魏であふたぁぬ〜ん 真4 |
―魏国―
全ての準備と各々の気持ちの整理が完了し、魏の主だった面々が玉座の間に集まった。
彼女達はその中心で天へ赴く者、見送るものとが向き合う形で並び、その時を待つ。
貂蝉 「さぁ〜〜てん、みんな準備はできたかしらぁ〜〜ん♪」
羅刹の如き体躯を揺らし、弾む様にその間に進み出たのは性別不明の漢、貂蝉
華琳 「え、ええ……こちらは準備完了よ」
顔を引きつらせ応える華琳、 この国の王とて怖れるものはあるし克服できない壁もあるのだ。
そんな彼女は先刻浸かった湯にて……
「べ、別に今日は汗をたくさんかいたからだし……そ、それに……その、一刀なんかに私が恥じなんてかけないもの……」
などと独り言をつぶやき、 全身を、特にアノ部位を念入りに洗っていた事は誰にも知られてない。
春蘭 「おお、いつでもよいぞ!!」
大手を振り上げ元気よく応える春蘭、 顔に満面の笑みを浮かべ、いかにも機嫌がよい。
そんな彼女は先程まで自室にて……
「ふにゃ〜〜〜〜〜〜ん、 むふふぅ〜〜〜〜♪ かずとぉぉ〜〜〜〜……」
と、寝台の上で自作の一刀人形を抱き、悶え転がっていた事は、少し開いた扉から見てしまった双子の妹だけの秘密だ。
風 「風にぬかりはないのですよ〜〜〜」
今だ頭に変な人形を乗せている風、 普段と変わらない感じに見えるが、移動手段が全てスキップに変わっている。
そんな彼女は、少し前まで机に向かい……
「親友の稟ちゃんには悪いですけど、実は風は、愛に生きる一流の乙女だったりするのですよ〜〜 ふふ」
などとつぶやきながら、魏の面々へ宛てた別れの手紙をちゃっかり用意していたりした。
凪 「は、ははははい!!」
顔を真っ赤にし、直立のまま応えた凪、 心から待ちに待った瞬間が近づいて来ている事への興奮と緊張で、ガチガチに固まっている。
そんな彼女は、束の間に人目を避け……
「隊長……ん、隊長……あっ、ん…は、……ようやくっ、……隊長!! あぁぁん!!」
と先走る感情を一人で慰めていたのは、その声を聞かれていた事により周知となっている。
天和 「ばっちりだよ〜〜〜」
常以上にほんわかとした雰囲気ではしゃぐ天和、 鼻歌交じりに踊りだし、全身で喜びを表現している。
そんな彼女のそばには、抱える程の大きさの箱と大量の塩が用意されており……
「これに一刀いれて連れて帰ってくるからね〜〜〜♪」
と言って、二人の妹を卒倒させる程の新たな属性が開花しつつある。
貂蝉 「いいお返事ね、 それじゃあいくわよん」
体を艶かしくひねりながらバケモノが股間の布から鏡を取り出す。
魏一同 「…………」
その光景に一斉に引いてしまう女性陣。
手鏡より少し大きい程のそれが、ぎりぎり隠せるものしか隠せていない少さな面積の履物の中からどうやって出てきたのは不思議だが、それ以上にとり出された部分がとても大変よろしくない。
貂蝉 「あらん? どうしたのん?」
華琳 「い、いや……ま、まぁいいわ。 不問にしましょう…………それより、秋蘭、桂花」
秋蘭 「はっ」
桂花 「はい」
華琳 「貂蝉の話だと向こうとこちらでは、流れる時間に多少のズレがあるという話よ。
そんなに大きく違う事はないらしいけど、私の留守はあなた達二人にまかせるから期待には応えて頂戴。 特に五湖との婚儀の件に関しては慎重にね」
秋蘭 「御意」
桂花 「畏まりました」
華琳 「後は……そうね、そちら側でまだ言い残した事はあるかしら?」
そういって手に持った紙の束を留守番組に向けヒラヒラと主張し、念を押すように聞く。
その紙の一枚一枚には、会えない者一人一人の一刀への思いが書かれていおり、本人へと渡す手はずになっている。
その手紙の内容が満足かを華琳は最後確認で問うているのだ。
ちなみに、その内の一つを匿名であげると
「更に美しくなった華琳様をこれ以上穢すな。 3分時間をやる、その後に滅びるがいい! バルス!!」
などの実に感情的で、涙を誘う内容ばかりである。
………
華琳 「……特には無い様ね」
しばし待ったが返される言葉がないのでそれで良しと受け取る華琳。
彼女らにしてみれば無い事はないのだろうが、その言葉「彼に会いたい」といった所で、もはや遅すぎる。
そしてそれがわかっている華琳だからこれ以上の言葉は続けない。
華琳 「では貂蝉、お願い」
彼女は一歩下がり出発の許可を出す。
貂蝉 「わかったわん、じゃあこの鏡を見て」
貂蝉は留守番組に背を向け、選ばれた5人にのみ見える様、鏡を掲げた
カッ
瞬間 鏡からまばゆい光が発せられ、前に立つ華琳達を包み込んだ。
稟 「こ、これは!?」
周りが何事かと目を凝らし見ればなんと、鏡に近い者達から順にその姿が消えている。
季衣 「す、すごーい!」
一人、また一人と徐々にその姿が消えていく
秋蘭 「な、なんと!」
やがてすっかり姿を消した4人、残るは華琳只一人となった。
桂花 「華琳様!!」
その彼女も半分以上が光に呑まれている
華琳 「安心なさい桂花、大事ないわ」
臣下への無事を知らせる華琳 ――その時
霞 「あぁぁぁぁもう!! やっぱ無理や、我慢できん!!!」
ダッ
「「「!!!」」」
突如留守番組からあがった叫び声、その主が鏡へと駆ける
真楼 「ちょっ、姉さん!! 危ないて」
沙和 「なにするつもりなの〜〜〜」
ガバッ
咄嗟に反応し、羽交い絞めでその行動を食い止める流石の警備隊二人
霞 「離しぃ、うちは一刀に会いたいんや!! 誰にも邪魔させへん!!!」
ズルズル
しかし彼女は歩みを止めない
地和 「ちょっ、とぉ、何、一人だけ、わがまま、言って、んのよ!!」
人和 「そ、うです、みんな、我慢、し、て、るんですよ!!」
次第に三人、四人と霞の重りが増していく
ググググググググ
霞 「そ、んなん、知るかボケェ!!!」
それでも彼女は譲れぬ想いを胸に前へ、前へと進む
貂蝉 「……あらあらん、霞ちゃんってば見かけによらず乙女なのねぇ♪」
華琳 「霞!! いい加減になさい!!!」
霞 「いやや!! 華琳のいう事でも聞く気せぇへん!!!」
胸部から上のみとなった華琳がもはや見過ごせないと霞を諫める が、聞く耳は持ってないらしい
華琳 「……はぁ、まったく…………霞、私は[覇王 曹孟徳]よ。
その私が欲し、一度手にしたものを失ったままにすると思っているのかしら?」
霞 「っ!? 華琳、それ……まさか」
華琳 「私を信じなさい。 これは命令よ」
霞 「!!」
華琳 「……」
霞 「……」
霞はするどく射抜く様な目で華琳を睨み、彼女もそれを正面から堂々と受け入れる。
霞 「…………裏切ったら、ただじゃおかんで?」
華琳 「私に二度は無いわ」
その言葉にようやく足を止めた霞、もはや首だけを晒す華琳。
桂花 (あぁ、さすが華琳様。 首だけでもなんと美しく気高い事か……)
貂蝉 「ちょと、ちょっとぉ……それじゃあ契約違反よぉ?」
華琳 「先に私との契約を破ったのは向こうよ。 こちらが律儀にそれを守る必要なんてないわ」
貂蝉 「どぅふふ♪ そこまで強い気持ちをぶつけられちゃあ応援したくなっちゃう!
それは限りなく不可能だけど、同じ乙女として期待してるわぁん」
華琳 「同じにしないで!!!」
カッ
その華琳の言葉を皮切りに、一際強い光が辺りを一気に飲み込み、静かに収まっていく……
………
やがて残ったのは以前と変わらぬその場と、王なき国を任された者達。
秋蘭 「行ってしまわれたか……」
桂花 「華琳様……どうか綺麗なままで帰って来てください」
季衣 「ねぇ流琉、華琳様、本当に兄ちゃんを連れて帰ってくるかな?」
流琉 「私は信じるよ。 季衣」
稟 「そうですね。 華琳様だけでなく、我らの想いが一つになればきっと……」
真楼 「やねぇ、やっぱ隊長おらんと警備隊もしまらんしな」
沙和 「そうなの〜〜、隊長がいないとつまんないの〜〜〜」
地和 「……姉さんが塩漬けにして持って帰ってきたりは……ないよね?」
人和 「…………信るしかないわ……」
この世界へ再び落ちる希望を残し……
霞 「……華琳……約束やで」
覇王とその一行は天へと旅たった。
拝啓 親愛なる華琳様へ
とある郊外、とあるアパート、とある一室、とある種馬の性活録。
一刀 「せ、世界……さん?」
何度も何度も目の前の彼女と、その手を交互に目やる。
手に刃渡り22〜24cm程の〈人を刺殺するのにもっとも適しているとされる長さ〉刃物を持ち、ゆらりと立つ世界。
最近の女性アクセサリーは実に奇抜だと関心する。
(ドドドドドドドドドうなっているんだ? と、とりあえず順を追って状境を整理しよう!!)
「合コン」 ― 「お持ち帰り成功」 ― 「さぁショータイムだ」 ― 「まずはキスから」 ― 「だが断る」 ― 「よろしい、ならばちょっと殺し合いをしてもらいます」
(よし!! さっぱりわからん!!!)
世界 「……なんで……私、こんな思いしてるの? あの娘より絶対私の方が……」
一刀 「……あの娘?」
世界と目が会う。 その瞳には光がなく、その顔には感情が殺され、
その雰囲気は以前、あの世界の戦場で見た、狂った様に殺しあう兵士達に似ている……
結論をいうと精神状態がまともじゃないという事だ。
(目〜と目〜で通じ合う〜〜♪ た〜しかに〜〜 ん 殺るっぽい〜〜〜〜♪)
一刀 「くどうしずかのことかーーーーーーー!!」
世界 「っ!!」
ヒュン
一刀 「!?うひょーーーーーーーー!!」
頬をかすめ、鋭く光る世界の刃物
俺をうつろに捉えて逃がさない世界の瞳
世界 「ウアァァァァァァァーーーーーーーーーーーー!!」
奇声と共に世界が刃物を振り上げる。
彼女の得体の知れない気迫に圧倒された俺は体の反応が追いつかない
向こうでそれなりに命のかけ引きをして度胸はついたつもりだが、コレはなんというか…
…まったく別種類の恐怖だ。
世界 「アアアアアアアアッ!!!」
ブンッ
眼前に迫る刃物
(これまでかっ?)
−回避アビリティさん−
『危険察知!! 直ちに右舷へ回避します!!』
スカッ
世界 「ッ!?」
一刀 「うひょ?」
あきらめた思考とは逆に、体が勝手にその一撃を右へ転び避けた。
どうやら魏のみんな(特に春蘭と桂花)に鍛えあげられた回避本能がこの極限で目覚めたらしい
(ついに彼女が目覚めたか……)
−回避アビリティさん−
『よろしくお願いします』
(うむ、くるしゅうない)
簡潔に脳内相棒へのあいさつを済ませる
世界 「……ドウシテ…ドウシテ避ケルノ? ……」
一刀 「いや…どうしてって………ねえ…」
(どうして?はこっちのセリフだろ……)
狭い部屋の中、じりじりと俺は彼女から距離をとる。
難はいまだ去った訳ではなく、むしろその周りに黒いオーラが見えるぐらいには彼女が俺に与える恐怖は増している。
世界 「……」
−回避アビリティさん−
『危険数値上昇中、回避Lv3 即時この場から撤退します!!!』
一刀 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ダダダダダダッ
彼女に背を向け俺は一気にドアへ向かい駆ける。
急ぎドアノブに手を回し鍵を開けドアを開………
ガチャン
一刀 「なっ!?」
……かなかった。ドアにはなぜか、掛けた覚えの無いチェーンが掛かっている。
世界 「私ガシメタンダヨ。 二人キリノ時間、邪魔サレタクナイモン……」
一刀 「ひえぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇえぇぇぇえぇぇ!!」
言葉に振り返れば、なんとすぐ後ろに世界の顔。 こいつ忍者か!?
(やべっ、ちびった)
世界 「ズット二人デ居ヨ………ネ? マコト…」
彼女がその手を振りかぶる
(マコトって奴がどこの誰で、どんな男か知らんが、とりあえず逝ってよし!!)
しかし、その時―――
ドドドドドドドドドドドッ
一刀 「ん?」
世界 「っ!?」
−回避アビリティさん−
『 緊急警報 緊急警報!! ヤツが来ます!! 至急扉の前から非難して下さい!!!』
一刀 「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇいぃ!!!!!」
世界 「きゃっ!!」
ドアの向こうから聞こえる轟音に、一瞬怯んだ世界。
俺はその隙をつき疾風のごとく飛び掛ると、彼女を押し倒し――― かばう
ドッガアァァァッァァァァァン
一刀 「うへっ!?」
世界 「なっ!?」
ドカッ
一刀 「ぎゃふん」
世界 「!!!」
それと同時、計ったようなタイミングで背後から爆発音のようなものが聞こえ、俺の背中に何やら重いもの……っていうか、明らかに今の「何か」で外れたドアが圧し掛かる。
が、その衝撃が下敷きにしている世界にまで伝わらない様、俺は肘と膝を立てて耐えた。
世界 「かず……と?」
一刀 「そうそう、一刀。 誠の男と書いて [北郷一刀] だよ」
眼前の世界に笑って応える。 正気に戻ったのか目には光が灯り、その顔からは驚いた感情が見える事に俺は安心した。
(こうやって間近でみるとやっぱり可愛いな……)
世界 「一刀……その……ごめんなさい……私……最近ちょっと嫌な事あって……ちょっと自棄になってて……その――」
その体勢のまま 一気に正気へ戻った反動なのか、世界が眼に涙なんか浮かべて謝ってきた。
一刀 「別に気にしなくていいよ……だから泣かないで」
片手を持ち上げ俺はその涙を拭う
世界 「で、でも……あなたに……刃物を向けて……あの……」
「殺そうとした」とでも言いたいんだろうか、確かに普通なら謝ったくらいじゃあすまされない事だろうけど……
一刀 「何か辛い事があったんだろ? 多目にみてやるから、無理して言わなくていいよ」
まぁ、こういうドメスティックバイオレンスみたいなのに慣れてるから簡単に許せてしまったりするのだ。
世界 「…………ありがとう、一刀……優しいんだね……すごく」
まだ感情が昂ぶっているのだろうか? 世界は顔を蒸気させ、瞳を潤ませている。
一刀 「だからいいって、そういうの結構慣れてるしさ」
世界 「慣れてる?」
一刀 「そう、信じてもらえないかもしれないけどさ 昔、すっげぇ馬鹿力で、馬鹿デカイ刀振り回した馬鹿に毎日の様に追い回されてたんだぜ?」
その時、ふと、世界の視線が俺から外れ、俺の背後に移る
世界 「……その人って女の人?」
一刀 「え……うん、まあ……」
あせる。 先程こういう話題で彼女は豹変したのだ、謎の爆発事故のおかげで収まってはいるが、あまり深入りしない方がいいかもしれない
(ん? そういえば何が起ったんだ?)
世界に集中しすぎて俺はとても大事な事を忘れている気がする……
世界 「ねぇ……その女の人って……眼帯してたりする?」
一刀 「え? あ、ああ……そうだけどなんで―――っ!?」
瞬間 背筋が凍り、粉々に砕け散った。
そう、俺が忘れていた……いや無意識に避けていたのかもしれない背後からの気迫……
なんとなく懐かしいその正体……
ギギギギ
油がきれたロボットの如く、俺はまったく動かない首を強引に回し振り返る。
―――そこに居たのは
春蘭 「…………なぁ北郷……貴様は頸が飛ぶのと胴体を無くすの……どちらが好みだ?」
―――鬼神だった
一刀 「ひえぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ〇#&%△’’^!!!!!!!!!?????」
−回避アビリティさん−
『緊急警報 緊急警報!! 危険Lv計測不能!! 対処不可能です!!!』
(ちょ、遅っ!!!)
−回避アビリティさん−
『空気を読んでみました!! てへ♪』
(こいつ……連邦軍のニュータイプか!!!)
春蘭 「ほんごおぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
一刀 「いやあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………!!!!!!」
説明 | ||
お送りします。 今だ駄文ですがよろしくお願いします。 |
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コメント | ||
ええっと、漢女類漢女目漢女科性別漢女じゃなかったっけ貂蝉は?・・・・一刀!いきろ!!(サイト) あらま〜・・・何も言わない・・とにかく生きろ!一刀!・・・・そういえば、窓から落ちたのはどうなったんだ??(スターダスト) 天和と世界が会った瞬間どうなるか楽しみな自分がいるwww(mighty) なんかここまでくると世界にも幸せになって欲しいな、誠から完全に一刀に乗り換えてさ、同じ女を囲ってる男でも誠と一刀は良さが違うし(ヒトヤ) 個人的には戻んなくていい。(摩天楼銀河) 安らかに眠れ一刀・・・南無阿弥陀仏・・・(劉炎) 一刀逃げて! めっちゃ逃げて!!(みっちー) そういやこの話では元凶(boat)は居ない設定なのでしょうか?それとも誰かの所に・・・ 次回一刀の運命は如何に!?(村主7) 誤字など後ほど修正します。みなさまに感謝感謝(はびゃ) |
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