真・恋姫†無双 星と共に 第28章 |
真・恋姫†無双 星と共に 第28章
魏軍は成都前まで到達した。
そして戦いの前に華琳と劉備の舌戦が始まり、二人の主張がぶつかりあい、舌戦が終わると同時に戦いは始まった。
一刀と星は次々に兵士達を倒していく。一刀は満月と新月の刃を逆にし、峰打ちにしていた。
前線で戦っている春蘭の前に馬超が出てきた。
「見忘れたとは言わせないぜ!」
「面白い、さっきの雑魚二人よりは楽しませてもらえそうだ!」
「三人をたった一人で相手にする気か? いくらなんでも傲慢すぎるぜ!」
「一人じゃないさ」
「せやなぁ。ならウチらも混ぜてんか?」
そこに一刀と霞がやってくる。
「なんだ、来ずとも良かったのに」
「そういうな、これで三対三の良い勝負が出来るだろ」
「……勝手にしろ! 私はこちらの強い方をやる!」
「いや、ここはじゃんけんで平等に決めよう」
「じゃんけん?」
一刀はじゃんけんで誰が誰を相手にするかと提案し、春蘭と霞もそれに乗った。
かなりの戦場なのに…。そして結果は一刀は馬超、春蘭は魏延、霞は馬岱になった。
「さあ、やろうか」
「いくぞ!」
馬超と一刀の熾烈な打ち合いが始まる。
馬超が攻撃してくるのが……、一刀は新月で防ぐ。
「くらえ、快刀乱魔!」
馬超の槍を何度もはじくように、満月と新月を振り上げ、満月を何とか馬超の腹部に命中させる。
「くっ!」
「殺しはしないよ」
「くそ!」
馬超は一時撤退した。
そして少しして、成都から本隊が現れた。
「いよいよ本隊が来たわね」
「ああ、行こうか」
華琳と一緒に並ぶ一刀。
「聞けぃ! 魏武の精鋭たちよ!
長く苦しいこの遠征も、いよいよ最後の一戦となった!
黄巾の乱より始まった大陸の混乱も、半董卓連合、そして官渡から連綿と続くこの戦いによって、いよいよ収束を見る!
全ての戦いを思い出せ! その記憶、その痛みと苦しみ、経験と勇気の全てを、この一戦に叩き付けるのだ!
魏武の王としてではなく、この国を愛する者として皆に願う! 勝て! そして素晴らしき未来を手に入れるのだ!」
その様子は成都の城門でも見られており、劉備は対抗して兵の皆に言う。
「大陸の平和のために……」
そして華琳も…。
「大陸の繁栄のために……」
「「総員、突撃ぃぃぃぃっ!」
魏と蜀・呉の完全な総力戦が始まった。皆、それぞれ激戦を繰り広げる。
戦いを城壁から見守る劉備、そこにやってきたのは……。
「はあああああああああああああ!!!」
何と華琳であったのだ。
「大将が敵陣に乗り込むなど…一体どういうつもりだ!」
「どうもこうも。他に本陣に乗り込める子がいなかっただけのことよ。一刀は来れたみたいだけど…。
使える駒が無いなら、王を使えば良いだけ。違う?」
「それに王がいかなきゃいけないときもある」
そこに何と一刀と星まで上がってきたのだ。
「増えたか……
「でもこっちにはまだ蒲公英たちが…」
馬岱が威勢を張る。
「ふふ…あなた達が私達の相手になると思っているのかしら?」
「今の俺には負ける気はない!」
華琳の殺気、一刀の威圧感はものすごいもので劉備や孫権の護衛でいた者達でさえ、簡単には動けないでいた。
「こいつら、隙が無い」
「力量の差が分かったのなら下がりなさい。…私は蜀の王、劉備に用がある」
「私に?」
「ええ、あなた、私と一騎打ちしなさい……」
「え?」
「華琳」
「何よ? 止める気なら……」
「いや、その一騎打ち俺が引き受ける」
「あなたが?」
「俺も劉備には一つ、問いたい。だが、それは会話じゃなくて戦いでな……」
華琳は考える。
「いいでしょう。一刀、あなたに任せるわ。劉備、もし天の加護というものがあるならば、あなたはこの天の御遣いに勝てるはず。その時は私を討って、この戦いを終わらせればいい。
それともあなたの貫きたい理想は、天も越えられないほどちっぽけなものなのしから?
さきほどの舌戦で見せたあの強さは、天幕の屋根一つ支えられないほどの弱々しい理想なの?」
「曹操さん…」
「そうでないなら、違うと証明なさい。御使いを倒し、私の首級を討ち取って、高らかに我ら曹魏の兵にその真実を示しなさい」
「……わかりました」
そして門前において、劉備対一刀の一騎打ちが始まろうとする。
先に劉備と一刀の戦いが始まる。
一刀と劉備は戦うが、劉備は押される一方であった。
「もうおしまい?」
華琳が劉備に声をかける。
「はぁ、はぁ、はぁ…まだまだ!」
その時、遠くにいた関羽と孫策が来た。
「愛紗ちゃん……雪蓮さん……」
「そんなにボロボロになって……おのれ……曹操!」
「何かしら?」
「華琳を相手にするなら、私を倒してからにしろ!」
関羽が今にも華琳を襲おうとしているのを星が前に出る。
「星……」
一刀が星の方を向いている。
「スキありぃっ!」
一刀の隙を劉備が攻めるが、一刀はすぐに劉備の方を向き、その剣を打ち返す。
「きゃああああああ!!」
「悪いけど、さっきの状態に隙はない」
「はぁはぁ」
「桃香様、私にお任せください! このような輩、我が偃月刀で……」
「待ちなさい、関羽。…それ以上続ける事は、桃香に代わって私が許さないわ」
孫策が前に出て、関羽を止める。
「何ですと!?」
「分かっているようね、孫策。さすが呉の王」
「それはどうも」
「えええええええいっ!」
劉備が剣で突こうとするが、一刀は下から打ち上げるように満月を振るうが、劉備から剣は落ちない。
いや、一刀が手加減して落とさせなかったのだ。
しかも一刀は劉備との一騎打ちとして、満月以外の武器は華琳の近くにすべて置いてあるのだ。
つまり現在の一刀の武器は満月のみ。
しかし劉備を相手にするのにはちょうどいいハンデである。
「ひゃあ!」
「ダメだ! もう見てはおれん……!」
「それを見守るのが臣下の務めだろう」
今度は趙雲が関羽を止める。
「雪蓮さんや、星ちゃんの言うとおりだよ。愛紗ちゃん」
「桃香様!」
「曹操さんは、私に勝負しろって言ったの…。愛紗ちゃんでも、鈴々ちゃんでもなくて…この私に!」
「そう、それがあなたの全てを賭けて、天に挑みなさい。それが蜀の王としての務め。それとも、もうおしまいかしら?」
「まだ、まだ負けていません。ええええええい!」
劉備は剣を振りをするが、一刀も満月の横振りで返す。
「あんたにはまだ力があるはずだ」
「剣と取って構えなさい。足を踏み張り、腰を入れて…あなたの思いを剣に籠めて、天を越えてみなさい」
「はあ、はあ、はあ」
「来い!」
「私は…曹操さんや雪蓮さんがうらやましかったのかもしれない」
「強くて、優しくて、何でも出来て…! 私……何にも出来ないから……!」
「それは違うぞ!」
「何も出来ないという言葉は、自分が無能だという言い訳にしか聞こえないわ」
「あんたは剣も取らないで、かといって文官をすべるわけでもなく、何をしたかったんだ!?」
華琳は自分が言おうとした言葉を一刀に取られ、一刀が自分の言いたいことを理解したうえで言った事を悟り、華琳は一刀に任せようとする。
「それは……! 蜀のみんなの…王として!」
「それで皆仲良くと声を上げるだけか?」
「そうだよ!私は、皆が仲良くしてくれれば…それで良かった!」
劉備と一刀は話しながら激しく打ち合いをする。
「晴れた日は愛紗ちゃんと畑を耕して…雨が降ったら、朱里ちゃんや雛里ちゃんと、皆で鈴々ちゃんに勉強を教えて!
皆で笑って、仲良くすごせれば良かった!」
「だったらなんで、戦う? それが出来る時まで待てば良いのに…。
何で剣を取った? 何でこの時代に立つ覚悟を決めた?」
「私達だけが笑って過ごせる世界なんて、無理だって知ったから!
この世界は、私が知っているよりももっともっと広いって、気付いたから!
星ちゃんが旅をして、翠ちゃんとたんぽぽちゃんが草原を駆け抜けて…!
美以ちゃんが森でお昼寝して…紫苑さんは、璃々ちゃんといろんなお話をしているの…。
けど、皆がそうして笑っていたい世界には、黄巾党もいて、盗賊や山賊もたくさんいて…朝廷だって、悪い人がたくさんいて! …だから、私は作りたいって思ったの!
皆が笑って暮らせる、優しい国を!」
「それで?」
「そんなの甘いって。幻想だって分かってる! けど幻想を幻想って笑ってるだけじゃ、ダメだって!
だから私は立ち上がれた! 願うだけで何も出来なかった自分を変えることが出来た!」
「……で?」
「私は…変われたと思ってる! 一人じゃ何も出来ないけど…愛紗ちゃんや鈴々ちゃん、朱里ちゃんがいれば、私一人じゃ出来ない、もっともっと大きな事だって出来るから!」
「ああ……」
「だから、それをさすまいとする曹操さんが許せないの! 邪魔なの! この泣いてる大陸を笑顔にするやめには…曹操さんのやり方じゃ、ダメなの!」
「そんな事……誰が決めた!」
「!?」
「確かにお前から見たら華琳のやり方は間違っていて、自分が正しいと思っているのはわかる。
だがそれは他の人間から見たら逆の時もある!
それにそんな理想だらけの考え、華琳が気に入るわけが無い!」
とは言っても、一刀もかつては劉備と同じような考えであった。
しかし一刀と劉備には決定的に違うものがあった。
それは人を傷つける覚悟があるかないかである。
一刀はかつての世界で、天の御遣いとして祭り上げられたものの戦う事はできなかった。
それでも一刀は戦いから逃げなかった。戦いから逃げたらいけないと思う使命感もあった。
だがそれ以上に仲間と一緒にいたかったからである。
そして傷ついていく人達を見ることはある意味、義務でもあった。
今の劉備の会話を聞いていると、劉備の持つ理想の中には自分の理想のために傷ついたり死んでしまう人のことを考えていないような節があった。
一刀はそう感じていた。だから一刀は今、怒るのである。
「理想を持つのはいい。その理想を最後まで貫けばいい!
お前はそれを貫き通せなかった! だからあの時、華琳を襲った! 違うか!?」
「違う!」
「いや、俺から見たら違わない! もし違うのなら、王としてもっと現実を見ろ!」
「現実なんか朱里ちゃんや雛里ちゃんがいくらでも見てくれる! なら、上に立つ者はもっと遠くを見るべきでしょう?
そうしないと、いつまでたっても世界は良くなったりしない! 幸せになんかなれない!」
「それで目の前にある小石に気付かずにこけるのか。それでは何の意味も無い!
俺から見たらお前は小石につまづいてそのまま諦めた人間にしか見えない。
華琳は転んで躓いても、立ち上がれる人間だと俺は知っている! そして俺自身も!
お前は真の王にはなれない!」
「別に王じゃなくていい! 桃香様じゃなくて桃香でいい! 桃香がいてくれてよかったでそれでよかった」
「王になんてなりたくなかった? だったら最初っから王になるな! 俺がその任から解き放ってやる!」
一刀は満月を鞘に収める。
「(この一撃で決める)はあああああああ」
一刀は力を抜くかのように息を吐く。
「ええええええい!」
劉備が剣を大きく上から振り下ろす!
「北郷流剣術奥義!!」
劉備の剣が一刀の頭に後、数センチで届くであろう瞬間!
「飛龍一閃!!!」
劉備の剣は折れ、折れた剣先は地面へと突き刺さった。
今の技は北郷流剣術奥義『飛龍一閃』。
この技は無駄な力がない状態、つまりは完全な脱力が完了している状態で放てる技。
そして一刀の研ぎ澄まされた感覚で相手との間合いを読み、一気に抜刀する技である。
一刀は先ほどの劉備との打ち合いで無駄な力を消費することにより、無駄な力を抜く時間を短縮していたのだ。
「………」
劉備はその場に尻餅をつく。
「桃香様!」
「大事は無い、気力を消耗しすぎただけだろう」
「ごめん、愛紗ちゃん。負けちゃった」
「いいのです……桃香様……。よくぞ、ここまで……」
一刀はその様子を見て黙って満月を鞘に収める。
「華琳、後は任せる」
「ええ……」
一刀は武器一式を持って下がり、再び華琳が出る。
「さて、劉備」
華琳の前に立ちはだかる、関羽、張飛、趙雲。しかし華琳は劉備を討つ気が最初からないと皆に言う。
「なに?」
「それにさっきの一刀の攻撃、本気ならあの一太刀は劉備の体を斬って、劉備は死んでいたでしょうね」
そう一刀は最初っから華琳の気持ちを汲んで戦っていたのだ。
そして華琳は劉備と孫策に今までどおり自分達の土地を治めるようにお願いをし、それを二人は承諾。
「ここに永きにわたる戦いの終結を宣言する!」
その言葉と共に歓喜の声が上がる。
「終わりか?」
「いや、終わりではないぞ」
一刀は突然後ろから聞こえてきた声を聞いて、すぐにその声から距離をとり、満月の柄に手を添える。
一刀の側には一人の男が立っていた。
ような気がしたが誰も居なかった。
「今の声は……」
一刀は先ほどの声に不審がりながらも勝利をかみ締めるのであった。
おまけ
作者「第28章だ」
一刀「なんか俺が桃香に向かって放った技、他の作品で見たことあるのだが……」
作者「飛龍一閃だろ。あれは海皇さんの作品の『真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第二十五話』で一刀が使った技だ。
この話を書いた時、その作品を読んでな、書いたタイミングと投稿時間が被ってる事に驚いた。
そこで前の凌統のこともあったからいっそのことこの技も使わせてもらおうかなと思ってな。
そしてメールで聞いたところ許可をもらった。それで使わせてもらった。
まあ文章のところは許可は貰ってないから海皇さんのを見ながらこの作品の一刀に合うようなものに変えた。
まあもし相手が何か言ってきたら謝罪する予定だ」
一刀「それだけでいいがな……」
作者「それと暫定的だが、ようやく最終回を書き終えた」
一刀「何と!?」
作者「とりあえず三連休中にでも投稿しようかなと思っている。
そしてその後はディケイド×恋姫×三国志だ!
それでは!」
説明 | ||
この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。 | ||
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コメント | ||
私の創作した技、使っていただけて嬉しいです。別に文章使ってもよかったんですけどね。(海皇) 4pさすまい→させまい かな?(2828) 確かに桃香と一刀とでは覚悟の差がありますからねぇ。(poyy) |
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