真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第二十六話
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 「っつ!!、やっぱり峰打ちは無理があったな・・・」

 

俺は赤く腫れ上がった自分の手首を見ながら呟いた。

 

あの時、飛龍一閃を放った際、張遼を殺さないよう無理矢理手首を捻って峰打ちにしたのだ。

しかし、ただでさえ勢いのついた抜刀中に無理矢理手首を捻ったのだ、かなりの負担が手首にかかったはずだ。折れてなきゃいいけど・・・。

 

「大丈夫か主殿」

 

隣から華雄が心配そうに話しかけてくる。

彼女は、今まで軍を指揮して張遼の軍勢を足止めしていてもらっていたのだ。

 

「ああ、華雄、張遼はどうだった?」

 

「大丈夫だ。腹部に一撃を食らって気を失ったものの、命に別状はないらしい。

そんなことより主殿、その手首、一度医者に見せたらどうか?」

 

華雄は心配そうにそう言ってくる。確かに・・・段々痛みもひどくなってきたし、

これは医者に見せたほうがいいかな・・・。

 

「ああ、そうさせて・・・「ご主人様あああああ!!!!!」・・・って関平!?」

 

突然愛紗の声が聞こえたので後ろを振り向くと、愛紗が赤兎馬もびっくりな速度でこっちに向かって来ていた。そして俺の前で急停止した。

 

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「ご、ご主人様!!ご無事でしたか!!!」

 

「あ、ああ、関平も無事でよかった」

 

「はい!・・・ところでご主人様」

 

と、突如愛紗がじと〜、とした目つきで俺を睨んでくる。

 

・ ・・や、やばい。これはあれだ。俺が愛紗以外の女の子と一緒にいる時とかの目だ。

この後大体説教がくるんだ・・・。今はマジでやめてもらいたいのだが・・・。

 

「張遼はいずこに・・・」

 

「あ、ああ!彼女は今衛生兵に運ばれていったよ!!」

 

「・・・その前に、ご主人様は張遼と不埒なことをしておりませんでしたか?」

 

「してない!!絶対してない!!なっ、華雄!!」

 

 俺が華雄に話を振ると愛紗は華雄の方を向く。

 

「・・・本当か、華雄」

 

「う、うむ!!ほ、本当だ!!主殿は霞に指一本触れていなかった!!」

 

華雄の若干焦った答えを聞いた愛紗はようやく顔を和らげた。

 

「そうですか、変な質問をしてしまい申し訳ございません」

 

「全く、もしかして俺が張遼としてると思ってこっちに来たのか?」

 

俺が愛紗に質問すると、愛紗は顔を真っ赤に染めて俯いた。

 

「う、し、しかたがないでしょう!?ご主人様はいつもいつも他の女性に、色目を使って・・・」

 

なるほど、要は嫉妬していたって事か。それで呂布を速攻で倒してここまで来たのか。

ま、そういう所もかわいいんだけどね。

 

「やれやれ、愛紗はかわいいなあ」

 

「なっ!?ご、ご主人様!またそうやって私をからかって・・・」

 

 俺の言葉を聞いた愛紗は、さらに顔を赤らめる。俺はそれを見ながら愛紗の頭を撫でる。

 

 本当にかわいいよな〜、愛紗って。

 

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 「あ〜お楽しみのところ失礼するぞ、主殿、関平殿」

 

「!?」

 

「なあああ!!?」

 

突然の華雄の声に俺と愛紗は驚いて大声を上げる。

華雄はどこかきまり悪そうな顔をしていた。

 

「わ、悪い華雄!すっかり忘れてて・・・」

 

「いや、別にいいが主殿は手首を怪我されていたのではなかったのか?」

 

「なっ!!それは本当ですか!?ご主人様!!」

 

「あ、いや、まあ・・・「お見せください!」・・・ちょ、愛紗!っつ!!」

 

突然愛紗に腫れている手首を握られたため手首に痛みがはしる。

 

「・・・手首の骨が外れております。ご主人様!いったい何をなさったのです!?

敵の攻撃を受けたのではこうはなりませんよ!?」

 

「いやあ・・・飛龍一閃を使ったとき、峰打ちにする為に手首無理矢理捻ったら・・・」

 

「なんということを・・・!!いくら生け捕りにするためとはいえそのような無茶をするなど!!下手をしたら手首が折れていたかもしれないのですよ!?」

 

「うう・・・ごめん・・・」

 

俺の怪我を見て、さらに怪我のできたわけを聞いて愛紗はぷんすか怒る。それに対して俺はただ謝る事しかできない。・・・爺ちゃん、こんなチキンな孫でごめん・・・。

 

「とにかく!はやく医者に診せに行きましょう!!」

 

「わっ!!ちょっ!!愛紗!!い、痛い!!痛いから腕引っ張らないで!!う、腕が抜ける〜!!!」

 

 怒りながら俺の腕を引っ張っていく愛紗に、俺はただ絶叫をあげるしかなかった。

 

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劉表side

 

 「やれやれ、案外楽に落ちたな、虎牢関も」

 

劉表は虎牢関の城壁の上に立って隣にいる?越、蔡瑁に話しかけた。

 

 「はい、呂布と張遼の軍勢が後方に向かってくれたおかげで、虎牢関の兵力が減りましたからね」

 

 「おまけにお馬鹿な袁紹軍が馬鹿みたいに城攻めをしてくれましたから、敵軍が袁紹軍に釘付けになってくれましたわ。そのおかげで、私達は大した犠牲もなく虎牢関を攻め落とせましたわ〜。ホ〜ホッホッホッホ!」

 

 ?越は相変わらず無表情で、蔡瑁は高笑いしながら返事を返した。劉表はそんな二人を横目で見つつ袁紹軍に目を向けた。

 

 「しかし、今頃袁紹は歯軋りしていることだろうな。自分が虎牢関を攻め落とすつもりが、まんまと余に出し抜かれて手柄を奪われたのだからな」

 

 「まあそうでしょうね」

 

 「しょせん頭の足りないお馬鹿さんですからね〜」

 

 ?越、蔡瑁の言葉を劉表は黙って聞いていたがしばらくすると口を開いた。

 

 「ところで、洛陽のあいつからは報告は無いか?」

 

 「は・・・すでに準備は終えているとのことですが・・・」

 

  ?越の言葉に劉表は満足げに笑みを浮かべる。

 

 「そうか、それはいい。わざわざ面倒くさい演技をしただけある成果を期待できそうだ」

 

 「あの子も中々の演技でしたからね〜。私も演技とは気付きませんでしたわ」

 

 蔡瑁の言葉を聞きながら劉表は空を見上げた。

 

 「さて・・・祭りまでもう少し、か・・・・」

 

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 一刀side

 

「全く、ご主人様も無理は大概にしてください!」

 

「何度も聞いたよ!全く、もう手首も治ったのに・・・」

 

「そういう問題ではありません!!」

 

あの後、医者に手首の間接を嵌めてもらったんだけど、その後もこんなふうに愛紗に説教を受けている。

 ・・・もう治ったんだし止めてほしいんだが。

 はあ・・・、もう飛龍一閃は使わないほうがいいかな・・・。

 

「関平、痴話げんかもそれぐらいにしてくれ。これから捕虜への尋問があるのだからな」

 

「なっ!?め、冥琳!!」

 

 冥琳の言葉を聞いた愛紗は恥ずかしがって顔を赤く染める。

 ついでに俺への説教も終了する。うう・・感謝するぜ冥琳。

 

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 その後捕虜である2人、張遼、呂布が連れて来られたんだけど・・・・。

 

 「・・・・誰?」

 

 「・・・・誰だ?」

 

 俺達の目の前には2人以外に体に包帯を巻いた小さな女の子がいた。

 

 「!お、おのれ〜そこの女〜。ねねの事を忘れたとは言わせませんぞ〜!!」

 

 「い、いや、私はお前のことなど知らんぞ?」

 

 「とぼけるなです!!恋殿の仇を討とうとしたねねを吹き飛ばしたではないですか!!」

 

 「なに?・・・・あ〜!確かに誰か吹き飛ばしたと思ったが、お前だったか!」

 

 女の子は、愛紗の言葉を聞いて不満そうに頬を膨らませていた。

 

 「む〜ねねを忘れるとは失礼な女です!今こそ成敗して・・・「・・・ねね、駄目」・・・

 れ、恋殿〜!!?」

 

 呂布の声を聞いた女の子は、驚いた顔で呂布を見た。

 

 「せやで〜、うちらは捕虜やからな〜。下手なことしたら首とぶで〜」

 

 「ぐぬぬ〜・・・」

 

 張遼の言葉を聞いても、なんかまだ納得いかないって顔してるな・・・。

 まあとりあえず治まって良かったけど。

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 その後尋問、というより呂布達虎牢関の将への説得を行った。

 俺達が董卓達を助けるために動いてることを話して、彼女達を救いたいことを話すと

 3人とも俺達に投降してくれることになった。

 

 その後、彼女達と自己紹介しあった。ちなみにあの小さな女の子は陳宮であった。

 正史では呂布に最後まで付き従った軍師だったけど、なるほど、恋によく懐いている訳だ。そして真名も教えてくれたけど、愛紗がうっかり間違えて、(というか俺と冥琳以外間違えていたな)呼んだため再び怒り出したな〜。止めるの苦労したよ。

 

 その後、新たに仲間になった4人から情報収集をした。

 

 「まず、洛陽の兵力についてだが、どの程度だ?」

 

 「約4万といったところだろう。まあまともに機能していればの話しだが」

 

 「ついでに連合軍の兵力みたら戦意喪失するかもしれへんしな〜。あんまあてにならんで?」

 

 冥琳の質問に華雄と霞はすらすらと答える。

 

 「次だ。その軍を率いているのは誰だ?」

 

 「・・・詠と韓嵩」

 

 今度は恋が答えたのだが、詠はともかく聞いたこともない人名が出てきた。

 韓嵩・・・。聞いたことの無い人名だな。誰だ?

 

 「詠?誰かの真名なの?」

 

 「ああ、詠っちゅうんは賈駆っちの真名やな」

 

雪蓮の質問に霞は答える。まあそれは分かってるんだけどさ・・・。

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 「なあ霞」

 

 「何や?ご主人様」

 

 ああちなみに董卓軍の将は俺と愛紗が面倒を見ることになった。

 そういう訳でねねと華雄以外はご主人様と呼んでいる。

 

 「その韓嵩ってどんな人だ?」

 

 「十常侍と繋がっているいけすかん女や!

 あいつが月達を監視してるおかげで月達は反抗できへんのや!!」

 

 「もともとは劉表の部下だったらしい。だが十常侍から位を与えられた際に劉表の怒りを買って逃げ出してきたとの事だ」

 

 俺の質問に霞と華雄はそう答えた。

 

・ ・・そうだ。確かに劉表の配下に韓嵩って武将がいたな。

確か許都に出向いたときに帝から位を貰って、そのせいで劉表に投獄されたんだっけ。

 

 「劉表・・・ね・・・」

 

 霞と華雄の言葉を聞いた雪蓮はそう呟いて虎牢関になびく、黒い劉旗を険しい表情で見詰めていた。

 

 その後も二人への質問は続き、やがて、袁紹軍から洛陽に進軍する指令が出た。

 そして俺達は、洛陽に向けて進軍を開始した。

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あとがき

 

 どうも皆さん、二十六話投稿完了しました。

 

 今回の作品ではようやく音々音登場です。

 

 ちなみに愛紗に吹っ飛ばされた件で愛紗とは相性悪いです。

 

 あと最後にオリキャラが一人登場しました。

 

 さて、次はようやく洛陽編、長かったですよマジで。

 

 では次回お楽しみに。

 

 

説明
 皆さん、何とか二十六話投稿完了しました。
 今回は虎牢関終了後の話になります。
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コメント
埋伏を仕掛け、先の行く末を祭りと言う・・・どこの黒幕なんだ劉表は・・・;とにかく三人が無事下ってくれて良かったです。何やら月や詠の周りも不穏なようですが、無事助け出せることを期待したいです。(深緑)
祭りねえ。いやな感じにしか聞こえないなあ。(ZERO&ファルサ)
劉表、一体何を考えている・・・。そして一刀、死ななくてよかったな。(笑)(BLACK)
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