真・恋姫無双紅竜王伝定軍山の戦い編E〜定軍山の戦い〜
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「おい、聞いたか?織田大将軍の本隊が長安城に到達したんだと」

「お?そうなのか?俺が聞いたのは曹操が大軍を率いて?を出陣したって話だけど・・・」

「いやいや、2つとも本当の話らしいぞ。ただ、長安の織田軍は1万余で、曹操は未だに洛陽までしか辿り着いていないらしい」

定軍山砦を囲む蜀軍の兵士が3人集まってそんな事を談笑している。そんな光景に不安を抱えている者がいた。蜀軍副将の趙雲である。

「なかなか、気が抜けているな・・・」

今の劉備軍の大半の兵は劉備が新たに勝ち取った蜀の兵。趙雲や徐州からの古参の兵が体験した織田舞人の恐ろしさを彼らはまだ知らないのだ。

(間違いなく織田舞人は動いてくる。その時に備えて私の隊だけでも動けるようにしなければ・・・)

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「ぐあっ!」

断殺魔のうめき声をあげて倒れ伏す男。彼の命を断ったのは胸に刺さった一本の矢。

「よし、これでネズミの駆除は終わりやな」

ぽつりと呟いたのは弩を構えた真桜。自身が開発し、馬超軍との戦いで活躍した弩の命中率をさらに上げた物だ。

「たいちょ〜!ネズミ駆除完了やで〜!」

「よし、御苦労さん真桜」

ネズミの駆除を完了した真桜の労をねぎらい、後ろに控える兵士たちに向き直った。

「皆、今から定軍山に籠城する夏候淵将軍達を救援する」

作戦内容を告げ、兵士たちの反応を見る。皆が皆、その瞳に闘志を燃やしていた。

(いい反応だ)

「この度の作戦は神速を持って臨む困難な作戦になるだろう。だが、俺はお前たちなら作戦を遂行してくれるだろうと信じている」

『応っ!』

「さぁ、出陣だ!この一戦で勝利をおさめ、俺達の名を末代まで大陸史に残してやれ!」

『オオッーーーーー!』

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自陣の陣幕で趙雲はその時を待っていた。床机に腰掛け、目をつぶって兵からの報告を待つ。

(必ず織田軍はやってくる。夜闇を突いて我らの後背を襲ってくるだろう。織田の神速を侮っている蜀の兵では対応できない・・・)

趙雲は部隊の兵を定軍山から背を向けさせ、織田軍を迎え撃つ態勢を取らせていた。

そして、趙雲が待っていた知らせを持って兵士が駆けこんできた。

「申し上げます!織田軍が我が軍の後背を奇襲!すでに呉懿将軍、雷同将軍の部隊は突破され、我が隊に迫っております!」

「チッ、予想していたより動きが速い!」

彼女は用意させていた馬に乗り、部隊に織田勢の迎撃を命じようとしたが―――兵士たちの顔を見て、絶句せざるを得なかった。

大楯を構え、弓を用意している彼らの顔には恐怖の色が染まっていた。趙雲隊の大半の兵は織田舞人と交戦経験のある徐州兵達。経験がある分戦えると考えていたが、舞人に追われた恐怖がよみがえってきたのだろう。

(すでに交戦前から浮足立っているか・・・!)

そして、彼らが浮足立ちかけている所に―――

「かかれっ!」

趙雲隊を恐怖のどん底に落とす怒声が、雷の様に兵士たちの身体を打った。深紅の甲冑を身に纏い、大柄な黒馬に跨った男―――

織田舞人自らが先頭に立って蜀の陣を切り裂いているのだ―――

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「ん・・・?」

同じ頃、定軍山砦の物見櫓に立つ魏軍の兵が敵陣の異変に気付き、同僚に声をかける。

「なぁ、あの変なんか陣が乱れてないか?」

「うん?・・・確かにそうだな。張将軍に報告に行くか?」

「それがいいかもしれん」

籠城中はどうしても外界と連絡をとる手段が限られている。彼らはまだ、舞人が救援に来た事を知らないのだ。

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「皆の者!お味方が敵陣を乱しているぞ!この機を逃すな!続け!」

報告を受け、舞人の意をくんだ楓が戦える戦力を率いて打って出る。背後からの攻撃のみならず、まさかの正面からの攻撃を受けた蜀軍は浮足立った。

黄忠は体勢を立て直すため、南鄭城への撤退を指示。蜀軍は算を乱して南鄭城へ敗走していった。

織田軍は追撃を仕掛け・・・・なかった。さすがに1万の軍勢で10倍の蜀軍を追撃すれば手痛い反撃を受ける事は必至だったので漢中奪還を諦め、秋蘭たちを回収して長安城へ引き上げた。

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「漢中を奪われた・・・か」

漢中が失われた事で、魏と蜀は直接国境を接することとなった。舞人が放っている密偵の情報によると、魏と和睦している孫呉に蜀の軍師・諸葛亮が接触しているという。おそらく蜀呉連合が組まれ、最後の決戦を仕掛けてくるだろう。

長安から戻る道すがら、最後の戦いの足音が近づいてくるのを舞人は確かに感じていた―――

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次回以降予告(予定)

魏漢軍が漢中で蜀に敗北後、雌伏の孫呉は再びその牙をむく。

「我らは、我らの矜持を取り戻すため―――魏漢を倒す!」

樊城の老将は、迫りくる大軍を嘲笑で迎え打つ。

「かっかっか・・・この爺一人を討ち取るのに大した用意じゃのう」

蜀の大軍師は風を読み、必勝の策を練る。

「この季節、この地は東南の風が吹きます。その風に乗って、かの計略を仕掛けて魏の艦隊をこの赤壁に打ち破ります」

しかし、曹孟徳もまた一代の英雄なり。

「私が敗北するのは一つの計略よ。要はあなた・・・舞人よ」

そして紅竜は笑う。

「電撃作戦か・・・響きがいいな」

真・恋姫無双紅竜王伝『赤壁合戦』偏

次回よりはじまります。

 

説明
定軍山編ラストです。なんかあっさりした感じになってしまったので、少し物足りない出来かも知れませんがお許しください・・・
今回のラストに、次章予告があります。
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コメント
前哨戦が終わり、遂に赤壁戦に突入しますか。どんな展開になるか期待です!(深緑)
とうとう来ましたね、赤壁が・・・・舞人、ぶちかませ。天狗っ鼻をへし折ってやれ!!(峠崎丈二)
執筆お疲れ様です。遂に赤壁が!!原作では勝ったり負けたりしている赤壁・・・今作ではどうなるのか・・・ 次作&赤壁合戦偏期待(クォーツ)
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真・恋姫無双  紅竜王伝 

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