恋姫異聞録71  定軍山編 −感覚−
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「此方に来るのは黄忠と厳顔のようだ、どうやら前回の借りを返せそうだな」

 

弓を回し、弦が美しい音を奏でると白く輝く白刃、弭槍が飛び出し秋蘭の身体から冷気のような殺気が漏れ出す

顔は緊張感を増していくが、全体の筋肉は弛緩し強張る事は無い。柔軟な体捌きと冷静な判断力こそが彼女の強み

戦闘態勢に入っていく秋蘭を見ながら男は軽く微笑み、兵達に指示を飛ばした

 

「我等はこれより予定地点まで進軍し、進軍後迎撃態勢に移る。短い槍と剣を多用せよ、森の中では振り回せん」

 

【応】

 

兵たちは男のビリビリと大きく木々を揺らす程の声に、声を揃え返答し森の中へと入っていく

 

木々の多い山だ、此方は望遠鏡で逐一相手の動きを追えるが敵はそうではないだろう

せいぜい此方の旗を見て動くのが精一杯、後は斥候からの情報で此方の動きや規模を確認するしかない

敵の斥候には表面だけ見せれば良い、俺たちは無理をする必要は無い

 

「昭、真桜との仕込は巧く行ったの?」

 

「上々だ、予定の地点まで進んだら動かすなよ?」

 

「解ってる。後は馬鹿な斥候が引っかからないことを祈るだけよ。まぁばれても十分使えるわ」

 

陣形を衝軛の陣に整え、中央に男と秋蘭、詠が配置し、その後ろである後曲は旗だけを立ててスカスカである

後ろから襲撃をされれば即座に男は討ち取られてしまうだろう

 

こんな策をやるのは詠くらいだろう、いや風もやるか?よくよく考えれば俺の軍師は二人ともドギツイ策を練る

軍師だったな・・・少し怖くなってきた。だが他の軍師が付いた時を考えればましなのか?流石に鼻血まみれ

になるのも毎回きついこと言われるのも嫌だしなぁ

 

「着いたぞ、これ以上先には行けんのだな?」

 

「ああ、敵もそろそろかかる頃だろう。敵の斥候も大きなものにはかからなかったようだからな」

 

ズドンッ!!!

 

男が言葉を言い終えると同時に遠くから凄まじい轟音と大勢の人の悲鳴、そして慌しく動く敵の旗

すぐさま望遠鏡で罠にかかった敵兵を確認する男

 

 

「かかったわね、後は相手の動きを見ながら兵を凪達と合流するわよ」

 

「・・・・・・ああ」

 

仕掛けたのはブービートラップ、本来は退却する時に作るものだが道に詳しい風の話を元に敵兵の到着時刻を

予測、事前に罠をはり後退して迎え撃つ

 

俺は一度二人のを見た、黄忠は冷静に考える事は出来るだろうが

前回の俺の殺気は彼女の心に突き刺さったままだろう、眼の奥に恐怖の色を見た

韓遂殿はあの性格ならば将の多い風達のほうを狙うだろう、あちらのほうが楽しめると思うだろうからな

 

敵がいくら老獪であろうとも山に見えぬように張られた罠を回避する事は難しい

この時代に罠は多くあっただろうが木々の間から竹槍や木の杭が飛んでくるような仕掛けは

真桜にしか作る事は出来ないだろう。そして短時間で落とし穴まで作ることも考え付かないだろう

 

「昭?」

 

「ん?」

 

「・・・いや、何時もならば眼が、見えているのだろう?兵が」

 

男は頷き、心配そうに見る秋蘭の頬を指の背で軽く撫で軽く笑いかける。秋蘭は少し驚き、つい手を握ってしまう

そんなしぐさに『大丈夫』と優しく語りかけ、強い光を瞳に灯す

 

「皆、武器を構えよ。罠を突き進み我等に襲い掛かることもありうる」

 

「敵の動きを確認後、僕達の動きを決めるわ。各自直ぐに移動が出来る状態にしておきなさい」

 

【応】

 

男の響き渡る声に繋げるように詠の指示が飛ぶ、兵たちは声をあげ剣を取り、槍を構え、軽装の鎧の止め紐をきつく

絞めなおす。男もまた腰に携えた剣を握り締め、空いたほうの手を軽く振る。詠も手を握ったり開いたりしながら

頭の中で何度も策を確認し始める

 

「ふふふっ、僕の策は此処からよ」

 

 

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「くっ、こんなものを仕掛けていようとは、罠など多く見てきたがこのような物見たことが無い。何処に仕掛けて

有るかもわからないなんて」

 

このまま進むのは危険、一度下がって銅心様と合流するしかないわ。罠の配置を知っている敵が此方を攻めるのは

簡単でしょうが私達が攻めるのは危険、合流後更に後退して戦場を変えたほうが・・・

 

「はっはっはっ!なんとも詰まらん罠だ、我等の仕掛ける罠の方がよほど面白い、違うか紫苑?」

 

「え?」

 

「豪天砲一つあればこのようなもの、こけおどしに過ぎん」

 

厳顔は大きく笑うと、鉄塊のような武器を目の前の巨木に構える。そして鉄塊のような武器は回転弾倉式に

光のようなものを溜め込むと爆発音と共に鉄杭が打ち出され、巨木はぽっかりと穴を開けメキメキと倒れはじめる

 

巨木が倒れ、仕掛けてあった罠が枝や木に反応し次々に巨木に突き刺さり、そこには巨木で出来た道が

一筋出来上がる

 

「さて行くか、舞王とやらはわしと楽しい喧嘩をしてくれるのだろう紫苑?」

 

「・・・・・フフッ、本当に貴女といると退屈しないわ」

 

「わしは蜀の喧嘩師、退屈などとは無縁よ」

 

そういって笑い合うと、厳顔は武器を持ち走り出す。そして次々に木をなぎ倒し罠を潰していく。黄忠もそれに続き

矢を使い、壊しきれない罠を矢で打ち落としていく。兵は出来上がった木の道を駆け上がり、先頭で導く二人の

将に声を上げて着いていく

 

大丈夫、隣には桔梗が居てくれる。私は舞王を恐れない、戦い、勝つ!

 

 

 

 

 

 

遠くで木々の倒れる音を聞き、立ち上る土煙を見て笑みを浮かべる

 

「クックックッ、向こうでも罠が仕掛けてあったか。だがそれも無駄だったようだな」

 

桔梗殿も面白い武をお持ちのようだ、帰ったら手合わせ願うとしよう

さて俺を何処まで楽しませてくれる?まさかこのような罠で終わりではあるまい

罠ならば二重三重に仕掛けるものよ。その罠さえも俺にとっては旨そうな獲物

 

パキッ

 

「韓遂様っ!」

 

踏みしめた場所には緑に塗られた縄、木々の間から襲い掛かる竹槍と矢

 

「フハハハハハハッ!!」

 

長蛇の陣心底嬉しそうに笑うと片手で槍を振り回し、矢を薙ぎ落とし。竹槍を上段から振り下ろす槍で地面に

叩きつける。

 

「こんなものでは腹が空く、もっと旨いものを喰わせてもらおう。涼州兵よ俺に続け、陣形は長蛇の陣

先頭は俺だ、罠は俺が全て潰そう、恐れずに進めっ!」

 

【オオオオオオオオオッ!!】

 

槍を振り回し凄まじい風きり音と共に走り出す。次々に発動する罠を槍一つでなぎ払い叩き潰し、襲い掛かる

罠を槍で突き刺し投げ飛ばし、落とし穴までも潰していく。英雄に従う兵たちはその雄雄しく激しい後姿に

声をあげ走りついていく

 

 

横目で遠くの黄忠たちを確認しながら、韓遂は槍を振るう

 

・・・あちらと比べ罠が少ないようにも感じる、音で感じる罠の数と此方で襲い掛かる罠の数、向こうも

真直ぐに木を倒しその上を進んでいるなら同じ数のはずだが

 

そんな思考を遮るように目の前から光を帯びた弾が襲い掛かる

 

「気弾か、カカッ!」

 

槍を口に咥えると残った右腕が光だし、襲い掛かる気弾を殴りつける

眼前ではじける気弾、光が広がりその光の中から襲い掛かる突き刺さるような蹴撃

 

「猛虎蹴撃っ!」

 

「カカッ!」

 

しかし韓遂は笑みを益々深め、拳を突き出した身体をその勢いのまま振りぬき、地面を抉る様な震蹴を繰り出し

靠を襲い掛かる蹴りに合わせる。空気を震わす激突音と共に凪は弾き飛ばされるが空中で身体を捻り音も無く

着地をする。韓遂は槍を手に握り振り回す

 

「どうやら此方が当りのようだ」

 

「くっ」

 

私の気弾を潰したどころかその勢いで猛虎蹴撃までも潰した。春蘭様に負けたとはいえ流石は英雄、強い

 

「面白い、気を使う無手の者か。名を聞こう」

 

「我が名は楽進、舞王率いる修羅の軍の将」

 

「俺の名は韓遂、蜀の客将よ。さぁ楽進とやら、俺を楽しませろ」

 

韓遂は槍を真直ぐに凪の頸元へと狙いを定め、嬉しそうに笑う。凪も拳を構え、トントンと軽くステップを

踏み始める。

 

「ほう、見たことの無い歩方だな。どのような戦いを見せてくれるか・・・ハッ!」

 

消えたかのように手に持つ槍の穂先が消え、一瞬のうちに凪の頸へと延びてくる

凪はのびてくる槍に合わせて後方へと飛びのき、掌に溜めた気弾を撃ち込んでいく

 

「フンッ!」

 

襲い掛かる気弾を柄を短く持ち下から足を振り上げ蹴り飛ばし、はじける気弾を利用し今度は逆に

柄を長く持ち凪の頸目掛けて突き出す。だが

 

「む?」

 

そこには既に凪はおらず、更に後方へと下がっていた。そしてまた同じようにステップを刻みはじめる

 

誘っているか、面白い。もっと旨い物が待っていると言うことだな?クックックッ、鉄心が居なくなってから

面白い戦が増えた、皮肉なことだ。あの世で待っていろ鉄心、思う存分自慢してやる

 

韓遂は地面を蹴り、後方へ下がった凪を追いかけるように槍を突き出し襲い掛かる。それを凪はまた同じように

後方へとステップしながら気弾を撃ち、襲い掛かる槍を捌き、避けていく

 

「何処まで逃げるつもりだ?それでは貴様が逃げる道には罠が無いと俺に知らせているだけだぞ?」

 

韓遂の言葉に表情も変えず、速くなる槍で身を削られながら後方へと飛び、ついには木を背に追い詰められてしまう

 

「さぁ、逃げ場は無くなった。俺に立ち向かうか?それともこのまま俺に喰われるか?」

 

槍を構え凪に近づこうとした瞬間、頭上から機械音と共に真桜が螺旋槍を韓遂に向け木から落ちるように

落下し襲い掛かかった

 

「ぬぅっ!」

 

槍で弾けば折れると判断した韓遂は地面に槍を突き刺し、その反動で後ろへと飛びのく

 

「ようやったで凪!退がるのは矜持に反することやろうけどよう我慢してくれた」

 

「いや、退くべきではない場所では無かっただけだ。それに隊長が泣くのは私も嫌だ」

 

「・・・しっとったんか、でも隊長に言ったらアカンで?」

 

真桜はにこりと歯を見せて笑うと、握る螺旋槍に力を込め、回転する穂先は更に大きな音を立て

韓遂を威嚇する。凪もまた拳を構え気を拳に溜め始めた

 

「二人がかりか、良いだろう。かかって来い!」

 

槍を中段に構え、どっしりと腰を落とす

二人掛とはな、しかし疾風は何処へ行った?姿が見えない罠も無くなった・・・読めんな

紫苑殿の方は土煙を見る限りまだ罠は終わらぬようだ、フフフッ、まぁ俺は俺の戦を楽しむまでよ

 

韓遂は口の端を吊り上げ笑みを作ると武器を構え威嚇する真桜へと襲い掛かった

 

 

 

 

 

望遠鏡を覗く詠は次々に木をなぎ倒し、仕込んだ罠を全て破壊していく厳顔の武器に驚き、慌てていた

 

「な、何なのよあれ!くっ、とりあえず頃合を見て後ろに下がるわよ」

 

「食い込んできた所を伏兵に挟撃をさせるんだろう?」

 

「ええ、だけど僕が計算していたより多く兵が来る。予想では韓遂と合流するのに戻るか強引に来るかだったんだけど、強引に来るならもっと兵が減ってるはずよ」

 

大きな破壊音を立てながら徐々に此方へと近づいてきている。伏兵に挟撃をさせるにも数が少なければ意味が無い

ただ潰される

 

「風の方は?」

 

「巧く行っているみたい、アンタの評価の通り。韓遂は笑っているそうよ」

 

「・・・だが気を抜くなよ、風にも言ったが真名の通り柔軟な思考を持っている」

 

「解ってる。向こうも引っ張るだけ引っ張って退がる僕達と合流、統亞達の伏兵の挟撃で韓遂を挟み込み討ち取る」

 

そうだ、だが黄忠達の進みが速い、此処まで来たときに少ない伏兵で足止めが出来るかどうか

厳顔があれほどの破壊力の有る武器を持っていようとは、詠の計算外だろう。そしてあれほどの武器だ

反動も衝撃も相当なもの、それを平気で振り回すのだ、厳顔も化け物だ

 

「・・・詠、速めに退がろう」

 

「はぁ?だめよ!敵に気が付かれる」

 

「だがあの進みの速さでは策がつぶれるぞ」

 

「もし下がるなら伏兵を多く残さないと、下手すれば逆に挟撃に合うわよ」

 

「ならば私が残ろう」

 

話し合う男と詠に、凛とした声で秋蘭は話しかけた。その顔は何時もの戦場の顔で、既に覚悟を決めた顔だった

 

「私では不服か?」

 

「いえ、秋蘭が残るならむしろ安心よ、だけど」

 

詠は隣に立つ男の顔を伺い見る。前回の戦いの後、流琉から話をきいていたのだ。男が目の前で秋蘭が傷つき

倒れ、死んだと思った時に男が一体どうなったのかを。それを聞いた時、詠は納得と共に顔が青ざめた

暴走し、大規模な兵を道ずれに舞を舞ったとき一体どうなるか、そこは一方的な殺戮の世界になり、

苦しみ、叫び、己の命まで落とす男の姿、最後には残るものなど何も無い

 

「頼む、秋蘭」

 

「フフッ、任せろ。借りを返すのに丁度良い」

 

そんな心配をよそに、男はあっさりと秋蘭がこの場に残ることを承諾した。そしてその言葉に詠は心底驚いて

しまい、反射的に男の袖を掴んでしまう

 

「ん?」

 

「ア、アンタ本当に良いの?」

 

「ああ、俺は秋蘭を死なせたりはしない」

 

「・・・どういう意味?」

 

矛盾するような言葉を言う男の目には前よりも強い光があり、喉まででかかった質問を飲み込んでしまった

 

「詠、我が夫、舞王の正しい姿を知るものは私だけだ」

 

秋蘭は男の眼を見つめ、軽く頷くと兵を率いて森の中へと身を隠していく

詠はそんなやり取りを聞きただあっけに取られるだけになっていた

 

「本当の姿って何?雰囲気が変わった事は解るけど」

 

「さぁな、退くぞ。速度は遅く、相手に気が付かれたら速度を上げ風達と合流する」

 

疑問符を浮かべながら詠は素早く身を翻し移動をする男を慌てて追いかけていく、男は秋蘭を振り向きもせずに

兵たちの中へと入り、兵たちを動かしていく

 

「な、なんなのよっ!ちょっと待ちなさいよ!」

 

相手の動きが速すぎる、あの武器が詠の策までぶち壊そうとしている。秋蘭は何処まで持たせられるか

急がなければ、凪達は巧くやっているだろうか、韓遂殿は真の英雄だ、まともにぶつかれば凪達とて危ない

 

 

 

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「うわわっなのーっ!!」

 

「沙和っ!突っ込みすぎるな、まともに喰らうぞ!」

 

「うらぁーっ!」

 

沙和の双剣を槍で絡め、弾き飛ばす。そして凪の気弾を蹴りでかき消し、隙を狙うように襲い掛かる真桜の螺旋槍を

回転に逆らわず槍を回し地面に誘導し、槍を手放すと裏拳を真桜の腹に叩き込む

 

「ぐあっ」

 

「三人に増えてその程度か、何かを狙っているようだがそれをやる前に俺に喰われることになる」

 

真桜はまともに腹に拳を喰らい、あまりの激痛に身体を折り曲げ両腕で腹を押さえ地に膝を着いてしまう

気の込められた拳はまるで鉄球のような硬さを持ち、真桜の内臓にまで衝撃をあたえていた

 

「真桜っ!」

 

凪は真桜のが倒れ込むのを見て地を駆け走る、だが地面にうずくまる真桜に韓遂の槍が無常にも振り下ろされる

 

「真桜ちゃんっ!」

 

間に合わない、そう感じ振り下ろされる瞬間、沙和は眼を瞑ってしまう

 

ガキンッ!

 

だが聞こえてくるのは生々しい肉を切り裂く音ではなく、金属が弾かれる音

瞼を開けてみれば、そこには風を前に載せた一馬の操る馬の後ろ蹴りが韓遂の槍を弾き飛ばしていた

 

「たとえ英雄であろうと、私の仲間を傷つけさせはしない」

 

「ククッ、来たか疾風。これでようやく俺と互角といった所か?」

 

メキメキと槍が握り締められ、右腕の筋肉が緊張し弾き飛ばされた槍を無理矢理戻して構えを戻す

一馬も馬を操り、倒れる真桜の前に立ち韓遂との間に馬の体を入れる

 

「真桜、大丈夫か?」

 

「いたたたっ、くぅ〜効くなぁ」

 

本来退くべきところまで後一歩、此処に一馬が居るちゅうことは風が気を利かせて助けにきてくれた

んやな。ほんならも少しきばらせてもらおか

 

真桜は螺旋槍を杖のようにして身体を立ち上がらせて、気を流し込み螺旋を回す。必ず策を

やり遂げると覚悟を決め己を奮い立たせ、痛みを頭から消した。凪もその姿をみて更に拳を握り締め

力を込め、沙和も真桜の横に駆け寄り武器を構えた

 

「もう少しです、伏兵の潜む地点まで皆さん頑張ってください」

 

風は韓遂を睨みながら口元を手で隠し、皆に聞こえるだけの音量で話しかけ、四人はその言葉に頷いた

だが対峙する韓遂は視線を横にずらし、急に静かになった黄忠達の方へと顔をむける

 

「・・・・・・」

 

「はっ!皆さん一斉に」

 

韓遂の考えに一瞬で気が着いた風は皆を韓遂にけしかけようとするがその時は既に遅く、韓遂は戦っていた

凪達を完全に無視すると山を横へ走り出し、兵達に指示を送り始めた

 

「兵士三百は俺に付いて来い、残りは全て敵将兵の足止めだ」

 

動き出す敵兵を見据え風は指示を出していく

 

「抑えの兵を残し、一度退きます。お兄さんとの合流を最優先に、お兄さんならきっともう動いているはずです」

 

「韓遂殿は追わずとも良いのですか?」

 

「かまいません、恐らく向こうの伏兵を指揮するのは秋蘭ちゃん。策は失敗しました、お兄さんと合流後兵を立て

直し、敵の将が合流した所を急襲します」

 

韓遂さんが動いたのは恐らく向こうのほうが更に面白くなると感じたから、此方には将も多く韓遂さんの好みに編成

したというのに、罠の音が鳴り止むことで韓遂さんの興味を向こうへ向けてしまった。どうやら風の思案したとおり

厳顔さんの武器は厄介でしたねー巧く運んでいれば今頃は向こうを挟撃し、此方も挟撃、一気に撃破していた

のにもかかわらず、英雄とはやはり匂いや感覚で戦場を駆ける読めないものなのですね

 

しかし此方も雲の兵、雲はあらゆる可能性を秘めたるもの。英雄は人、人では雲には届かない

 

「一馬君は沙和ちゃんを乗せてお兄さんの元へ先に行って下さいー」

 

そういうと風は馬からふわりと下りると今度は凪の背中にのぼりしがみ付く、凪は苦笑いしながら

馬代わりに走らされることを覚悟した

 

「了解しました。沙和さん此方へ」

 

「了解なのー!」

 

沙和は一馬の後ろへと飛び乗り、一馬は馬の腹を蹴って走り出す。ほんの一瞬で森の中にその姿は消え去り

風は兵を指揮しながら真桜たちと共に後ろへとさがっていく

 

「沙和さん、舌をかまないように気をつけてください、兄者より預かりし爪黄飛電。その速さは並ではありません」

 

回される腕に力がこもるのを確認すると、一馬はこれが本気だと言わんばかりに馬の動きに身体を合わせ

木々の生える山の中を平地のように駆け抜けていく、沙和はあまりの速さに必死に腰に回す手を握り、眼を瞑ってしまっていた

 

「一馬は解るけど、沙和を一緒に行かせたのはなんでや?」

 

「お兄さんの掴んだものが風の考えと一致するなら沙和ちゃんの力が必要なはずです。その次はきっと御二人の

どちらかですよー」

 

「良く解らないが隊長の力になれるなら何だっていい」

 

「そやな、その前にまずはウチラはウチラの仕事をきっちりやるだけや」

 

「ああ 」

 

そういって真桜は武器を構え、凪は風を背負いながら拳に気を集中していくのだった

 

 

 

 

説明
恋姫異聞録71 定軍山はまだまだ続きます。

皆さんが楽しんでいただけるよう、そして私自身も楽しんで
書き続けられるよう頑張ります^^


何時も読んでくださる皆様感謝しております><
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コメント
深緑様コメントありがとうございます^^私の異聞録では韓遂がいい味を出したおっさんになっておりますので、彼の活躍を楽しんでくだされば有り難いです^^(絶影)
流石は韓遂や厳顔達だまずは戦況を優位に進めますか。さて魏陣営はこの後どのように動くか楽しみです。(深緑)
Ocean 様コメント有り難うございます^^戦闘を楽しみにしていただいてとても嬉しいです!次回は激突なので楽しんでいってください!(絶影)
KU− 様コメント有り難うございます^^誤字指摘有り難うございます^^修正しました!100話はいきますねぇ恐らくw終わりはきまってるんですが、進みが遅いもので;;(絶影)
GLIDE 様コメント有り難うございます^^速いのは無理をしたからw次回もなるべく早くこうしんしますー><(絶影)
弐異吐 様コメント有り難うございます^^続きを頑張って書きますので楽しんでいってください!(絶影)
続きが、続きが気になる!! 本当に、この作品は戦闘が面白い(Ocean)
更新早い。100話はいくのなら当分楽しめそうですね(KU−)
1Pの多様は多用では?(KU−)
更新はやw続き!続き!^^(GLIDE)
続きが気になる(弐異吐)
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