遊戯王デュエルモンスターズ フリーダムヒーローズ 第7話 |
「今日は、ここで野宿だな?」
近くの岩場で簡易テントを張ると、隼人はクリスを地面に敷いたシートに座らせ、疲れてないかと聞いた。
「大丈夫。それよりも、デュエリストの道って、思ったよりも険しいね? 最初は、意気込みでなんとなかると思ったけど?」
苦笑しながら、デュエリストの道が思ったよりも茨の道だと自嘲するクリスに隼人も笑った。
「そんな簡単に一流になれれば、俺だって、今頃、世界最強だ。いや、もしかしたら、最強はいないのかもな?」
「え……最強がいない?」
「ああ……だって、最強は……ん!?」
沈みかけた夕日の一点に小さな影ができた。
「クリス、危ない!」
「は、隼人くん!?」
いきなり抱きかかえられ、大空高くジャンプする隼人に、クリスは顔を真っ赤にして言葉を失った。
だが、その途端……
チュドォォォォォンッ!
「え……これって!?」
いきなり、大爆発を起こす大地に目を見開くクリスに隼人は顔を上げ、驚いた。
「あれは……″オシリスの天空竜!? なんで、神のカードがここに!?」
スタッと着地し、クリスを降ろすと、隼人は声を上げて叫んだ。
「誰だ、こんなことする奴は!?」
「ひっひっひ……今の攻撃を避けるとはさすが「紅き眼を持つ黒き竜」の持ち主だ」
スタスタと飄々とした態度で現れるピエロの化粧をした男にクリスは嫌悪感をあらわにし隼人の腕にしがみついた。
「……嫌な笑い方」
クリスの言葉も意に介さず、男はひっひっひっと笑い、自分の名前を名乗った。
「私の名前はジョークー・レレ。あなた達を倒すよう命令されてきた使者です」
「命令された……?」
「神のカードを持つくらいだから、普通の人間じゃないことは確かだね?」
隼人の腕から離れ、彼の左腕にデュエルディスクをはめるとクリスの視線がジョークーに注がれた。
「ああ、それに倒すって、言われたし……ここは」
ビシッとデュエルディスクに差し込まれたカードを抜き取った。
「レッドアァァァァァイズ!」
「キァァァァァァァァ!」
カードがかざされたと同時に黒き竜が現れ、オシリスの天空竜の第二の口が開いた。
「召雷弾!」
「なっ!?」
翼にめがけて打ち放たれた電光球に真紅眼の黒竜の身体が大地に叩きつけられた。
「これは……オシリスの特殊効果!?」
「ひっひっひ……そのとおり」
ジョークーは嫌らしい笑顔をより歪ませ、オシリスの天空竜の特殊効果を説明した。
「オシリスの天空竜は、相手がモンスターを召還したとき、守備力か攻撃力のどちらかに2000ポイントのダメージを与え、ダメージを超過したとき、そのモンスターを破壊する。残念ながら、レッドアイズの攻撃力は2400。ダメージを与えても400ポイント残ってしまった」
「クッ……俺のレッドアイズが!?」
「ひっひっひ……私はデッキからカードを六枚ドローさせていただきましょう?」
「オシリスのもう一つの効果……手札の枚数1000ポイント攻撃力をあげる!」
「それって!?」
顔を青ざめさせるクリスにジョークーは愉快そうにいった。
「そのとおり。今、オシリスの攻撃力は6000。さらに、先ほどの効果を加えれば、あなた達に勝つ手段はありませんよ?」
ひっひっひっと、また、小ばかにしたように笑う、ジョークーに隼人は悔しそうに膝をつきそうになった。
だが……
「隼人くん。ここは私に任せてくれない?」
「クリス?」
隼人を下げるクリスにジョークーは嘲り笑った。
「あなたに用はありません。せいぜい苦しまないよう死ねるよう、抵抗しないでください」
「……トラップ発動」
クリスの呟きにジョークーは大声を上げて指差した。
「どんなトラップを仕掛けたか知りませんが、オシリスの天空竜はどんな魔法トラップも1ターンしか利かないですよ?」
「それを聞いて安心したわ……利かないのはそっちの効果だけで、こっちの効果は利くわ」
「気に食わない顔ですね?」
「今度はそっちが顔を青ざめる番よ! これが、私のエースカード!」
左腕につけたデュエルディスクからカードを抜き去り、天空に掲げた。
「光と闇の竜!」
「キァァァァァァァ!」
光と闇のオーラを身にまとった神々しき竜の雄叫びにジョークーの顔が一瞬、青ざめた。
「で、伝説のエフェクトキラーの竜!? まさか、そんなレアカードを持っていたとは……だが!」
オシリスの天空竜の第二の口が開き、召雷弾が撃ち放たれた。
「召還ターンのスペルスピードはオシリスの効果が早い! くらいなさい、神の一撃を!」
「それを待ってたわ!」
「え……?」
撃ち放たれた召雷弾が光となって消え、光と闇の竜の身体に吸収されるとジョークーは声を上げた。
「な、なんで、ライトアンドダークネスがダメージを受けないのです!?」
「発動したトラップを見るべきだったね?」
「ハッ!? それは!?」
見せ付けられたカードを見て、ジョークーは驚いた。
「あまのじゃくの呪い!?」
「その通り……攻守の上がり下がりを逆転させる通常トラップ。召雷弾の効果は言い換えれば、攻撃力を下げる必殺技。あまのじゃくの呪いの効果の対象となる。なにより、オシリスの効果は自分にしか影響しない。私のライトアンドダークネスには影響はないわ。さらに!」
後ろに構えていた隼人が叫んだ。
「レッドアイズ! 力を与えろ!」
カードを抜き去り、レッドアイズ上半身を起こし、口から黒い炎を吐き出した。
「魔法カード、黒炎弾! 相手にレッドアイズの攻撃力分のダメージを与える!」
「ライトアンドダークネスの効果で黒炎弾を無効。さらに攻守を500ポイントアップ!」
「まだまだ! 魔法カード、火竜の火炎弾! 相手に800ポイントのダメージを与える!」
「さらに無効にし、500ポイントアップ!」
「これを忘れるな! 魔法カード、巨竜の羽ばたき! レベル五以上のドラゴン族モンスターを手札に戻し、フィールド上のトラップ魔法を全て破壊!」
「無効にし、500ポイントアップ!」
「バ……バカな……こんなバカな!?」
身体を下げるジョークーに隼人はデッキから最後のカードを抜いた。
「これで終わりだ! 速攻魔法、突進! モンスターの攻撃力を700ポイントアップ!」
「これを無効にし、合計2000ポイント攻撃力アップ……」
スッと指差し、クリスの唇の端がニヤッと吊り上った。
「これで、ライトアンドダークネスの攻撃力は合計6800……オシリスの攻撃力を超えた!」
光と闇の竜の身体が眩くも優しい光に包まれ、その勇ましい咆哮が鳴り響いた。
「受けろ!」
「ひ、ひぁ……ま、待って!?」
「シャイニング……」
『この程度か、お前は神の世界にふさわしくない』
「ま、待ってください! 今一度チャンスを!? 闇の罰ゲームは嫌だ!?」
「ブレス!」
光と闇の竜の口から凄まじい光の息吹が放たれジョークーを吹き飛ばした。
「ヒキャァァァァァァァ!?」
吹き飛ばされたジョークーに隼人は最後に聞いた「罰ゲーム」という言葉に首をかしげた。
「どう?」
勝負に負けたまま、目を覚まさないジョークーに隼人は首を振り、うなだれた。
「わからない。昏睡状態なのは確かだが、なぜ、こうなったか、原因がわからない?」
「その理由、私が教えたあげるわ?」
「ギクッ……!?」
隼人の顔が真っ青になり、恐る恐る振り返ると……
「レイ……?」
「久しぶり、隼人」
Dホイールに跨った女性は若干、唇の端をひくひく痙攣させ、笑っていた。
「えらくかわいい女の子と一緒に旅してるのね? 私には逃げてるくせに?」
「あ……あはは?」
これから起きる惨劇に隼人は泣き出したくなる気持ちを抑え笑った。
笑うしかなかった。
数秒後、隼人の頬にでっかいモミジが咲いたことは言うことはない。
説明 | ||
レッドアイズの続きです。今回のメインは光と闇の竜です。しかも、神のカードも出てきます。基本、神のカードは原作に沿ってますので、カードOCGのルールとはまったく意味はありませんので注意してください。後、独自の解釈がありますので、批判だけ早めてくださいね? | ||
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死に目に笑える奴は幸せっていいますし、幸せだったと思いますよ。(死んでないけど)(スーサン) | ||
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