清・恋姫無双 第九・五話 3人の思い
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  黄巾党から舞を助けた一刀は3人が暮らす家に来ていた…………

 

 

 

 

 

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「私達を鍛えてください!!」

 

 

「……はい?」

 

 

 突然頭を下げる桜花に対して、一刀は頭の上に?マークを浮かべて首をかしげた。

 

 

「も〜、桜花ちゃん。ちゃんと話さないと御遣い様が困っちゃうでしょ?」

 

 

「えっ……あっ!? ゴメン、奏……」

 

 

「ごめんなさい、御使い様。桜花ちゃん、ちょっと突っ走っちゃう所があるから」

 

 

「(シュン)……」

 

 

「いや、何かしら理由があるんだろうし、気にしてないよ。それにしても、御遣い様って言うのは止めて欲しいかな、え〜っと……」

 

 

 ふと、彼女の名前を聞いていなかったことに気付き、口ごもる一刀。

 

 

「あっ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね。……私の姓は大史、名は慈、字は子義、真名は奏(かなで)と言います。奏って呼んでください」

 

 

「なら私も……姓は姜、名は維、字は伯約、真名は桜花(おうか)。この真名を御遣い様にお授けします」

 

 

「!! 真名まで許していいの!?」

 

 

「はい。御遣い様には舞を助けていただいた恩がありますから」

 

 

「分かった。じゃあ、これからは真名で呼ばせてもらうよ。その代わりに俺のことも……」

 

 

「分かってますよ、一刀様」

 

 

 返事をしたのは奏のほうだったが、桜花も奏に異存は無かったようでコクコクと頷いている。

 

 

「いや……ハァ、まあいいや」

 

 

 正直、様なんてつけなくてもいいのにと思った一刀だったが、今までのことを振り返り、これ以上言っても無駄だと思ったので納得することにした。

 

 

「それで、俺に鍛えて欲しいって言うのはどういう了見なんだ?」

 

 

 一刀は今までとは違って真剣な表情で二人を見る。そのすべてを見透かすような視線に、二人は一瞬強張ったが、負けじと一刀を真剣に見ながら答えた。

 

 

「はい……一刀様ならばお気づきになられているかもしれませんが、私達には親がいません」

 

 

「……黄巾党か」

 

 

「はい……私達の親は黄巾党に殺されました」

 

 

「私達はとある邑で、平和に暮らしていました。しかし突然邑に黄巾党の集団が襲ってきて……」

 

 

「邑は黄巾党によって蹂躙され、金品や食料は根こそぎ奪われ、刃向うものはその場で殺されていきました」

 

 

「しかし、それで物足りなかったのか……黄巾党は邑の若い女性達を要求してきたのです」

 

 

「無論、私達もその中に含まれていましたが、両親は……私達を助けるために……黄巾党に立ち向かっていって……」

 

 

「……無理することは無いよ」

 

 

「えっ!?」

 

 

 嗚咽さえ漏らしながら話を続ける奏と、その隣で今にも泣きそうなのをこらえている桜花を見かねて、一刀は口を開く。すでにその表情はいつもの穏やかな表情に戻っていた。

 

 

「辛い過去を思い出させてしまったね……でも、つらい時、かなしい時、涙をこらえることなんてない。泣きたいときは思いっきり泣いちゃえばいいんだ」

 

 

「一刀様……う、うわあああん!!」

 

 

「ううっ、グスッ、母上、父上……」

 

 

 それを聞いた奏と桜花は端を切ったかのように泣き始めた。

 

 

 ……

 

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 ……

 

 

「……だから私達は決めたのです。私達のような者をこれ以上生み出さないように戦うと!!」

 

 

「そうか、君達の目的は分かった」

 

 

「ではっ!」

 

 

 目を輝かせる二人。

 

 

「俺でよければいくらでも力になろう! でも、代わりに俺からの条件もひとつ呑んで欲しい」

 

 

「何でしょうか? 私達にできることならば何でもいってください!」

 

 

「じゃあ……俺達の仲間になってくれないか?」

 

 

「「…………へっ?」」

 

 

 さすがに予想できていなかったのか、二人は気の抜けた声を上げてしまった。

 

 

「俺達の軍は優秀な将は多いんだけど、いかんせん数が圧倒的に少ない。だから少しでも一緒に戦ってくれる仲間を探してるんだ」

 

 

「そ、そんな御遣い様のところに仕えさせていただくなど、め、滅相もありません!」

 

 

 桜花は焦りすぎて一刀の呼び方が戻っている……

 

 

「俺達がこの乱世の世に立ち上がったのも、君たちと似たようなものだ。力のない民が苦しむことの無いように、早く笑顔のあふれる世界を築けるように……。だから君達のその思いは必ず俺達の力になると思うんだ」

 

 

「みつ(じぃ〜)……一刀殿」

 

 

「それで、どう? 仲間になってもらえる?」

 

 

「「はいっ! 喜んでっ!!」」

 

 

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 一刀の呼びかけに、舞も桜花も声をそろえて返事をした。と、そこへ……

 

 

「私も……一緒に行きます」

 

 

「「舞!?」」

 

 

 桜花と奏が振り返った先にいたのは、今まで別の部屋で眠っていたはずの舞であった。

 

 

「舞、もう大丈夫なのか?」

 

 

「うん」

 

 

「それで……本気なのか? 今までと違って危険なんだぞ?」

 

 

「分かってる。私には桜花ちゃんや奏ちゃんみたいに直接戦える力は無いよ。でも、それで戦っちゃいけないって理由にならないと思うの」

 

 

「舞……」

 

 

「北郷様」

 

 

 舞は一刀のほうを向いて答える。

 

 

「ん?」

 

 

「もしかして、北郷様のところには諸葛亮ちゃんと鳳統ちゃんがいるのではないですか?」

 

 

「うん、いるけど。あっ、もしかして知りあい!?」

 

 

「はい、私も二人と同じように、少し前まで水鏡先生のもとにいましたので」

 

 

「そうか……ということは軍師としてか?」

 

 

「はい。でも、私は二人ほど優秀ではありません。そんな私でも受け入れていただけるのでしょうか……」

 

 

 舞はそういうと暗い顔をして、下を向いてしまう。

 

 

「顔を上げて。俺はその人の能力で差別するつもりは無いし、それ以上にその人の気持ちが大切なんだ。そういう意味では君だって、朱里や雛里とぜんぜん変わらず凄いと思うけど」

 

 

「北郷様……ありがとうございます。本当は戦場に立つのは少し怖かったんです。でも、北郷様のおかげで決心がつきました。私の名前は徐庶 元直、真名は舞といいます。私もこの真名を北郷様に預けます」

 

 

「ん、ありがとう、舞。じゃあ、改めて聞くけど俺達の仲間になってくれるんだね」

 

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

「よろしく頼むよ桜花、奏、舞(ニコッ)」

 

 

「っ……///」

 

 

「うわぁ///」

 

 

「あぅ///」

 

 

「? どうしたんだ、急に顔なんて赤くして」

 

 

 3人の顔が真っ赤になった原因に気付かない一刀。やはり、どの外史にいても朴念仁は健在である。

 

 

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「い、いえ、何でもありませんっ! そ、それよりも一刀様? 今日はもう遅いですからここに泊まっていきませんか?」

 

 

 一刀が外を見るとすでに太陽が沈み、あたりは暗くなっていた。

 

 

「あ〜、もうそんな時間か。ん〜、でもなぁ……」

 

 

 しかし、一刀はそこで浮かない表情をして3人のほうを向く。

 

 

「…………はっ! まさか、あの噂は本当なのか?」

 

 

 しばらく思案するように顎に手を当てていた桜花だったが、急に顔を上げ目を見開いた。

 

 

「何なのその噂って?」

 

 

 それを聞いて舞がおずおずと桜花に尋ねる。

 

 

「『天の御遣いは誰もが羨む美貌の持ち主だが、実は男である』という噂があるらしい。虚言だと思って聞き流していたんだが、まさか本当に……」

 

 

 桜花の言葉を聞いて奏と舞も吃驚したように一刀を見る。

 

 

「……何なのその噂。俺が男じゃ悪いみたいな言い方じゃないか」

 

 

 がっくりと頭を垂れる一刀を見て3人は、噂は本当だったんだ、と納得したようだ。

 

 

「一刀様? 私達は一向に構わないので、どうぞお泊りください」

 

 

「……いいの?」

 

 

「「「!! ///……はい」」」

 

 

 俯いている所から頭を上げたため、若干上目使いの姿勢になった一刀の顔を見て3人ともまた顔を赤くしてしまった。

 

 

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〜〜某所〜〜

 

 

 

「「「はっ!!」」」

 

 

 

「はわっ! どうしたのですか3人とも!?」

 

 

 

「い、いや、何か惜しいものを見逃したような気がしてな……」

 

 

 

「私も! 今、と〜〜っても残念な気持ちがする!」

 

 

 

「鈴々もなのだ!」

 

 

 

「はぁ、そうですか……」

 

 

 

 そんな3姉妹が居たとか居ないとか……

 

 

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 そんなこんなで桜花たちの住む家に泊まることになった一刀。だが、彼はこの街に忍び寄る危機をまだ知らない……

 

 

 

 

 

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〜〜??〜〜

 

 

 ガシャン!!

 

 

「クソッ、なんだっていうんだ! もう少しでうまくいったんだ! それを……」

 

 

 顎にひげを生やした男が怒りあらわに地面に自分の剣を叩きつける。

 

 

「しかたないっすよアニキ。まさかあそこに天の御遣いが現れるなんて誰も考えませんって」

 

 

「だがよぅ、俺達はこのまま引き下がるわけにはいかねえんだ! あの方達の為にも!」

 

 

「そうっすね、だから今から行くんじゃないっすか!」

 

 

「ああ、街の奴等が寝静まったところで俺達3000の同胞で攻め入るか……なんていい作戦だ。まさに俺達に相応しい」

 

 

 男の仲間達は下卑た笑いを浮かべながら各々の武器を取る。

 

 

「おい! 者共よく聞け。お頭はあの憎き天の御遣いによって葬られた。だがわれ等はあのお方達のためにも立ち止まることは出来ないのだ。よって今から俺が新たな頭となる。異論のある者はいるかっ!」

 

 

 男の声にみな首を横に振る。誰も反論は無いらしい。

 

 

「皆の気持ち、しかと受け取った。では、頭としてはじめての命令だ! 我等には向かったものにはどのような罰が下るのか、我々がどんなに恐ろしい存在であるかをあいつらに体で教えてやるのだ!」

 

 

 そういって男は街のほうを指す。

 

 

「「「「おおお〜〜〜〜!!!」」」」

 

 

 洞窟状になった賊のねぐらの中で男達の張り上げ声が響き渡った……

 

 

「(くっくっくっ、見ていろ天の御遣い。俺達を怒らせるとどうなるかをなっ!)」

 

 

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 あとがき

 

C「『清・恋姫無双』をご覧の皆さんお久しぶりです」

 

 

桜「本当、久方ぶりですね……」

 

 

C「おおっ、これは新キャラの桜花さん!」

 

 

桜「どうも……」

 

 

奏「ちょっと〜私達もいるよ」

 

 

舞「桜花ちゃんばっかり良いとこは見せられません」

 

 

桜「!? そんな事はない」

 

 

C「奏さん、舞さんも初めまして」

 

 

奏「初めまして〜」

 

 

舞「どもです」

 

 

C「それにしても、3人とも仲がいいですねぇ」

 

 

奏「そんなの子供のころの付き合いだもん♪ 当たり前だよ」

 

 

桜「そうだな、物心つく前から私達は一緒だったからな」

 

 

C「いいですね、そういうの」

 

 

舞「……なんか話ずれてません?」

 

 

C「おおっ、そうでした。とりあえず、もう残りも少ないので次話の予告だけ」

 

 

「街に忍び寄る黄色い悪魔、そして一刀が見せた本当の姿とは?」

 

 

C「ざっとこんな感じですかね」

 

 

奏「何かどんどん本来の一刀様から離れていってるような」

 

 

C「まぁ、あくまで外史ですから。それでは、次話もよろしくお願いします!」

 

 

3人「「「よろしくお願いします!!」」」

 

 

 ※オリキャラの紹介などの希望がありましたらよろしくお願いします。

 

 

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『ここはこうしたほうがいいのでは』という意見がありましたらどんどんお願いします。

それが私の血となり肉となる!!

恥っ///
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コメント
黒土さん> 頑張って明日には公開したいと思います。(CANTY)
面白くなりそうです。オリキャラの紹介お願いします。(黒土)
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