||
この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
5322 | 4616 | 73 |
コメント | ||
蓮華は魂でなんか感じてるな(VVV計画の被験者) ん、蓮華は魂?の記憶にのこっているのですかな?(よーぜふ) 激状態は…メッチャ強いですね。本来ならスペックが上である筈のクウガ(アルティメット)をボコるくらいの力量になってますし (かなた) |
||
タグ | ||
真・恋姫†無双 一刀 真・恋姫無双 星 恋姫†夢想 第21章 | ||
BLACKさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |