禁断の・・・・・・ |
「少年、倉庫から椅子を持ってきてくれないか?
来ヶ谷さんからそういわれて、僕は倉庫に向かった。
倉庫に着き、目的のものを探すため電気をつけようと
したら背後から殴られ、僕は気絶してしまった。
しばらくして、僕は目を覚ました。頭は痛かったが、
出血はしていないようだ。
体の状態を確認するため僕は自分の体を見下ろした。
そこでふと気づいた。僕は女性徒の制服を着ていた。
まったく意味がわからない。なぜかサイズはぴったり
だった。
現状ではどうすることもできないので、当初の目的を
果たし、そのまま来ヶ谷さんに相談することにした。
椅子は簡単に見つかったので僕はすぐに倉庫をでた。
倉庫の扉を閉めたと同時に背後から声がかけられた。
「お、理樹じゃないかどうしたんだこんなところで」
恭介だった。
「来ヶ谷さんに頼まれて椅子を取りに来てたんだ」
恭介は特に興味もなく、相槌を打った。
「でも、中で誰かに背後から殴られたんだ」
「そいつは、散々だったな」
「おまけに女性徒の制服まで着せられて、意味がわかんないよ」
「似合ってるぜ、理樹、押し倒してしまいそうだぜ」
冗談だと思ったが、なぜか恭介は近づいてくる。
「きょ、恭介?」
「どうした、理樹」
僕は恐怖を感じ、あとずさる。
しかし腕をつかまれ、背後の壁に押し付けられてしまった。
「好きだぜ、理樹」
僕は本能的に危険を感知し、必死で拘束から逃れた。
その後は恭介から逃げることしか考えなかった。
必死に逃げていると、声をかけられた。
「どうした理樹、そんなに急いで」
謙吾だった。
よほど、僕が必死だったのか、謙吾は「大丈夫だ、何があろうと俺はお前を一生守ろう」
と言ってくれた。
僕はその言葉に安心し、謙吾に駆け寄ろうとした直後、背後から
「ざっけんな!理樹は俺のもんだ!」そんな言葉が聞こえた。
真人である。
「どっちがふさわしいか勝負しやがれ!」
「望むところだ」
何かおかしいと思いつつも僕はこの場を後にした。
走り疲れ、立ち止まっていると背後から押し倒された。
「やっと、つかまえたぜ」
もう逃げられない。恐怖が頂点に達したところで、「ぐは」と恭介は倒れた。
見上げると、レノンを抱いた鈴がいた。
「どうしたんだ?この馬鹿兄貴は」
いきなり蹴りを入れるのはどうかと思うが、結果的に助かったので何もいえない。
僕は、自室に戻って着替えた後すぐに恭介の元へ向かった。
目を覚ました恭介にさっきの記憶はなかった。後に出会った真人や謙吾も同じだった。
気になることはあったが、僕は皆とともに食堂へ向かった。
背後でカメラを抱えて、笑う影に理樹が気づくことはなかった。
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