真・恋姫†無双〜真・漢ルート〜 第十話:一刀、はじめてのおるすばん |
孫策「……と言う訳で、今日からここに住むことになった北郷一刀よ
みんな仲良くするように」
周瑜「何が『と言う訳』だ!
説明を省くな!」
孫策「詳しくは前回(九話後半)を参照してください」
孫策の言葉に頭を抱える周瑜、彼女も苦労しているのであろう。
紹介される一刀も苦笑いをするしかない。
改めて紹介された呉の重役たちに目を向けると何人か知った顔がある。
明命を発見して視線を送ると笑顔で手を振ってもらえた。
第十話:一刀、はじめてのおるすばん
そんな二人に気付いてか孫策が一刀の手を引く。
手を引かれて一刀ははっとしたように自己紹介を始める。
一刀「紹介に上がりました、北郷一刀です
『天の御遣い』と言われていますが気軽に『一刀』と呼んでください
短い間ですがよろしくお願いします」
孫策「もっと面白いこと言いなさいよー」
周瑜「事態がややこしくなる、…前にも会っているが、周瑜だ」
黄蓋「儂は黄蓋だ、よろしく頼むぞ北郷」
陸遜「私は陸遜と申します、よろしくお願いしますね」
そう言って二人ほどが前に出てくる。
二人とも胸部が豊かである為ついつい一刀の視線が向かってしまう。
呂蒙「お初にお目にかかります、呂蒙と申します」
甘寧「名を名乗っていなかったな甘寧だ」
そんな一刀に鋭い視線を向ける二人の人物。
別に睨んでいるのではなく、元々目つきが悪いのだ。
しかし、それを知らない一刀からすると女性の胸部を見ていたことに対して怒っているのだと思い視線を逸らす。
一刀「色々とごめんなさい」
周瑜「いきなり何を謝っているんだ」
一刀「何か呂蒙さんにすごい睨まれてるので……」
孫策「亞莎は目が悪いのよ
別に睨んでるわけじゃないわ」
呂蒙「あの、私のことは亞莎でいいです」
一刀「良いの?今日あったばかりだけど……」
一刀の言葉に恥ずかしそうに顔を赤くしながらこくこくと頷く亞莎。
そこにニコニコと笑顔のままの明命が間に入る。
明命「亞莎は一刀様のことをずっと調べてたんです
今日も会えるのを楽しみにしてたんですよ?」
亞莎「み、明命!あの……蓮華様と明命を救っていただきありがとうございました」
一刀「まあ、すぐに気を失って格好はつかなかったけどね」
明命「かなり深い傷でしたが、もう動いても大丈夫なんですか?」
一刀「腕が良い医者がいるからね」
一刀を気遣う明命にサムズアップしながら笑いかける一刀。
それはよかったと笑顔で反す明命。
そこに自己紹介しそびれて不貞腐れた小悪魔が一刀に飛び掛る。
孫尚香「一刀ー!シャオは小蓮だよ!!」
一刀「ァッッッッ!!!!」
傷口へのダイレクトアタックに気が遠くなる一刀。
一刀の声にならない叫びに孫権の顔が青くなる。
孫権「小蓮!一刀は怪我をしているって言ったばかりでしょ!!」
小蓮「シャオを無視して話し進めるんだもん!」
明命「一刀様!しっかり、お気を確かに!!」
一刀「……大…丈夫、俺に…とっては……ご褒美みたいなものさ」
脂汗を流しながら精一杯の強がりを吐く一刀。
目は焦点が合っておらず、小刻みに体が揺れている。
どう見ても大丈夫とは言い難い。
孫権「小蓮、何か言う事はないの?」
小蓮「……ごめんなさい」
孫権「それを私に言う必要があるの?謝るべきなのは一刀に対してよね
大体貴方は何時も何時も……少しは孫家の者として恥じないように……」
陸遜「あの、蓮華様?……小蓮様も反省してますし……」
孫権「反省している?」
陸遜「申し訳ありませんでした」
一刀の傷口にバッ○ァローマンのハリケーン・ミキサー張りのタックルを直撃させた小蓮はかつてない威圧感を放つ孫権の前で正座をさせられてい
る。
そろそろ許してはどうかと言おうとした陸遜も孫権の一睨みですごすごと下がる。
姉である孫策ですら逃げている。
頼みの一刀も傷口が開いたようなのでまたも包帯を替えに別室に行っている。
そして、別室で包帯を換えていた一刀が明命と一緒に戻ってくる。
正座させられている小蓮とその前に立つ背筋が寒くなるような威圧感を漂わせる孫権にUターンしたくなる。
そんな一刀の袖を孫策が軽く引く。
孫策「……蓮華を止めてほしいの、あの子があんなに怒るなんて初めてなのよ」
黄蓋「そうじゃの、まるで文台さま見たいじゃ」
顔が若干青い孫策と黄蓋に助けを求められる。
今の孫権に話しかけるのは勇気が必要だが、小蓮を見捨てるのも忍びない。
怒りを押さえ込めとは言わないが、このままイライラさせたままというのもよろしくないだろう。
一刀「孫権……さん?」
孫権「一刀、大丈夫なの?」
一刀「うん、それほど出血はなかったし、包帯を換えるだけで良かったよ
だから、小蓮のことは許してあげようよ」
孫権「…………」
じっと一刀を見つめる孫権、目を逸らさないように見詰め返す一刀。
孫権はため息を一つ吐いて小蓮の方に向き直る。
孫権「シャオ、もう怪我人に乱暴なことをしては駄目よ?」
小蓮「……はーい」
孫権「……二度目はないわよ?」
小蓮「はい!」
小蓮の気のない返事に一瞬養豚所の豚を見るような目に変わる孫権。
小蓮もビクリと一度痙攣して大きな声で返事をする。
一刀を含めてその場にいた面々はあまり孫権を怒らせないようにしようと心に誓った。
一刀「それで俺は何すれば良いの?」
孫策「何って?」
一刀「仕事だよ、働かざるもの食うべからずって言うだろ?」
孫策「そうは言っても貴方は客人として招いてるから……」
一刀「魏では文官の仕事だってやってたんだぜ?
今だって忙しいんだろ、俺も手伝うよ」
そう言ってアピールする一刀。
他の皆が働いているのに自分だけ何もしないのは居心地が悪いと思っての発言である。
周瑜「……ならば蓮華様の手伝いを頼もう」
孫権「私の?……よろしくね一刀」
甘寧「チッ」
一刀「今舌打ちされませんでしたか?」
周瑜としては病気が判明してから情緒不安定になった孫権の鎮静剤にでもなればと思っての発言である。
その言葉に心中同意しかねる甘寧はどうにか邪魔できないものかと考える。
しかし、主である孫権は乗り気であるため仕方ないと判断する。
甘寧「気のせいだろう」
孫権「一刀、私のことは蓮華でいいわ」
甘寧「れ、蓮華様!?」
蓮華「明命は命を救ってもらったと真名を渡したのよ
私も教えておくべきだと思ったのよ」
甘寧「……思春だ、蓮華様が真名を渡したのだ、私も真名で呼んでかまわん」
そうは言いながらも親の仇の如く一刀を睨む思春。
一刀も苦笑いしか出来ない。
孫権が部屋に案内すると扉の方に向かって歩き出す。
一刀もその後を追おうとするが、途中で胸の大きな二人に止められる。
陸遜「私は穏と申します、以後穏とお呼び下さい」
黄蓋「儂は祭だ、貴様の気概を気に入った」
一刀「ありがとうございます、祭さん、穏さん」
二人に手を振って一刀は蓮華の後を追う。
祭「しかし、変わった若造だな」
穏「そうですね、気になります……」
孫策「あれ?穏ってば一刀が気があるの?」
祭「ほう、それは面白いことになりそうではないか」
穏「ええ、天界の書物のことなど……今から楽しみですぅ」
そう言ってうっとりとする穏。
上手くはぐらかされたような気がして面白くない孫策と黄蓋はそのまま外に出ようとする。
しかし、襟を何者かに掴まれる。
振り向いた先には笑顔の周瑜が立っていた。
一刀が呉の城で世話になるようになって大分経った。
蓮華と仕事をするようになり、蓮華も仕事に余裕が出来、二人でたまに出かけるようになった。
無論、いつも二人でいるわけではなく、一刀はあくまでも手伝いである為蓮華よりも休みは多い。
蓮華が休みでない日は街に繰り出したり、城の中でぶらぶらしたりしている。
その間に呉の重役たちとも大分親しくなった。
穏とは一刀の世界について話をしたりしていたが、今ではお勧めの本を紹介してもらったりしている。
彼女は本を読み出すと欲情する癖があるので常に精神修行といっても良い。
亞莎とは文官として日が浅い者同士仲良くなり、夜一緒に勉強会を開いている。
『男子三日会わざれば刮目して見よ』とは良くいったもので、見る見る一刀との差を広げていっている。
明命はどうやら一刀の警護も担当しているらしく、一刀が暇を持て余していると出てきて話し相手になってくれたりする。
街中で猫の群れを発見して近づくと猫達の方から一刀に擦り寄って来たことがあった。
それを見て明命から弟子にして欲しいと言われ焦ったのはいい思い出だ。
祭とは酒を片手に絡まれることが多く、時には孫策と共に絡んでくる。
しかし、彼女は料理が得意なようで小腹が空いた時は度々料理を振舞ってくれるので助かっている。
そんな二人に絡まれている時に助けてくれるのが周瑜だ。
時々、一刀のほうにも矛先が向く時もあるが、基本的に良い人なので困った時は良く相談に乗ってもらっている。
そして、現在一刀は川に足をつけて涼んでいる。
護衛の明命はおらず、傍らには一刀のわき腹に強烈なタックルをくれた小蓮がいる。
彼女との二度目の出会いも強烈であった。
それは数日前の事だった。
一人川で涼んでいる時に後ろに視線を感じた。
ふと後ろを振り向くと奥の方から草を掻き分ける音がする。
最初は明命が様子を見に来たのかと思っていたのだが、その巨体が姿を現したことで一刀の思考が停止する。
一刀「(まあ、なんて大きなお猫様)」
猫科の生き物であるが肉食獣。
巨大な体躯に白の地毛に黒い縞模様、巨大な虎が一刀に向かってのしのしとゆっくり近づいてくる。
目を逸らさず、じっと見詰め合う一人と一匹。
一刀の脳裏に、野生の獣は先に視線を逸らした方が負けを認める事だと教わった記憶がよみがえる。
一刀「(目を逸らせば……食われる!?)」
嫌な汗が止まらない一刀、虎はすでに一刀の目の前まで迫りその大きな口をあける。
ついに一刀も目を閉じる。
が、次の瞬間生暖かいモノに顔を嬲られる。
巨大な見た目に反して虎は喉を鳴らして一刀に擦り寄ってくる。
唖然とする一刀の耳にさらに草を掻き分ける音がする。
音の先には白と黒のコントラストの獣と……
一刀「……パンダと小蓮?」
小蓮「あれ、一刀?何時の間に周々と仲良くなったの?」
小蓮がいた。
彼女の口ぶりからこの虎を彼女が知っている事に気付く一刀。
一刀の視線に気付いて小蓮が虎に一刀から離れるように指示を出す。
小蓮の言葉に素直に従って虎が一刀からはなれる。
一刀「……しかし、驚いたよ
こんな間近で虎とパンダを見たのは初めてだよ」
小蓮「虎とパンダ、じゃなくて『周々』と『善々』だよ」
一刀「周々と善々?」
小蓮「そう、シャオの友達だよ」
一刀「小蓮の友達……か」
そう言って笑顔でパンダの善々に抱きつく小蓮。
自分に頭をこすり付けて甘える周々を見て怖がっているのが馬鹿らしくなる。
小蓮「一刀ー、シャオでいいんだよ?」
一刀「分かった、今度からそう呼ぶよ」
小蓮にシャオと呼ぶように言われ笑顔で答える一刀。
未だに頭を擦り付けてくる周々の頭を撫でる。
思っていたよりも柔らかい毛並みに頬が緩む。
周々も嬉しそうに目を細めていた……
そして、今では周々たちとも打ち解けて傍に寝そべっている。
しかし、寝そべっていた周々が突然立ち上がり急に走り出す。
何事かと一刀と小蓮は後を追う。
怪我が完治していない為走る事ができない一刀に付き従うように併走する小蓮。
??「うひゃぁあーーーー!!」
周々の向かった先から女の子の悲鳴が聞こえる。
傷が痛むのも忘れて速度を上げる一刀。
漸く周々に追いつくと周々の口にくわえられる金色の髪の少女が目に付く。
少女は気を失っているようで目を回している。
周々は得意気に一刀の前に金髪の少女を降ろす。
頭を一刀のほうに向け撫でろと言いたげに尻尾を振る。
とりあえず周々の頭を撫でてから少女の容態を確かめる。
幸い外傷はなく、只気を失っただけのようだ。
少女を抱えて川原の方に戻り、木陰にそっと寝かせる一刀。
少女の方はうなされている様で眉間に皺が寄って寝心地が悪そうだ。
一刀「しかし、何でこんな所に一人でいるんだろう」
小蓮「私たちと一緒で川に遊びに来たのかな?」
一刀「かな?」
??「うるさいのじゃ」
二人で少女について話していると少女が文句を言って来る。
どうやら目が覚めたようだ。
一刀「ごめんね、でもこんなところで寝てると危ないよ」
??「むむ、お前達誰じゃ?」
一刀「北郷一刀だ
小蓮「シャオは孫尚香だよ、そういう貴方は?」
袁術「なんと、お前たち妾を知らぬのか
妾は袁術じゃ」
一刀「袁術……孫策に負けた?」
先の戦争で孫策の敵だったはず、孫策が酒の席で面倒だったから見逃したといっていた人物だ。
頭がかわいそうな子で部下の張勲に馬鹿にされている事にも気が付かないらしい。
実際孫策の妹である小蓮の前で実名を言っているあたり相当抜けているのだろう。
袁術「うむ、孫策の奴に領地を奪われてしまったが今に取り戻して見せるのじゃ」
小蓮「ねえねえ、一刀
捕まえたほうが良いのかな?」
袁術「な、なんじゃと!?お前達孫策の手の者かえ!!?」
一刀「いや、シャオは孫策の妹だろ?気付かなかったのか?」
袁術「孫策の妹は孫権ではないのかえ?」
小蓮「私たち3姉妹だよ」
袁術「なんと!?いや、確かにそう聞いておったような気がせんでもない」
そう言って目を逸らす袁術、目が泳ぎ汗をかいている所を見ると小蓮の事は知らなかったようだ。
しかし、袁術がいきなりビクリと痙攣して頭を抱えてしゃがみこむ。
一刀「どうした!大丈夫か!?」
袁術「お、お前達は妾をどうするつもりなのじゃ……?」
何か持病を持っていたのかと覗き込む一刀。
涙目の袁術がプルプルと震えながら一刀たちに問う。
その時がさがさと草を掻き分ける音がする。
音の先には善々が胸に青い髪の女性を抱えて立っていた。
袁術「な、七乃ーーー!!!」
一刀「仲間の人かな?」
女性を見て袁術が叫ぶ。
一刀は彼女が孫策の見逃したうちの一人、張勲だと判断する。
善々は張勲を一刀の前に置いて頭を向ける。
今度はよどみなく善々の頭を撫でる一刀。
傍らでは袁術が半泣きで張勲と思われる女性を揺すっている。
彼女も袁術同様に目の前に現れて善々に驚いて気を失ったのだろう、特に外傷はない。
張勲「ううん、お嬢様??」
袁術「七乃!良かった目を覚ましたか!
こやつらを倒して逃げるのじゃ!!」
張勲「…………無理ですね!」
袁術「な、何でじゃーー!!」
揺すられていた張勲が目を覚ます。
目を覚ました張勲にほっとする袁術。
袁術は起きたばかりの張勲に現状を打開する為に一刀たちを倒すように指示を出す。
張勲は軽く一刀たちを見て少し考えるような素振りをした後に笑顔で不可能だという。
張勲「お嬢様……七乃は虎には勝てませんよ?」
袁術「はっ!?そうじゃった!」
周々「ガウ」
小蓮や一刀だけならばどうにかなったかもしれないが周々・善々と言う優秀なボディガードがいてはよほどの達人でなければ逃げ出す事も出来ない
だろう。
頭を抱える袁術に一刀は頬をかきながらどうしたものかと考える。
孫策からは特に害がないなら放っておくつもりだと聞いている。
袁術単体ではどうしようもない子なので放っておけば良いと言っていた。
張勲は袁術中心で動くので袁術が良からぬことを企てない限りは害は少ないらしい。
一刀「この二人どうすれば良いかな?」
小蓮「一刀が決めて良いよ」
袁術&張勲「「!!??」」
一刀「俺が?」
小蓮「だって一刀って、『天の御遣い』なんでしょ?
悪者退治とかするんじゃないの?」
きょとんとした顔で一刀を下から見上げる小蓮。
袁術「『天の御遣い』ってなんじゃ?」
張勲「巷で噂の仕置き人ですよ
『輝く衣を身に纏い、悪事を働く者を成敗する仮面の男』だそうです」
一刀「仮面?」
小蓮「そういえば反董卓連合の後から仮面しなくなったんだっけ?」
左慈と干吉からは傀儡に一刀の服を着せていたと言っていたが、一応顔も隠していたようだ。
とりあえず手元に仮面なんてないが今はフランチェスカの制服を着ている。
袁術「なんと!正義の味方と呼ばれておるやつかえ?」
張勲「それだけではありません
一説によれば2体の化け物と2人の道士を従えているとか……」
2体の化け物が貂蝉と卑弥呼で間違いないだろう。
しかし、何故華雄のことは噂になっていないのか……
一刀「それじゃあ、俺の裁量で判断して良いのか?」
小蓮「姉様から袁術を見つけたら適当に追い払うように言われてるからシャオはどうでも良いよ」
一刀「じゃあ、二人とも」
判決を下す為に二人の方に視線を向ける。
二人とも身を寄せ合って震えている。
一刀「さっきの発言は聞かなかった事にする
だから、もう悪い事はしない事、もし守れないなら……」
袁術「守れぬなら?」
一刀「『天の御遣い』として君たちと対峙しよう
君たちの言う化け物を連れてね」
そう言ってこれ見よがしに笑顔で答える一刀。
意外とあっけない言葉にきょとんとする二人。
しかし、最後の化け物という言葉に頭を激しく振って返事をしてくれた。
その後二人は一刀に旅の心得を聞いてから離れていく。
特に念を押したのは怪しいものを食べない事、何故か言わずにはいられなかった。
そろそろ昼食の時間なので城に戻る一刀と小蓮。
袁術たちのことは黙っておくと言って自分の部屋に戻る小蓮。
一刀も自分の部屋を目指して歩く。
しかし、その道中で蓮華と華佗たちを発見する。
一刀「華佗!帰ってきたんだな」
華佗「おう、全員無事だぜ」
そう言うが今いるのは華佗と左慈、そして華雄だけだ。
残りの面子はどうしたのかと華佗に聞くと貂蝉と卑弥呼は先に一刀の部屋に向かったらしい。
干吉は城に来ず、診療所に帰ったらしい。
一刀「皆無事なのはよかったけど、材料は集まったのか?」
華佗「ああ、中々の強敵だったが材料は全部そろったぜ」
蓮華「強敵!?」
華雄「ああ、我が斧が効かないとは……まだ精進が足りないな」
一刀「どんな化け物オブ化け物だよ!?」
華雄の斧は一振りで樹を切り倒すほどの威力がある。
その一撃が効かないと聞いて戦慄する一刀。
左慈「……孫権の前で言うのは憚られる、後で教えてやる」
蓮華「そういう事言われると余計に気になるじゃない!!」
華佗「……後は作るだけだ、悪化していなければいいが……ッ!?」
薬の材料についてコメントを控える面々。
場を誤魔化す為に、華佗は蓮華の状態を改めて確認しようとする。
その時、華佗に電流が走る。
左慈「どうした?一瞬別人みたいに鼻と顎が尖ったが……」
華佗「治りつつある……だと!?」
蓮華「え?」
治りつつあると聞いて一刀も蓮華を診る。
蓮華の周囲にあった靄は薄くなり、色が違った下腹部も殆ど同色になりつつある。
首をかしげる一刀。
そこに重低音の声が響く。
貂蝉「あらあら、精神的な負担を無くすことでもあったようね」
華佗「貂蝉!?分かるのか!!?」
何時からいたのか貂蝉と卑弥呼が後ろに立っていた。
二人は意味ありげな笑みを浮かべながら腕を組んでいる。
卑弥呼「何、我ら漢女にとってゆらりと蠢く乙女心を見抜くなど造作もない事……」
貂蝉「そう、今の孫権ちゃんには前の時よりも心に余裕があるわ」
蓮華「……とりあえず、その薬は飲まなくても良いのよね?」
華佗「………ああ、寧ろ健康な今の状態で飲むと危険だ
一体何があったんだ……一刀は分からないか?」
一刀「ストレスを発散するような事……」
一刀の脳裏には蓮華が小蓮を正座させて説教させるシーンや一刀を酔い潰した孫策と祭を説教するシーン、本を選んでいる途中で発情した穏に押し
倒されて説教されるシーンが浮かぶ。
一刀「……知らないです」
華佗「……まあ、使わないに越した事はない
この材料も他の薬で使えば良いさ」
そういって苦笑いする華佗。
一刀は気付いていないが、蓮華の精神的負荷を軽減していたのは単に一刀が一緒に居たからである。
一刀が一緒に仕事をするようになって仕事が楽になった事、一刀の仕事振りを見て己の能力が決して低くない事を実感した事、そして何よりも仕事
の合間に一刀と話をする内に、王の妹としてではなく一個人として見てもらっているという気楽さがあったおかげだろう。
何故か胸がむかむかする華雄は己の武器をきつく握り締めていた。
無意識の行為であり、本人も気が付いていない。
その華雄を二人の漢女は痛ましそうに見ていた。
あとがき
皆様、こんばんは。
とろとろスライムの不味さに絶望中の大鷲です。
ついつい勢いで2種類とも買ってしまった……
ただでさえ後味が悪いのに若干ぬるっとしているのがまた……
それは置いておいてみんな大好き袁術の登場です。
登場だけで仲間にはなりませんでしたけどね。
この後の二人はどうなる事やら……
新しいヒロイン候補に周々と善々が登場しました。
彼女達と華雄の戦いに語期待ください。
* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *
呉でこれほどおいしそうな存在でありながらちょっとしか出ない虎とパンダの組み合わせ。
白黒つけてくれそうではありませんか……
次回予告
呉の人とも親しくなった一刀
左慈たちの口から語られる武勇伝
ついに華雄が制服を!!
次回、『漢達の休日W』にご期待ください。
説明 | ||
名前がややこしいですが、隠しルートである『漢(かん)ルート』の再構成した『漢(おとこ)ルート』です。 ガチムチな展開は精々ネタ程度にしか出て来ないのでご安心ください。 ただし、漢女成分が多分に含まれるかもしれませんので心臓が弱い方はご注意ください。 |
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コメント | ||
思い返すと思い出すのは・・・説教・・・ホロリToT・・・ま、まあ蓮華を笑顔にしたのだから良し!w(深緑) シルヴェ様>個人的にはホイミサイダー味よりもメラトロピカル味の方がマシでした(大鷲) 無駄に価格が高いですよねスライム、炭酸が入っていればまだ良いですよね。(シルヴェ) ZERO様>本当は他にも思い出はあるんですが、インパクトの差が……(´;ω;`)ウッ…(大鷲) よーぜふ様>次回の怒れる蓮華と華雄の激闘にご期待ください(大鷲) 宗茂様>彼女達だけ専用イベントがありますよ…………* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *(大鷲) sink6様>絵は……ないですけどね(大鷲) ヒトヤ様>ざわ…ざわ…(大鷲) はりまえ様>き、貴様何故それを!!?(大鷲) 砂のお城様>ぷらいすれすですね(大鷲) hokuhin様>そのうちまた出てきますよ(゚∀゚)(大鷲) 美羽と七乃が種馬の餌食になると思った俺がいる。ていうか蓮華との思い出が説教一色ていうのはいやだなあ。(ZERO&ファルサ) 美羽さまにげてー!種馬にたべられ・・・ない、だと? とりあえず一刀、もう少し蓮華との思い出いいほうの覚えとこうやw そして華雄姐さんに超期待!w(よーぜふ) ヒロイン候補誕生、おめでとうございますwww(宗茂) 華雄の制服・・・・・続きが早く読みたいです!!!(sink6) カイジ?(ヒトヤ) 呉での物語・・・・・・・・・・・・説教物語おもな相手、王族姉妹・・・・蜀の話・・・・・衆道話・・・・・になりそうだ(おもに軍師が興奮・・・・)(黄昏☆ハリマエ) 最初の紹介の仕方が転校生と担任みたいだわw それとやっと我等の美羽様と七乃さんが出ましたが、仲間にならず残念です。(hokuhin) |
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