雲の向こう、君に会いに-魏伝- 十八章
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〜消えゆく運命にある俺

 

 

消えたはずの彼女

 

 

奇妙な・・・だけど、温かな出会い

 

 

この出会いには、きっと意味があったんだって

 

 

今なら、胸をはって言える

 

 

だからこそ、ここに記そう

 

 

俺と・・・彼女

 

 

【祭さん】との出会い

 

 

その物語を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《雲の向こう、君に会いに-魏伝-》

十八章 消えゆく彼、消えた彼女

 

 

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「さて・・・どこから話したらよいものか」

 

客で賑わう酒屋の中

俺と向かい合うように座る彼女・・・黄蓋さんが静かに言う

 

 

「というよりまさか、このようなところで天の御遣いに出くわしてしまうとは思わなんだ」

 

「それは、むしろこっちの台詞なんだけど

まさか、こんなところで黄蓋さんに出くわすなんて思わなかったよ

まぁ、おかげで助かったけど」

 

そう言って、俺は苦笑する

その言葉に、黄蓋さんは僅かに表情を歪めた

 

「そうじゃ、お主・・・病でも患っておるのか?

先ほどの様子は、尋常ではなかったが」

 

「あはは・・・そんな大したものじゃないんだ」

 

「大したものでないと言うが、念のために見てもらえばいじゃろうが

丁度今、この街には華佗も来とるしな」

 

「華佗が?」

 

あの名医が・・・ここに?

 

というより・・・

 

 

「なんで黄蓋さんがそのことを知ってるの?

いや待って、そもそも何で黄蓋さんがここにいるのさ?

生きてたんなら、早く呉の皆に顔を出してあげればいいじゃないか」

 

そうだ

彼女は呉の宿将

それなのに、何故こんなところにいるんだ?

 

 

「あ〜、あれじゃ・・・その」

 

 

なんだか・・・ものすごく、歯切れが悪い

心なしか、頬も赤いし

 

そんな言いづらい理由なんだろうか?

 

 

「よかったら、聞かせてもらえないかな?

俺でよければ、力になるから」

 

 

消えたと思っていた命

それが今、目の前にいる

 

消えゆく運命にある・・・この俺の目の前に

 

それは、なんて奇妙な出会いだろうか

 

それでいて、なんて・・・温かな出会いだろうか

 

 

俺にも、まだできる事があるんだ

 

 

だからこそ、力になりたい

 

 

 

 

 

 

 

「・・・じゃからじゃ」

 

「え・・・?」

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時期が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなもの、恥ずかしいからに決まっておるじゃろうがああぁぁぁぁああ!!!!」

 

 

「そっか、恥ずかしいかr・・・って、はああぁぁぁぁぁぁあ!?」

 

 

 

 

・・・ボクにもありました、ええ

 

 

 

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「えっと・・・話をまとめると、つまり『あんなにカッコよく決めた後に、今更生きていました、テヘ♪』なんて、なんか気まずいから帰れないと」

 

「うむ・・・その通りなんじゃ」

 

あれから酒屋の主に二人して見事な土下座を決めた後、黄蓋さんから此処までの経緯を話してもらった

ちなみに、俺のお茶目に対してのツッコミはなしだ

少し寂しい

 

とまぁ、そのことはおいといてだ

 

曰く、あの日・・・赤壁の戦いの後、彼女は偶然通りかかった医者によって九死に一生をえたらしい

その医者が華佗だったというわけだ

その後意識を取り戻した彼女

最初は急いで呉国に駆けつけ、皆の力になろうとしていたらしいのだが・・・その時彼女は、華佗からとんでもない事実を知ることになる

 

 

それは・・・【三国同盟】、それによる乱世の終わりだった

 

 

彼女としては、完全に出鼻を挫かれる形となってしまったのだ

 

で気まずくて、なんか帰るに帰れなくなってしまったらしい

 

 

どうしたものかと悩みつつ・・・とりあえず華佗についてきてこの街に来たらしい

 

 

なるほどね・・・って、いやいや

 

 

 

「そんなの気にしないで、早く帰ってあげればいいじゃないか

きっと皆、黄蓋さんのこと知ったら喜ぶと思うよ」

 

「し、しかしじゃな・・・ワシ、なんか死に様がどうこうとかカッコつけて言ったんじゃぞ?

しかも、みなの前で

それなのに『おっす、オラ黄蓋』なんて、今更みなの前に出れるわけがないじゃろうが

お主ならば、ともかく」

 

「いや、そんな登場の仕方は俺だって嫌だよ」

 

ていうか、なんでこの人はあの【龍玉をあつめる野菜人】の言い回しを知っているんだろう?

そのうち、『オラ、wkwkしてきたぞ』って言ったりは・・・しないか

 

 

「まぁ・・・なんなら、俺から華琳に頼んで連絡してもらおうか?」

 

「そ、それも勘弁してくれ!

というより、お主に知られたのも今更だが物凄い恥ずかしいんじゃ!」

 

 

そう言って、顔を真っ赤にしながら俯く黄蓋さん

 

・・・あぁもう、可愛いなちくしょうっ!

 

 

 

はっ!?俺はいったい何を・・・

 

 

 

「とにかく、なら今考えることは今後どうするかってことだよな」

 

「うむ・・・」

 

まさか、このままずっと華佗についていくわけにもいかないだろう

なら、これからどうするのか

 

そこから考えなくてはならないだろう

 

いや・・・ぶっちゃけ、早く呉に帰ればいいだけの話なんだけどさ

 

本人はあんな感じだし

 

どうしたもんか・・・

 

 

 

 

「あ・・・そうだ」

 

「む?」

 

思いついた

そうだ、何も呉に行く必要なんてない

 

だって・・・もうすぐ向こうから来てくれるんだから

 

 

「こっちから会いに行くのが恥ずかしいなら、向こうから来てもらえばいい」

 

「は・・・?」

 

「【三国会議】ってのが、もうすぐしたらここで開催されるんだ

その時、呉の人たちも何人か来るはずだから・・・それまでに、黄蓋さんは心の準備をしっかりとしておけばいいんだよ」

 

「すまん、用事を思い出した・・・さぁて、今すぐこの街から出ようかのぅ」

 

「待て待て待て! どんだけ恥ずかしがりなの!?」

 

「煩い離せ!!ワシはもう死んだことにしといてくれ!!

むしろ、幽霊ということにしてくれ!!」

 

「いやいやいや、それは絶対駄目だろ!?

っていうかストップ!一回落ち着こう!」

 

 

二人して、とりあえず深呼吸

それから今の騒ぎでまた怒った店主に、二人してアクロバティックに土下座を決めた

 

 

んで、再び考える

 

 

「とにかく、いつまでもそのままってわけにはいかないだろ?

だったら、ここで覚悟を決めなくちゃ駄目だと思うんだ」

 

「ふむ・・・覚悟のう」

 

その言葉と共に、彼女は何故か・・・俺の目をジッと見つめてきた

なんなんだいったい?

 

そう思った瞬間だった

 

 

「お主は・・・『覚悟』を決めたのか?」

 

 

彼女の口から、そのような言葉が飛び出したのは

 

その言葉に俺は、静かに目を瞑った

『覚悟』・・・か

彼女は、何の覚悟かは聞かなかった

 

ただ漠然と、覚悟を決めたかと・・・聞いてきたのだ

 

俺の目を見て、そう聞いてきた

 

恐らく・・・気づいたのだろう

俺の目を見て、その奥底にある想いに

 

きっと、気づいたんだ

 

 

 

 

俺は・・・

 

 

 

 

「俺は・・・覚悟を決めたよ」

 

 

 

 

 

そうだ、覚悟は決めた

 

決めた・・・つもりだった

 

 

 

 

「だけど、俺さ・・・怖いんだ」

 

 

 

 

つもりだった、なんて・・・情けない話だよな

 

けど、仕方ないだろ?

 

 

俺だって・・・ただの、一人の人間なんだ

 

 

天の御遣いなんて言われてるけど、ただの・・・人間なんだ

 

 

それでも・・・

 

 

 

「俺は・・・最期まで、【天の御遣い】であることを決めたんだ

だから、今此処でもう一度覚悟を決めるよ」

 

 

 

そう言って、俺は笑った

 

黄蓋さんはそんな俺の顔をしばらく黙って見つめた後に、深い・・・本当に深い溜め息をついた

 

 

「何が・・・たいしたことないじゃ

その言葉を聞くだけで、ワシにはわかってしまったぞ?

それは、あの時のワシと全く同じ覚悟じゃ」

 

 

 

 

 

 

 

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〜お主のその覚悟は・・・死にゆく者の覚悟じゃ〜

 

 

 

 

 

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黄蓋さんの言葉

 

俺は、しっかりと頷く

彼女の言うとおりだ

これは・・・死に対する覚悟

 

すっげえ恐いし、今だって気を抜けば・・・体が震えてしまいそうな

 

それほどまでに・・・恐いんだ

 

だけど、それでも決めた

 

俺は、皆を守るんだって

 

そう決めたんだ

 

 

「それに・・・俺さ、嬉しかったんだ

黄蓋さんが、生きててくれて」

 

「むぅ?」

 

「これから死んでいく俺が、死んだはずの黄蓋さんと出会ったなんて・・・なんか、すっげえ面白くない?

まるで、そう・・・『奇跡』みたいだ」

 

「はっ、確かのう」

 

 

笑いながら、俺はそう言った

それにたいし、彼女もまた・・・笑っていた

 

そのまま、しばらく笑いあう俺達

 

そんな中、ふいに・・・

 

 

 

「【祭】じゃ・・・」

 

 

 

彼女の口から、小さくそのようなことが聴こえてくる

わけがわからず首を傾げると、それに気づいたのか彼女は微笑みながら話し始める

 

 

「ワシの真名じゃよ」

 

「真名って・・・いいの?」

 

「よい、お主には・・・そう呼んでもらいたいんじゃ」

 

 

 

 

〜祭さんが、微笑みながらそう言った時

 

不覚にも一瞬、ドキッとしてしまったのを・・・よく覚えている

 

 

「わかった・・・祭さん」

 

 

「うむ、それでよい」

 

 

 

 

そのまま、二人してまた笑ったっけ

 

 

その時、思ったんだ

 

 

この出会いはきっと、偶然なんかじゃないんだって

 

 

運命なんて、そんなのとも・・・きっと違う

 

 

 

この出会いはきっと・・・〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシが・・・見届けてやろう

お主の、物語を」

 

 

「ああ、お願いするよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺に・・・『道』を示すためのものだったんだと

 

 

今なら、そう思える

 

 

-6ページ-

★あとがき★

 

十八章

今回はまた、いつにも増して短いです

しかも、ちょっとコメってます

 

というのも、今回は祭さんの出会いから一刀の覚悟についてのお話だからです(!?)

 

まぁ、疲れてたから・・・というのもあるんですが

本当はこのまま、霞んとこまで行こうとも思ったんですが・・・それは次回に回します

 

 

 

 

【華伝】【呉伝】の配信は、あと三日ぐらい続けます

どしどしご連絡くださいww

 

それでは、またお会いしましょうww

 

説明
十八章ですww
今回は、いつもより短いですね
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コメント
アクロバティック土下座きたw(透月)
照れて吼える祭さん、一刀とユニゾンで土下座する祭さん・・・駄目だ、面白可愛すぎるw ああ、配信お願いしたかったです^^;(深緑)
祭さん初心だね〜ww配信お願いします(空良)
皆様、様々なコメ感謝ですwさて、試作版配信についてなんですが、『俺頼んだけど、まだ来てないっす』って人はメールで教えいただければお送りいたしますので♪すいませんが、今日は無理でしょうが・・・今日は、もう寝オチしますwww(月千一夜)
祭さんそんな理由だととても笑ってしまいましたよ。 配信お願いします。(ZERO&ファルサ)
祭さん、かわえぇ。自分も配信希望します!(摩天楼銀河)
祭さんという新たな仲間が増えて、一刀も少しは楽になったでしょうね。それでもやっぱり、恐い・・・でしょうね(mighty)
理由がそれかww 配信お願いしますw(2828)
今回は今までよりコメディ色が濃かったですが、それでもシめる所はシめられていてかっこよかったです。自分も【華伝】【呉伝】希望します。(悠なるかな)
一刀と祭さんの出会いこれはきっと奇跡と言う名の必然だったのでしょう  俺も配信お願いします(jack)
さすが祭さん、今までのシリアスに引き続き、改めて覚悟完了な一刀もいいが・・・祭さんかわいすぎw(よーぜふ)
祭さんの理由がww(リンドウ)
祭さんはかわいいなぁwww 主、私にも配信くださいな。(たかやん)
思わず一気読みしてしまいました。配信お願いします。(マスター)
一刀の覚悟は祭との出会いがきっかけか・・・悲しすぎですね(ue)
この奇妙な出会いもまた一刀の大きな心の支えになったんだろうな・・・   つか、水上桜花さんコメうますぎですww   俺も配信おねがいしまーす^^(suisei)
終わるはずだった運命から外された将。終り行く運命に組み込まれた御遣い。その両者は対の極端。だからこそ、その道は繋がる。終りを望まず、どちらも運に弄ばれた存在。だからこそ、その道はつながり、潰える。(水上桜花)
久々のパロディ分で緩めましたw 一刀にとってはこれ以上ない意味を持った協力者になりえる理由でしたね。余談、これ前半部読んでる時の皆の反応ってどうなの?w(kurei)
まさかここで祭にギャグに走られるとは思わなかったwwwこれまでの空気のぶち壊し方がすごすぎる(shimon)
一刀の覚悟、それを見届ける祭。これからのことを考えると涙が出てきそうです。 ・・・それと祭が可愛すぎるww。私にも配信お願いします(samidare)
相変わらず日記でもシリアスと笑いのバランスがすげぇ。(poyy)
な〜る、帰らなかった理由はそゆことでしたかwwww さて、死にゆく者と死の淵より帰った者か・・・・滑稽、とでも言うのでしょうか。しかし、徐々に消え始めている体でも尚君は君のままなんだなぁ一刀よwwww あ、俺も配信お願いします。(峠崎丈二)
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