真・恋姫†無双 董卓軍√ 第二十六話
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蜀 成都

 

 

「…以上が南蛮平定における我が軍の戦果です。もし董卓さん達と戦いになった時の後顧の憂いを絶つ為、そして少しでも国力及び兵力を増強する為が主たる目的だった今回の戦いなのですが…」

 

諸葛亮はそこまで説明すると一拍間を置き、?統が後に続く

 

「南蛮王孟獲…美以さん達を降伏させ、憂いを除くことには成功しましたがそのために七度の戦いを要した為、兵力に関しては予想していたよりも投降兵が少ない結果となりました…。」

 

「そのため、現状の兵力は守備兵も含め、総力で二十万ほどです。…ただ、董卓さんの陣営は董卓さん直属の軍ですら我々と同じく二十万、同盟国涼州の馬騰さん、馬超さんの軍が十万、属国である曹操さんの魏が二十五万、白蓮さんの軍が五万、降伏した呉の軍が七万…総勢で六十七万。我々

の三倍強の軍勢という報告が入っています」

 

「三倍以上もいるの!?」

 

諸葛亮の報告に驚く劉備

一緒に軍議に参加している蜀の将たちも態度にこそ出さなかったがその報告を聞き、驚愕していた

 

「…数だけではありません。董卓軍は呂布さんを筆頭に華雄さん、張遼さん。魏の夏候姉妹に涼州の馬超さん。孫呉からも孫策さんという英傑ぞろい。軍師も賈?さん、陳宮さん含め多数の鬼才を抱えています。我々も、愛紗さんや朱里ちゃんを筆頭に精鋭ぞろいとはいえ、この戦力差は歴然といっていほどだと思われます…」

 

二人の説明に軍議の空気が重たくなる…そのタイミングで「そこで」と諸葛亮が話を振る

 

「以前から度々受けていた董卓軍からの勧告…我々の降伏も視野に含める必要があると思われま…「何だと!!軍師殿達は桃香様に敵軍へ下れと申されるのか!!」ひゃう!!」

 

諸葛亮の説明に旧蜀軍からの降将である魏延―真名を焔耶―が物凄い剣幕で食ってかかる

その勢いに圧され、諸葛亮と?統がはわあわと慌てていると魏延の横から大声が上がる

 

「黙れぃ焔耶!!軍師殿とて考えがあっての事。それを聞かずに突っ走るではないわ!!」

 

そういって厳顔―魏延と同じく降将であり、真名を桔梗―が魏延の頭に拳骨を落とす

 

「ぎゃ!!…す、すみません。ですが桔梗様…」

 

拳骨を喰らい、涙目になりながらも食い下がる魏延

そんな部下の姿を見て嘆息しつつ厳顔が言う

 

「おぬしの気持ちも分かっておる。…軍師殿、降伏するにしても一度も矛を交えんのはいかがかと

思いまするが、説明いただけますかな?」

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そういって二人を見る厳顔…対する軍師二人はその眼差しに真っ向から対立して答える

 

「先ほども言ったように戦力差、国力差が歴然である事もありますが、他にも理由があります。一つ目は対孫呉の時の前例からです」

 

「降伏勧告を断り侵略した孫呉に対し、曹操さん達がいなかったとはいえ董卓さんは総力で討伐をしました。…いざ戦となったら、途中で退く事はできないでしょう」

 

「それについては同感だけれど…降伏ではなく盟を結ぶ事はできないのかしら?」

 

今度は荊州で臣となった黄忠―真名を紫苑―が疑問をぶつける

 

「残念ながら我々は反董卓連合に参加して争った経験がありますし、今まで勧告を無視し続けている為今更盟を結ぶといっても了承はされないでしょう」

 

「ですが蜀を手に入れてからの外交の結果、孫呉のように軍備の縮小を求められていますが、代わりに援軍以外の軍事不介入に加え蜀、漢中、荊州の自治権を認めるそうです。これは同盟と比べても差し支えない待遇かと思われますが…」

 

そこまで言って二人は劉備に視線を送る

 

「朱里ちゃん達の話は分かった。…ただ、一つだけ聞いてもいい?」

 

そういって二人に真剣な眼差しを送りつつ、劉備が言う

 

「外交の対応や民達の様子…何より二人の考えから、董卓さんは信用できる人だと思う?」

 

その問いに二人も真剣な眼差しで答える

 

「敗戦国の孫呉への厚遇。斥候からもたらされる善政及び治安の良さ。なにより外交においてここまで譲歩することから見える一刻も早く乱世を終わらせるという意志。…これらからも信用できる人物だと思います」

 

その言葉を聞き少し考える劉備だったが、唐突にパッと笑顔になり言う

 

「じゃあ、降伏しよっか」

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「お、お待ちください桃香様!!そのように簡単に…!!」

 

突然の決定に慌てて異議を挟む関羽…だが劉備は笑顔の中に真剣味を感じさせる眼差しをしつつ答える

 

「簡単じゃないよ、愛紗ちゃん。私だって今まで頑張ってきた皆を知ってるから、戦わない内から降参するのは辛いよ」

 

でも、と劉備は続ける

 

「董卓さんも平和を目指して頑張ってる。それに戦わないで、話し合いで乱世を終わらせようとしてる。民の、国の皆のことを考えたら、私達が意地を張っても仕方ないでしょ?」

 

そういって将全体に笑いかける

その姿を見て、関羽が言う

 

「…すみません、桃香様。いかなる場合においても降伏は苦渋の決断。そう分かっていながら差し出がましい事を申しました」

 

そういって平伏する関羽…そんな関羽を見て、劉備が慌てる

 

「謝る必要なんてないよ!!愛紗ちゃんは私の事を考えてくれたんでしょ!?」

 

そういってワタワタと慌てる劉備…その姿を見て、将達全員が笑い出す

 

「え?み、皆笑うなんて酷いよ〜!!」

 

「す、すみません桃香様」

 

そういいながらも笑い続ける皆に劉備は膨れて抗議していたが、暫くした後劉備が諸葛亮たちに言う

 

「じゃあ、董卓さんには降伏するって伝えて欲しいんだけど…誰が伝えに行ってくれるの?」

 

「私と雛里ちゃん、それに紫苑さんは蜀及び南蛮の事後処理があるので向かえませんし、桃香様や武官の方々に行ってもらうわけにも行きません。…ですので今回は簡雍さんに向かってもらおうと思っています」

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簡雍とは劉備たちが義勇軍をあげた時からの臣であり、蜀軍でも信用の置ける人物だった

 

「うん、簡雍さんなら安心だよ。じゃあお願いね」

 

「「御意です」」

 

二人が答える

 

こうして蜀軍の軍議はお開きとなったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

軍議が終わって暫くした後、劉備が一人自室で政務をしていると、それを訪ねる一人の将があった

 

「劉備殿、実はこの度のことで少々お話が…」

 

「はい?なんでしょうか」

 

実は…、とその人物は懐から書簡を取り出しつつ話す

 

「簡雍殿が具合が優れぬらしく、私に董卓殿への使者の件を頼みたいと申されまして。これが簡雍殿より預かった諸葛亮様の書かれた親書でございます」

 

劉備が見ると、確かに諸葛亮が書いた物であるらしい印が押されていた

 

「そのため、私が代わりに董卓殿の下へ向かいますゆえ、劉備殿の確認を取りたく訪れた次第でございます」

 

「あ、そうだったんですか〜」

 

そういって親書に自分の印を押しその人物に渡す

 

「じゃあ、お願いしますね。…え〜と」

 

そこでその人物の名前をど忘れしてしまった劉備が言葉を詰まらせる

 

「…未だ劉備殿に降って日が浅い故、名前を憶えてもらえませんでしたか。我が名は…」

 

そう言ってその人物は自分の名前を告げた

 

 

 

「厳顔と同じく蜀の将、張任でございます」

 

 

 

説明
董卓IF√二十六話です
久しぶりの本編ですが、ここからはクライマックスに向けて真っ直ぐ進んでいけると思います
ただ、話の展開がワンパターンな気がしますがここから少し違う展開になっていく予定なのでご了承ください
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けるとありがたいです
追記 ここからの展開上、キャラクターに批判的な意見が上がるかも知れませんがそれは作者の力不足であり原作キャラの責任ではございませんので、「作者の書く〇〇が嫌い、おかしい」などはいいですが「〇〇がうざい」などのコメントは控えていただけますと幸いです
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コメント
深緑様 過去作へのコメントありがとう御座います 今まで主一筋に生きてきた彼に、急に国主が変わってしまったという現実がどう影響するか……ということですね(アボリア)
かの者の忠義はいったいどこに向かっているのやら・・・。(深緑)
naganaga様 一応、諸葛亮さんの押印があることを確認して押している設定ですねw(アボリア)
けいわ様 次話アップしましたのでお楽しみ頂けると光栄です(アボリア)
霜月様 二十七話投稿しました そちらもご覧になっていただけると彼の考えが分かると思われます(アボリア)
sion様 その忠義の在処は次話で明らかとなります 投稿しましたのでそちらをご覧ください(アボリア)
フラグ臭がぷんぷんする終わりで次回がきになるよ〜(朱月 ケイワ)
劉障に対する忠義はどちらへ向くか・・・。(霜月)
張任ですか、、忠義の厚い臣ですが、その忠義は今何処にあるのか。気になりますね。(Sirius)
hokuhin様 次話でそのフラグが回収されます お楽しみに(アボリア)
ジョージ様 ついでにバ〇サンもw(アボリア)
ZERO様 ありがとうございます! このままラストまで突っ走ります(アボリア)
瓜月様 次話では波のうねりが最高潮となる予定です お楽しみに(アボリア)
珍しく平和的解決するかと思ったら、いやなフラグが・・・ (hokuhin)
・・・・・・・・嫌な予感がしてきやがった。この野郎、くっさい匂いがぷんぷんするぞ?誰か脱臭剤持ってこい〜♪出来ればゴ〇ジェットを(峠崎丈二)
波乱の予感がしますね。これからどうなるかが楽しめです!(ZERO&ファルサ)
ディスポ様 おっしゃるとおり少し超展開気味となっていますが旧蜀では名の知られた存在である事、そもそも蜀で董卓軍と面識のあるものがいない(朱里さんたちも文面のやりとりのみ)などの理由もあるのでどうか納得していただけるとありがたいです(アボリア)
吹風様 そのあたりは次回明らかとなります(アボリア)
村主様 ディスポ様がおっしゃる通り、少しおかしい展開となっておりますが温かい眼で見ていただけるとありがたいです(アボリア)
mokiti1976-2010様 確認は重要ですね(アボリア)
さすがに今回のはないと思う。新参者で名前の知られてない人物を送るってのは・・・(ディスポ)
問題は簡雍の病(?)がどういったものによるものか、でしょうか。桃香の性格的に見舞いに行くでしょうからもし張任の嘘ないしは陰謀による拉致監禁、暴行などなら即アウトですし(吹風)
まあすんなり事(降伏)は進まんとは思ってましたが 張任が出てきたのは驚きでした(予想外的な意味合いで) かの人がどういった行動とるやら・・・ですねw(村主7)
おい桃香!そういう大事な事は朱里本人にちゃんと確認してからにしろ!(mokiti1976-2010)
PON様 降伏を良しとしない張任さんは今後どのような動きをみせるか 次回にご期待ください(アボリア)
うたまる様 張任さんは蜀軍では桔梗さんと同じくらいの立場となっていますのでそんなに低いわけではないかと 簡雍さんも旗揚げ以来の臣下ですしw(アボリア)
黒幕様 二君に… の人です(アボリア)
流狼人様 どんな流れになるかは次回にご期待ください(アボリア)
yu-様 自分は桃香さんの考えも嫌いではないですね ただ、乱世に向いていないと言うだけで(アボリア)
サイト様 武官はあまり降伏に賛成していない為、文官で地位がそれなりの簡雍が赴く予定だったんですが…まあ、張任さんもそれなりに高い位なんですがねw(アボリア)
ほわちゃーなマリア様 落鳳破も彼の有名な部分ですがもう一つの名言の方が重要となっています 戦場は…ナンノコトヤラ(笑)(アボリア)
張任…良将なんだけどこの人は降伏をよしとしない人…大丈夫か?それ以前に桃花、ちゃんと確かめようよ…(PON)
この場合、一応降伏の使者なんですよね?  普通は、それなりの立場の人間が行かなければ、本心ではないと思われるのでは・・・・・・ なんに城頑張って下さい(うたまる)
老臣は・・・(黒幕)
三国志の中でも名将の一人・張任・・・どんなことするだろうか?(流狼人)
あ、あれー桃香がまともなことを言っているのにすごく違和感がある。私の中での桃香のイメージが悪すぎるのが原因かww(yu-)
おいおいwこういうときは一応名の知れた五虎将軍のうちの誰かを出すべきだろ、相手に降伏の意思を見せなきゃならんのだから(サイト)
張任と来たら、落鳳坡で鳳統を討ち取った人物で、どちらの書でも惨めな最期を遂げた人物でしたね。やっぱり戦フラグが立ってしまいましたか・・・となると、戦場は夷陵かな?(ほわちゃーなマリア)
suisei様 蜀王の決意とは裏腹に波乱が起こってしまうのか? 次回をお楽しみに(アボリア)
葉巻様 一癖ある名将なので今後の行方にご期待ください(アボリア)
波乱の予感!!(suisei)
名将なのだが名将なのだが…気になる流れ(葉巻)
砂のお城様 両国の王の想いとは裏腹に話は激化していきます(アボリア)
future様 彼はこの世界でも忠臣の予定です ただ、彼が仕えるのは…(アボリア)
はりまえ様 彼の名言をみればおのずと展開が読めるかもしれませんが次回をお楽しみに(アボリア)
eni_meel様 張任は劉璋の治める蜀に仕えた忠臣です 彼の起こす行動については次回明らかとなります お楽しみに(アボリア)
張任・・・・・・か。正史通りの運命を辿るのか・・・・・とにかく次回に期待です。(future)
なんか裏切りフラグがぷんぷんするんですけど・・・・・・・・次回に期待。(黄昏☆ハリマエ)
張任といえば忠義の志というイメージがあるのですが・・・・。どうなるの?気になります。(eni_meel)
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