宵語†無双 |
皆さんは平将門という人物をご存知だろうか?
かつて日本の平安時代中期に活躍し、平将門の乱にて滅ぼされた豪族である。
この出来事は歴史の教科書などにも載っている。
この平将門、日本人にとっても馴染みの深い人物であるが、その反面この人物はいくつか怪談話もある。今回はその中でも有名な、首にまつわるお話にちなんだ物語。
―――魏城内某所
夜の帳も下り、とっくに皆が寝静まっている頃。そこには、仲睦まじい二人の男女がいた。
「なあ、華琳いいだろ。ちょっと試すだけだからさ。」
「ちょっと、じゃないわよ!絶対死ぬから、それ!」
・・・・・仲睦まじい。
「あの平将門にだって出来たんだぞ!覇王に出来ない道理がないだろ。」
「それはお話だからよ!一刀がやればいいじゃない!」
・・・・・・・・・・・・・仲睦まじい。
「俺はただの警備隊長Aだぜ。お前ならきっとやれるさ。
ほら、もう動くな手元が狂っちまう。」
鉈を振り上げる・・・・・・・・・・・・・仲睦まじい?
「かっ一刀、冗談でしょ。ちぇほんま――――。」ザッシュ!!
からん、ころん、からんからんころん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・仲睦まじい????
「これで〜よし!さあ、さあ、起動しろ華琳!!!・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・ザオリク。」
コウカハナッカタ
「くっわーーー、やっぱ無理だったか。俺も心の隅では、これやめといた方がいいんじゃね?とか思ってし。いきなり首はハードル高すぎたな。セオリー通り、最初は腕とか足で徐々に慣らしていくんだった。腕や足で出来ないことが首で出来るわけ無いしな。ははっ。」
闇夜に短い笑いが響く。
「しかしこれ、なんて言い訳しようか?いや、無理だな。春蘭の大剣で問答無用に真っ二つにされるのがオチだ。
さすがにこの前の、風が寝てる隙に宝ャをロケットの先端に乗せて空中爆破させた時みたいに、プレートもって「ドッキリでした!また来いや。」なんかで誤魔化せそうにもないな。そういえば、あれから口聞いてくれないな。なんでだろう?
うーむ・・・・・そうだ、埋葬して行方不明者扱いにしよう!」
―――朝議
もうすでに皆が揃っている。もちろん一人の少女を除いて。しかし、一人の男以外に誰も知る者はない。すでに日常が終わっていることを。
「なぁ〜秋蘭。華琳様遅いな。おい北郷、何か知っているか?」
「・・・厠じゃないか?あいつ芳香剤好きだったろ。」
「ああ、確かにそうだったな。それなら仕方が無いな―――って華琳様が来たじゃないか!」
「えっ?かり―――――ッ!!?」
そこにはあるのは、すでに存在を屠られたはずの少女。
他国からは畏怖の念、自国からは畏敬の念として象徴される少女。
覇王たる風貌を醸しながら、コツコツと玉座へ近づいていく少女。
いつも通りの少女。
ただ
・・・・・・首が無いことを除いて。
「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「「ッ!!?」」
突然の奇声に、皆の視線が一様に男に集まる。風だけは白目を剥いて睨んでいる。
しかし、男のどこか尋常ではない相好に何か感じ取ったのか、戸惑いながらも凛がいち早く声をかける。
「どっ、どうしました?一刀殿。・・・・・・・・・・えっ、華琳様?あなたの目の前にいらっしゃるじゃないですか。大丈夫ですか?」
男の一件で朝議に多少の支障をきたしたものの、それ以降、すぐに次々と案件に取り組んでいく。いつもの日常通りに。しかし、風だけは未だ白目を剥いて男を睨んでいる。
「(・・・おいおい、明らかに重要なパーツが足りないでしょ、あれ。なんで誰も騒がないんだ。もしかして、これが気付かないやさしさってヤツか?ふっ、女心は難しいぜ!)」
風は白目を剥いて睨んでいる。
「(いや、仮に5歩譲ってそうだと認めても、なんでこれでコミュニケーションが成立してるんだ?
首が無いから発声だって出来ないんだぜ。なのに今だって、桂花と難しそうな会話してるように見えるしよ。)」
風は白目を剥いて男を睨んでいる。
「(メシはどうするんだろう?首から直接流し込んでやるのだろうか。メチャクチャ胃に悪そうだな。いや、会話の件から察するに、普通に口から食べるのかもしれない。その場合、かつて日本の終戦直後に流行したという、幻のスキル「空中咀嚼」が見れるかもしれない。)」
風は白目を剥いて男を睨んでいる。
「(しっかし、将門さんの状態と逆だよな、あれ。首も同じ場所に埋めたんだから、一緒に歩いてくればいいのに、・・・・・・ってか、それ以前に何でここにいるの?)」
風は白目を剥いて男を睨んでいる。
「(まあいいや、華琳にちょっとぐらいパーツが欠けていても、俺の幸せ家族計画に死角はないさ。ははっ!)」
風は白目を剥いて男を睨んでいる。
―――城内裏庭
月も星も風も命の瞬きすら無い赤黒い闇夜。
ドロリとした臓腑のような熱気が肢体全てに纏まり付く。男の額にジッと汗が浮かび、首筋に流れていく。汚泥のように淀んだ醜悪な空気に、脳が歪み視界も霞む。
しかし、男はそれすらにも愉悦の笑み崩さず歩みを止めない。
しかし、風は未だ白目を剥いて男を睨んでいる。
「さて、俺には真実を暴く大義名分があるとはいえ、さすがに夜中に掘り起こすのは気持ちの良いものじゃないな。」
ザックザック。かつて穴掘り世界ランカーとしてその名を馳せた男の腕が唸る。
しかし、風は未だ白目を剥いて男を睨んでいる。
「結構深いな、もう背丈の倍は超え――――――っお、発見!
俺の「超熟成角煮」の壷!
やっはっふっはーーーーーーーーー!!!」
壷を抱きしめ、歓喜に震え咽び泣く男の声が穴の中に響く。
しかし、風は未だ白目を剥いて男を睨んでいる。
「さっ、さあ、部屋に戻る前に、この肴で一杯やっていくか。・・・・・ってフタが固いな、ちょっと待ってろ。」
そう言うと、男は腰に挿してあるドライバーに右手を伸ばし、左手はフタにしっかりと添える。そして、上手く力を込めながらゆっくりと開ける・・・
――――そこには
「おや、確か北郷殿でござったな?お初にお目にかかる、私は趙子龍という者。・・・して、この私の体の行方をご存知であろうか?」
「はあ?お初って、何を言ってんだよ、星。
お前はいつも背中にぶっとい黒い槍が刺さっていて、今日だって昼も一緒にラーメン食いながらメンマ談義に・・・花を、って・・まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
男の甲高い叫び声が城内に轟く。
そして、男は闇に飲まれていく。
しかし、風は未だ白目を剥いて男を睨んでいる。
こうして今日も魏は平和だった(完)
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夏らしくホラー。 | ||
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コメント | ||
うーん…むずい(TAPEt) こわっ!!特に風がこわっ!!(黄昏☆ハリマエ) 月も星も風も真名だからややこしいW(ヒトヤ) 脈絡がwいきなり星出てくるは風は白目のままで・・・ 突っ込んだら駄目なんすかねw(村主7) ・・・・・・怖すぎるわ!!!!!!(sink6) |
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