真人VSXX |
「理樹よ。オレはついに出会っちまったぜ。究極の筋
肉を持った奴に。」
変なことを言い出すのは筋肉マニアの井ノ原真人。
「急にどうしたのさ。究極の筋肉って?」
「聞いてくれるか!究極の筋肉の持ち主のことを!」
限りなくどうでもいいが暇なのでとりあえず聞く。
「そう、あれはオレが食堂でメシを食ってるときのこ
とだ。奴は大胆にもオレのメシに足をのっけてきやが
ったんだ。」
「そ、それは確かに大胆だね…。ケンカを売ってるよ
うにしか思えない。」
「だろ!?流石のオレも頭にきてよ。拳を見舞ってや
ろうとしたんだが、全くかすりもしなかった。それど
ころかあざ笑うかのように辺りを走り回りやがったん
だ。」
「嘘でしょ!?真人が一発も当たらないなんて。」
真人の拳が通用しないうえに挑発のおまけ付きとき
た。確かに真人が究極と言い出すのも頷ける。どんな相手なんだろう。
「しかし、オレもやられっぱなしなわけにはいかねぇ。奴の動きに予想をつけて蹴りを見
舞ってやったんだ。それで、どうなったと思う?」
「どうなったと思うって、まさか、そんな!」
「そのまさかよ。蹴りは確かに決まった。そう思っていた。しかしそこには奴の姿は無く
オレの足の上に立ってやがったんだ。」
まるで中国の拳法の達人みたいだ。ふと黄色いトラックスーツを着た昔のアクション俳
優を思い出した。
「流石のオレも恐怖した。必死に振り払ったさ。そうすると運良く奴がひっくり返った。
これはチャンスと踏みつけた。何度もな。だが、真の恐怖はこれからだった。」
「……。」
絶句した。どうなるか想像もつかない。
「そう、奴は何度も踏みつけたにも関わらず動いてやがるんだ。体をひきずりながらな!
奴の姿はオレにこう語りかけてきた。おまえにとっておきをみせてやる、ってな。」
「とっておき…。」
「その後、奴は壁によじ登って、オレめがけて飛んできやがったんだ!」
「凄い大技だね。そんなのゲームの中でしか見たこと無いよ。」
僕は頭の中に仮面を被った爪野郎が何か叫びながら真人に襲い掛かる様を想像した。
「流石にやばいと思ってよ。逃げ出しちまったんだ。情けねぇけどな。しかし、奴は見逃
してはくれなかった。奴はオレの背中に張り付きやがったんだ。」
「それって絶体絶命じゃないか!どうやってその危機を抜け出したの?」
「それはな。そのまま自分の背中ごと地面に叩きつけてやったのよ。それでKOさ。全く
動かなくなった。」
「凄いね!大逆転じゃないか。でも、それのどこが恐怖なのさ。」
「それはな、理樹。奴がいまだにオレの背中にはりついたままなんだ。」
「じょ、冗談だよね?大体姿が見えないじゃないか。まさか幽霊だとでも言うの?」
「そのほうがどれだけマシだったことか。いいか。奴は、素早い動きを可能とするしなや
かさ、何発もの攻撃に耐えうる強靭さ、その上さらに攻撃を仕掛けるしぶとさ、死して尚
オレの背中に張り付いて離れない怨念をも備えた。究極と呼べる筋肉の持ち主。そう、奴
の名は……。」
筋肉に怨念はいるのか?という僕の考えをよそに真人は僕に背を向ける。やめてお願い
だから見せないで。
「ゴキ…。」
「うわあああああああああああああああああああああ!」
真人が何か言い終える前に僕は走り出していた。1秒でも同じ空間に居たくなかった。
理由は1つだけ。恐怖このただ1点。
「なぁ。理樹取ってくれよ!ここまで聞いたらおまえも道連れだ!一緒にこの究極の筋肉
の持ち主を弔ってやろうぜ!な!な!」
「い〜や〜だ〜ぁ〜!!!」
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リトルバスターズ!シリーズ小説コンテストの1作目です。 | ||
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