恋姫無双 3人の誓い 第二十九話「危機」
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「・・・そして、天の御使いの出現により、敵の士気が一気に向上・・・敗退したというわけですか。」

暗い一室。環の召集により、紅泉、牙猛、王湾の三人は集められていた。

「はい・・・数ではこちらが優勢でしたが、質では向こうの方が上のようでした。本当に申し訳ありせん・・・」

「いえ。残念ながら西涼を手に入れることはできませんでしたが、代わりに良い情報を頂きました・・・王湾。」

 

 

 

 

紅泉が申し訳なさそうに謝るのを、環は手で止める。そして今度は王湾に問いかける。

「はい!僕、天の御使いの一人・・・天城蒼介と対峙したんですけど・・・思わず体中がゾクッとしましたね。」

「と、言いますと?」

「あの溢れ出る闘気と洗礼された剣筋・・・前に会った時とはまるで別人のようでした・・・ああ、思い出す度に・・・ジュルリ・・・」

 

 

 

 

恍惚な表情を浮かべ、思わずよだれを垂らす王湾。その姿はまるで、好物を食べる前の子どもようだ。

「おい、王湾。よだれが出ているぞ。」

「ハッ・・・!っとと・・・それで、天城蒼介の実力はなかなかのものでしたよ。」

「なるほど・・・姿を見ないと思ったら、そのような力をつけてくるとは・・・ますます欲しくなりましたね、フフッ・・・」

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口元を手で押さえてながら、不敵な笑みを浮かべる環。しかし、

「ですが、もう一人の天の御使い・・・北郷一刀はどうしているのでしょうか・・・」

一刀の詳細はまだ分からないまま、蒼介と同じように行方不明になったままで情報がない。紅泉は疑問を浮かべる。そこに環が、

「なに、簡単なことですよ。天城蒼介が消えた頃に北郷一刀も消えた・・・おそらく、一緒に行動していたと考えるのが妥当でしょう。」

 

 

 

 

 

 

「えっ!?じゃ、じゃあ北郷一刀も強くなってる可能性があるってこと?」

「ええ。二人とも、私達に狙われていると気づき、力をつけたのでしょう。」

「ホントに!やったー!これで、退屈せずに済みそうだ。」

王湾は大喜び。ガッツポーズしながら飛び上がった。

「・・・だが、環よ。これでは前のように簡単にはいかなくなったぞ。これからどうするつもりだ?」

 

 

 

 

計画の思わぬ支障に、牙猛は今まで閉じていた目をそっと開き、環に今後の作戦について問いかける。

「そうですね・・・西涼を手に入れて、勢力を大きくしてから行うつもりでしたが・・・まぁ、今の兵数でも十分いけることでしょう。紅泉、牙猛。」」

「「ハッ・・・」」

 

 

 

 

 

「あなた方は兵を率いて、牙猛は天城蒼介のいるところへ、紅泉は北郷一刀がいる魏へと攻めてください・・・しかし、それぞれの天の御使いを、私がいるところへおびき寄せるだけで結構。いいですね。」

「「御心のままに・・・」」

二人は今後の作戦を環から聞くと、その場から消えていった。残された王湾は、

「僕は何をすればいいんですか?環様。」

 

 

 

 

 

「王湾は、私と飛鳥とであるところについてきてください。よろしいですね?」

「ハッ・・・・・」

「は〜い・・・僕も戦いたかったなぁ〜・・・」

王湾は一緒に来るようにと言われ、心底残念そうに返事をし、逆に飛鳥は素直に従う。そして三人も、前の二人と同じように消えていった。

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「はぁ〜・・・討っても討っても数は減らず・・・これじゃキリがないわね。」

玉座に一人座り込んで、大きなため息を吐く孫策。しかし、それも仕方のないこと。ここ数ヶ月、いくら五胡を討伐しても勢力は衰えるどころか、日に日に数が増えていく一方。ため息の一つは吐かないとやっていけない。

「まさかここまで、世の中が疲弊しきっているとは思わなかったわ・・・」

 

 

 

 

トントンッ・・・

そんな風に考え事をしてると、突然扉の叩かれる音が聞こえてきた。

「誰?開いているから入ってきなさ・・・・・」

「どうも、お初にお目にかかります。江東の小覇王、孫伯符殿・・・」

「なっ!?あなた何者・・・!」

 

 

 

 

扉から入ってきたのは、仲間の兵士ではなく、黒い装束姿の男だった。それを見た孫策は、近くにあった剣を抜き出す。

「名はとうの昔に捨てました故、名乗るとしたら‘環,でしょうかね。」

「あ、あなたが五胡の首領の・・・首謀者自ら、私に何の用かしら?」

「そうですね・・・あまり時間がありませんので、率直に申し上げましょう。」

 

 

 

 

その告げた瞬間、環の姿が視界から消えた・・・と感じたその時、

 

 

 

 

 

 

           

 

             私の計画の駒となれ

 

 

 

 

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「・・・っ!?」

そう耳元で囁かれた瞬間、目に妖しげな光を当てられる。その光が、環の指輪による光だったと気づいた頃には、もう遅かった。

「なにを・・・一体・・・なにを・・・した・・・」

「いえいえ、ただ眠っていただくだけですよ・・・まぁ、眠ると言っても目覚めることのない、永い永い眠りですがね。」

 

 

 

 

 

「く・・・だれ・・・か・・・」

そう言うと、孫策は前のめりに倒れていった。床に剣の落ちる音が響く。

「何だ!何の音だ!」

「雪蓮!一体どうし・・・」

その音を聞いた黄蓋と周喩は、扉を開け驚愕した。

 

 

 

 

「おやおや・・・招かれざる客ですか・・・」

環の足元に倒れている孫策。誰がどう見ても、襲われたようにしか見えない。

「き、貴様っ!伯符殿に何を・・・・・うっ!」

黄蓋が言葉の続きを言おうとしたが、なぜか糸が切れた人形のように倒れていった。

「さ、祭っ!?何があっ・・・・・くっ!」

 

 

 

 

黄蓋に続き、周喩も同じように倒れていった。

「よくやってくれました・・・王湾。」

「はぁ〜・・・やり甲斐がなくてつまらないよ・・・」

「まぁまぁ、そう言わず・・・おや?」

環が目を向ける先には、孫権と甘寧がこちらに歩いてくる姿が見えた。

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「見なさい、王湾・・・いいエサがあちらにありますよ?」

「殺っていいんですか・・・?」

王湾の目が鋭く光る。

「いいえ。大事な駒なのですから、気絶させるだけにしてくださいね。」

「は〜い・・・じゃあ・・・行くかぁっ!」

 

 

 

 

 

「ん?・・・あ、危ないっ!」

「おらあああああっ!」

甘寧の咄嗟の対応のおかげで、何とか王湾の拳を防ぐことができた。しかし・・・。

「・・・くぅぅっ!」

「し、思春っ!?お前、何者だ!」

 

 

 

 

 

「そんなことよりも、自分の心配をしたらどうだ?」

「え・・・・・?」

王湾の気になる言動の意味を気づいた頃には、

「失礼・・・お姫様。」

すでに環の指輪の光が、自分の目に入り込んできた。そして、声も出ないまま静かに倒れていった。

 

 

 

 

「なっ!貴様、何をし・・・たっ」

「ほら、余所見してからだよ・・・」

甘寧が孫権に目を奪われている間に、王湾の手刀が首筋に入り、そのまま力なく倒れていく。

「ふぅ〜・・・見当違いもいいとこだよ。まさか呉って、すっごく弱いんじゃない?」

そう言いながら、倒れている孫権と甘寧を見つめる。その目には、興味がなさそうな冷たい目をしている。

 

 

 

 

 

 

「(わわわわ!?!?ど、ど、どうしましょう〜隠様ぁ!)」

「(どうするもなにも、あの思春ちゃんを倒すくらいの人を、私達がやっつけられるわけないじゃないですかぁ〜!)」

声を潜めて、壁の端に隠れている隠と明命は今までの一部始終を見て、慌てふためいていた。

「(このままじゃ、孫呉が内部から侵略されてしまいますねぇ〜・・・ここはまず、外から応援を要請しましょう!)」

「(は、はいっ!分かりました!)」

そう考えた二人は、城を出ようとそっと早足で出口へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

「いいんですか?追わなくても。」

「いえ、これで私の思惑通りに進んでくれるはずでしょうからね。」

すでに明命達の存在を知っていた環は、あえて追わずに行かせていった。思惑通りに、あの二人が事を運んでくると確信して・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※どうもお米です。今回はいかがだったでしょうか?呉という観点自体、書くのは経験がありませんので、口調がおかしいところがあるかもしれません。呉大好きのみなさん、本当にごめんなさい・・・。さて、次回は・・・まだ考え中です。ごめんなさい・・・なんだか謝ってばかりでごめんなさい・・・それでは今日はこれでさようなら〜。

説明
第二十九話目となります。最近、リアルが忙しすぎて更新ができない・・・orz
こんな私をお許しください・・・。
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コメント
>茶々さんコメント有り難うございます!逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃ(ry(お米)
孫呉が謎の軍団の手駒……って無印時代よりさらに状況やばくないすか!?(茶々)
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