飛天の御使い〜幕間・七〜 |
はじめに
この作品は幕間ですが、サイドストーリーではありません。
キャラ崩壊、世界観崩壊 超短編ですが
ご容赦ください。
飛天の御使い〜幕間〜 蜀&壬生狼編
益州・成都
孫呉の兵がいなくなった荊州南部を制圧した劉璋は上機嫌だった。そんな劉璋の様子を見に来たのは、孫呉での暗躍を勤めた剪定者・天蓬だった。
「おやおや劉璋殿、今日は随分とご機嫌が麗しいようで。」
「ん?おぉ、天蓬殿か。いやいや、こんなに気分のいい日はないぞ。この大陸の情勢は、2国に絞られた。私に楯突く愚か者は北郷を除いていなくなったのだ。曹操の小娘も、孫呉の世間知らずも、だ。あとは我が屈強な兵たちが北郷を血祭りに上げることで、この私の天下が実現する。そうなれば形だけの劉協を排除し、この私が新たな帝国の帝として君臨するのだ。逆らうものは全て殺しつくして、私に忠誠を誓うもののみを選りすぐって最強の国を造る。そして周辺各国へ宣戦布告したのちにそれらの国を併呑し、この大陸の王として君臨するのだ。」
劉璋の夢物語のような壮大な野望を聞いて天蓬は苦笑いを浮かべる。
「劉璋殿、大変申し上げにくいことなのですが・・・・。」
「なんじゃ?」
「我等は役目を終え、天に帰ることになりました。」
天蓬のその言葉に劉璋は表情を変えると
「なんじゃと!いよいよこれからという時に天に帰るじゃと!それでは北郷との決戦はどうするんじゃ?そもそも、そなたらの方から北郷との決戦を申しておったではないか。」
「えぇ、そうなんですけど・・・・。天のお告げといいますか・・・・。しかし、ご心配なさるな、劉璋殿。貴方に素晴らしい置き土産を用意しております。」
そういうと天蓬は数人の人間を連れてくる。
「なんと!これはどういうことじゃ?」
「我が神仙が生み出した最高傑作ですよ。先の戦では「反魂の術」を使って孫呉を手玉に取りましたが、いかんせん生前の記憶を持ち合わせているという欠陥がありました。しかし、これらは劉璋殿の命を聞く忠実な家臣、いや道具です。それに奴らを凌駕するほどの力を備えております。さらに、傀儡兵を50万ほど用意させていただきました。劉璋殿の軍の兵数と足せばその数は100万を超える。これならば北郷に遅れを取ることはないでしょう。これが我らの置き土産です。気に入っていただけましたかな?」
天蓬の言葉に劉璋は卑下た笑みを浮かべながら
「素晴らしい。これほどの力があれば北郷軍など恐れるに足らん。貴殿がいなくなるのは心細いが、これだけの置き土産をもらってそれは贅沢というもの。有難く頂戴する。」
そんな嬉しそうな顔をする劉璋を冷たい視線で見つめる天蓬。
(ふふふ、せいぜい我らのために踊ってもらいますよ。)
某所
「ようやくこんな辛気臭い気分から解放されるな。」
満面の笑みを浮かべていたのは壬生狼の原田だ。
「まぁ、そう言うな原田。これからはお前好みの戦だ。今までの鬱憤はそこで晴らせばよかろう。」
原田を宥めるように声を掛けるのは共に袁家に出向いていた鈴木だ。
「そりゃそうなんだけどよぉ、あの劉璋って奴はやり方が汚ねぇんだ。チマチマネチネチ嫌なところを突くようなやり方なんて俺の性にあわん。戦いってのは互いに力の限りを尽くすような清々しいものじゃなきゃ。」
「原田、そんな事を言ってるから南蛮で不覚を取るんだ。」
二人のやり取りを見ていた巨躯が言葉を挟む。
「なんだよ、谷。お前には俺の気持ちが分からないとでも言うのか?」
「そうは言ってない。だが、我らには常に『勝利』を求められている。お前のような真っ向勝負では分の悪い相手なのだ、北郷軍というのは。」
谷がそういうと原田はすかさず突っ込む。
「そういえば谷、お前たちも北郷軍にやられたんだったな。」
「あぁ、あの関羽という者、流石は歴史に名を残すだけのことはあった。あんな華奢な体躯で俺と変わらぬ剛力には正直驚いた。それにあの張飛と申す娘もだ。あんな小さな身体の何処にあのような力があるというのだろう。」
「北郷の3闘神は侮れんということだな。」
谷の言葉に脇から口を出したのは斉藤だ。
「俺はあの一刃とかいう奴の秘められた力の方が恐ろしいと思うぞ。あれほどの男は幕末のときに会った『あの男』くらいだ。いや、あの男よりも恐ろしさを感じたほどだ。」
「ほぉ、斉藤君がそこまで評価するのも幕末以来ですねぇ・・・・。」
斉藤の後方から声が掛けられた。その声の主は斉藤と共にいた内の一人、武田だ。
「幕末のあの時、斉藤君を瀕死の状態まで追い詰めた人斬り・河上彦斎。彼はそれを彷彿とさせる逸材というわけですか・・・・。それは興味深いですね。でも特筆すべきは北郷。最後の立ち塞がるのは間違いなく北郷です。奴の強さは天下無双。普段の我らでは彼の本気には手も足も出ないでしょう。」
「へぇ、あの『甲州流軍学・武田観柳斎』にそこまで言わせるなんて、本当に凄いですね。」
武田の話に口を挟んだのは藤堂だった。藤堂はニコニコ笑顔を絶やさずにいたため、周囲からは笑みが零れる。
「全く・・・・、緊張というものを知らないんですか?藤堂君。」
「いやぁ、僕はその『北郷』という人と戦ったことがないですからね。そんなに強い人なら一度は戦ってみたいじゃないですか。」
満面の笑みでそういう藤堂に、周囲の人間はため息をついた。そんな藤堂に声を掛けたのは永倉だった。
「平助!北郷を甘く見るな。私や総司が術符を使っても奴には勝てなかった。それくらい人智を超えた強さなのだ。奴を仕留めようと思うのなら・・・・・。」
「我ら壬生狼の中の四天王、近藤局長、沖田、永倉、藤堂4人がかりでなければ難しいだろうな・・・・。」
永倉の言葉に武田が続いた。その言葉に周囲の人間は頷く。
「それに北郷以外にも例の3闘神を始め、飛将軍・呂布、神速の張遼、西涼の錦馬超と猛者が揃っておる。そんな猛者を我らで相手せねばならん。我が壬生狼の1番隊から10番隊まで総出であっても厳しい戦いになろう。」
「そういえば、ずっと気になっていたんだが・・・・、歳さんは?」
素朴な疑問とでもいうように質問をしたのは斉藤だった。その斉藤の問いに一同は「はっ」とさせられる。
「「「「「そう言えば・・・・・・・。」」」」」
一同の間に言い知れぬ雰囲気が漂ったのだった。
あとがき
いよいよクライマックスに向けての幕間でした。
今回は蜀の劉璋と壬生狼がメインでした。
次回は北郷軍にスポットを当てる予定です。
ちなみに一応、新撰組に詳しくない方のために予備知識として
資料をお付けしておきます。参考までにどうぞ。
新撰組局長:近藤勇
副長:土方歳三
一番隊組長:沖田総司
二番隊組長:永倉新八
三番隊組長:斎藤一
四番隊組長:松原忠司
五番隊組長:武田観柳斎
六番隊組長:井上源三郎
七番隊組長:谷三十郎
八番隊組長:藤堂平助
九番隊組長:鈴木三樹三郎
十番隊組長:原田左之助
次回予告
背後からの攻撃に自分の死を予感していたが、その刃は届かなかった。
流れるような剣戯に目を奪われた・・・・。目の前の男が口を開く。
「お前の太刀筋には迷いが見える。」
「俺と共に来ないか?俺ならばお前を導いてやれるかもしれん。」
「俺か?俺の名は・・・・土方。・・・・・・土方歳三だ。」
説明 | ||
今回の幕間はサイドストーリーではなく 本編に関係しております。 決戦前、蜀&壬生狼編です。 超短編ですが、ご容赦ください。 次回は北郷編になります。 なお、今回は本編に関わりますので一般公開にしております。 |
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コメント | ||
西湘カモメさん 小分けに出演させていた新撰組隊士たちもいよいよ最後に残すは土方のみとなりました。この土方が一刀たちにどう接していくのか、それが今後の肝です。武力では近藤四天王に及ばずも、土方の強さは武とは違うところだと筆者は思っております。(eni_meel) いよいよ鬼の副長と、新撰組隊士や維新志士に恐れられた、土方歳三が表舞台に登場ですか。新撰組を実質統率し幕府の為に冷徹になった熱き男。彼の存在が外史に何を齎すのでしょうか。そして一刀と対決するのでしょうか?(西湘カモメ) |
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新撰組 劉璋 壬生狼 天蓬 斉藤一 武田観柳斎、藤堂平助 恋姫†無双 | ||
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